イベルタルとの戦いを終えたハジメ達は、聖教教会のある神山へと向かっていた。その道中、ノイントと戦い終えて傷だらけになったティオを発見。香織の力で治療した。ノイントの存在を教えて貰いながら再び向かうところで、下山していた幸利たちと合流したのだった。
「そろそろ、僕たちもプレート探しの旅に戻らないとな……」
「それなんですが、南雲くん。先生から提案があります。この世界の事を……城に残っているクラスメイト達にも話した方が良いと思うんです」
「え?」
愛子が言うには、光輝を始めとした一部のクラスメイトは未だにイシュタル教皇の言っていた、「魔人族を倒せばエヒトが地球に返してくれる」という話を信じている。だが、流石に今回の件は暴挙にも程がある。流石に考え直すのではないかと言う理由だった。
ハジメとしては、かなり難しい提案だった。檜山たち小悪党組はまず自分を嫌ってるし、光輝もおそらくその類いで話を聞かないだろう。
だが一方で、浩介が居た永山パーティー等は、浩介が無事だと言う報告も含めて顔出しが必要かもしれない。雫や香織といった、クラスではかなりの影響力を持つ彼女たちも、一緒に説得してくれるだろう。
「……分かりました。行きましょう」
「良いのか、ハジメ? 俺は永山達に知らせないといけないから好都合だけど……」
「冷静に考えてみたら、僕の味方がこんなに居るんだ。……だから、可能性に賭けてみる」
自分は一部のクラスメイト達にしか好かれてなくて、話したとしても他の皆には信用されない。先ほどまではそう思っていた。しかし、顔を上げて周りを見てみれば沢山の仲間がいたのだ。
香織に幸利に浩介、雫、恵理、優花とその仲間たちや教師の愛子。トータスで出会ったユエにシアにティオ、メルド団長にリリアーナ。今は居ないがミュウやハウリア族、アンカジ公国の人々。
いずれも、ポケモン関係で知り合った者達だが、全員が話を聞いてくれた。自分を信じてくれた。
「だから、僕はもっと仲間を信じるんだ」
そう決意して、城へと向かったのだ。
「こんな事になったのは、お前が魔物を引き連れてるからだ南雲!」
「はぁ!?」
ハジメの賭けは失敗に終わった。
イベルタルと戦っている間、光輝たちは城下町に現れた野生のポケモンを相手に戦っていた。実際には、イベルタルの気配に当てられて逃げ惑っていたポケモンを見て、光輝が「人を襲ってる」と判断した故の行動だったが。しかも、パニックになる人々を助ければイシュタル教皇も雫たちを解放してくれる筈だと考えての行動だからタチが悪い。
そしていざ帰ってみれば、(光輝から見れば)裏切り者のハジメが、雫たちを救っている。
「雫たちをどうするつもりだ!」
「どうするって、何もするつもりは無いよ! ただ話をしたいだけだ!」
「どうせ魔物の事だろう? あの黒い鳥を見てもまだ、魔物は仲間だなんて言えるのか!」
「イベルタルだけを見て、全部のポケモンが悪だって判断するのは間違ってる! それは人間側の視点でしか無い!」
光輝とハジメの言い争い。それは、地球ではまずあり得なかった光景だ。
話を聞いてもらいたいのに聞き入れてもらえず、ハジメの沸点は低くなっていた。光輝の言葉に強く反発してしまい、それに向こうも強く反応。それに対してハジメも更に強く……と負の連鎖になっていた。
「いい加減にしなさい!!」
それに待ったを掛けたのは、意外なことに愛子だった。
「天之河くん! なぜ南雲君の話を聞いてあげないのですか! 裏切り者だと言ったイシュタル教皇の言葉を本気で信じてるのですか? 同じクラスメイトなのに!」
「は、畑山先生……」
「南雲くんもです! 先程まで冷静にしていたのに、相手の言葉に簡単に熱くなってどうするのですか!」
「あ、う……」
それは、愛子の本気の怒りだった。その様子を初めて見た他のクラスメイト達は、改めて愛ちゃん先生は教師なのだと実感したのだった。
双方が落ち着き、城の大食堂へと集まった地球組。光輝もひとまずはハジメの話を聞く姿勢を見せたため、改めて世界の真実を明かすことになった。
「エヒトが偽りの神だって……! 何でそんなことを黙ってたんだ!」
「光輝、座れよ。まだ南雲が話してるだろ」
思わず立ち上がった光輝を、龍太郎がなだめる。
「天之河は、僕の言うこと信じてくれないと思ったからだよ。出会って早々僕を非難したようにね」
「うぐっ……」
「……他の大迷宮の奥に眠るポケモン達が、言っていた。アルセウスがエヒトに力を奪われたことを、他の神々のポケモンが怒っているって」
「その怒りを鎮めるために、南雲は旅してるのか」
「そう言うこと。アルセウスが生み出したポケモンには、空間を司るポケモンもいる。そのポケモンに頼んで地球に帰せないかとも考えている」
「そのポケモンが願いを聞いてくれるという保証はあるのか?」
「少なくとも、戦争を止めさせる気の無いエヒトよりは、遥かに信頼がある」
先ほどの口論とは違い、互いに真剣な顔での話し合い。その様子を端から見ていた、居残り組のクラスメイトは、コイツは本当に南雲か?と驚いていた。
地球に居た頃は、変わった生き物の絵を描いてるだけで、いつの間にかクラスの女神とも言える香織と恋仲になっていたというよく分からない人間。それがハジメの印象だった。
「……俺たちも行けるのか?」
「……本気? かなり手強いよ」
「それが皆を助ける方法になるなら、やってやる!」
光輝の言葉にハジメも驚く。彼の言葉は、トータスに来たばかりの頃の「みんなを守る」と言うのと同じくらい薄っぺらく感じた。だが光輝は頑固だ。何を言っても着いてきそうな気がする。
「…………やっぱり来るんじゃなかったとか、言うのは無しだからね」
「分かってる」
話し合いが一段落したところで、ティオが挙手した。
「話し合いは良いかの? だとしたら、次に向かう大迷宮について提案があるのじゃ」
そして、次の言葉にハジメは目を見開いて驚いた。
「妾たち竜人族、いや竜と共に生きる民……
この話を描くに当たって没にしたネタがあります。
その1:ノイント戦で傷ついたティオを香織が癒すが、ティオが赤ちゃんプレイに目覚める。
結論:ティオの頼りになるキャラを一貫したかった為、NG。
その2:光輝とハジメの殴り合い
結論:光輝VSハジメは他の二次創作でも見かけるし、たぶんプレートで強化されたハジメの圧勝になりそうなのでNG。