王都での激戦を終えたハジメ達。地球組に世界の真実を明かした後、ティオから「故郷にある大迷宮に挑まないか」と提案された。
しかしティオの故郷はここ王都からかなり遠い。雫や光輝達も旅に着いてくるとのことで大所帯となっているため、竜化したティオに乗るわけにもいかなかった。
そこで提案をしたのが、リリアーナである。彼女曰く、長距離の移動に適したアーティファクトがあるとのこと。その状態確認のためしばらく王都に留まることになったのだった。
「ん……朝か……」
窓辺から射し込む光に、ハジメはぼんやりとした頭を徐々に覚醒させていく。左隣を見ると、愛しい人はまだ穏やかな寝息を立てていた。
なお、シーツで隠されてはいるが2人は生まれたままの姿である。
「(……可愛い)」
起こさないようにそっと、香織の頭を撫でる。黒髪のサラサラとした感触が心地良い。ハジメが撫でてると分かっているからか、その寝顔に笑みが浮かんでいた。
「香織」
余計な言葉は要らない。彼女の額にそっとキスをして、彼女を抱きしめながら二度寝することにした。
「(うぅぅぅぅ~~~~!)」
なお、撫でられている辺りから香織はしっかり起きていて、先ほどのキスで真っ赤になっていた。
ハジメと香織は遅めに起き、宿の二階から降りてくる。するとエントランスにあるベンチにて頭を抱えて俯いている男が居た。
「あれ、幸利? どうしたの?」
「……ハジメに白崎か。昨夜はお楽しみだったようで」
「「えへへ~」」
「惚気んじゃねえよ、ったく……」
いつもならもう少し強めにツッコミを入れる筈が、今はとても弱々しい。2人は顔を見合わせる。
「マジでどうしたの?」
「…………告られた」
「え?」
「告白されたんだよ! 中村に!」
ヤケクソ気味に叫ぶ幸利。一瞬の空白の後、2人の絶叫が響いた。
お互いに落ち着いたところで、幸利はポツリポツリと話し始めた。
「昨日の夜さ、中村に呼び出されたんだよ」
「昨夜は良い天気だったから、星空も綺麗だったよね」
「で、オルクス大迷宮で助けてくれた事と今回の件について、お礼を言われたんだ」
ハジメも思い返してみると、恵理がポケモンに背後を襲われそうになったところを助けたのは幸利だった。今回聖教教会に捕らわれた時も、助けたのは幸利である。
「そりゃあ、ねぇ?」
「惚れるのも無理ないね~」
「目ぇキラキラさせて、頬を赤らめて『好き!』って大声で言われた時は、マジで脳内処理が追い付かなかった」
その時の恵理は、某グランドオーダーのバレンタインイベントにおける、嘘を許さないバーサーカーがイメージしやすい。
「で、何で幸利は告白されたことに悩んでるのさ」
「あのなぁハジメ。告白した側のお前は分からないかもしれないけど、初めて異性から告白されて頭の中ゴチャゴチャしてんだよ! 今まで普通のクラスメイトとして見ていたのに、いざ告白されるとよぉ……」
地球にいた頃は女子にあまり縁がなく、せいぜいハジメとポケモン談義をしてる内に香織や雫といった女子と少し話せた程度。それがいきなり告白されて、どうしたら良いのか分からないようだ。
「うーん、私たちは最初は友達から始めて、その後にハジメ君から告白されて付き合い始めたんだよね。その順序が入れ替わっても良いんじゃないかな?」
「と、言うと?」
「まずは友達から始めて、それで中村さんを意識したなら、改めて清水くんから告白すれば良いんじゃない?」
香織からのアドバイスを受けた幸利。目を瞑って考える。
「(まぁ、告白された時に見た彼女の顔、結構可愛かったんだよな。ハジメとか見てて感覚麻痺してたけど、まずは友達から……てのもアリか?)」
やることを決めた幸利は立ち上がる。
「分かった。中村に返事してくる」
「「お幸せに~」」
「うるせぇ! まずは友達からだ、友達から!」
ほんの少し頬を赤くした幸利は、暖かい目をする2人にツッコミを入れながらも、恵理のもとへと向かった。
「友達から?」
「お、おう。駄目か?」
「んふふ……。絶対にボクを意識させてみせるからね」
「(中村って、ボクっ娘だったのか……)」
幸利と恵理がくっつきました!
次回も閑話を予定してます。