飛行船にてティオの故郷を目指していたハジメ一行。しかし、その途中で伝説の三鳥の一体である、サンダーが襲撃してきた。サンダーの咆哮は船内にも伝わり、ほかの仲間たちが操舵室に集まってくる。
「南雲、今の鳴き声は!?」
「よりにもよって、サンダーだ……!」
「サンダー!?」
「伝説の三鳥の一体、か……!」
ハジメの言葉に大きく反応したのは、浩介と幸利だ。2人は地球に居た頃、ハジメの投稿したイラストとその設定を読み漁っていた為、メンバーのなかではハジメを除いて特にポケモンに詳しい。
光輝はサンダーの姿を見て、緊張を誤魔化すようにゴクリと唾を飲み込んだ。
「何て威圧なんだ……!」
「三鳥って事は、まさか他にああいうのが居るの!?」
鈴が悲鳴を上げるように尋ねる。頷いたのは幸利だった。
「ファイヤーとフリーザーだな。ファイヤーは、グリューエン大火山で戦ってる」
「迷宮の前で戦いましたから、あの時はまるで『お前の力を試してやる』って言ってるような感じでしたね」
「……て事は、あのサンダーも私たちを試してる?」
ユエの言葉にハジメも頷く。
「その気になれば、雷を発生させてこの飛行船を落とすことなんて容易い筈。なのに向こうがそれをしてこないと言うことは、そう言うことなんだろうね」
「けど、ここは空中だぜ? どうやって戦うんだよ?」
龍太郎がハジメに問い掛けるが、彼の表情は良くない。
「空中戦が出来るポケモンは、ユエのゴルーグと、浩介のテッカニンしか居ないか……!」
「ハジメ、任せて。ゴルーグは地面タイプも持ってるから、向こうの電気タイプの攻撃も無効化できる」
「俺のテッカニンだと相性は厳しいけど、その分スピードがある。避けきってみせるさ!」
「僕は操縦に専念する。2人とも、お願い!」
こうして、サンダーとの戦いが始まった。
飛行船の乗り込み口。そこでユエと浩介がサンダーと対峙した。
「俺もスピードで翻弄してみるが……電気攻撃はゴルーグに任せるぞ」
「いざとなったら、“シャドーボール”とかで援護する。接近はお願い」
「任せろ! テッカニン、“こうそくいどう”でサンダーと距離を詰めるんだ!」
「テッカ!」
周囲は雷雲で暗くなっているだけであり、強風や雨は発生していない。もし強風などの悪天候ならば、飛ぶことすら困難だっただろう。
「良いぞ! そのまま“シザークロス”だ!」
高速でサンダーに近づくテッカニン。だが相手はそう易々と攻撃を受けてはくれない。一瞬だけ目が光ったかと思うと、テッカニンの爪を回避した。“みきり”だ。
「ッ!」
「避けられた!? ま、まだだ。この距離なら避けられねぇだろ! “スピードスター”!」
「テカー!」
「グウゥ……」
星の形をした弾幕がサンダーを襲う。技の性質上“みきり”は連発し辛いのと、距離が近くサンダーの体躯が大きかったのもあり、命中した。
「そのまま畳み掛けるぞ! “れんぞくぎり”!」
「ニン!」
「っ! 待って、何かおかしい!」
ユエが見たのは、何か力を蓄えてるような仕草を見せるサンダーの姿。蓄えられるその力は、サンダーの体からバチバチと何かが弾けるような音を立てていた。
「何かやべぇ……! だからこそ止めないと駄目だ! テッカニン、“メタルクロー”!」
銀色のエネルギーを爪に纏わせて攻撃しようとした、次の瞬間!
「クエエエエエエエエエエ!!」
力強さを感じさせる咆哮と共に勢いよく翼が開かれ、その風圧でテッカニンは浩介の近くまで吹き飛ばされてしまう。ゴルーグは2人と1匹を守るように立ちはだかった。その時、浩介とユエの頬に何かが当たる。
「これ……水?」
「こんな時に雨が降ってきやがった……!」
そう。サンダーが力を蓄えていたのは、“じゅうでん”。電気タイプの威力を上げる技だ。そして先ほどの咆哮は“あまごい”。これによって雨が降り始めたのである。
この時船内では、先ほどの咆哮を聞いたハジメが嫌な予感を感じとり、香織と鈴に大声で命じていた。
「結界を貼って! 今すぐ!!」
「キョオオオオン!!」
その瞬間、飛行船の周囲に大量の稲妻が降り注いだ。
サンダーによる、じゅうでん+あまごい+かみなりと言うコンボ。ゲームだとありきたりなコンボかも知れませんが、現実として放たれれば……。