竜人族の里で一夜を過ごしたハジメ達。彼らは朝早くに起床し、ティオに『竜の塔』と呼ばれる大迷宮へ案内してもらっていた。今はその塔の手前、祭壇のような場所に来ている。
「ここは、『竜の祭壇』じゃ。本来ならば行けるのは此処までじゃが、今はお祖父様のお陰で奥まで通れるようになっておる」
「どんな時にこの祭壇を使うの?」
「新年の祝いや、秋ならば作物の収穫、年の瀬にはその年に産まれた赤子のお祝いとして祭りを開くのじゃ。その時に妾達はこの祭壇へ集まるのじゃよ。この先の塔は聖地ゆえ、下界との境界線代わりになってるとも言えるの」
失礼の無いよう一同で塔へとお辞儀をし、祭壇より向こう側へと足を進めた。
ところが、いざ塔に入ろうとしても、目の前には巨大な扉がある。
「どうやって開くのかな、これ?」
「ふっ、ぬぅん……! 俺が押してもびくともしねぇぞ」
「力自慢の龍太郎でも駄目か……」
鈴が鍵穴のような物が無いか首を傾げ、龍太郎が技能も使って押してみるが開く気配はない。光輝も頭を悩ませる。
その時、ハジメのバッグからプレートが飛び出し、アドゥルに見せた時と同じように光を放った。すると扉は、ゴゴゴと鈍い音を立てながら開く。
「ゲームで言うなら、特定のアイテムを持ってる事で開くってタイプの扉だったんだね」
「アドゥルさんは、『この塔は三つの試練を与える』って言ってました。気を引き締めて行きましょう……!」
そうして一行は塔の内部へと向かっていった。
塔の中へ入ると、そこは巨大な広間。奥には二体の石像が立っていた。
「何だこの部屋は? 床に変な石みたいなのもあるし……」
「この石像……怪しいね」
光輝達が戸惑うなか、香織や雫、ティオは奥の石像を注視していた。
「ハジメ、これってオルクス大迷宮の……!」
「ミレディさんの大迷宮にもありました!」
「そう言えばユエとシア以外は、このタイプの試練は初めてなんだっけ?」
まさか此処でお出ましとは。ハジメは内心緊張しながらも、前世の知識を当て嵌める。
「(ゲームだと、どちらか一方しか出現しない筈だ。けどこの世界は現実。しかも点字の配置も、ゲームより多い気がする……!)」
すると浩介が、文字の書かれている石板を発見する。
「何かのヒントを見つけたけど、これ点字だな……」
「点字を習ったのって、いつ以来だ? 小学生くらいの頃にそれの五十音表を習った気がするけどよぉ……」
「ていうか、トータスに点字あるんだ……」
幸利と恵理が石板を覗き込むが、解読できずに悩む。ここで久方ぶりにハジメの技能が活かされる。
「『巨人の目を輝かせ、龍と雷の門番を目覚めさせよ。これが第一の試練なり』……だね」
「え、ハジメ君読めるの?」
「僕の技能の1つに、『言語理解(真)』って言うのがあってね。これのお陰で、点字とか古代文字を読めるみたいなんだ」
「なるほど、そのお陰で南雲くんは大迷宮も攻略できたのね」
「僕だけじゃなくて、仲間のサポートもあったから乗り越えられたんだよ。さて……あの石像の目のように、床の石を光らせるみたいだ」
「よし、やろう」
幸いなことに人数が多かったため、床の石を石像の通りに光らせるのに時間は掛からなかった。ところが、その通りに光らせた瞬間。
――ざっくっど
――じじ じじじ
広間に響く謎の声。光輝たちは臨戦態勢を取る。
「い、今の声は一体……!?」
「皆のもの、気を引き締めよ! 門番がお目覚めじゃ!」
その瞬間石像が壊れ、中からポケモンが現れた。
一体は、エネルギーの結晶らしき物で構成された、両腕を会わせれば龍の頭に見えるポケモン。
もう一体は、小柄ながらも強者の風格をもち、電気で構成された体を持つポケモン。
ハジメはそのポケモンの名を叫ぶ。
「やっぱり現れたか! レジドラゴ! レジエレキ!」
第一試練『雷龍の試練』、開始……!
次回、レジドラゴ&レジエレキ戦! アニメと同様のダブルバトルです!