アークナイツ トロフィー「雪ウサギは春に遊ぶ」取得RTA   作:春雨シオン

26 / 41
 お待たせしたので初投稿です。お気に入り登録してた他のSSがどんどん更新していくのを見ながら心が痛んだのは俺なんだよね。
 
 加えて次回作のアイデアが湯水のように出てくるもんだからモチベも上がりますよ~するする。これを完結させるまで新しいのには手を出さないと決めているのでご安心ください。


Part21 凶星

 感染者のガキを討伐したRTA、第21部はーじまるよー!

 

 前回、師匠に教えてもらった奥義の中の一つ、落地斬・曙光によってスカルシュレッダーを討伐したところですね。この落地斬は原作ではウタゲ姉貴のスキル2として登場します。配置後、自分の体力の半分を削り、攻撃力を上げながら通常攻撃が術攻撃になるというスキルです。これは体力が減るほど攻撃速度が上がるウタゲ姉貴の職分、武者とは非常に相性のいいスキルなのですが、VR版では先ほどお見せしたように自分の体力と引き換えに刀の切れ味が増す技となっております。それから武者型の特性である攻撃する度回復する能力ですが、これは刀が血を吸うと剣士に力を返してくれるという謎すぎるシステムとなっております。師匠曰く、「どんななまくらだろうと妖刀に変えてしまう」とのこと。そんな危ない技を教えるんじゃないよ!

 

 そんなクッソ危険な技を不殺のために使ったので、サクラはもうヘロヘロです。本来手当たり次第に敵を掻っ捌く技ですからね。刀にごっそり持っていかれた体力は回復できず、普段の力の半分も出せない状態で戦場を生き残るのは困難を極めます。だから、仲間の意志を確認しておく必要があったんですね。ここで助けに来てもらうためにです。

 

「って、サクラ!こいつ、レユニオンの…」

「ああ…スカルシュレッダーと呼ばれていた。生け捕りには苦労したが、何とかなって一安心だ。ひとまず、周りの奴らを何とかしてくれるか?」

「ん、りょーかい。さてと、獅子王もうずうずしてるっぽいし、誰から斬られたいのかな?」

 

 こ、この紫色の煙のような輝き!どうやらウタゲ姉貴も落地斬を使っているようです!グロ注意、グロ注意!頭とかいろんなものがはじけ飛ぶぞおおおお!

 

「そ、そんな…スカルシュレッダーが…。」

「クソっ、ひるむな!奴らを殺して、スカルシュレッダーを救出するんだ!」

 

「残念だが、それは叶わない。」

「うわあ!」

「…! チェンさん!」

 

 チェン姉貴オッスオッス!ちょっと遅かったんとちゃう?

 

「まさかたった一人で倒してしまうとは。このままでは小官たちの立つ瀬がありませんし、せめてここは任せていただきましょう。」

 

 あ、ホシグマ姉貴もいたんすね。この後の章では見せ場がありますが、RTAにはまったく関与しない位置ですので正直空気です。気になる兄貴はほんへ見て、どうぞ。

 

「ま、それならいいか。ほらサクラ、おんぶしてあげるから早く帰るよ。」

「お前…前から思ってたけど、お気楽が過ぎるだろ…。まあ、私も疲れたからその言葉に甘えるが…。」

 

 正直なところ、もう消化試合もいいとこなんですよね。スカルシュレッダーがいなくなったこいつらは単に戦力の低下だけでなく、精神的支柱を失って普段通りのパフォーマンスを発揮できません。という事はつまり…。

 

「これで終わりか?」

「はっ!残党は全て捕えました!水の漏れ出る隙間もない完璧な包囲でしたから。」

「ならばよし。近衛局、ならびにロドス各員に告ぐ!レユニオン撃滅作戦はこれにて終了、我々の勝利だ!!」

「うおおおおおおお!」

 

 近衛局の隊員たちは復権派の如く勝鬨を上げていますが、ロドスのオペレーターたちは対照的に安堵している感じですね。それに加えて、救うべき感染者を殺めなければならなかった現実に打ちのめされている、といったところでしょうか。

 

「何かみんな勝ったのにあんま嬉しそうじゃないね。」

「そこら中に転がっている死体は、ロドスの救うべき人々だったわけだからな…。複雑な気分なんだろう。」

「…でもさー。もともとこの人らが先に手を出してきたわけじゃん?それで殺されるなんてある意味当たり前じゃない?自業自得っていうかさ。」

 

 正直、レユニオンの中にも自業自得感が否めない奴らはたくさんいますからね。例えば今、近衛局に簀巻きにされて運ばれていったスカルシュレッダーなんかは、非感染者たちを「死んで当然のクズども」と決めつけ、自分の主張ばかりぶちまけるので会話が成立しません。会話ができないんだから話し合いなど望むべくもなく、ただ戦闘になって、ただ強い方が勝って、負けた方が死ぬだけですね。もちろん、彼をそんな風にしたのは感染者に対する差別であり、感染者を扇動したタルラであるわけですが。

 

「それにさ。気になってたんだけど、なんであんた落地斬使っちゃったの?あの技使うなら何度も斬らないと死なない化け物か、大量に敵がいるときって言われてたのにさ。」

「お前たちが助けてくれると信じていたから無茶が出来たってのもあるが…。一番は、奴に死なれると困るからだ。」

「ん、情報を聞き出そうってコト?でも、そこまでしないと勝てない相手ってわけでもなかったでしょ。」

「ウタゲは知らないだろうが、奴は自爆してドクターを殺すつもりだった。私が乱入したからそれは未然に防がれたわけだが…長引けば、私に対してそれを使われる可能性があった。私の居場所が割れたらすぐにすっ飛んでくるあたり相当恨まれてたみたいだし、急がないとヤバそうだったから短期決戦に持ち込まないと、って思ってな。」

 

 はい、これが理由ですね。スカルシュレッダーを生け捕りにするためには多少のリスクは覚悟しなくてはならなかったというわけです。私らが暴れまわった後の戦後処理を横目に、おんぶされながら帰りましょう。

 

 ただ、一つ大きな問題があります。ミーシャ姉貴とスカルシュレッダーをどうするかです。ほんへではスカルシュレッダーにミーシャ姉貴がさらわれたのち、二人が姉弟であったことが判明します。スカルシュレッダーは最初、私たちが何度も聞かされた「自分たちの都合」をミーシャ姉貴にぶちまけドン引きされますが、彼女には「弟を一度は見捨てた」という負い目があるためそれを否定できません。その後、ドクターにカミカゼしようとしたところをアーミヤにグサーやられて、最後まで恨み言を言いながら退場。これは、お前が始めた物語だろ。それを見たミーシャ姉貴は大切な二人が殺しあっているところを目撃し闇落ち。スカルシュレッダーの装束を身に纏い、ロドスと戦い戦死…。という、何の救いもない話になっているんですね。

 

 …よし!悩みましたが『二人は会わせない!』この方針で行きましょう。理由は単純にそっちの方が都合がいいからです。おそらくミーシャ姉貴は「弟は死んだ」と思っていることでしょうし、そのままの認識でいてもらいましょう。RTAが終わった後なら再会もやぶさかでない。それまでスカルシュレッダーが生きているかどうかは…しらなーい(NDK)。

 

「おっつかれー、サクラ。って、あれ。もーまたウタゲっちサクラの独占してんじゃん。あたしにもやらせてよー。」

「ふーん、いいけどブリさんのカワイイ腕で持てるかなー?」

「あ、ズルい!ボクもボクも!」

「お前ら…私を仔犬か何かと勘違いしてるのか?」

 

 美少女4人がキャッキャッと戯れている後ろでは、凄惨な現場の片づけをしている。これこそアークナイツを象徴するかのような光景ですねえ。ロドスの中は平和なようでも、一歩外に出てみれば残酷な現実が牙をむくのがテラの世界です。一人や二人、頑張ったところで何も変わらないのかもしれないですが…

 

「あ、ちょっと!ミーシャさん、危険です!」

「ハァハァ…!サクラ!」

 

 オッスオッス!元気そうで安心したけど、いきなり飛びつくのはやめてくれよなー頼むよー。

 

「うおっと!…悪いな、ミーシャ。今の私はこんなんだから、お前を受け止めてやれないんだ。」

「大丈夫なの!?どこにも怪我してない!?」

「ダイジョーブ。ただ単に疲れてるだけだからさー。ホラ、それよりミーシャちゃんも早いとこロドス帰って検査受けなきゃ。」

「その通りだ。…早く良くなって、色んな事がしたいもんな!」

「…ええ!サクラ、これからよろしくね!」

 

 ―――――まあ、一人や二人くらいなら助けられるかもしれないですね。

 

 

 

 

 

「取り調べを始める前に、改めて言っておく。本来ならば『君には黙秘権がある』と言うところだが、状況が状況だ。レユニオンの規模、指導者、目的…。知っていることをすべて話してもらおう。」

「…。」

「念のため忠告しておくが、自死しようと舌を噛み切るのはお勧めしない。あれは嚙み切った舌が気道をふさぎ、窒息しない限り死には至れない。加えて、お前は後ろ手に手錠で拘束されている状態だ。この取調室には凶器になりうる物は一切を排除してある。この部屋にいる限り、お前は死ぬことはないだろう。」

「…。」

「では改めて、しゃべってもらおうか。アレックス。」

「…黙れ、クズどもが…。どうせ他の奴らに殺されるお前らに、そんなことを教えてやって何になる?お前らが地獄に落ちてくるのを先に行って待っててやる…。」

 

 戦場にいた時のような苛烈さはないものの、今のスカルシュレッダーは幽鬼のような不気味さがあった。生気を全く感じないのに、恨み言をまき散らすその姿はまさしく怨霊を思わせた。

 

「レユニオンの目的は何だ?なぜ龍門を狙った?」

「…。」

「お前たちの幹部の人数と能力は?どんな戦い方をする?」

「…。」

「…お前の年齢はいくつだ?」

「…お前」

「! 何だ?」

「お前の家族も、親も友人も、感染させた後ぶち殺してやる。感染者を匿ってくれる場所なんてどうせどこにもないんだ、仮に逃げ延びても飢え死にするだろうよ。」

「ッ! 貴様!!」

 

 ガァン!

 

「ぐっ、うぅ…。」

 

 スカルシュレッダーの言葉に激昂した尋問官が、家族を侮辱した不届き者の銀色の髪を鷲掴みにして机に顔面を打ち付ける。鼻血を噴き出しながらもスカルシュレッダーの不敵な笑みを崩すことはできない。

 

「どうした、近衛局はずいぶん貧弱だな。こんなもの、レユニオンでは傷の内にも入らないぞ。」

「フゥ―、フゥ―…!」

 

 度重なる侮辱に、尋問官が自分の責務を忘れてさらなる暴力を加えようとした、その時だった。

 

「そこまでだ。…冷静になれ、リュウ尋問官。」

「…ワン殿!?大変失礼いたしました!!」

 

 そこに入ってきたのは黒づくめの装束を身にまとい、異様な雰囲気を放つ男だった。彼のことを我々は何も知らないが、少なくともあの短気な尋問官の上に座するものである事は確かだった。

 

「ここからは私が尋問を引き継ぐ。いいな?」

「は…はっ!」

 

 突然の上司の登場、そして業務の引き継ぎを言い渡されてもうろたえないあたり、このリュウと呼ばれた男が職務に忠実であり、実直な性格であることははっきりしていた。

 

「し…しかし、ワン殿が出てこられるほどの案件なのですか?失礼ながら、我々だけでも十分に…」

「そういった自信は言葉ではなく態度で示してほしいものだな。…現に今、私にはお前が尋問相手を痛めつけているように見えたが?私が命じたのはあくまで尋問であり、拷問ではない。…お前の気持ちはわかる。だが、こいつに死なれるわけにはいかないのでな。」

「…その通りです。一度、頭を冷やしてきます。」

「ああ、そうしてくれ。…さて、では始めようか。」

 

 改めてワンがスカルシュレッダーへと向き直り、尋問を開始する。先ほどまでとは明らかに違う雰囲気が漂い、それを見ていた誰もが今までの尋問とははっきり違うということを理解していた。鉄格子から差し込む光はいつの間にか真っ赤に染まっており、もうすぐ夜になるようだ。

 

「どうしても、話す気はないようだな。」

「…。」

「では、こうしよう。司法取引という奴だ。我々の望む情報を提供してくれたら、()()()()()()()()()()()()。」

「!!」

 

 それまで能面の張り付いたような顔をしていたスカルシュレッダーだったが、その言葉を聞いた瞬間、あきらかに動揺が走った。ワンはそれを好機と見て、すぐに畳みかける。

 

「今までずっと探してきたのだろう?それはミーシャにも言えることだ。彼女はずっとお前が死んだと思っていたそうじゃないか。きっと大喜びすることだろうな。」

「…貴様、ふざけているのか!!貴様に俺たちの気持ちなど、わかるはずがない!!」

「…そうかもしれん。だが、メリットのある提案をすることは出来る。もしお前がレユニオンの情報を伝え、それのおかげで龍門を守ることが出来たなら、それは大きな功績だ。お前には恩赦が下され、龍門に攻め込もうとした罪は許されるだろう。その後はミーシャと一緒に決めるといい。」

「…いや……違う、俺は…」

 

 迷っている。ワンはいっそ不気味なほどの満面の笑みで、スカルシュレッダーの迷いの中に滑り込む。

 

「そうだね、その通りだ。君の一存で決められる話ではないだろう。なんせ、君はまだ子供だ。本来ならば、我々大人が庇護すべき立場の者なのだから、簡単に決断することは出来ないだろう。」

「だから、二人で決めるといい。」

「…何を……!?」

 

 再び、ゆっくりとドアが開く。そこに、いたのは。ああ、見間違えるはずもない。ずっと、ずっと、探し求めていたのだから。

 

「アレックス………?あなた、アレックスなの!?」

「ミー、シャ…。」

「アレックス!!あなた、生きて!!何で!?今までどこで、何をしてたの!?私、私…!!」

 

 二人を遮る透明なアクリル板に両手をつき、大声を上げるミーシャ。彼女はやがて、感極まってしまったのかズルズルと崩れ落ち、顔を覆って涙をボロボロとこぼしていた。そしてそれは、スカルシュレッダー…いや、アレックスも同様だった。

 

「ミーシャ…俺、俺は…。」

「お嬢さん、まずはここまで来てくれたことに感謝を。まずは私から、この状況の説明をいたしましょう。」

「…あなたは?」

「私のことはあまり重要ではありません。ですが、ここまであなたを連れてきた彼女…チェンの上司であるとだけ知っておいてください。」

「それよりも、早く知りたいのではないですか?なぜ彼が、拘束されているのか、とか…。」

「は、はい!きっと、きっと何かの間違いなんです!アレックスは、アレックスは…。」

「まあ落ち着いて。最初から、一つずつ話しますから。」

「待て!…その必要はない。」

 

「…話そう。話してやる。だから、だから…」

「ええ、もちろん。君たちの未来は保証しよう。なぜ、龍門を狙った?」

「俺たち、は…」

 

――――――――――――――――

 

「お疲れ様です!すぐに検査を行いますので、少々お待ちください!」

 

 ぬわあああん疲れたもおおおん!やめたくなりますよー任務―。今はロドスに帰ってきて、検査を受けているところです。落地斬で失った体力もそこそこ戻ってきたので今は普通に歩けます。あ、そういえばミーシャ姉貴は一足先に帰っているはずです。何かかなり重症らしいっすよ?

 

「検査ちゃーん、あたしらは?」

「皆さんは異常なしなので帰っていいですよー!お疲れさまでしたー!」

「待ってくれ検査ちゃん!ミーシャは…って、聞こえてないのか。」

 

 叫びながら次の検査に向かう検査ちゃん、すごいバイタリティだあ…。逆らう患者とかを抑えると自然と鍛えられるのかもしれませんね。

 

「はーつっかれたー!何でボク、初任務でこんなに苦労しなきゃなのさ!」

「え、ロープっちこれがハジメテなの?」

「そーだよー!サクラが『早速で悪いがお前が必要だ』って…。あ、ち、違うんだって!」

 

 あ、やめろぉ!

 

「ん~?サクラそんなん言ったんだ?あたしだって最近そんなの聞いてないのに?」

「おっかしいなー。あたしの援護がなきゃ、あのサルカズとやりあう羽目になってたんじゃないのかな~?」

「い、いや違うんだ。これはオフレコで…そもそも本気でいったわけじゃ…。」

「…あと、アンジェには『ドクターの頼みだから』って嘘ついてたよね。」

 

 ロープさん!?ちょっと、マズいですよ!やばいやばい、二人のオーラが何かおかしいです! 

 

「これは説教だよねえ…。女の子の心をもてあそんだ罪は重いってコト、わからせてやんなきゃねー。」

「ねーサクラー。リンゴ頭に乗せて撃つやつやってもいい?ダイジョブダイジョブ、あたしの腕はわかってるっしょー?ちゃんと、狙ったところに当てるからさー…。」

「ま、待ってくれ!これは違うんだ!」

 

 えーはい、こんなところでペナルティが来るとは…。夢にも思わなかったよ!(無能)ホモには女心が分からないというデバフが発動した感じですね。このままズルズルと引きずられ、折檻を受けるしかないというのか…。

 

「サクラさん!皆さんも!!」

 

 C!E!O!なんというグッドタイミング!CEO is GOD!やっぱりアークナイツの正ヒロインはアーミヤってはっきりわかんだね。どこぞの白兎よりもこっちだよなあ!?

 

「あれ、どったのアーミヤちゃん。今からこのすけこましにお仕置きするとこなんだけど。」

「そ、それが…。」

 

「チェンさんから連絡があって、『スカルシュレッダーが殺された』と…。」

 

――――――――――――――

 

 チェン・フェイゼはミーシャを護送しながら、はっきり言って苛立っていた。ミーシャを連れ出す際に、ロドスの職員から非難されたからだろうか?…それは半分、正解と言える。彼女が正義と信じる行いに対しての非難ならば、彼女にとって路傍の石に過ぎない。だというのに、頭の中に非難の声が反響しているのは彼女自身が納得していないからだ。

 

 ちらりと目の前の少女を見る。部下が運転する護送車の後ろの席に座っているミーシャは、気の毒なほどに震えていた。無理もないだろう。治療を受けている最中に、突然連れ出されたのだから。だが彼女の心に引っかかっているのは、その姿そのものではない。

 

(なぜ急に、奴とミーシャを引き合わせる…?)

 

 その意味が理解できないまま、彼女はここ、留置所まで彼女を連れてきた。目の前にいたのは黒づくめの謎の男だったが、畑違いのチェンが知らないのもおかしくないかと無理やり納得させた。

 

 そこからの流れは完全に龍門のものだった。武装を取り上げられ拘束されているというだけでなく、スカルシュレッダーの心臓とも言うべきミーシャをちらつかせられては、正常な判断ができるはずもなかった。「龍門が約束を守るという保証などどこにもない」という少し考えればわかる穴にすら気づけないほど、彼は追い詰められていたのだ。

 

(だがそれも、龍門のため…。)

 

 スカルシュレッダーが震えながらも口を開いた、その瞬間。飛び込んできた凶弾が、事態の急を告げた。

 

「…え?」

 

 爆発、音?アクリル板に張り付く血、それと、何かの、破片?真っ赤で、ぐちゃぐちゃで…

 

「ミーシャ!!」

 

 チェンはすぐにミーシャの前に飛び出し、彼女を守る盾となる。一つは、次に飛んできた二の矢から彼女を守るため。もう一つは、彼女に目の前の光景を見せないため。

 

 その、優しさは。片方しか機能しなかった。

 

「あ、ああ。」

「ミーシャ!!落ち着け、急いで窓から離れろ!ホシグマ!!すぐに指定の座標に向かえ!!」

 

(あの、窓の隙間から?)

 

 チェンがにらみつけているのは、鉄格子のはまった窓だ。だが、ほんの少ししかないその隙間を通してスカルシュレッダーを狙撃する。そんなことが、可能なのだろうか?そう思いつつもすぐに考えを改める。現に今、自分が弾いた矢はそこから飛んできたのだから。

 

(!! そうだ、あのワンとかいう男は!)

 

 チェンがその考えに至るのと、矢の衝撃で気絶していたワンの頭が弾けるのはほぼ同時だった。また一人、目の前で人が死ぬ。

 

「クソっ!ミーシャ、お前は私についてこい!いいな!?」

「…」

「ミーシャ?まさか、お前、声が…!?」

 

 窓からの射線は切れているため、もはやこれ以上の狙撃は意味をなさない。敵もそれを理解しているならば、すぐに撤退しているところだろう。

 

「…この落とし前は必ずつけさせる。だがミーシャ、君は、ひょっとして…。」

 

――――――――――――

 

「…命中。目標の沈黙を確認した。」

『さすがだねファウスト。じゃあ次にミーシャだ。』

「…やらなければ、ならないのか?ミーシャは一般人だし、それにスカルシュレッダーだって、俺たちの仲間で…」

『何言ってるんだいファウスト!最初から殺す予定だった相手じゃないか。それをスカルシュレッダーが認めなかったから、わざわざ生かして捕まえようなんてことをしていたんじゃないか。』

『それに、敵に捕まって情報を流すようなレユニオンに仇なす者は生かしては置けない、そうだろう?』

「…ミーシャへの狙撃は防がれた。おそらくはチェンだろう。もう窓の射線は切られたため、ノーチャンスだ。」

『…チッ、余計なマネばっかしやがって。それじゃあ最後に尋問官を殺しておこう!そいつもどうせクズなんだからね!』

「…了解。」

 

――――――――――――

 

「狙撃、だと…!?いったい誰が!」

「今はまだ、わかりません…。すぐにホシグマさんたちがポイントと思われる場所に向かいましたが、何も見つけられなかったそうです。それに、ミーシャさんが…。」

「!! ミーシャが、一体どうしたんだ!?」

 

「失声症、になったと…。つまり、ショックで声を失ったんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回から4章に入っていけると思います。ということはつまり、ようやく正ヒロイン登場じゃな?

次回作、どっちがいいんすか?

  • 強面トレーナー、TSする。
  • パワプロRTA北雪高校モテモテチャート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。