アークナイツ トロフィー「雪ウサギは春に遊ぶ」取得RTA   作:春雨シオン

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毎日投稿が途切れたので初投稿です。前回アンケートに協力してくれた方々ありがとナス!このまま派が圧倒的だったので、このまま5000字~6000字で行こうと思います。と思った矢先に8000字近くなる作者の屑。


Part4 居場所

 南へ向かうRTA,第4部はーじまーるよー!

 前回、暴漢たちから金髪幼女を助け、お礼目当てに護衛しているところからですね。ところがその幼女の種族が鵺、しかもおしゃべりとファッション、パーティーが好き、ということで、これはもう役満ですね。どうやら私は()()()()()()()()()を助けてしまったようです!すごい偶然だぁ…(驚愕)

 

 パート1で特に親交を深める3人がいる、と言いましたが、ウタゲ姉貴はそのうちの一人です!その理由としてはまず第一に、単純に強いから、というのがあります。ゲーム中の彼女の性能は自己完結の一言に尽きます。武者型、という医療オペレーターの回復対象にならない代わりに、攻撃するたび回復するという特殊なオペレーターです。そのスタイルから支援を受けられない本陣から離れたところで本領を発揮します!そのため、できればフロストノヴァ姉貴戦にもオトモしてもらいたいところです…!まあお供してもらえなくとも、ドクターの戦略に幅が出るので、絶対にオペレーターにほしいところです!

 

 第二の理由は彼女のコミュ力が高いから、です。プロファイルを読むと分かるのですが、彼女はファッションのトレンドに非常に詳しいうえ、雰囲気作りがうまいといわれている陽キャです。特に女性オペレーターから好かれやすいので、他オペレーターの好感度を稼ぐうえで非常に優秀です。このように強さとコミュ力を併せ持つ有能オペレーターなので、ぜひともお近づきになりたい一人でした。

 

 そのため遅かれ早かれ接点を作るつもりでしたが、まさかこの段階で出会えるとは思ってもいませんでした!最遅でロドス入り後、最速でも極東の学校に入学してからだと思っていました。しかしこれは、本当にいいことなんですかねえ…(痴呆)?というのも、桃ちゃんには圧倒的に対人経験が足りていません。そのため放っていたらバッドコミュニケーションを連発、ウタゲ姉貴に蛇蝎の如く嫌われ、ぼっちルート一直線ともなりかねないのです!最速で出会ったとしてもある程度のコミュ力がある状態を想定していたので、何の準備もしていません(走者の屑)。つまりここからは完全にアドリブ!対人経験0の9歳児を導いて、最低でも悪印象を抱かれないようにしていきましょう…!

 

 「お姉ちゃん!ここがあたしのおうちだよ!」

 

お、話しているうちにウタゲ姉貴の家に着きました。夕日が沈む前に到着出来て一安心ですねえ。早速おうち拝見させてもらいましょう。ふーむ、南側でも田舎の方のようですね、辺りに他の家も見当たりませんし。しかし緑に包まれた荘厳なつくりの屋敷は堂々としたたたずまいで立派ですね。思った通り、かなりの良家のようです!これはお礼も期待できるってもんですよウへへ。

 

 「し…!見つけたわよ!一体どこにいってたの!?」

 

 ん?誰でしょうか。

 

「あなたって子は心配ばかりかけて!本当に心配したんだからね!」

 

金髪の若い女性がウタゲ姉貴のもとに走ってきます。これはひょっとして…。

 

「おかーさん!ただいま!」

 

やっぱりウタゲ姉貴のカッチャマでしたね。どこかオペレーターのウタゲ姉貴と似ていて面白いですね。

 

「ただいまじゃありません!勝手に出かけちゃダメってあんなにいったでしょ!」「うう…ご、ごめんなさい…。で、でも、このおねーちゃんが助けてくれたんだよ!」

「え?」

 

オッスオッス!私が助けました(農家)。

 

「へえ…。この子が…。」

 

な、なんでそんな睨む必要があるんですか?(正論)ただ単にお礼が欲しいだけだからさっさと現ナマ出してくれよな~頼むよ~。

 

 「それはどうもありがとう。あなた、見たところ娘と同じくらいみたいだけど、お名前なんて言うの?」

 

本田桃、9歳、みなしごです。

 

「あなたが、こんなところまで連れてきてくれたの?」

「うん!おねーちゃんね、すっごく強くてね!悪い奴らをずばばーってやっつけちゃったの!」

「本当にすごいのね。ありがとう、娘をここまで無事に連れてきてくれて。もう夜遅いし、お礼も兼ねてごちそうするわ。今日は泊っていってちょうだい。こんな暗い森の中に、女の子を一人で放っておけないもの。」

「え!?おねーちゃんと一緒!?やったやった!おねーちゃん、とまっていってよ!」

「こら、騒がしくしないの!ね、娘もこういってるし、桃ちゃん泊っていってくれないかしら?」

 

 マジすか(棒読み)、これはありがたい申し出です。単純に夜の森は危険ですし、高い生活水準はストレスを大幅に軽減してくれます。まあ若干、ウタゲカッチャマの冷たい視線が気になりますが、まあ気のせいでしょう。

 

「おねーちゃん、こっちこっち!おうち案内してあげる!」

 

おっと、呼ばれているので向かいましょう。ロスの発生しない範囲で好感度を稼ぐためにも、お願いは積極的に聞いていきます。

 

「こら、そんな体で家じゅう歩き回るつもり?まずはお風呂入っちゃいなさい。桃お姉ちゃんにちゃんと教えてあげるのよ。服は、あなたの分を貸してあげなさいね。」

「はーい。おねーちゃん、一緒におふろはいろ!」

 

あぁ~^心があらわれるなりぃ~^桃ちゃん、川で水浴びくらいしかしてないですからね。洗濯も石鹸なしの水洗いなのでくさそう、くさい(確信)

 

 あっつぅ~(リスポーン地点)ビールビール!(入浴シーンは)キャンセルだ。BANされちゃうからね、しょうがないね。

 

「わたしがおねーちゃんのふく選んであげる!おねーちゃん紫の髪してるから…」

 

ウタゲ姉貴のファッション好きはこのころからだったんですねえ。桃ちゃんとしては初めて見るシャワーの興奮が抜けきってないようですが…。どんなことを考えているのか、少し心の中を見てみましょう。(指一本で流れる水がでてきた…。刀の血を流すのによさそう…。)ヒエッ、思考が札人中心じゃないか(困惑)。こんな思考に誰がしたんだ!…私か。

 

 「うん、きれいになったわね。もうご飯できてるから、桃ちゃんも好きな席に座ってちょうだい。」

 

ありがとナス!俺腹減ってんだ、肉くれ肉!

 

「ふふ、そんなにお腹減ってたの?期待してちょうだい、今家にある一番いいお肉を使ったから。」

 

メニューは鳥の照り焼き、キュウリと茎わかめの酢の物、豆腐とわかめの味噌汁に白ご飯と、なんとも美味しそうですねえ!いつも桃ちゃんが食べてたものといえば塩も振ってない焼いただけの獣肉か、兵士からはぎとった携帯食料ですからね。(心の中で)がっつこうとする桃ちゃんを必死に抑え、手を合わせます。あまり行儀が悪いとドン引きされかねませんからね…!幸い親のしつけのおかげで、最低限の礼儀は持ち合わせています。死してなお子の助けとなる親のありがたみ感じるんでしたよね?

 

 「おねーちゃん!早く探検いこ!」

 

食事を終えた後はいよいよウタゲ姉貴に引っ張られます。正直歩きっぱなしで疲れていますがここは好感度のため、つきあう(意味深)としましょう。しょうがねえな(悟空)。

 

「こーら、お姉ちゃんもう疲れてるでしょ!あなたもずっと外にいたんだから、今日はもう寝なさい。探検は明日明るくなってからでもいいでしょ。」

「むー、わかった…。じゃあおねーちゃん、一緒のおふとんでねよ!いっぱいお話しするの!」

 

ウタゲカッチャマナイスでーす(レ♂)!桃ちゃん、もうネムネムの顔なのでこれはシンプルにうれしいです。一声かけて寝床に行きましょう。

 

「ええ、おやすみなさい。ゆっくりね…。」

 

 オッハー!オッハアアアアア(激寒)!桃ちゃんの朝は早いです。夜暗くなったら眠り、空が白み始めたら起きるというのを地でいってますからね。隣のウタゲ姉貴を起こさないよう、こっそり抜け出します。まずはカッチャマにご挨拶を…。

 

「あら、桃ちゃん、起きたのね。」

 

オッスオッス!泊めてくれてありがとナス!

 

「ううん、いいのよ。…ねえ、そんなことより」

 

な、なんで急に声が冷たくなるんですか?

 

「あの子のこと、どこまで知ってるの?」

 

 

 

 

 

 

「昨晩、君から濃い血の匂いがした。あの子の言うことを信じるなら、襲撃した下手人の血なんでしょうね。でも、()()()()()()()()。」

 

桃を見つめる目はいつしか光を失い、氷のように冷たくなっていた。

 

「あなたからは古い血の匂いもするわ。それこそ、何年も前から()()をしてきたみたいなね。」

 

桃は思わず、腰元の得物の位置を手で確かめた。まったく無意識の行動だったが、そうせざるを得ない迫力があった。

 

「…そうね、あなたも剣を扱うものだものね。ここで話すよりも、ずっと確実だわ。…裏へ行きましょう。そこなら、あの子まで音は届かないわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 な、な、な、なんじゃこりゃああああ!なんか知らないうちに決闘する流れになってるし!え、ウタゲ姉貴の家ってそんなにバイオレンスなの?ゾルディック家かなにか?ひ、ひとまずこれは回避しましょう!刀だけは持っているので、隙をみておさらばします!このカッチャマと今戦うのはまずいと本能が告げているッ!例えるなら、レベル1勇者がおおめだまに挑むようなものです!ヌッ!カッチャマ後ろ向いた!今です!(孔明)逃げ!逃げ!…あれ、なんで逃げられないの?ひょっとしてカッチャマ、おおめだまじゃなくて大魔王だった?

 

(お母さんのクシをおいていくわけにはいかない…!)とぅわあああああ!忘れてたああああ!(UDK)か、形見のクシがこんなところで足を引っ張るとは…。ここで形見を諦めて無理やり逃げることもできますが、それだとストレスが以下略。つまり、ここでの戦闘は避けられません。絶対この人ただものじゃないよ…(震え声)。しかし、避けられないと分かったのなら、覚悟も決まるってものです。案外戦ってみれば、大したことないかもしれませんし!というわけで、裏庭での決闘、いざ鎌倉!

 

 「ここなら大丈夫そうね。そこそこ広いし、寝室からも遠いし。…あなたの骸を、埋める場所もあるし。」

 

こ、こええ。恐ろしいことを言っていますが、まずはこっちの言い分を聞いてもらいましょう!プルプル、ぼく悪い札人鬼じゃないよ!(矛盾)

 

「…へえ、君にも何か言い分があるのね?いいわ、聞いてあげる。なぜ、そんなに濃い血の匂いがするの?」

 

ここが生死の境目、正念場の予感がプンプンする!少ない語彙を総動員して、カッチャマの信用を勝ち得るのじゃー!

 

 

 

 

 

 

「ふうん、なるほどね…。両親を亡くして、今までたった一人、戦場で落ち武者狩りをして生きてきた…。だから、そんなに血の匂いが染みついていると、そう言いたいのね?」

 

 ウッス!仕方なかったって奴だ(ERN)。こ、これでなんとか…

 

「でもごめんなさい。私、疑り深いの。あなたの話を丸ごと信用することは出来ないわ。私の考えるシナリオはこう。あなたは訓練を受けた暗殺者で、あの子をだまして、こちらに接近した…。それが上からの指示なのか、偶然なのかはわからないけど、サクラを配置して、あの子の信頼を勝ち取ろうとする可能性は十分にあるわ。」

 

えぇ…。さすがに疑いイキスギィ!もう、妄想の域に入ってるじゃないか(呆れ)。

 

「…そうね、妄言の類かもしれない。でも、そこまでしなければならない事情がこっちにもあるの。理解してもらえると嬉しいわ。」

 

 「さて、おしゃべりはここまで…。それじゃ、さっそく切り結びましょう?そうすれば、わたしの言葉が妄言か、あるいは真実か、はっきりするもの。ああ、先手はあなたでいいわよ?あなたも並じゃないみたいだけど、私の方が強いから。」

 

クッソ、やっぱり避けられない戦いのようですねクォレハ…。どうすれば信用してもらえるのか見当もつきませんが、とにかく貪欲に勝利を狙ってみましょう。ホモの四十八手、ご覧に入れましょうってもんですよ!刀の柄に手をそえ、腰を深く落として居合の態勢をとります。フッと小さく息を吐いたその瞬間に疾駆!一気に距離を詰め、神速の居合をお見舞い…すると見せかけ、相手の手前で急ブレーキ!体の勢いで砂をかけ、目つぶしとします!

 

「!」

 

たまらず目をつぶるお相手、これは勝負あったでしょう!本当にぶった切るわけにはいかないので、みねうちといたしましょう。それではウタゲカッチャマ、かくごー^。キンッ!あれ?こんな音するレベルで、あの人の体堅いんでしょうか?

 

 「その程度?安く見られたわね…私も」

 

ファッ!?こ、これは完璧に防がれてるじゃないかたまげたなあ…。目つぶしをしたはずなのに、桃ちゃんが斬りかかってくるところを見切り、見えないレベルのスピードで抜刀、防がれました。視界が完全にクリアなら、今頃頭と体がサヨナラし、饅頭になっていたことでしょう…!

 

「まさか、これで終わりってわけじゃないでしょ?あなたの全部を見せてちょうだい?」

 

ふっ、そんな安い煽りにのるようではRTA走者はやってられませんよ!ここは落ち着いて距離をとり、作戦を練り直すばめ…ん?操作が効かないんですがそれは…。も、桃ちゃん?一体どうしたと…

 

(うけとめられた。くやしい。くやしい。ぜったいにこいつをきらなきゃ。)

 

 ファッ!?ウーン…(気絶)完全に桃ちゃんがバーサーカー状態になってしまいました!

 

 これは前回ふれた「絶望」のような精神状態の一つで、「妄執」という状態です。何か一つの考えにとらわれる状態のことで、エクシア姉貴やヘビーレイン姉貴が陥りやすく、ドクターとしてプレイする場合には特に注意すべきものの一つです。今は「目の前の相手を絶対に斬らなくてはならない!!」という考えに支配されています。しかし、オペレーターとして妄執が出るのは初めてなので、どうすればいいのか、まるっきりわかりません(無能)。これは…放置じゃな?いままで培ってきた桃ちゃんの力を信じ、何とか死なない程度に頑張っていただきましょう…!(運に頼る走者の屑)

 

――――――

 斬る、斬る、斬る。頭の中はそれでいっぱいだった。一太刀目は確かに加減した。世話になった相手だったし、あの小さい子が悲しむと思ったから。だから、みねうちで終わらせようと思ったのに。…相手は、自分よりずっと強かった。許せなかった、それが。勝たなければ生きていけない、そうやって生きてきたから。次は斬る、()()。そう思って次の一歩を踏み出す。まともにかち合ったら勝ち目はない。別の手を使え。今までそうしてきたように。私は、思いつく限りの手を使った。鞘を投げつけ、体制を崩そうとした。身じろぎ一つせず、刀で弾かれた。逃げ出すふりをし、背後の木を使って三角飛びから、上空から攻めかかった。相手が受けた刀を、動かすこともできなかった。足元は守りにくいはずと考え、かがんだ姿勢から薙ぎ払おうとした。相手がいつの間にか背後にいて、飛び越えられたのだと気づくのに時間がかかった。

 

「そろそろ、品切れかしら?品ぞろえは悪くないけど、私のお眼鏡にはかからないわね。」

 

もはや、いい返すこともできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 もう、だめかな。剣を握る腕に、力が入らずだらんとなった。もうやめよう。そう思ったとき、昔のことを思い出した。せめて死ぬ時くらいいい思いをさせてやろうと、神様が思い出させてくれたのかもしれない。たまにはいいことをする、そう思った。お父さんも、お母さんも元気だったころの夢、幸せだったころの夢。

 

「なんじゃ桃、お主、剣を使いたいと申すか。」

「いけません!女の子がそんな危ないことをしては!」

 

ああ、確かに二人だ。お父さんはいろんなことを楽しむ人で、珍しいものを見た時のように目をキラキラさせていた。お母さんは心配性で、私が怪我するんじゃないかって思っているみたいだった。

 

「まあいいではないか、お時。よし、わしが教えてやろう、桃!剣というものはだな…」

 

お父さんは楽しそうで、お母さんも少し怒っていたけど、どこか嬉しそうだった。ああ、どうして忘れていたのだろう。違う、お父さんが教えてくれた剣は、こんなものじゃなかった。

 

 「…!」正中線に構えなおしたとき、相手が息をのむのがわかった。当然だ。だって、お父さんが教えてくれたんだもの。

 

「これが、さいご。」

 

そう告げる。

 

「これが私の全部。これでだめなら、もうおしまい。」

「…それが、あなたの本質なのね?」

 

相手が何か言っているのが、口の動きでわかったが、何をいっているのかわからない。葉っぱがこすれる音、鳥の鳴き声、全部どこかにおいて来てしまったみたい。

 

「いいか、桃。まずは足を肩幅に開いて…」

 

聞こえるのはお父さんの声だけ。

 

「刀は頭の上、刃をしっかり相手に向けて」

 

ああ、そっか。二人はいなくなったんだって思ってた。教わった通りに剣を構え、飛ぶように相手に迫る。でも、本当は違ったんだ。

 

「そしたらあとは気持ちの勝負だ。思いっきり振り下ろしてやれい」

 

 

ずっと、そばにいてくれたんだね。

 

 

 

 「!」急にまともな構え、まともな剣になった。そう思った直後、彼女が目の前に迫る。(まさか、大上段から降りおろし?そんな武士みたいな素直な剣、いきなりどうして?)疑問はやまなかったが、何の問題もない。彼女の力はわかっている。楽に受け止められるだろう。そう思い、剣を相手に対して垂直に、がっちりと受け止めた。「!?」()()()()()。(何!?この力!?今までとは全然違う!腕が、しびれる!!)火花が走るほど激しく打ち合わされる刀、その衝撃はすさまじく、受け止めるだけで精いっぱい。そのあとは考えられなかった。(ヤバい、刀が!)とり落としそうになった刀をすぐにましな方の左腕で握りなおす。(まずい!)その隙は命取りに…ならなかった。「!?」不意にあの子…桃といっていた子が、倒れこんだ。その時、確かに聞こえたのだ。微かな声で、「お父さん」と。その姿が娘に重なって見えて、思わず受け止めてしまった。

 

 目が覚めた時、布団の中だった。もう死んでしまって、地獄にも布団はあったのかな、と思ったけど、昨日と同じ匂いの布団だった。すーすー、と寝息をたてるものがいた。あの子だ。そういえば名前を聞いていなかったような気がするが、そばにいてくれたのかもしれない。

 

「ねえ、起きたかしら。」

 

不意に声を掛けられる。あの、とても強い人だ。思わず下がりそうになるが、その人は慌てて止めた。

 

「ご、ごめんなさい。大丈夫よ、もう斬りかかったりしないから。」

 

ふつうはそんなの信じられないかもしれないが、私はなぜか、ストンと信じられた。お母さんと似たようなしゃべり方をしているからかもしれない。

 

「私が間違っていたわ。あなたはただ単に、娘を助けてくれただけ。本当にごめんなさい。」

 

目の前で土下座をされた。やめて、とつい声がでた。お母さんが頭を下げているように見えたからだ。

 

「そう…優しいのね、あなた。でも、お詫びはさせてほしいの。私ができることなら、なんでもさせてちょうだい。」

 

ん?いまなんでもするっていったよね?と、頭の中で声が聞こえたような気がした。すこし迷って、私に剣を教えてほしいと頼んだ。

 

「そんなことでいいの?」

 

大きく頷く。この世界では、強くなければ生き残れないことはよく知っているからだ。私は生きていたい。私の中で、お父さんもお母さんも生きているのだから。

 

 「…そうね、それなら、このままこの家で暮らすのはどうかしら?あなたに剣を教えることもできるし、娘もあなたに懐いているようだしね。こんな山奥だから、あの子には一緒に遊ぶ友達もいなくて、いつも寂しがってたもの。」

 

その申し出に私はすぐ頷いた。剣の技術だけでなく、衣食住が保証されているのはこの上ない条件に思えたからだ。彼女はにっこりと笑って、

 

「ありがとう。それじゃ、娘にも教えてあげないとね。」といった。

 

それからはすごく騒がしかった。あの子がぴょんぴょんと跳ね回り、お母さんがたしなめるまでずっと喜びの声を上げていた。

 

「ほら、ちゃんとお姉ちゃんに自己紹介なさい。」

「うん!おねーちゃん、あたしね、しずかっていうの!歳は9さいなんだよ!」

 

びっくりした。自分より下だと思っていたからだ。同い年であることをつげると、しずかも驚いたらしい。

 

「おねーちゃん同い年なの!?じゃあ、じゃあ、桃ちゃん、ってよんでいい?」

 

いいよ、というと、またぴょんぴょんが始まった。またおこられちゃうよ、と思ってお母さんの方をみると、お母さんはこっちをじっと見つめていた。さっきまでの怖い目じゃないけど、おなじくらい力のある目だ。

 

「桃ちゃん、しずかの名前を教えるのが、私の決意の顕れよ。あなたたちがもっと大きくなったら詳しく話してあげるから、それまではしずかの名前を、他の人に教えないで。」

 

 あまりにも真剣にいってくるから、自然と頷いていた。それを見てやっと安心したのか、しずかちゃんのお母さんはようやく昨日までの雰囲気になった。

 

「それじゃあしずか、桃、朝ご飯にしましょう。みんなで食べる初めてのご飯なんだから、お母さん、頑張っちゃうわよ!」

 

その前にどうしても聞きたいことがあった。

 

「うん?なあに桃ちゃん?」

 

しずかちゃんのお母さんのことを、なんと呼べばいいかだ。

 

「う~ん、そうね…。お母さん、というのもおかしいし、師匠、はどうかしら?ああ、いい響きだわ~。ね、言ってみてくれない?」

 

すこしまよったけど、ししょー、と呼んでみた。すごく嬉しそうな顔をしてくれたので、これからもそう呼ぼうと思った。

 

 こうして、わたしはしずかと師匠という、あたらしい居場所を見つけた。




キリのいいところまで行こうとしたらこんなに長くなってしまいました。だが私は謝らない。次回からは5000字程度にまとめるから許し亭許し亭。追記:このssには、ウタゲ姉貴の未確認情報が多いのをいいことに、多数の独自解釈、妄想が含まれます(今更)。もしアークナイツ本編で情報が公開され、矛盾が生じたとしても、オレのせいじゃねーからな!(水没紳士)

次回作、どっちがいいんすか?

  • 強面トレーナー、TSする。
  • パワプロRTA北雪高校モテモテチャート
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