アークナイツ トロフィー「雪ウサギは春に遊ぶ」取得RTA   作:春雨シオン

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 夏真っ盛りの初投稿です。テストとかレポートとかでバタバタしてて、まったく投稿できませんでした……(震え)。あともう少しですべて片付くはずなので、そしたら投稿ペースも上がる!……はず!


シエスタ旅行に行こう(提案)Part2

「ロドスの夏休みはシエスタへ」

 

 この知らせはオペレーターの間を颯爽と駆け抜け、一つの現象をもたらした。購買部の大繁盛である。

 

「さあー買った買った!夏のビーチに必須のグッズ!サングラスにサンオイル、ビーチパラソルビーチボール!水着のお取り寄せも受け付けてるよー!カタログだけでも持ってっちゃってー!!」

 

 店主のクロージャはこれ以上ないくらいのホクホク顔で呼び込みをしている。もっとも、そんなことをせずとも客はひっきりなしにやってくるのだが。突然の発表に、遠方から商品を取り寄せる暇もなかったオペレーターたちは、もっとも手軽に品が手に入る場所として購買部を見に行った。するとどうだろうか、まるですべてがお見通しのように夏のグッズが揃えられ、水着のオーダー迄出来るというではないか!噂が人を呼び、あっという間に購買部は今の状況になったというわけだ。悪徳商人クロージャの名も、夏の前には無意味という事なのだろう。

 

「おーめっちゃ人いるじゃん。いつもはガラガラなのに。」

 

「さらっとディスってて草。……あそうだサクラ、ロープちゃんと見とかないと。」

 

「もう手を握ってるから大丈夫だ。なあロープ?」

 

「むー……まあ、そうだけどさあ……。」

 

 サクラたちも購買部へやってきていた。お目当ては当然、購買部の夏グッズである。もともとそんなことを考える余裕もなかったロープやフロストノヴァは当然として、治療に訪れているサクラやウタゲも、そんな浮かれたものなど持っていない。アンブリエルも海どころか肌をむやみにさらすのは恥だとされている国から来たため、水着など持ってはいない。すぐに手に入る場所としてここを求めるのは当然の事だろう。

 

「おーサクラちゃんたち!いらっしゃい、やっぱり水着見に来たの?もーみんなそればっかでさー。あの二アールさんですら来たんだよ?」

 

「え、マジ?あの人もそんなことするんだ、ちょっと意外。」

 

 ひどく失礼なことを本人がいないのをいいことに言いまくっているが、とりあえず物色を始める。サクラはロープの手をしっかりと握り、彼女が絶対に万引きなどできないように備えている。サンオイルやビーチボールなどを一通りカゴに放り込み、いよいよ待望の水着である。うず高く積まれたカタログを商品と一緒にカゴに入れ、会計を済ませる。あまりにもニコニコしているクロージャが若干気持ち悪かったが……。

 

「あれ、そういや今日はフロストノヴァちゃんはいないの?」

 

「ああ、今日は事務の仕事があるらしい。カタログだけは取ってくるように頼まれてるんだ。」

 

「へー……あの子にもやっぱ夏を楽しみたいって気持ちはあるんだね!うんうん、いいこといいこと!」

 

 ニコニコ笑顔のクロージャに見送られ、サクラたちは購買部を後にした。念のためロープのボディチェックを行い、場所を変えておしゃべりをすることに。4人は足取りも軽く、一路部屋へと向かうのであった。

 

 

 

 

「……で、この部屋に来たと。」

 

 ふかふかのソファー、どこからどう見ても高級品なクッキー、そして何より、うず高く積まれた書類の山、山、山……。もはや何の疑いようもなく、サクラたちが訪れたのはドクターの執務室だった。

 

「あれ、ダメだった?」

 

「ダメというわけではないが……何というか、大物だな。」

 

「ふふん、まあね~。あっ、これめっちゃよくない?サイズがあれだけど。」

 

 

 今現在、ロドスギャル部(こういうとフロストノヴァは恥ずかしがるが)は執務室の一角を占拠し、ガールズトークに興じていた。カタログのページを一枚めくる度に、これはどうだそれはどうだと非常にやかましい。女三人寄ればなんとやらである。秘書官のプリュムはやはりいい顔をしなかったが、ドクター当人は認めているとあればと文句を言う事はなかった。

 

 だが彼女らの目的はソファーやお菓子というわけではない。ウタゲが突然カタログを持ち上げたかと思うと、ドクターの前に持って行ったのだ。

 

「ねえドクター?そろそろ休憩した方がいいんじゃない?」

 

「……話があるなら手短に頼むよ。」

 

 少し不満げにウタゲはカタログをドクターの前に突きつけ、先制の一撃を繰り出す。

 

「この水着すっごいかわいいと思うんだけどさ~……ドクターはどう思う?」

 

「どうって……」

 

 ウタゲが手にしたカタログのページには、黄金色に輝く派手な水着が載っていた。いや水着?水着なのだろうかこれは?どっちかというと巨大なリボンを纏っているような……

 

 ドクターの脳には大量の知識が詰め込まれているが、それは源石関連や戦術などに偏っている。必要とあれば書籍をひっくり返して頭の中に詰め込むことを厭わないドクターだが、スリングショットと呼ばれるそれは全くの初体験だった。

 

「これ着てさ~ドクターと一緒にシエスタ歩けたらめっちゃいいと思わない?あ~でも~……あたし見ての通りすっごいから、サイズ合わなくてギチギチになっちゃうかもな~……?ねぇドクター、想像してみてよ。これ着たあたしが、ビーチでドクターと待ち合わせしてるとこ……♡」

 

 瞬間。ドクターの超高性能CPUは、その光景を再現することに使われた!

 

「お待たせ~。ドクター待った?」

 

 そう声をかけながらこちらへ小走りでやってくるウタゲ。彼女の両手にはドリンクが握られ、その双丘がたぷんたぷんと……

 

「……やめておこう。」

 

 あからさまに照れの反応を見せるドクター。そんなちゃちなごまかしが通じるはずもなく、ウタゲの攻勢は続く。自然な足さばきでドクターの隣に滑り込み、耳元でささやく。

 

「あれドクター?ひょっとして想像しちゃった?あたしの水着♡」

 

「そ、そんなことは……」

 

「隠すの下手すぎて草生える。もう、ドクターのす・け・べ♡」

 

「そ、そこまでです!これ以上はドクターの護衛として看過できません!!」

 

 顔を真っ赤にしたプリュムによるドクターストップ。今の今までどっちが助平なのかわからないささやきをしていたウタゲもパッと飛びのき、ケラケラ笑いながら離れた。

 

「あーおっかし。まー参考にはさせてもらうかんね。ありがとー、すけべドクター」

 

 語尾に(笑)かwでもついていそうな口調で離れたウタゲは、カタログをギャル部のテーブルに置くと、執務室から出て行った。

 

 余談だが、ウタゲは自分の本性を隠すのが非常にうまい。これは決して悪だくみをしているというわけではなく、自分の内側に簡単に他人を入れないという事だ。つまり、本当のウタゲの姿を知る人はそう多くない。なぜ急にこんな話をしたかと言えば、その数少ない「ウタゲの本当を知る人」の一人が、今まさにソファーから立ち上がったサクラだからだ。サクラはおもむろに執務室を出ていき、左右を見回した。

 

 すると案の定―――顔を真っ赤にしたウタゲが立っていたのだ。

 

「……あ………サクラ…………。」

 

 サクラの姿を認めると今にも消え入りそうな声を出した。サクラは慈愛に満ちた表情で、何も言わずに親友を抱きしめた。これもまた余談だが、サクラとウタゲはほとんど同じ背丈で、同じような体をしている。そのため、二人が抱き合う時はどちらかが膝立ちにならないと、お互いのそれがつぶれて非常に痛いのだ。だがサクラはその痛みも知ったことかとウタゲを強く抱く。なんと美しい友情だろうか。

 

「私はわかっているぞ、ウタゲ。よく頑張ったな。すごくえっちだったぞ。」

 

「あーー!もう、そういう事言っちゃうんだ、もー!」

 

 サクラはウタゲに守護られていたせいで、実年齢の割に非常に性に疎く、同性の下着姿を見ただけでも初見のそれなら大慌て、AVなど初見の時は1時間で気絶した。そんな彼女だが、フロストノヴァとの戦いを乗り越えてからは耐性が付いたのか、多少の事では動じなくなっていた。これもまた、戦いを乗り越えたことにより成長したという事なのだろうか。

 

 まあつまるところ、今のサクラはウタゲと抱き合ったところでのぼせるようなおぼこ娘ではないという事だ。それを証明するように、AV鑑賞会リターンズが行われた際には、圧巻の視聴完遂を成し遂げた。まあその時は、フロストノヴァがのぼせたのはまた別の話なのだが。

 

「はーもう……マジでテンション上がりすぎてやっちゃった……。大丈夫だよね?ふしだらだって思われてないよね?」

 

 それに対してウタゲはこれである。恋とはかくも人を変えるのか。だがこれは仕方のない事なのだ、とサクラは思う。なにせ自分も彼女も、異性と付き合った経験など一度もないのだから。経験が人を強くするという事を強く信じるサクラにとって、まったく経験のない恋という戦場に飛び込む親友はひどく輝いて見えた。

 

 誤解のないように言っておくが、彼女らは決してモテなかったわけではない。サクラもウタゲも、どちらも非常に豊満なバストをしているし、目鼻立ちも整っている。ウタゲは誰とでもすぐに打ち解ける柔軟性があったし、サクラは真面目で実直なあり方が好評だった。だがウタゲにとってその人気は、あまり好ましいものではなかった。

 

「……しかもさー。あたし自分の胸使うの嫌だったはずなのに……。ドクターがあたしの目を見てくれるから、好きになったはずなのに…………。」

 

 これはウタゲにとって予想外のダメージだった。所詮オトコなんて自分の胸を使えば楽勝だと思っていたが、いざ使ってみれば、眠っていたコンプレックスが掘り起こされてしまったのだ。ウタゲの心はどうすればいいのか、全く分からなくなっていた。とうとううずくまってしまった親友を見て、サクラはこれはいよいよ重症だと感じた。そう、ウタゲのコンプレックスの正体とは、誰もの目を引くその胸だ。ウタゲの場合、その視線がサクラにも向けられているのを見て、自分が守護らなくてはと使命感に切り替わったことで、発現が遅れてしまっていただけなのである。

 

 そんな彼女にとって、自分の目を見てくれるドクターという存在は大きかった。作戦になれば自分たちの命を躊躇なく預けられる安心感。プライベートでは隙だらけなのに、なぜか頼りがいがあった。母親からあれだけ、誰かに頼りすぎてはいけないと言われていたにも関わらず。恋に走り出すのに、そう時間はかからなかった。

 

「ねえサクラ……どうしよう……。あたし、もしこれでドクターがあたしの胸見てきたら……あたし、ドクターのことちゃんと好きでいられるかな?あたしのせいで、ドクターが変わっちゃったら…………。」

 

 サクラには恋愛のアドバイスなどできない。だが、惑い苦しんでいる親友を見捨てることもまた、不可能なのであった。

 

「……これはあくまで私の所感だが。ウタゲ、お前は何も間違ってなどいない。役にたつものがあるなら使うべきだ。」

 

「……でも、それは戦場の話じゃん。」

 

「ああそうだな。でも私は『恋は戦争』と聞いたことがある。なら、迷わず自分の武器を使うべきだ。どんな方法だろうと、最終的にゴールに一番乗りすればいいんだろう?何も恥じることはない。」

 

「それに、『ドクターをちゃんと好きでいられるか』だと?……私は恋のことはよくわからないが、恋っていうのは、そんな数学とか論理学みたいなものなのか?notAならnotBなのか?MTTなのか?」

 

「違うだろう!お前の気持ちが本物なら、きっと好きでいられるさ。……それに、お前が怖いなら私が手伝ってやる。お前の気持ちを思い出させてやる。来い、ウタゲ。」

 

「えっちょ、ちょっと!」

 

 ウタゲの手首を掴み、立たせたサクラ。そのまま彼女を引っ張り、執務室へ連行する。ウタゲはちょっと、とか待って、とか言っているが知ったことではない。迷わず行けよ、行けばわかるさ。執務室が開き、飛び込んできた光景。それは―――――

 

 

 

「ねードクター。この新発売のクッキーちょーおいしいから試してみー?ほらほら、あたしの咥えてんのあげっからさー。」

 

「むー、ドクター!ボクの話ちゃんと聞いてる?この水着とこの水着、どっちがボクに似合うと思うの?」

 

「み、皆さんばかり……!こうなったら、私も……!」

 

 

 

 

 少女たちに囲まれてまんざらでもなさそうなドクターの姿だったのだ。

 

(……え?)

 

 

 

 

 

「アンブリエル……その、私がそれを咥えたら非常にマズいと思うんだが……」

 

「えー何がマズいのー?教えてドクターさーん。」

 

「い、いやだから……その、口づけを……」

 

「くwちwづwけー--!!wwwwwはーおっかし!ドクターちょっとピュアすぎっしょ。今度あたしがラブロマンスの映画持ってきたげるから勉強しなってー。……はーヤバ。ちょっとキュンと来ちゃった……。

 

 

 

「ドクタードクター!ほら見てよ、これ!ウタゲほどじゃないけど、ボクもけっこーあるんだよ?ほら触ってみてもいいからさ!」

 

「あ、あのねロープ。そういう風に体を安売りするのは……」

 

……安売りなんてしてないもん。

 

「え?」

 

「どんなにお腹減っても、体は売らなかったもん。ボク、すっごい体大事にしてたんだよ?……それとも、ドクターはボクの事信じてくれないの?ボク、やっぱり汚いの?」

 

「そんなことない!ロープの事を汚いなんて思うものか!」

 

「……ホント?」

 

「ああ、ホントだとも!ロープ、君は綺麗だ!」

 

「じゃあ、もうちょっとくっついてもいい?汚くないならいいでしょ?」

 

「……! あ、ああ!いくらでもくっついていいぞ!ロープは綺麗だからな!」

 

「えへへ、ありがとう……ドクター。ついでに頭も撫でてくれると嬉しいな。」

 

「もちろんだ!偉いぞ、ロープ!」

 

「えへへへへ……。」

 

 

 

「ド、ドクター!もしよろしければ、私にも……!な、ナデナデをしていただきたいのですが!」

 

「え、もちろんいいよ。なにせ、プリュムには助けてばっかりだしね……。」

 

「あ、ありがとうございます!そ、それでは……んっ。」

 

「……いつもありがとう、プリュム。任務でも通常業務でも、プリュムのおかげで助かってるよ。」

 

「ほ、本当ですか?私は、お役に立てていますか?」

 

「ああ、もちろん。これからもよろしくね。」

 

「……はい!不肖プリュム、ずっとドクターの御傍におります!」

 

 

 

(あっ……なーんだ。ドクターもやっぱオトコなんじゃん。……それに、よかった。あたし、まだドクターが好きだもん。だって……)

 

 

「ウタゲ……!?」

 

 サクラの声が震える。ドクターに会ってみればはっきりするだろうという荒療治を行ったはいいものの、患者の様子が急変したからだ。悲しみや恐怖ではなく、静かな怒りに。

 

「ウ、ウタゲ……さん……?あの、大丈夫ですか……?」

 

「あはは、なんで敬語なのサクラ?だーいじょうぶだってぇ、ちゃんと抑えるからさ……。」

 

 とんでもないプレッシャーを発するウタゲを見ながら、サクラはただただドクターの周りで幸せオーラをまき散らす彼女らがこっちを見ないよう祈るばかりだった。

 

 ―――サクラがそんな祈りを捧げている中、ウタゲの心は不思議と晴れやかだった。自分が「ドクターが自分以外の女の子に鼻の下を伸ばしている」のに嫉妬できたことが嬉しかった。自分はまだ、ドクターの事が大好きだ。ドクターも男だと分かったのに、それでもなお大好きだ。

 

「……迷う必要、なかったんじゃん。」

 

「え?」

 

「んー何でもない。ありがとサクラ!これであたし、なんの気兼ねもなくアタックできるわ。」

 

 サクラには、彼女にどんな心境の変化があったのかはわからなかった。ただ、なんだか晴れやかな顔をしていたので嬉しかった。それでいいかと思った。執務室の窓は締め切られていて、空調の風が心地よかった。なんて涼しく、清々しい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや待て、涼しすぎないか?いやこれはもう涼しいというより、寒い……あ。

 

 

 

「……いい身分だな、お前たち。勤務時間だというのに、人の事は放っておいてイチャイチャイチャイチャ……」

 

 極寒の化身、冬の女王。久しく見ていなかったその顔を、私は……いや、私たちは見ることになった。

 

 

 

 結果、サクラたちはそれぞれ一日キッチンでの雑用。ドクターは多忙なため、フロストノヴァと食事をとることで許してもらったそうだ。余談だが、その時の彼女は彼らですら見たことがないほど幸せそうだったと、スノーデビルの一人は涙ながらに語った。

 




 皆さん、こんばんは。恋慕少女専属アドバイザーの拓也と申します。今回、アドバイスしたのは、ウタゲッ!セクシーなマスクと、均衡の取れてない体。(上半身が立派すぎるだろ……)まだ実質1歳のドクターは、ウタゲのアプローチに耐えることが出来るのでしょうか。

 それでは、ご覧ください……。

次回作、どっちがいいんすか?

  • 強面トレーナー、TSする。
  • パワプロRTA北雪高校モテモテチャート
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