アークナイツ トロフィー「雪ウサギは春に遊ぶ」取得RTA 作:春雨シオン
それと、今回もキリのいいところまで行くとこんなに長くなってしまいました。中盤らへんでうまくオチをつけられなかったねんな…。
とうとう頃しの味を覚えてしまったRTA、第7部はーじまーるよー!
前回、ウタゲ姉貴がざーんしゅ!したところからですね。その際のメンタルダメージは…うむ!狙い通り、ほぼ絶無です。顔色も普通ですし、足取りやしゃべり方もちゃんとしてます。やはり最初の札人が悪人相手だといろいろはかどっていいゾ~^コレ。
さて、では次の獲物を探しながら、尋問によって判明したことを皆さんにもお話しておきましょう。まずこいつらは、感染者集団ではなかった模様。単に金で雇われた傭兵たちのようです。もっとも、桃ちゃんの敵ではありませんし、今のウタゲ姉貴でも問題なく勝てるでしょう。つまりは、無抵抗な人間にしか勝てない雑魚どもです。やめたらこの仕事?
あとは、さっきの男がわかる範囲で敵の配置を教えてもらいました。こいつらは自分の持ち場をうろちょろしているようです。また、装備はみな一律に支給されたもののようです。ボウガンと矢、それと刀ですね。どれもそこまで上等なものではありませんが、まあ悪人の首をとるには十分でしょう。
そのため現在は、教えてもらった場所へと向かっています。次の獲物がいる場所、というわけですね。ひとまず刀はウタゲ姉貴に、バットは桃ちゃんに持たせておきます。火力という点では桃ちゃんの方が上ですが、生存優先です。
「ね、桃。次の奴、あたしにやらせてくれないかな?」
ファッ!?いきなり札人希望ってマジ?前回の恍惚とした顔といい、ウタゲ姉貴、黒い衝動持ちだったり…?(読んだことはない)まあでもこれはGOサインを出しましょう!敵のレベルはスライムレベルですし、今のウタゲ姉貴には札人耐性がついていますからね。念には念を。一応桃ちゃんも同行しましょう。
「ふふん、サンキュー。桃も一緒に来てくれんの?」
それではウタゲ姉貴の戦いをゆっくり観戦させてもらうとしましょう。おうビールビール!(まだ飲めない)
「もう終わりー?けっこーあっけなかったなあ。」
ええ…。君ほんとに初めて人斬った?ボウガンの矢を受ける動き、刀をかわす動き。全部桃ちゃんの流れをまねしたものだとは思いますが、にしたって強すぎぃ!天性のものなのか、それとも鍛錬の成果か…。まあなんにせよ、これは心強い味方ができました!ウタゲ姉貴鬼つええ!このままテロリスト全員ぶっ頃していこうぜ!
「ふふーん、桃もやっとあたしの事わかってきたじゃーん。それじゃ、ここからどうしよっか。あの子たちのとこ行く?」
そうですねえ、彼女たちの様子もちょっと心配です。私視点では早送りしてるので特に思い入れはないですが、桃ちゃん視点では違います。氏なれたら氏なれたでしょうがないですが、やっぱり多少はストレスがあります。
「うん、じゃあ行こう。あの子たち、4階の写真屋にいるはずだから。」
(少女達移動中…)
「まい、ももっち!よかった…無事だったんだ!」
オッスオッス!二人とも無事みたいですねえ!敵から分捕った刀とかバットとか背負って、ジェネリックけーちゃんみたいになってる桃ちゃんに普通に接してくれるの、友情感じるんでしたよね?ん、しかし片方が足をおさえています。
「ああ、これ?なんかアキが、足ひねっちゃったみたいで…。」
グッド!好感度稼ぎのチャンスです。ちょうどアイシングスプレーを持っているので、応急手当をしておきましょう。
「つ、冷たっ!なにこれスプレー?」
「これ、アイシングってやつだ。前野球部のマネやってる子が使ってたの見たことあるもん。ももっち準備よすぎでしょ…。」
ムフフ尊敬のまなざしが心地いいですね。もっと褒めて!
「桃…。そんなことしてる場合じゃないでしょ。今4階がどんなふうになってんのか聞かないと。」
おっとそうでした。ウタゲ姉貴の方がしっかりしてるじゃないか。(呆れ)
「うん、ここはまだ大丈夫っぽい…。悲鳴とかも聞いてないよ。でも、店員さんは私たちが来た時にはもういなかったからわかんない…。」
ということは、奴らは3階に上がってきたくらいでしょうか。尋問の結果、男たちはだいたい50人くらいと判明しています。その上ばらばらに行動しているとのことなので…。あっ(皆殺し不可避)
「よっし、じゃあまたいこっか桃。悪い奴らまだまだいるだろうしねー。」
「な、なに言ってんのあんたら!そんなの、危なすぎでしょ!」
「だいじょーぶ、あいつら全然雑魚だし。それに、みんなで生きて帰るにはこーするしかないの。それにあたしと桃なら、どんな奴でも負けないって。ね?わかった?」
ヒエッ、有無を言わさぬ迫力…。これが六人前と言われる威圧感ですか。目の前の二人もかわいそうに、壊れた人形のように頷くことしかできません。
「わ、わかった…。ほんとに気をつけてね?絶対また会いにきてよね?」
「はいはいわかったってアキ。マチもそれでいい?」
「う、うん…。でも気を付けて。あたしはここで、アキを見てるから。あと、なんか他の人を無理やり感染者にしようとしてるやつもいるみたいだったから、ほんとに気をつけてね。」
うーんこの。いくら非常事態だからってそれは許されざるよ。しかも桃ちゃん、母を鉱石病関連で喪ってますからね。義憤にかられ、絶対殺すウーマンにならないよう注意しましょう。
さて、その後は特に面白いこともなかったので倍速しまーす。ずっと雑魚狩りをしているところを見せられてもつまらないからね、しょうがないね。ざっと20人以上?30人以下?をぶった斬ったところで倍速終了。しっかし気になるのは、全員桃ちゃんとウタゲ姉貴を知らないことです。返り血で血まみれなのに驚く奴はいても、積極的にこっちを追跡する様子もありませんし。まあ楽なのでいいんですけど。
「桃、そろそろ戻ってもいいんじゃない?あいつらけっこーやっつけたし、あの子たちも心配してるだろうしさ。」
ヌッ!確かにそうですね。これ以上やると、今度はこっちが騒ぎになってしまいます。事件の後にテロリストの仲間と思われても厄介ですからね。それでは4階に戻り…ん?なんだこの匂いは?
「あ。桃も気づいた?なんかここ、焦げ臭いような気がするよね?」
さては、ちん(自主規制)てたな?申し訳ないが、存在そのものがR-18 なおばさんはNG。もし火事だったら一大事です、さっさと見に行きましょう。…おっと、火を噴く物体発見伝!
「…なにこれ?多分ストーブとかなんだろうけど、なんでこんなとこにあんの?」
ウタゲ姉貴の困惑も当然です。ここは2階の服売り場ですし、ストーブを出すほど寒い季節でもありません。これが家電売り場とかだったらわかるんですけどねえ。まあさっさと消火しましょう。消火器はなんとやらのメタファーってな!
「…おかしいね、まだ焦げ臭いよ。これ、下から来てんのかな。」
ますます奇妙です。なんだか作為的なものを感じますね。これはおそらくは何かしらの罠ではないでしょうか?それになんの意味があるかはわかりませんが、安全のため、ひとまずウタゲ姉貴を避難させておきましょう。
「は?ちょっと桃、その話はさっき終わって…」
ちょっと確かめたいことがあるからさー頼むよー。それに全部の敵を倒せたわけじゃないから、あの二人も心配ダルルォ!?そこに戦えるやつが一人は必要だって、はっきりわかんだね。あいつらと桃ちゃんの戦力差は歴然ですし!
「むぅ…、わかったよ。そこまで言うならあの子たちのとこで待ってるから。でも桃もあんまり無理しないでよ。」
オッスお願いしまーす!それじゃあ久しぶりの単独行動です。下の階の焦げ臭いにおいを確認しに行きます。私の読みが正しければ、おそらくは同じようなものがあるはずで…やっぱりな(レ♂)今度は洗濯機か何かでしょうか?普通火を噴くようなものじゃないと思うんですがそれは…。
「やあ、救世主くん!私だよ、泥中の蓮のリーダーだ!君ならきっと、この仕込みに気づいてくれると思ってたんだ。そこでだ、君と話がしたい。君もきっといろいろと知りたいことがあるんじゃないか?その疑問にお答えしよう。一階の西トイレそばの従業員用通路、そこに入ってすぐの小部屋に、地下へとつながる場所がある。そこへ来てくれたまえ。心配しなくとも罠など仕掛けてはいないさ。仮に来なかった場合、残ったすべての同胞を、4階の写真屋に向かわせる。彼らが彼女や君に勝てるとは思えないが…全員を感染者にすることは出来るだろうね…。」
ファッ!?こ、この声はいったい!と思いましたが、よく見るとスマホが隠してありました。敵は監視カメラか何かでこちらの動きを把握していたってところですかね…。しかも話をしたいとか抜かしてやがります。こ、こいつの誘いに、乗らなくてはならないのか…。
だが断る(RHN)
はい、まあ当然です。どう考えても罠が仕掛けられてるところに突っ込むようなバカちんはいません。それどころか感染させてくれるらしいです!これは今からいけば襲撃には間に合うでしょうし、その際防ぎきれなかったフリをしてちょこっと負傷してしまいましょう。そうすれば二人ともいい具合にかんせんできるでしょうし!さて、それじゃあ4階に…あれ?なんで?なんで?操作が効かないジャーン!早く4階に行かなきゃなのに、ってファッ!?も、桃ちゃん!従業員通路に行かないで!うるさいですねと言わんばかりに静止を無視し、一心不乱に向かっています。あ。あぁ~ッ!う、うぅ…あ、ありがとうございました…。(チャート崩壊)
あの子たちを感染者にするって言葉を聞いたとき、自分でも頭がすうっと冷えていくのがわかった。殺さなくてはならない。こんなふざけたことを抜かしたあいつを、絶対に生かしておいてはいけない。すぐに指定された場所へと走り出す。頭の中で「行くな!行くな!超えるな!(?)」と声が聞こえた。私の中のどこか冷静な部分が私をいさめようとしているのかもしれない。それでも無視してひた走る。必ずあいつを殺さなくてはならないのだから。
指定の場所へ着くと、確かに階段があった。どこへ続いているのか、何が待ち構えているのか。何もわからなかったが、とにかく向かうしかない。そう思って、足を進める。
急に視界が開けたかと思うと、かなり広い場所に出た。多分ここは、駐車場だ。そういえば地下駐車場がもうすぐオープンするとか書いてあったような気がする。でも今、そんなことはどうでもいい。奴はどこだ。わたしの獲物はどこにいる。
「おお救世主くん!待っていたよ!やっぱり君なら来てくれると思っていたんだ!」
明るい、男の声が聞こえる。目をやると、体中に源石の浮かんだ初老の男がいた。その体の痛々しさとは裏腹に、顔は歓喜に満ちていた。私は思い切り睨んでやっていたつもりなのだが、それにも気づかなかったのか、男はまだ嬉しそうだった。
「…なんで、私を呼んだの?」
「ああ、そうだろうそうだろう。すまないね、つい一人で舞い上がってしまった!私はね、君と会いたかったんだ!君が私の雇った傭兵連中を殺すのを見ていたがね、本当に心が震えた!だからここまで来てもらったんだ!」
頭がどんどん冷えていく。こいつと話すことなど何もない、ただ早く死んでもらわなくてはならない。私の精神が、落ち武者狩りをしていた幼少期レベルにまでさかのぼっていくのを感じる。ただ目の前の敵を殺すことだけを考えていたあの時期に。
「私はあなたと話すことなんてない。これ以上何もしないなら警察に任せてもよかったけど、あの子たちに手を出すつもりなら、ここで死んでもらう。」
「ああ、そうだね!そうだ、君との交流は剣を除いて他にあるまい!」
黙って、という代わりに斬りかかる。そのまま男の首を刈って終わりだ。そのはずだったが、いきなり目の前に、真っ黒ななにかが飛んできた。
「!」
「ははっ、さすがだ!君はやはり、この程度では死なないのだね!」
なんだ、今のは?とっさに刀で防いだが、金属みたいに固いものだ。弾いたものはまるで紐でもついているように男のもとへ戻っていった。あれは…ナイフ?
「これは私のアーツでね。自分の近くにある金属を自由に操れるんだ。ささ、どこまで防ぎきれるか試してみようか。」
言葉通り、男の周りでナイフが宙に浮かんでいる。見えるだけで1、2、…9か。それらが次々に私に向かって飛んでくる。刀で撃ち落とすが、すべてすぐに男のもとに戻っていく。キリがない。それに金属を操るだと?めちゃくちゃだ。それなら私の刀も危ないかもしれない。今は単にやってこないのか、それともできないのか。どちらにせよ、相手が何をしてくるかわからない以上、早めに決めたい。なんとか奴の隙を作らなければ。
傭兵の男からはぎとっていたボウガンを撃ってみる。へたくそだが、運よく奴の胸を貫く軌道を描いて飛んでいく。男は全く反応出来ておらず、仕留められるはずだった。
「おお、そんなものを隠し持っていたのか!全く見えなかったよ!」
「!…ちっ。」
ボウガンの矢は奴の目の前で止まった。だいたい1メートルくらい前だろうか。仕留めることは出来なかったが、収穫はあった。
「わかったぞ。お前のアーツ、その範囲までしか届かないんだな。」
「…。」
「私はお前が刀にアーツを使ってこないのが不思議でしょうがなかったが、使えなかったんだ。多分今の矢が止まったあたり、お前から1メートルくらいのその場所がアーツの射程距離だ。それを超えると、お前は金属を操作できなくなる、違うか?」
「…。」
男は何も答えないが、それは肯定しているのと同じだ。この戦い、私が有利に立てた。そう確信した、その時。
「は、ははは!素晴らしいよ!君はもう、私のことを理解してくれたのだね!ああ本当に嬉しい!生きているうちに私を理解してくれた、そのことが一番うれしいよ!」
「!?」
意味が分からない。こいつはタネを見破られて、ピンチに陥ったはずだ。
「でもまだ完全じゃない。もっとだ、もっと!君ならこれを使ってもいいかもしれないな…。私のとっておきだよ!」
そう言って、男は後ろにおいてあった巨大な箱を取り出し、中身をぶちまけた。豪雨のような音がして、中身が散らばる。中に入っていたのは、釘やドライバー、はさみなどの金属製品だ。それら何のつながりもないしっちゃかめっちゃかな物体たちが、男によって統制される。それらはまるで、よく訓練された軍隊のようだった。
「さあ君!もっともっと私を!」
「!」
その声とともに、それらが小魚の群れのように飛んでくる!刀で受け止めるのはやめ、走ってかわす。だが1メートルを超えたというのに、刃物の群れは私を追ってくる。どうやら1メートルが限界というのは間違っていたらしい。分析だけは冷静に行ったが、心の中を焦燥感が支配する。いつまでも逃げられるわけではない。なにか、なにか策を考えなくては。そう思いつつも、逃げることしかできない。
「!!ぐっ!」
何だ!?群れをかわした後に隠れるように飛んできた何かが太ももに突き刺さる。小さいが、鋭い痛みが足に走る。思わず足を確認してしまう。これは、針?おそらくは裁縫に使うであろう針が太ももに刺さっていた。しかし、それがまずかった。目の前には、敵意が迫っているというのに。
「ごはっ!?」
これは、箱?インゴットのようなものが私の腹を打つ。強い衝撃と重みが私の体を襲う。一瞬息ができなくなり、吹っ飛ばされる。頭が真っ白になるが、思考はやめない。そう何度も同じ手が通じると思ったら大間違いだ。すぐに転がって、群れを回避する。危なかった。もし追撃を頭に入れていなかったら、今頃あれに食い尽くされていただろう。
「はあっはあっ…!」
「そろそろ、君の動きにも陰りが見えてきたね…。私はもう少し、語り合いたいのだが…。そうだ!君にやる気を出させてあげるよ!もし君が私に負ければ、私は彼女たちを感染させる。これでどうだい?」
「!このっふざけるな!」
「はは、それでいいんだ!もっともっと語り合おう!」
カッとして刀を振るが切り裂く前にアーツで止められる。その隙にすかさず群れの急襲。もはや刀は放棄するしかない。
「ぐうっ!!」
完全にはかわし切れず、何本かのナイフがかすって、傷をつける。それほど深いものじゃないが、ダメージは蓄積している。幸い刀は一本ではないから、武器がなくなるという最悪は避けられた。
こいつ、強い。ゆっくりと主のもとに帰る群れを見ながら、そう思った。能力だけじゃなくて、それの活かし方を心得てる。それに、戦ってる場所も不利だ。駐車場じゃ何も利用できそうなものはない。どうする、どうすればいい?真正面からじゃあの群れは防げない。かといって搦手が使える相手じゃない。仮に落ちたナイフを投げつけてもアーツで防がれて終わりだ。何かないか、何か。
―――金属は防がれる。では、
あった。そうだ、忘れていた。背中に背負ったバット。これは木製で、金属じゃあない。これは防げないはずだ。頭の中に響いた声のおかげで気づけた。だけど真正面から投げつけても、ただあの群れに防がれて終わりだ。混ぜ合わせるんだ。師匠やお父さんの正道と、私の培った邪道。どちらも併せて使うんだ。
「これが、最後だ。もう何の小細工もない。」
私はそう告げる。正々堂々を重んじる武士の如く。刀を真正面に構え、敵を見据える。策は決まった。そのリスクを背負う覚悟も、同時に決めた。
「…そうか、ではこれが最後の語らいだ!悔いのないよう、存分に語り合おう!」
男は叫び、刃物たちの陣形を整えた。あの群れの攻撃をするつもりだ。ここからの攻撃は真正面から受けるしかない。かわしてもまた意識外から奇襲される。それに、そこから反撃に移れない。私はただ単に生き延びればいいわけじゃない。ここでこいつを殺さなければ、みんなが危ないんだ。
また、あの感覚が来た。師匠と戦った時のあの感覚だ。ナイフがぶつかり合って立てる音が周囲から消え、動きがゆっくりに見え始める。集中力が極限まで高まり、握った刀が体の一部になったようだ。私の命を奪わんと群れが迫る。でも大丈夫だ。不思議と今は、自信に満ちていた。
突っ込んでくる刃を矢継ぎ早に弾き落とす。自分の体に当たるものを瞬時に見極めて刀を振る。防ぐだけではダメだ。少しずつ、前に進む。私は奴を仕留めに行くのだから。そこで気づいたことがある。すごく、遅い。刃たちがゆっくりと動いているように見える。それらを落とすのは、稽古よりも楽だった。
刃たちの攻勢が少し緩む。ほとんどを捌いたからだ。視界が一気に開けた隙を見計らい、背中のケースから取り出したバットを投げつける。男は嬉しそうに私の剣戟をみていたが、その顔が驚愕の色に染まる。いきなり意識外からバットが飛んできたのだから当然だ。
男は何とか躱すが、その動きは素人同然、無駄が多すぎる。おそらく今までの飛び道具はアーツで止めるか、あの群れで防いでいたのだろう。だから意表を突かれる。だから、アーツの操作が鈍る。
邪道は終わり、ここからは、再び正道に。厄介なアーツが使えなくなったのはおそらく、ほんの一瞬だ。だが、その一瞬で十分すぎた。少しづつ近づいたおかげで私と男の距離は2メートルも。ここからなら2度首を落とせる。そう確信しながら、私は奴の首を刈り――。
――――笑っていた。男は死の淵に立ち、笑っていたのだ。それも策にはめてやったという下卑た笑みではなく、母親に抱かれた赤子のような、安心感に満ちた笑みを。もはや走り始めた刃は止まらず、男の首を切り裂いた。
終わった。やっと終わった。刃物たちが主を失い、地面に落ちるのと同時に、私も地面にへたり込む。さすがにちょっと…疲れた。体に力が入らず、節々が痛む。でもそれは苦痛ではなく、むしろ心地よいものだった。
もちろん、まだ残党がのこっているだろうが、しずかなら負けることはありえない。本当に、安心する。私はしずかが殺しをすることに否定的だったが、彼女はそれを望んだ。そして現に、今友達を守っている。結果的には、彼女が正しかったということだ。しずかのどや顔が浮かんできて、笑みがこぼれる。少しだけ休もう。ごろりと寝転がる。コンクリートの床は固くて冷たかったが、火照った体にはちょうど良かった。少し休んで、回復したら、みんなのところに戻ればいい。
そんな風に安心しきっていた時、それは突然流れた。
「これが流れているということは、おそらく私は死んだということなのだろう。それが勇気ある救世主によってなされたものなのか、あるいは自ら旅立ちを選んだのか…それはわからない。しかし、変わらない事実が二つある。一つは泥中の蓮は壊滅したということ。もう一つはもう間もなく、
…は?何を言っているんだ?この放送は?がばりと飛び起きる。
「私は感染者だ。同じ苦しみを持つものが一人でも増えてほしい、と思うのは当然のことだろう?私が死んだときにスイッチが入り、カウントダウンが始まる爆発が各所に仕掛けてある。爆発すれば微量の源石が同時に飛び散るという仕組みを備えたものがね。爆発の際飛び散ったその破片により、諸君らを感染させるというわけだ。爆弾の場所はわからない。自分のそばで爆発しないよう、神に祈ることをお勧めする。」
「…おい、やめろ。」
気が付けば自然と言葉が口をついていた。充足感は吹き飛び、代わりに焦りだけが体を満たす。
「ここから先は救世主である君への敬意であることを理解してほしい。君は誰かを救うことが出来る貴い人間だ。君にだけは、爆弾の場所を教えよう。多くの人間を救い、この世に希望があることを証明してほしい。地下の、3番の車の中に爆弾の位置を記した地図がある。君の人助けの一助になることだろう。」
「それでは諸君、さようなら。私は一足先に、旅立つとするよ。」
しばらく、呆然としていた。何を言っているのか、理解できなかった。それでも何かに急かされるように走り出し、指定された車にたどり着く。すぐに車内を確認し、地図と一緒にあった紙を手に取る。おそらくは爆弾がある、という赤いマーク。大小さまざまあるのは、爆発の規模だろうか?いそいで目的の箇所を見つけたとき、血の気が引いた。
ひときわ大きな赤いマークが、
というわけで今回は黒幕、という意味のフィクサーと、取り付ける人、という意味のフィクサーでした。次回、ようやくショッピングモール編が終わります。長々とお付き合いいただきありがとうございました。
次回作、どっちがいいんすか?
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強面トレーナー、TSする。
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パワプロRTA北雪高校モテモテチャート