緋弾のアリア 守護者とFランク武偵   作:暇人鶯

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第36話 従姉弟

一真SIDE

 

 

傷だらけだ。

 

自称殺し屋の司馬。未だに銃弾は掠りもせず、ナイフは空を切る。

 

一方、司馬の飛針は交わすのが精一杯で、合間合間に振られる棍は、交わせずに幾度となく体に打ち付けられる

 

 

「やれやれ、やはり所詮中学生ですね」

「はぁ、はぁ…」

「返す言葉も無しですか……唯一のスナイパーも弾切れですし。つまりませんよ」

 

 

悔しいが、返す言葉もない。

 

援軍の可能性は乏しい。千紗の通信機は司馬が仕掛けた妨害電波によって使用不可。

俺の通信機は司馬の飛針に貫かれ既に鉄クズと同じようなもの

 

あるのは受信機のみ、龍達が早く任務を終わらせて駆けつけてくれるか、千紗が兄さんと夏希さん達を呼びにいってくれるのを待つしかない

 

 

「いや、ここで…」

「まさか捕まえるですか?私に一撃も与えられないあなたが」

「うるさい、何とかするんだよ」

「何ともなりませんよ。仮にこの棍に棘がついていたら?毒が塗ってあれば?既にここには居ませんよ、あなた」

 

 

確かに棘でもついていれば血だらけ、毒があれば死んでいる。

 

だが少しだけ違和感を感じる。司馬が俺に対して殺意を向けていない、殺気こそ感じるが殺そうとしていない

 

 

ヴゥーヴゥー!!

 

バイブが鳴る、龍だ。

 

「おや?まだ受信機が有りましたか?」

「へっ、もうすぐ援軍が来る。それまでお前を食い止めれば…」

 

バイブを止め、援軍が来るまでの足止めの為に気を引き締める

 

 

「食い止めれば…」

 

 

一瞬だった、司馬の目を見て警戒していたにも関わらず、バイブに気を紛らわされた瞬間。

司馬を見失い、気付けば背後にいた。

 

そこからはほとんど覚えていない。

棍で頭に一撃を受けて気を失った。

 

 

 

 

 

目を覚ますと千紗がいた。可愛い顔がくしゃくしゃになるほど涙を流しながら。

 

「千紗、もう大丈夫だ。」

「うっ、ばか!!なんで逃げなかったのよ!アタシ、一真君が居なくなったら。嫌だよ!!うぅわぁぁぁん!!」

「悪かったよ千紗、生きてんだから泣き止め」

「でも、でもぉ。」

「千紗!俺はこれからずっとお前の側にいるよ。俺だって狙撃科なんだ。二人でずっといればいい」

 

「や、約束だよ」

「ああ、約束だ」

 

千紗の頭にポンと手をのせる。

そして、千紗の少し奥で似合わない白衣を着た蓮井に話し掛ける

 

 

「助けてくれたのは誰だ?」

「龍っていう北九州武偵中の奴だ。幼馴染みだろ?」

「そうか、ありがとな蓮井。この部屋手配したのお前だろ?」

「ああ、アンビュラスは稼ぎ放題だからな」

「まだ根に持ってたのかよ…」

 

 

まだ少しだけ泣いている千紗の頭を撫でながら、蓮井の言葉につい苦笑いをする

 

 

「まぁなんにせよ、可愛い彼女泣かすなよな」

「ああ、そうだな。お前も……いや、いいか」

「なんだよ、俺はまだ少しだけやることがあるからもう行くわな。」

「ああ、ありがとう」

「ありがとね、蓮井君」

 

 

その後、泣き止んだ千紗と共に退院の手続きを済ました。

 

龍の話だと、爆破させられた別荘の金庫のなかに書類があった為無事で龍達が焼却したらしい。

死者は夫人、娘、傭兵が四人。

 

高飛びした社長を除く、あの会社にいた幹部は全員逮捕。秘書二人のうち一人は自殺

 

 

任務ランクはB+。達成報酬は三十万追加された

 

 

 

 

それから5日後、千紗と俺が付き合って一年がたった。

今日は千紗の家に初めて行く

 

 

「とゆーわけで緊張してんだが…」

「初めてお父さんと会うもんね〜。」

「ああ、まぁなるべく努力します。」

「大丈夫だよ、一応玉の輿だし」

「お前そういうのばっかだな」

「まぁ玉の輿じゃなくても駆け落ちしてでも一真君と一緒になってるけどねー♪」

 

そういった世間一般で言うバカップル状態で千紗の家まで来た。

 

 

「千紗、大丈夫なんだよな」

「うん。お父さんただいま」

 

 

千紗がお父さんと呼んだ人物を見る。見覚えがありすぎる……

 

「おかえ……一真様!!」

 

親父の弟。つまり俺の叔父さんだ

なにより、このヘッドホンをくれたのもこの人だ

 

あれ?叔父さんの娘が千紗……千紗とは従姉になるの!?千紗の方が誕生日先だし!?

 

「え!?お父さんの言ってた継承者の人が一真君!?」

 

 

気まずい沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは叔父さんだった

 

「か、一真様。どういったご用件で?」

「あ、言いにくいんですけど……千紗さんとお付き合いさせていただいているので、挨拶をと。」

「は?一真様と…千紗がお付き合い!?」

「はい、ちょうど一年で」

「あれ?この前お父さんに名前言ったよね?」

「バカか!カズマ君じゃ分からんだろう!!それに一線を越えそうになった話ばかり…」

 

 

どういう紹介だったのかめちゃくちゃ気になる

 

 

「とにかく一真様なら安心だ。一真様、どうか幸せにしてやってください。」

 

 

あれ?あっさりOK。嬉しいけど……まぁいいか

 

「いいのお父さん。この前話したとき、出会ったらとりあえず下半身切り落とすって言ってたけど……」

 

叔父さん。言っておくが、迫ってきてるのは千紗だからな

 

「いや、一真様は時斗様にも勝る品行方正、頭脳明晰なんだ…全く千紗には勿体な――」

「父様はこっち来て!!ちょっと聞きたい事があるから」

 

 

気を遣った優那ちゃんが叔父さんを居間に連れていく。

俺は額に軽く青筋を浮かした千紗の手を引いて千紗の部屋に入った

 

 

「一真君、良かったね」

「つか、従姉弟同士だったんだな」

「でも従姉弟同士でも結婚出来るけどね〜」

「甘えす……いや、一年たったんだからいいか」

「さっすが一真君。でもアタシがおねいさんだよ、すごくない?」

「ああ、どっちかって聞かれると妹だもんな。優那ちゃんの方がしっかりしてるし」

「そんな人に惚れたのは?」

「俺だな。あ!そら、プレゼント」

 

カバンの中から包装された箱を渡す。中にはブレスレットが入ってい

 

「開けていい?開けていいよね?」

「どうぞ」

 

 

まるでドキドキを楽しむかのように、丁寧に包装を解いていく千紗

そして、箱を開けた

 

「わぁ、きれい」

「ああ、このトパーズ取りに行くの疲れたんだぞ」

「原材料から!?」

「嘘だよ、トパーズを買ってちょっとアレンジしたんだ」

「ありがとう一真君!!」

「いや、これからもよろしくな千紗」

「うん、こんなアタシで良かったらお願いします」

「そんなお前だからだよ」

 

 

そんなこんなで夜遅くまで一緒に過ごした。

 

 

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