次話、過去編最終話はこの三連休のいずれかに投稿します
少なからずこの状況を打破出来るであろう作戦は実行出来ずにいた
「万策尽きたか?」
「……これからだろ?」
余り時間は費やせない以上、今実行するしかないが……ミスすればその時点で終わりだ
「いくぞ」
だが、やんなきゃどちらにせよ終わりだろ?
ならやるよ。そして絶対に負けない
ダン
D.Eから一発だけ趙の頭に向かって打つ
「ふん」
キィン!!
弾丸が案の定弾かれる。
だが…
「今だ!!『水煙』」
あらかじめ弾丸に纏わせたステルスの水。それが水蒸気になり、爆発的に広がって上手い具合に趙樊と司馬、俺を含んだグラウンド大のエリアを雲が包む。
これで俺のステルスは完全にスッカラカンだ。
「チッ!なんだこいつは!?」
「無駄だ、これは俺がとかない限り10分はそのままだ」
ダン!
次に心音を頼りにD.Eで敵を撃つ。反応こそするものの、視覚を奪われた趙樊に防ぐことは不可能のはず
そう、不可能のはずだった
趙樊は見えないはずの銃弾を何かで弾いたのだ。
それは、千紗の下に走ろうとしていた俺の足を止めた
「化け物が…」
そう呟くも、いざというときの方法がある
すぐさま残弾が一発のD.Eに細工をして明後日の方向に投げる。
そのD.Eは地面に落ちた瞬間に銃口から弾が発射された。
趙樊は耳だけであそこまでの反応だ、意識を逸らすには十分だ
そして最後のナイフを懐から出して、趙樊に力一杯投げるフリをして、足元にあった木片を投げた
「惜しかったな、失敗だ」
周りを白雲で覆われているはずの趙樊は、木片を粉々に砕いた。
反対側を向いているはずなのに…
最悪だ、そう言うしかない。頭の中の一抹の不安が的中したかもしれない。
いや、おそらく想像通り、趙樊は……
「人造人間っやつか…」
「正解だ。正確にはサイボーグってやつだ」
「通りで致命傷必須の攻撃も受け、斬撃を通すが銃弾を通さなかったのか。」
「よく気づいたな」
「二つだ。1つは頭への銃撃を弾かなかった。次に盲目での木片を弾いた。だろう?」
「一応気にはかけていたんだがな」
どうする?
コルト四発、ナイフ一本
ゴムスタンじゃ効果が薄いよな…
くそっ!!手詰まりかよ。
「いや、武偵は決して諦めるな。だ!!」
先ほどの木片や、銃弾を弾いたことから。おそらくサーモグラフィーやその類いの可能性が高いだろう。
ならば立ち止まっているのはマズイ
俺は趙を大きく回りながら千紗の下に走る。
「千紗、大丈夫か?」
「……一真君…」
千紗は心ここにあらずといった感じで、数秒経ってから目を涙で潤ませながら抱き付いてきた
「ごめん一真君。私のせいで」
「いや、お前の両親を守れなかった俺の責任だ」
「分かった。なら1つだけお願いを聞いて」
「止めろ、願いなら帰ったら聞いてやる。」
だから今は言わないで欲しい。
「ううん、聞いて。お願い」
「……分かった。その代わり絶対に一緒に帰るぞ。蓮井にもまだ奢られ足らないしな」
「……」
「千紗?」
千紗が口ごもる、ここにきて気分が悪くなったか?
いや、違う…
「優那と優姫を抱えて今すぐ逃げて」
は?何だって?
「バカ言うなよ。皆で帰るんだっつーの」
「無理、私が残っ…て」
「お前だって一緒に帰りたいんだろ?」
「無理だよ、おもいっきり負けてるじゃない」
「うっせーよ。勝つから見とけよ」
乱暴に千紗を頭を撫で、こちらを向いているであろう趙の方を向く
秘策、フルに能力を活用する。
その為にも少しだけ時間を稼ぐ
「1つ聞くぞ、趙」
「なんだ?」
「『海都市計画』ってのはなんだ?」
僅かに間があく、質問を間違えたか?
「小僧、人間の欲求は底を知らない」
「よく言うな」
「なら、人間最大の欲求いや、欲望はなんだと思う?」
最大の欲望。人類の征服だとか、巨万の富、最強の力、頭脳。
いや、まさか…
「不老不死…か」
あり得ない、そんな技術存在するはずがない
「そうだ、そしてそれをさらに突き詰めたもの。」
「……再生、いや」
「蘇生。甦り。」
「そんな技術あるわけがないだろう」
「あったんだよ。『Lost Technology』っていう伝説的な技術を持つ都市が、2つも」
なんのガセネタだ。この状況で堂々と嘘を吐ける態度には感服だ
「1つは武による平和を成そうと、武器の技術を極めた都市」
「もう1つは?」
「ただ死なない方法を追及した都市」
武器、確かに趙の武器は見たことも聞いたこともない武器だ。
と、すると。嘘と決めつけるのは早いか…
「そして、前者が空都市、後者が海都市だ」
「嘘か?」
「いや、甦らせることは出来る。それで俺の殺した奴を全員甦らせる」
「ふざけるなよ。そんな不確かな理由で叔父さん達を!!」
そんな嘘か本当かわからねえようなものが目的で…
「倒す。叔父さん達の仇は取る」
「こい!!」
最後の秘策
ナイフを趙に向けて投げる。
そしてそれを撃つ、
ダンダン!
ナイフの速度を加速させる。ナイフの柄を銃弾で破壊し、ヤツのカメラにはほんの数ミリのナイフの刃が弾丸の速度でヤツに向かう
だだ一筋に願う。当たってくれと
だが結果はその願いとは裏腹に、ナイフはヤツに刺さることはなかった。
「脆い鉄だな、そんなナイフなど真っ二つだ。」
……万策尽きた。
銃弾は右のコルトに一発。
雲のような濃霧も消え去った。
残された道は逃亡のみ
「くそがぁぁぁぁぁぁ!!」
逃げられねぇ、千紗も優姫も優那も!!
助けるんだ!!
「冥土の土産に教えてやろう」
「あぁあ!!あぁ!!うらぁ!!」
右銃での殴打、右足の回し蹴り、左足でのハイキック。
型なんてない、ただひたすらに攻撃を打ち込むが、全て防がれる
「空都市とはムー大陸」
「黙れぇ!!」
左銃の殴打、右銃での発砲、右足を使ったローキック、左銃の投擲
全てが交わされ、コルトは切断される
「海都市はアト…ぐふっ……」
何かを言いかけた趙は、急に口ごもり、動きが止まった。
違和感を感じ少しだけ離れる
「司馬ぁ、やっぱテメェ」
趙は司馬の日本刀に貫かれていた
「喋りすぎですよ、樊。」
「やっぱ、この剣が狙いか」
「ふふ、空の産物は素晴らしいですね」
骨董品を見るような目で剣を見る。意味が分からない、仲間割れを起こしたのか?
好都合だ、このまま潰し合え。
「さようなら樊さん。」
「ごめんな、菅原。ごめんなクレア」
そう言い残した趙樊は体を裂かれ、頭にも日本刀を刺されていた
なんで。謝った?
罪悪感感じるくらいなら…。
そんなことを考えが頭をよぎるが、直ぐに司馬に意識を向ける
オーラが違う、格が違う
限界をとうに越え、痛む頭で必死に考えても、逃げる以外に思い付かない
逃げるしかない。0,1%でも生きるために。
「千紗!!逃げよう!!お前ら全員抱えて逃げる……か…ら」
だが既に千紗の体には3本の槍が貫いていた。