亜瑠SIDE
階段を何段か降り、たどり着いたのは地下倉庫、船着き場、地下競技場に繋がる広い通路。
「いくら電気がついているからって言っても、不気味だよね…」
誰もいない場所でぼやく。
魔剣は既に白雪さんを確保している以上逃亡するなら船着き場に向かうかな?
いや、排水溝からの逃亡も考えられる…が排水溝は先生のお陰もあって4つ以外は閉じている。
そのうち2つは教務科の裏だから恐らく敵は来ない。ここから遠い第9排水溝はポイントHとして警備が二番目に手厚。
残った1つはボロボロで、泥やゴミで詰まっていて既に廃棄された排水溝だ。当然これも通れない。
さぁ魔剣。今のお前は袋のネズミだ
「とりあえず競技場に向かうかな」
そこを閉鎖すれば船着き場までの道のりは封鎖されたも同然だからだ。
〜地下競技場〜
「…やっぱりいないか」
そこは人気が無く、魔剣は居なかった。
ブーッ!
不意に携帯が鳴る、
『新着3件。(岡倉先輩)(田口義昭)(服部遼太)』
嫌な予感がした。岡倉先輩はH、田口君はB、服部君はA
とりあえずは副リーダーの岡倉先輩に電話する
「岡倉先輩、どうしましたか!?」
『すまん、敵に侵入された』
「なっ!?そんな手練れが!?」
『違う。ロボットだ。1メートル位のロボット二機にやられたんだ』
ロボット?まさか、この前九州で戦ったロボット!?
だとしたら…死者を覚悟しなければならない
「被害はどのくらいですか?」
『ポイントHは俺以外全員気絶。幸い死者は出ていない』
「ロボの形状と攻撃方法は?」
『筒の上に半球を乗せたようか外装で、僅かに浮いている。戦闘方法は先程の噴射口より一回り大きい穴が機械の周りに5つ、そこから大体ソフトボール大の鉄球を高速で打ち出して攻撃。全員一撃で気絶した。』
「了解。すぐに武島先輩を向かわせます。ポイントCGが封鎖出来次第、そこの武偵も向かわせます」
『頼む…』
くそっ!!戦力を分散させ過ぎた…
なにより、魔剣は二人行動以外しないとたかをくくっていた。
あっ!田口君にも電話しなきゃ
「田口君!!どうしたの」
『うぐっ……志摩か、すまねぇ。へんなロボットに突破されちまった。…俺自体も…狙撃銃を二挺ともやられ、…左手と肋骨を折られた…下手すりゃ片肺に刺さってっかもな…』
「分かった。仕方ないけど独断でそこは閉鎖しよう。これ以上戦力を分散出来ない。」
『ああ、…悪いな』
「大丈夫、ゆっくり休んでて」
そう言って電話を切る。
一体何機来ているんだ…
一機でCランク3人Aランク1人とスナイプ1人をもろともせず侵入か…
ブーッ!!
「もしもし服部君?」
『はぁはぁ、志摩さん。やっと繋がった…』
「どうしたの?」
電話の先の服部君は息切れしていた
『ロボットが現れました。筒に半球を乗せたような1メートル位のやつです』
「なっ!?そこにまでロボが?完全に戦力を減らした所を狙われたか」
『安心してください。何とか壊しました。』
…壊せたの?…さすがSランク
『つっても最後は粉々に自爆しただけですが…他にも居るんですか?』
「うん、他に3機侵入を許したみたいだ」
『弱点があります。奴の首に当たる部分を斬るとカメラのコードも切れて鉄球を撃たなくなりました。私も行きたい所ですが…足を折られました』
「充分だよ。そこのスナイプの先輩を呼んで扉を閉めて、責任は僕が負うよ」
『了解です』
「さすが…だね。でもこれで地下にいるロボは3機。実力はA以上S未満か…」
ロボの強さに不安を抱きつつも、船着き場までの道のりを調査しに向かった
服部SIDE
志摩先輩から頼まれた警備、しかしただの警備じゃない。
星川曰く、菅原先輩が関わっているらしい。
僕はただ真相を聞きたいだけ。
なぜ戦弟である俺を置いていったのだろうか。なぜ先輩は潤を殺したのか。
「あームシャクシャする」
『服部!敵が来るぞ!』
狙撃と監視の為に離れている狙撃科の先輩から報告が来る
数秒後。まるで隕石のように地面に落下してきたモノ。鈍く輝く銀色の筒に透明な半球を乗せた型をしたロボ。その透明な半球の中はカメラのようなものが付いていた
「スターウォーズの観すぎだろ、製作者」
『テキホソク ゲイゲキニウツリマス』
ロボの付いている縦五つに並んだ穴の一番上から球が発射される
それを交わし、球の正体を見る
ただの鉄球?防弾制服対策か?
「硬そうだな、お前」
自分の意思で話すことのないであろうロボに向けて。グロッグを2発撃つ
ダンダン!
キィン!
銃弾は2発とも直撃したにも関わらず、傷1つ付いてない
「硬ってぇな。柴田さん、狙えますか?」
キィン!
遠くから小さな発砲音が聞こえ、ロボに着弾するが傷なし
『硬いな』
「ええ、近接に持ち込みます」
『了解、』
クナイを逆手に構える、もう片手には鉤爪をつける
『テキランク、A』
その機械音と共に鉄球が発射される
それを冷静に交わし、距離をつめる
『ホセイ、A+。ホウダイツイカ』
そう聞こえた次の瞬間に動かなかった下4つの砲台の内の一番上からも発射される。
「Sだ、ポンコツ!!」
かろうじて身を捻って交わし、クナイで斬る
キィン!
『ホセイ、A++。ホウダイツイカ』
上3つの砲台が動く
そして3球が不規則に飛んでくる
「くっ!!」
バックステップで下がり、クナイで至近距離の1球を弾く
「ッ!、なんて重さ…」
壁に反射してきた2球目を体を精一杯反らして交わす。
体勢を戻した瞬間、目前に鉄球が迫っていた
「くそっ!?」
その鉄球は体に当たらず、甲高い音と共に逸れていった
『これぐらいしか出来ないからな』
「すいません、柴田さん」
今の2発でボロボロのクナイを捨て新しいクナイを取り出す
『ホセイ、A+++』
恐らくカメラを切れば視界を奪える。が、あの半球はただの強化ガラスではない。
「絶対硬いな…」
『隙間、狙えるか?』
「柴田さん?」
『首と一番上の砲台の隙間、斬れるか?』
「カメラのコードっすね、やってみます」
観察力の高い柴田さんの言う通りなら、隙間を斬ればコードは切断され、視界を失う
そう考え事をしている間にも鉄球は飛んでくる
それをクナイで冷静に弾くがいかんせん重い。
これ以上受ければ最悪、疲労骨折なんてことになりかねない。
「勝負に出るか」
そう思い、刃が欠けたクナイを捨て忍び刀を抜く
「行くぞポンコツ!!」
飛んでくる3球の鉄球の内2球を交わす。交わしきれない1球を左手で逸らし、ロボに近付く。
『ホウダイツイカ』
「ぐぅ……ここに来て4門かよッ!」
4門目の鉄球が脚に直撃するが、なんとか耐えて忍刀を突き刺す。
「ぐっ、硬い…」
上手く刺さるが、コードには届いていない
「ぐうぁ!!」
4球の鉄球が至近距離で直撃した
『ヒダンカクニン キゼツ』
「退けるかよ…がはっ!!」
再び4球が直撃
『ゼンダンヒダン キゼツ』
「先輩との誓いだよ、ポンコツロボット。この学校には僕の大好きな人が通ってんだよ」
『リカイフノウ ホウダイツイカ』
5門となった砲台から5球の鉄球が放たれ、全て直撃する
「だから、俺が死のうがその人だけは守んだよ!!」
痛みで軋む体を強引に捻り忍刀を殴り付ける
『コード、エネルギーパイプセツダン カメラテイシ プランZ"ジバク"』
「よくやった服部」
「柴田さん…すんません足折ったみたいで」
「気にするな」
動かない体を柴田さんが抱えて離れた。
その直後
『ホセイ S−−。…』
ドォォォォン!!!!
ロボが証拠隠滅をするかの如く大爆発を起こした。
「マイナスってのは気に食わねぇけど…まぁいいか」
「お疲れ服部」
「いえ、柴田さんの観察力のお陰です」
「そんなことより…大好きな人か、誰だ?」
「そ、そんなことより、志摩先輩に連絡入れましょう」
志摩先輩に連絡を入れた後、ホッとして座り込むみ朦朧としてきた意識に逆らうこと無く、そのまま気を失った。