あと、遅れて申し訳ないです
師匠は何故あんな細い腕であの一撃を防げるんだろう?それも師匠四十八不思議のひとつだよね。
なんにせよ、身体は全然動かせないなぁ
「あと一歩だったのに、基礎訓練追加しなきゃいけないわね」
「何者だ!!」
「五月蝿いわね、ちょっと黙ってて」
「なんだと!……ぐふっ!?」
師匠の細い腕は、郷三郎の腹に突き刺さっていた。僕らがどれだけ攻撃してもほとんどダメージを与えられなかった郷三郎が崩れ落ちた。
「す、すごい…」
「全然凄く無いわよ。亜瑠、貴方は強くならなきゃいけないのよ?私だっていつまでも健在でいられる訳じゃないの。だから亜瑠も直ぐに自立しなさいよ」
「うん」
「さてお話は終わった所で…そろそろ出てきなさいよ。茶番もいい加減飽きたわ」
師匠は倒れた郷三郎の方を向きながら告げた。
でもそこには気絶した郷三郎しかいない。あれ、師匠いつからイタイ人に…
「基礎訓練3倍ね」
「すいませんでした!!」
普通で死にかけてるのに3倍なんて…死ねと?僕に死ねと言ってるんですか!?
そんなことを考えていると屋根から誰か落ちてきた。いや、降りてきたか
「メズラシイコトヲシテイルナ」
「何のことかしら?」
全身を黒いマントが覆っていて、顔はフードで確認出来ない上に声すらも機械の合成音声で男か女なのかも分からない。
「オマエハコッチガワノニンゲンダ」
「黙りなさい、それ以上その汚い口を開くのなら容赦しないわよ?」
「オマエニヨウハナイ。シマアル、キミニヨウガアル」
「ぼ、僕?」
「ソウダ」
「な、何の用なの?」
「キミハゼツボウヲシッテイルカ?」
「絶…望?」
「ワタシハキミニキョウミガアル。キミハジキニアジワウダロウ、タノシミニシテルヨ」
「私がむざむざと逃がすと思うのかしら?」
「ナライッセンマジエヨウカ?」
フードから僅かに覗く口元が笑う
次の瞬間そいつは師匠の目の前で銃を向けていた、だが師匠も銃をそいつの頭に向けていた。
早い、ほとんど目で終えなかった。
「腕は衰えたようね」
「ワラエルジョウダンダナ」
フードのそいつはゆったりとした動作でマントから球体のナニカを落とした。すると師匠がその場所から飛び退いた。
そのナニカが爆弾だと気付いたのはその球体が強烈な閃光と熱波を放った後だった。
爆煙が晴れた後、フードのそいつは郷三郎を肩に抱えていた
「マタジキニアウコトニナルダロウ。ゼツボウハソノトキニ」
フードのそいつは天井の穴に出ていった。
何だったんだろう?
「気にしないことね亜瑠、アイツはいつもあんな感じよ」
「知り合いなの?」
「だったって表現の方が正しいわね」
「だった?」
「傭兵時代の知り合いよ。なんせ傭兵なんてものはより安全で大金が入る国や軍や組織に属する、まぁ例外はあったりするんだけど。つまり昨日の友は今日の敵ってこと。アイツとは何度も撃ち合ったり背中を任せたりしたのよ。だから知り合い」
「ふーん。って師匠まだ傭兵じゃなかった?」
「それより、とりあえずこの場よ。それに亜瑠も動けないでしょ?」
師匠は笑いながら僕を背負った。
「安心しなさい、もうすぐで衛生科の武偵が来るわ。それにリベンジ任務も用意してるわよ」
「また任務?」
「ええ、でも今は寝て良いわよ」
「うん…」
僕は師匠の背中の暖かさを感じながら深い眠りに落ちた。
意識を取り戻すと自分の部屋のソファーの上にいた。
「目が覚めたか、亜瑠」
「ちょうどいい。お前も栄養つけとけ」
リビングのテーブルではキンジがご飯を食べ、一真が料理を幾つも作っていた。
一真の方は幾つか頬に1ヵ所だけ絆創膏しているだけで目に見える外傷はない。キンジは外傷は多いが一真よりは元気そうだ。どっちかと言うと一真は少し元気がない。
でも、何時間寝たか分からないけどお腹すいてるからご飯を貰おう。
そう思って身体を動かそうとすると身体中に痛みが走った
「痛っ!!」
「どうした?」
「あー、そういや確か森さんが亜瑠は3日は動くこと禁止、勿論トレーニングも禁止だってよ」
「なんでそんな大事なことご飯食べながら思い出すんだよ!!つか、とりあえず箸置いてもらっていいかなキンジ君!!」
なんなんだよあとすごいお腹減ったんだけど。
「その事なんだがな、俺達はこの前の事件の後処理が残ってるんだ」
「ああ。俺の場合敵の人達がなんか俺を慕ったのか知らないが、やたらとアニキと呼んできたりとか」
ああ、はいリア充ですね。ちょっと黙って貰えますか?
「だから俺達はさ、今日から3日間俺達はほとんど帰れないんだ。だから3日間誰かに世話を任すことにしたから」
「え?そうなの!?ってかトイレは?」
「ああ、薬で毎日1回で済むようにしてるからその時はトイレまで肩貸してやるよ」
「ごめんね一真、あとキンジ箸じゃなくてフォークならOKじゃないからね!!フォーク置こうか!」
「ん、悪いな。じゃあ俺は行くから」
フォークを置いたキンジは鞄を持って出掛けた。
「アイツは今日さっき起きたばっかなのに学校から呼び出しなんだ、勘弁してやってくれ」
「そうなの?あー、さっき言ってたね。じゃあ一真は何をしたの?」
「組長の部屋の全壊、組長殺害犯の検挙失敗だな」
「え?じゃあ失敗?」
「いや、金は回収したから成功は成功なんだが。あ、俺も時間だ悪いな」
時計を見ると12時半をさしていた
「もうすぐしたら世話係が来るからな、せいぜいあーんでもしてもらえよ」
僕をベッドに運んだ一真は最後にそう言って出ていった。
あーん!?ってことは女子!?一真に女子の知り合いなんて居たっけ?コミュ障の一真に友達自体…いや、今の僕にとっては神様にもなりうるよ。
一真神さま本当にありがとうございます!!!!
ピンポーン!
キタァァァ!!
「どうぞ入ってください」
「よぉ亜瑠。一真に頼まれて来てやったぞ」
「男は帰れぇぇぇぇぇ!!」
なんで武藤君なんだよ!!なんでガチガチ体型なんだよ!!なんで男なんだよぉぉぉぉぉぉ!!
「ごめん武藤君、一真呼んできてくれる?」
「さっきから聞いてりゃよ、お前に女が来るわけねぇだろ?」
「よし、表出てみようか?」
「黙って休んでろ病人。ほれ、リンゴジュースだ」
「寝てるじゃん。指一本すら動かないし」
武藤君はため息を吐きながら持ってきたビニール袋から紙パックのジュースを投げた。
「そこはリンゴ剥いてくれるんじゃないの?」
「俺みたいな男に剥いてもらって嬉しいか?」
「…謹んで遠慮させて貰うよ」
「てゆうか、指一本動かないからストロー差して飲ませてくれないと」
「本当に不便だな。ほら」
「ありがと」
本当に不便だよ。まぁ身体を起こしてるし、テレビ見てるだけで暇は潰せるんだけど……
「にしても3日も休まないといけねぇのか…」
「正直あんな筋肉さんと戦うとは思わなかったよ」
「へー、どんな人だったんだ?」
「まずコンクリートの壁を指の力だけで引き剥がしたでしょ?」
「えっ!?」
「殴っただけで成人男性を10メートル位飛ばすでしょ?」
「マジ!?」
「それで確か年齢が60は軽く超えていたはず」
「あー、お疲れ様です」
武藤君は驚きを通り越していた。うん、自分でもそう思うよ。
「あとは、飯だな。一応一真が用意した料理があるが…食べさせてやろうか?もしくは8秒飯ってフレーズのゼリーにしとくか?」
「8秒飯の方で」
ちょっと食べさせられたらって想像してみると、吐き気がした
『じゃあ、食べさせて』
『おう、ほらあーん』
『あーん。うん、なんか恥ずかしいね』
『旨そうだな俺も貰うぜ』
『あ、そのスプーン』
『あ、わ、悪い…』
『う、ううん、大丈夫…』
『『………』』
「おえぇぇぇ」
「大丈夫か亜瑠!?どうしたんだ急に!?」
言えない、薔薇的な展開を想像したら吐き気がしたなんて言えない…
「だ、大丈夫。8秒飯ちょうだい」
「そうか」
吐き気を抑えなんとか8秒飯を嚥下した。
すると、少しだけ眠気がきた
「なんだかこういう時っていつも以上に眠たくなるよね?」
「ん、寝るのか?」
「うん、そうするよ。おやすみ」
「おやすみ」
そのまま僕は眠った。
書き溜めが一向に溜まる気配がない…