緋弾のアリア 守護者とFランク武偵   作:暇人鶯

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第91話 明晰夢(めいせきむ)

 

 

中空知さんが居なくなって、直ぐにインターホンが鳴った

 

「どうぞー」

「失礼するのだ」

 

その語尾で誰かは直ぐに判別できた。装備科Aランクの平賀文だ

 

 

「お見舞いに来たのだ!!」

 

そう言って近場にあるコンビニの小さめな袋をテーブルに置いた。結構パンパンだなぁ。しかも、わざわざお見舞いに品物をくれるなんて意外と律儀なんだなぁ

 

「わざわざごめんね、平賀さん」

「きちんと工具も持ってるから。全然大丈夫なのだ」

「工具?ああ、もしかしてそのビニール袋の中?それともカバンの中?」

「カバンは工具だけで、これは全部あややのお昼ご飯なのだ」

 

僕の感心を返してよ。

 

「ん?工具?ここで何かするの?」

「ふっふっふっ…聞いて驚け泣き叫べ!今から菅原君のお部屋チェックなのだ!!」

「ピッキングかい!?っていうか勝手に覗くと怒られるよ?」

 

そう聞くと平賀さんは笑みを浮かべながらある本を取り出した

ふむふむ『彼氏の部屋を漁ったのがバレない10の方法と214のコツ』

コツ多っ!?

どこ出版なの!?

 

「実は装備科の知り合いから貰ったのだ!!」

 

無い胸を張る平賀さん。やっぱり見かけ小学生だなぁ。なんて言うんだっけ?そうだ、合法ロリだ。その手の人には人気だろうなぁ。

まぁ僕はレキさん一筋だけどね

 

 

「開いたのだ!」

「ピッキング早っ!?怒られても庇わないよ?」

「大丈夫なのだ。さてさて、お部屋探索と言えば勿論……」

 

ああ、エロ本か

 

「改造装備なのだ!!」

「ちゃうんかい!?」

 

駄目だ、つい関西弁になってしまった。

 

「うわぁぁ!!」

「どうしたの!?」

「これはあややが高くて買えなかった高性能スコープ型グレネードランチャーなのだ!?」

「え?ただの双眼鏡にしか見えないけど…」

「えぇ!?」

「今度はなに!?」

「こ、こっちには小型設置式四連装ロケットランチャーなのだ!軽自動車なら軽く吹き飛ばす威力!」

「え?なにそれ?それブラウン管のテレビじゃなかったの?」

「にゃああ!!」

「まだあるの!?」

「え、円盤型跳躍地雷なのだ…」

「か、掛け時計…だよね?」

「うにゃああ!!」

「次はなんなの!?」

「固定型三連装セントリーガン!?」

「待って待って待って恐い。一真恐い。どんな部屋なんだよ!!」

「兵器だらけなのだ」

 

うん、なんで目がキラキラしてるかについては突っ込まないでおくよ

そして扇風機を指して恐る恐る聞く

 

「あれは?」

「円形刃射出機」

「斬れるの!?じゃ、じゃあ季節外れのそのストーブは?」

「設置型センサー火炎放射機なのだ」

「ま、まさかあのテーブルとか…何も無いよね?」

「『戦車の大砲。百発受けてもだいじょーぶ』というコンセプトの下に作られたイロハ机という机なのだ」

「なんかそのコンセプト聞いたことあるんだけど…」

「ちなみに、机のカバー中に色んな銃があるのだ」

「ごめん、僕もう一真が分からない!」

 

あと目がやたら輝いている平賀さんも…

 

「誰か助けて!見舞いどころかツッコミで凄いしんどいんだけど!!」

 

 

そして叫んで後悔した。

 

「アルアルよんだぁ?」

「ご、ごめん、理子ちゃんがいるとバッドエンドしか見えないよ」

 

しかし理子ちゃんは僕の言葉を無視して一真の部屋に入った。

もう怒られても絶対知らないから…

そうして僕は目を瞑った

 

 

ドォオン!!

 

 

「何故に爆発音!!!?」

 

いやいや、なんで一真の部屋から煙出てるのさ!!

 

「おー開いた開いた。うーん煙たいな〜。あ!扇風機つけちゃお」

「理子ちゃんそれ兵器ぃぃ!!」

 

僕に向かって三枚の刃が飛んできた。

が、辛うじて僕に当たらず枕を切り裂いただけで済んだ

 

「ハ、ハハ、アハハハ…」

 

駄目だ。これ以上関わったら命がひとつじゃ足りない……よし、目を瞑ろう。何があっても我関せずを貫くんだ

そして数分後、一段落したのか周りからしていた物音が無くなり、扉を閉める音が聞こえた。

 

 

「ふぅ、ためになったのだ」

「ふふふ、やっぱりカズやんも持ってるんだね…」

 

「ふ、二人ともいい笑顔だね。あれ?理子ちゃん勝手に本なんか盗っちゃだめだよ」

「ふふふ、聞いて驚け叫び叫べ!!」

「二回も叫ぶの?」

「カズやんの部屋から出てきた3冊のエロ本のご紹介タ〜イム」

 

「「えっ?」」

 

僕と平賀さんの反応が被った

っていうかなんてもの盗ってきてるのさ!?

 

「ふむふむ、銀髪ハーフモノと清純派モノと男装モノ…レパートリーに富んでますな」

「は、はわわ…」

「こんなとこで分析しないで!!平賀さんが何を想像したのか顔真っ赤で煙あげてるから!!」

「そしてアルアルの部屋から6冊!!」

 

「いやぁぁぁ見ないでぇぇぇ!!!!」

 

 

嘘だ、アレは僕の部屋のマットレスのカバーの中に一冊の囮にして他の全部を本棚の教科書&参考書集の中にバラバラにして参考書のカバーを被せて隠していたはずなのに…

 

「ふむふむ、ケモミミロリっ子が2冊、ロリ無口っ子が2冊、ケモミミ無口っ子が1冊、巫女さんが1冊」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

「ふむふむ、巫女さん以外は全部純愛系だねぇ〜?」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

終わった。

同級生に性癖を晒すなんて……。さようなら、僕の青春の3年間

 

「要はアルアルはケモミミで無口なロリっ子が好きと解釈した!おーけー?」

「お、おーけー」

「要はケモミミを着けたレキレキが良いわけだ。おーけー?」

「おーけ。って何で勝手に決めつけてるの!?」

 

……性癖がバレた上に好きな人までバレたら高校3年間どころか生きていけない

 

「ふーん。で、この巫女さんを寝取るやつはアルアルのじゃないよね?」

「む、武藤くんのです」

「くふふ。それでレキレキの情報を得ようとしたのがまるわかりだよ?」

「いやいや、レキさん関係無いから!…あの、その『分かってるよ、ったく世話が焼けるな』みたいな顔やめてもらっていい?」

 

 

そこから弁解に弁解を重ねてなんとかここだけの秘密ということになった。

一真の部屋は平賀さんが持ってきた例の本のおかげで探索前と変わらない配置になった。

凄いな214のコツ。

そして僕の身体を起こして貰って夕食になった

 

 

「今日はキンジも一真も遅いから助かるよ」

「いいよいいよ。カズやんのご飯美味しいから」

「そうなのだ!」

 

いつの間にか復活した平賀さんも理子ちゃんに同意する。

今日は一真がカレーを作っておいてくれた。相変わらず凄い家事スキルだなぁ

 

「うーん、この辛さがちょうどいいなぁ」

「あややには少し辛いけど、それでも凄い美味しいのだ」

「うん、やっぱりカズやんのカレーは美味しいねー」

 

平賀さんに食べさせてもらいながら三人で談笑し合った。

 

 

そして一真が帰ってきた。

 

怒られた。

 

 

 

僕はベッドだが、平賀さんと理子ちゃんが正座させられた

 

「おい、お前ら。人の部屋漁って何してやがった?」

「ちょっと待って一真!僕動けないから無実だよね?」

「じゃあ何で俺の部屋の金庫の中にあったはずの本がお前の枕元に置いてあるんだ?」

「これは理子ちゃん達が置いたんだ!!」

 

そう言うと理子ちゃんの肩がビクリとした。

 

「おい峰。犯人はお前か?つか、正直こんなもんを漁るのはお前以外に当てはまらないが…」

「か、カズやん!!提案がある!!」

 

ん?今さら何を言うつもりなのかな。っていうか一真も冷静に考えたら僕や平賀さんが部屋をあさ……僕が部屋を漁るわけないじゃないか!!

 

「疑わしきは罰せよ!!皆でやりました!!なので皆で罰受けます!!」

「「理子ちゃん!!!!??」」

 

売った!逃げきれないから仲間を売ったよこの人!!

 

「はぁ…まぁいい。この本は後で武藤に送り返すとして…金庫は平賀と峰に弁償してもらうからな」

「待ってよカズやん!!アルアルが罰せられてないよ!!」

「そうなのだ!不公平なのだ!」

「動けないコイツが爆薬なんか使うわけねぇだろ。それともなにか?倍にしてほしいのか?」

「「喜んで弁償しますっ!!!!」」

 

やっぱり君は最後にはそう言うと思っていたよ。

ありがとう一真!!

 

 

 

「ほらお前ら、もう時間が時間だぞ。送ってやるから帰り支度しろ。亜瑠も薬を飲め」

 

 

一真の一言でその場は収まり、お開きになった。

僕も薬を飲んで眠った。

今日は楽しめた。午前中には良い話を聞けたし、午後はなんやかんやで飽きなかった。

明日が楽しみだなぁ。誰が来るんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、目覚めたのは夕暮れだった。

窓からは斜陽の光が部屋を赤く照らしていて、部屋の隅には赤く染まった人形のような少女が壁に座り込んで寝ていた。

 

その少女本来の青みがかった髪と斜陽の赤が混じり、とても幻想的だ

 

ん?あれ?

 

「レキさん?」

「……どうも」

 

僕の声に反応するように彼女の目が開き、声をだした。

間違いない。レキさんだ

 

「え?なんでレキさんが?」

「一真さんに頼まれたので」

「一真に?」

「はい、依頼のご褒美だそうです。何がご褒美なのかは分かりませんが」

 

一真、僕は今までで一番君に感謝したい。

この恩は絶対返すからね!!

でもさ、正直空気もたないんだよね…

 

「い、いい天気だね」

「そうですね」

「うぐっ……晩ご飯なに食べたい?」

「特になにも」

 

会話が続かないなー何故だどうしてだー。

な、何か話題を!

 

「くっ……レキさんは何か好きなものある?」

「特に」

「………」

 

もう、だめか

 

「志摩さんは強いですか?」

「へ?」

 

つい呆けた返事をしてしまった。

僕が強いかって?なんでそんなこと……

 

「僕は、強くないよ」

「志摩さんは特別な人間になりたいですか?」

 

特別?それってまさか……私の特別な人になってください的なアピールですか!?

 

「なりたいです!!なれるなら今すぐにでも!!」

「風は言っています。ここが貴方の人生を変えるターニングポイントだと。『貴方は進む為に後悔をしますか?それとも後悔しない為に強くなれますか?』」

「レキさんが何を聞きたいのか分からないけどさ、その質問に答えるとしたら『進む為に強くなる』今の僕に後悔してる時間は無いからね。っていうかレキさんは何が聞きたいの?」

「直ぐに分かります」

 

それだけ言うとレキさんは鞄の中からカロリーメイトを取り出して食べだした。

何が言いたかったのかは気になるが、今はレキさんがカロリーメイトを食べる姿を見てみよう

リスみたいで可愛い。

可愛いなぁ

 

「あ、そうだレキさん。一真が作った料理あるんだけど、そっち食べない」

 

 

やましい気持ちは無い。

決して、レキさんがついでに僕にあーんしてくれるなんて毛ほども思っていない。

 

「では頂きます」

「うん、冷蔵庫にあるはずだからチンしてくれるかな?」

 

 

コクリと頷いたレキさんはキッチンへと消えた

 

数分後、チンという音が鳴り、レキさんは2つのお皿を持ってきた。山のように乗っているのは五目チャーハンだ。

そして僕の机に並盛より少なめの五目チャーハンを置き、レキさんは大盛五目チャーハンを食べ始めた。

 

「け、結構食べるんだね……」

「?」

 

首を傾げるレキさん可愛い。そんなことを考えていると僅か二分ちょっとで食べ終えた。

あの小柄な体のどこに入るのか…

そしてレキさんは何かの紙を取り出して読み出した。

 

「あれ?レキさん、その紙って何?」

「これは指令です」

「誰からの?」

「秘密だそうです」

 

それだけ言うと、レキさんは別の部屋に向かった

だが、レキさんは直ぐに帰ってきた。

 

 

…猫耳を着けて

 

「ね、ネコ?」

 

現状を全く把握出来ていない僕に対して、レキさんはいつもの無表情でスプーンを持って僕のエビチャーハンをすくい、僕の開いた口に入れた。

 

うん、おいしい

 

違う、何が起こった!?

レキさんが僕に猫耳でチャーハンがスプーンであーんを食べた。

あれ?何考えてるんだろう?

落ち着いて整理しよう。

 

レキさんが猫耳→失神するほど可愛い

レキさんがチャーハンをスプーンですくい、僕に食べさせた→あーんってやつ

 

なるほど……

 

 

 

夢か

 

 

なら充分楽しまなくちゃね。

あーん。もぐもぐ。

 

「うん、ただでさえ美味しい一真の料理が倍に美味しいよ」

 

褒めても笑顔になることは無い。現実で笑顔も見たこと無いからね。

でも猫耳って欲望出過ぎだなぁ。

いや、夢だからノープロブレムだ

 

一口一口味わい、いつの間にか食べ終わっていた。

 

「ご馳走さま。ふーっ、ありがとうレキさん」

 

レキさんは返事することなく再び紙を見た

 

「薬を飲むようにと書かれてあります」

「うん」

 

棚にある『薬(亜瑠)』と書いてある薬を取ってもらい、飲ませて貰った。

 

「何から何まで色々ありがとねレキさん。あ、あと…最後にさ、いや、無理だったら強要しないし断ってくれても全然問題無いんだけどさ………ニャーって言ってみてくれないかな」

「にゃー」

「ぶはっ!?」

 

鼻から血液こそ出はしなかったが、僕は気を失った。

いや、夢だから気を失うことは無いんだろうけど

 

ただひとつ言うなれば。

 

 

可愛かった。

 

この一言に尽きる。

 

 

 

 

次の日

 

目覚めたら誰も居なかった。時間的にまだ部屋で朝御飯食べてるか、支度してる位の時間のはずだけど……

 

「書類か…。なんか気が重いなぁ」

 

まぁ自分がやったことだからだけど…

 

僕は一真が毎朝作ってくれている朝御飯をチンして食べて、テレビを見ていた。

一週間ぶり位のニュース番組は見ていて飽きない。色んな報道がある。

 

そしてひとつのニュースが入ってきた。

 

 

『えー今朝未明に発生した東京武偵高校で武装組織によるテロ事件での被害は東京武偵高校全域に及び、政府にも甚大な影響を及ぼしている模様で……』

 

 

「え?」

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