遅れてすみませんでしたm(__)m
僕はニュースを聞き、頭が真っ白になった。
次にニュース映像が流れる、学園島を空から撮影しているようだ。
学園島の各所から煙が上がり、強襲科と教務科がある建物は倒壊、炎上していた。
「なん…で?」
数秒後、真っ白だった頭が携帯の着信音ではっきりした。
『亜瑠!!聞こえるわね!!』
「し、師匠?」
『時間が無いから手短に伝えるわよ。この前に相手していた指定暴力団の親玉の組、三浦組が中国、イラクの武装組織と手を組んで学園島を襲撃したわ。直ぐに公安0課の職員が出動して寮がある辺りは無事のはずよ。亜瑠は無事よね?』
「う、うん」
『亜瑠、悪いけど詳しく説明している暇は無いわ。直ぐに理解しなさい』
「分かったよ」
『今は学園島内にいる敵はほぼ逮捕したはず。貴方には最後の任務を与えるわ、これを終えれば免許皆伝よ。
そして最後の任務は……今回の事件の首謀者を倒すこと。そっちに迎えを用意したわ。その車で任務を受けなさい』
携帯が切れた。
早口で言われたが理解した。要は首謀者とやらを捕まえれば免許皆伝。半人前の僕とはおさらば出来るってわけだ。
携帯が切れて少し経つとインターホンが鳴った
「志摩さん。いらっしゃいますか?森茜さんから頼まれて来ました」
「はい。今行きます!」
扉に向かって返事をして自分の部屋に駆け込み、防弾制服を羽織って各種ナイフ十本を服に仕込んだ後、ニューナンブをレッグホルスターにしまって弾や色々な物が入ったウエストポーチを腰に巻いて部屋を出る。
「凄いなぁ。昨日まで体が動かなかったのが嘘みたいだなぁ…」
今朝目が覚めてから身体が軽い。理由こそ分からないし、薬なんて武偵高で習った応急薬位の知識しかない。
とりあえず今は任務を頑張ろう。薬なんて後で一真な聞けば済むし…
「すいません待たせました」
ドアを開けると黒スーツを着てサングラスを掛けたのスキンヘッドとオールバックの男性二人が立っていた。
「構わない、数少ない仕事仲間だからな」
「よ、傭兵なんですか?」
「ああ、俺は傭兵だ。こっちは政府の役人だ」
オールバックの男性が紹介をしながら黒塗りの高級車に乗せて貰った。
僕は車内に入り車が発車すると、今度は自分の紹介をした
運転手はスキンヘッドの男性で、僕とオールバックの男性は後部座席に座っている
「あの、自己紹介が遅れました。僕は志摩亜瑠と言います」
「ああ、お前のことは森から聞いてる。さっきも言ったが、俺は傭兵の桐原(きりはら)だ」
「僕は政府で勤めている早河(はやかわ)です。貴方と同じ茜師匠の元弟子ですよ。」
「え?師匠!?」
「はい、あの師匠」
スキンヘッドの桐原さんは運転をしながら改めて自己紹介してもらい、オールバックの早河さんは容姿に似合わず丁寧な口調で自己紹介してもらった
そしてなんと早河さんは師匠の元弟子、つまり僕の兄弟子に当たる人らしい。
そんな話は1度も聞いた事がないけど…
「多分志摩君にはピンと来ないと思いますよ。何せ師匠は僕のこと嫌ってますからね」
「何かしたんですか?」
「まぁ、その…いろいろとですね…」
急に歯切れが悪くなった早河さんに更に師匠の事を聞こうとしたが、運転席の桐原さんが会話を止めた。
「いつまで世間話しているんだ、時間が無いんだぞ」
「すいません」
「お前が謝るな、志摩。早河、任務の説明だ」
「分かってますよ桐原さん。では志摩君、今回の任務の説明です。
任務はある人物を捕まえて欲しいんです」
「はい、聞いてます」
「なら、説明が楽で助かります。捕まえて欲しい人物とは、鉢柿郷三郎を拉致した人物が今回の事件の首謀者です」
聞いて直ぐ様脳裏に映った。
声は機械音、濃紺のマントとフードそして、郷三郎すら容易く沈めた師匠と同等の実力はあるだろう敵。
「そんな人、僕だけじゃ倒せないよ…」
「別に貴方だけに任せようという訳ではありませんよ。今から貴方の味方になる人達の所へ案内します」
「味方?誰?」
「行けば分かります。今回は諸事情で僕と桐原さんは手伝えませんが、その方達はそれなりに強いですよ」
手伝えないのか、この二人は見るからに強いオーラを感じるから凄く助かるんだけどなぁ。
でも、兄弟子の早河さんが強いと言ってくれるなら相当強いのだろう。
僕は適度に緊張しつつも、焦りながら味方の待つ目的地へ向かった。
学園島は大丈夫なのだろうか…
寮を出て30分ほど経ち、車が高速を降りてすぐの住宅街の中にある小さな一軒家の前に止まった。
「志摩。着いたぞ」
「はい、ありがとうございました」
「気にすんな」
「では志摩君、今度またゆっくり話しましょう」
「はい、是非。桐原さん、早河さん。ありがとうございました」
そう言って車を降り、二人を見送った。
車を見送った後、家のインターホンを鳴らすと聞き覚えのある声が聞こえた。
僕は名前を告げると扉の鍵が空き、扉が開いた。
「よぉ、久しぶりじゃねぇかヘタレ」
「び、ビッチ!?」
「誰がビッチだ!?」
「ほら、下がれ由梨。久しぶりだな志摩亜瑠」
「翔次郎さんまで…」
「とりあえず入れ、話はそこからだ」
久々に顔を合わせる二人
この前、郷三郎と戦った時以来だ。あの時は僕が気絶したせいできちんとお別れ出来なかった。
部屋に入り、周りを見渡すと鉢柿組の面々がベッドの上で寝ていたり、ソファーで膝枕をしていた…オイコラ、今何が起きてるか知った上でイチャコラしてるのかそこの二人組
「改めて、久しぶりだな志摩武偵」
「……爆発しろこんちくしょう」
「志摩武偵?」
「あ、ごめんなさい。何の話だっけ?」
「話はまだだが、とりあえずうちの面々を紹介しようか」
「うん、是非」
「先ずは、右のベッドに寝てる人が田中さんって言ってうちの中でも親父を抜いて三番目に近接戦闘が出来る人だ」
「ああ、僕が一撃でのした人か」
するベッドがビクッと動き、田中さんは頭から布団を被った。
意外とトラウマだったのかな…
「んで真ん中の女が白川、うちの中で一番不憫な奴だ」
「ちょっと若!!なんてこと、いつっ!?」
「唯を弾丸から庇ってくれたんだが傷が一番深くてまだ寝込んでるんだ」
「ああ、ど、どうも」
「うん、こんにちは」
ベッドから体を起こそうとしている長髪の美人に会釈する。び、美人だと緊張するね…
「次は左に寝てる人だが、うちの最高幹部の井上さん。今は寝てるけど射撃の腕なら組一だ」
「へぇ」
「で、そこで膝枕してる方は加奈でされてる方は橋田だ」
「うん、爆発しろ」
「加奈は唯の側近で橋田はうちの近接戦闘で俺に次ぐ強さだな」
「なるほど。爆発しろ」
「後は俺が翔次郎で、2階に雨宮唯がいる」
「うん、君たち二人はしっかり覚えてたよ」
自分の記憶力に関心しながら頷く。
「最後にコイツが由梨って言って…」
「ビッチでしょ?」
「よし、表でろよチビヘタレ!!」
「誰がチビヘタレだ」
相変わらずこのビッチは口が悪い、ふざけんな。僕は平均よりちょっと小さい位じゃないか。ちょっとビッチより低いだけじゃないか!
所構わずキスばっかして体操服のコスプレして逆レイプしようとしたビッチより数万倍マシだよ!!
「お前らまた拳骨食らっとくか?」
「ひぅ!?」
「…ビッチ?」
由梨は頭を守るように抱えてうずくまった
「お前ら次から罵倒した方に拳骨一発入れるからな」
「「はい!」」
何らかのオーラを感じ取った僕らはすぐさま返事をした。と言うかさせられた。
「ほら、普通に呼べ」
「ちっ」
「よし、由梨拳骨だな」
「ちょ、分かった呼ぶ呼ぶ!!志摩」
「うん、よし。次、志摩」
「……そういえば名字知らないんだけど」
なんか名前で呼ぶにはちょっと照れ臭いし…
「名字なんかねぇよ」
「え?」
「強いて言うなら鉢柿だ」
「ちょっと待って、どういうこと?」
「コイツは捨て子だ…昔親父が連れてきたんだが、詳しいことは分からずに今まで育ってきたんだ」
「………」
「重くなんじゃねぇよ。オレには今があるんだ、いちいち過去なんざ気にしてられっかよ」
「そうなの?」
踏ん切りつけてるんだね。そこは素直に尊敬出来るし、強いってのが分かるよ
……で、
「結局名字で呼べばいいの?」
「名前で呼べよ、うざってぇな」
「じゃ、じゃあ……由梨…ちゃん」
「ち、ちゃん付けで呼ぶな!!」
急に照れ臭くなり、いつも友達を呼ぶようにちゃん付けで呼んだ
呼んだら、急に顔を赤くして殴りかかってきた。
「痛い、痛いって!分かったよ。由梨!」
「よよ、呼び捨てすんじゃねぇ!!」
更に顔を赤くして蹴り掛かってきた
と言うかもうどう呼べばいいのか分かんなくなるから
「何イチャイチャしてんだよ亜瑠」
「イチャイチャなんてしてないよ!!…っていうか一真!?」
階段から唯さんを背負って降りてきた
「何で一真がここにいるのさ!?」
「何でも何も今回の作戦をお前の師匠から高額で委託されたんだよ。それに俺が今回の作戦のリーダーだ」
「僕の師匠との繋がりよりも今回の作戦よりもリーダーが一真だっていうのよりも、幾らか気になるんですが!?」
「…守銭奴」
「翔次郎さん!!今ビッチが僕のこと馬鹿にぶべっ!?」
「どふっ!?」
翔次郎さんの腹パンが僕と由梨さんに突き刺さった
「喧嘩両成敗。菅原。もう良いのか」
「ああ、雨宮は筋がいい。後は俺では教えることは厳しい、専門の場所に行ってくれ」
「構わない、わざわざすまなかったな」
「気にするな。好きでやったことだ」
ん?何の話だろう
「さて、全員が揃った所で今回の作戦の説明をしよう」
テーブルに何かの紙を広げ、僕と翔次郎さんを呼び説明を始めた。
「今回の犯人は既に特定済みだ」
「え?」
いくらなんでも早過ぎやしないかな?そんなに早く…
「おい亜瑠。聞いているのか?」
「あ、ごめん」
「しっかりしてくれ。じゃあ説明を続けるぞ
犯人は東京武偵局に勤めていた男性でランクはAだが、限りなくSに近いAランク武偵らしい。名前は森野夕一、年齢は31歳。他にも他県の武偵が三人ほど手を貸しているらしい。居場所は東京より南に数十キロ船で進んだ先の無人島に潜伏しているらしい」
「ちょっと待って一真。なんでそこまで分かってるのに武偵局とか公安0課は動かないの
さ?僕らみたいな高校1年生とか翔次郎さんみたいな反社会勢力が動くよりよっぽど安全じゃないか」
「そうできりゃ武偵局も俺たちなんかに頼むかよ」
一真は苦い顔でそう言った。よほどの理由があるらしい。
「理由聞かせてくれないかな?」
「ああ。
今回の犯人である森野は元傭兵なんだ。その腕を見込んだ武偵局は武偵として東京武偵局に呼び込んだんだ。だが森野は3年間勤めた後、機密情報を持ち出して他組織とともに武偵高を襲撃した。ここまで武偵高校が何も出来なかったのは警備体制が洩れていたからだ。
そして公安0課が動けないのは武偵局が公安0課に洩らしたくない情報があり、それが漏洩するのを防ぐ為に公安0課には森野の事を伝えていないからだ。」
「それって武偵局が動けない理由じゃないよね?」
「武偵局なんて大きい組織が動けば森野の事がバレる。Sランクの武偵を動かせないのも同じ理由だ。だからたった武偵高一年生の武偵や組長不在で崩壊寸前のコイツらが動くんだよ。公安0課も一々俺達みたいな末端まで監視出来ねぇからな。
だから俺達だけでやるんだ」
「なるほどね…」
でも、やっぱりおかしいと思う。
状況じゃなくて一真が、だ。
今回の任務、明らかにこちらに不利。いくらAランク未満の僕らが束になろうとAには勝てない、そこには超え難い壁があるからだ。それに相手は4人は確実に居る。諦めるのは嫌だけど勝てる見込みは薄い…
そんな任務、一真が易々と受けるはずがない。
「分かった。その森田を倒せば親父は取り返せるんだな。ならやるぜ」
「ちょっ!?待ってよ翔次郎さん!こんな不利な戦い、無理して参加することなんてないんだよ。任務なら僕達で出来る」
「バカかお前は」
後ろから声が聞こえた。
「由梨ちゃん?」
「オレ達の組は崩壊寸前だぜ?そもそも戦わないつもりならこの場にすら居ねぇよ」
「由梨の言うとおりだ。俺達は最初から親父を取り戻すことが目的。それさえ出来れば組なんて要らないんだ」
「相手は武偵じゃないんだよ?死ぬことだってあるんだよ?」
「死ぬことが怖くてヤクザやれねぇよ」
「つーわけだ菅原。話続けてくれ」
人は覚悟を決めると強くなると師匠が言っていた。
今の翔次郎さん達には心配する事自体失礼にあたるほどに強いだろう。
でも……
「…以上だ。作戦決行は明後日の早朝4時だ」
そうして心の中に疑念を抱きながら明後日を迎えることとなった。