緋弾のアリア 守護者とFランク武偵   作:暇人鶯

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第94話 決着と接触

やってやる。

そう大口を叩いたはいいが、全くもって対策が浮かばない。

今までこういう搦め手を使う敵を想定して訓練をしたこともなかったし、やるとも思えなかった。

いや、言い訳はよそう。今はとりあえず前を見て

 

「あれ?、いない」

 

気付けば背後に立っている長谷川

 

「いつの間に!?くそっ!!」

 

振り返りながら、ナイフを振り抜くが、2本の指で容易く止められた。

どうにか引き抜こうにも、尋常じゃない力で挟まれている

 

「やれやれ、岩にナイフを突き立てて、なにを、遊んでいるのか。」

「え?、長谷川じゃ…ない……」

 

僕が長谷川だと思っていたのは、洞窟の壁だった

おまけに、亀裂に突き刺さったナイフはきつく食い込み、抜けない。

最後のナイフを、失った

 

「もう、わかりましたか?貴方は私には勝てない。それぐらい対面した時点で分からなければ、いつまでたっても無能武偵ですよ?」

 

長谷川が笑う

外の天気も僕を嘲るように雨音が増し、雷鳴も増えた。

 

「そろそろ天候も悪化してきたようですので、終わらせますか……」

「く、くそ……なにか、手は…」

「ほらほら、逃げた方がいいんじゃないですか?」

 

徐々に近付く長谷川、僕は近くにいた翔次郎さんを抱えて、逃げた。

 

「すま…ない。志摩武偵。」

「何も、しゃべらないで」

 

駄目だ、勝てない。勝てる方法が見つからない。

ごめん…みんな

 

 

 

「はぁ、はぁ、結構いりくんでいる洞窟だから時間は稼げたはずだ…」

「すまん、志摩武偵。俺がもっと冷静になってりゃあ、少しは」

「止めてよ翔次郎さん。僕が弱かったからこうなったんだよ。もう少し頑張れれば…」

「いや、俺が、って堂々巡りだな。これじゃあ。今回はお互いが力不足ってことだな、それに田中の野郎もまた、何も出来ずに倒れやがって」

 

 

 

「そうですね、5分位は経ちましたか?」

「嘘、でしょ?」

 

気付けば天井に大穴が空き、雨入ってきている大広間のような所に出た。

長谷川に気を取られた僕は、足を滑らせて転んでしまう

 

「もうそろそろいいでしょう。諦めてください」

「くそ、ここまでなのか……」

 

雨が倒れた僕を執拗に攻め立てる、冷たい。

 

そして瞼が閉じてしまう。

 

ああ、本当に駄目だ。

必死に対策考えたけど、僕はバカだから何にも思い付かなかった。

 

諦めよう。まさか人生初の諦めが、人生の終わりだなんて。

武偵らしいかもしれないね

でも、叶うことなら……

 

「次の人生は……諦めたく…ないなぁ……。」

「次の人生は、大人しく暮らせると良いですね。さようなら」

 

カチリ、と銃の撃鉄が下ろされる音がした。

しかし銃弾はいつになってもこない。

 

「弾切れ……ですか、おかしいですね。しっかりと確かめたはずですが。まぁいいでしょう。命拾いしましたね」

 

命……拾いか。

 

だったらこれが二度目の人生。

 

そうだよ。やっぱり諦めらんないよね。まだ好きな人にも好きって言ってないし。

したいことだって山ほどあるし。

 

僕は痛みが走る両手両足を無理やり動かして立つ。

 

「やり直しだよ」

 

 

 

 

 

「丁度リロードが終わったところですよ。さぁ終えましょうか」

 

銃を再び構える長谷川。

対策なんてもうどうでもいい。僕はバカなんだから考えるのはあとでいい。

 

だから、ただおもいっっっきり

 

「ぶん殴ってやる。顔面をね」

 

優男が、イケメンが。そうだ、僕はイケメンなんかに負けない。

僕がモテないのも、今死にかけたのも、僕が弱いのも、由梨ちゃんのお父さんが拉致されたのも。全部。

 

「お前のせいだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

八つ当たり。

僕は長谷川に向けて駆ける。右手を強く握りしめて、思いっきり振りかぶり、長谷川の顔に向けて振り抜いた。

 

「ぐがっ…なん、で……」

 

その拳はあっさりと長谷川の顔に吸い込まれ、拳を受けた長谷川は壁に激突した。

 

「はぁ…はぁ、なんで当たったかわかる?これが意思の強さだよ」

 

不純だけど。

 

しかし彼は倒れなかった。

 

「ククク。アハハハハ。痛いじゃないですか!!」

 

嘘でしょ?まだ立つの?

 

「君の拳はかなり痛かったですよ。でもね、この程度の拳…」

 

倒れた場所から立ち上がり、歩いてくる長谷川

一方僕にはもう立っているだけの力しか残っていない

 

「軽すぎる!!」

「ぐふぅ。」

 

蹴り飛ばされる

 

「大人のっ、力とっ、ガキの力っ、違いがっ、分からんかっ。クソガキぃ!」

 

倒れた僕の腹や頭を幾度となく踏みつけられる

 

「せいぜい井の中でいきがっていれば良かったもの。雑魚は雑魚らしく大人しくしてなさいな」

 

「がはっ…………はぁ、残念、だったよ」

「まだ言うか」

「ぐぁっ……はぁ、はぁ。後ろ、見てみなよ」

「ふん、おやおや。鉢柿のガキがまだ立つのか。その後ろには影の薄いハゲが一人。ククク。この程度で私を倒せると思っているのか?」

 

「お前こそ、分かってねえな…ぐぅ」

 

翔次郎さんが膝をつく。

そんな彼を庇うように田中さんが前に出る。

 

「再戦の前に膝をついて。何をしにた立ったのですか?それに私が何を分かってないって言うのです?」

 

あはは、僕のせいか分かんないけど。長谷川さん相当頭にきてんじゃん。

 

「さぁ、かかってて来なさいよ。見せ場無しのクソハゲがふぅっ!?」

 

「これは、スキンヘッドっつうんだ。ハゲじゃねぇ」

 

田中さんの拳が、長谷川に突き刺さり。長谷川は倒れた

 

「だから言ったろ?田中は俺の次に近距離戦が強いんだが。超至近距離での攻撃をかわせない状況下では、親父とタイマンはるぐらい強いんだよ」

 

翔次郎さんの言葉は長谷川に届くことはなかった

 

「田中さん…強いんじゃん」

「わりぃな。これで借りは返したぞ。志摩」

 

 

 

 

 

 

 

一真SIDE

 

雲行きが怪しくなってきた。

 

「雨が降ってきやがったな」

「そうですね」

現在は橋田さんと行動しており、彼を先頭に敵を捜索している途中だ。

 

 

大丈夫だ、計画は滞りなく進んでいるはずだし、誰にも気づかれてない。

 

あまり乗り気では無かったが、他ならぬ志摩亜瑠の為だ。きっとアイツは強くなる。

俺にとって、アイツはとても重要な気がする。

 

「なぁ、菅原さんよ。ホントにありがとな」

「いや、気にしないでください。利害が一致しただけですから」

「いや、本当に世話になりっぱなしで…」

「気にしないでくださいってば。そんな事より、橋田さんって加奈さんとお付き合いしてるんですよね?」

「ああ、と言うより兄妹みたいに育った間柄だからな、ほとんど家族だよ家族。昔からお互いにバカやって白川によく叱られてたんだよ。お互いに孤児だったし…」

 

嬉しそうに話す橋田さん。

 

「そうですか、それはすいません」

「は?なんで謝るんだ?」

「これから起きることは、多少なりとも加奈さんを傷付ける恐れがありますから」

 

そう言って、俺は橋田さんの背後に立ち、首を締める。

 

「ぐっ…、何を……。」

「すいません、ちょっと計画に鉢柿組が邪魔なんですよ」

「ぐぞ、加奈……」

 

最後そう呟き、橋田さんは気を失った。

 

雨が強くなってきたので、橋田さんを砲台跡の室内に寝かせる。

 

「よし、とりあえず山頂に来たが、早々に灯台に戻らな」

 

その呟きは、紫色の落雷にて遮られた。

 

「んっはぁ~。着いた着いた♪」

 

落雷の跡には、金色と紫色が混ざったような色をした、長髪をした少女が立っていた。

 

「お前、誰だ?」

 

計画にない少女。不確定要素が増えることは好ましくない。

 

「アタシはシオン・ビャクライ、貴方に会いに来たんだよ」

「会いに来た?茜さんの使いか?」

 

落雷とともに来たことから、恐らく彼女は電気系の超能力の持ち主

警戒心を緩めないように、コルトM1900に手をかける

 

「そうそう、お話ししようよ。アタシはその為に来たんだよ」

「なっ!?」

 

気づけば目の前に立っているシオン

すぐさまコルトを抜き、構える

 

「銃を向けちゃうかー。茜さんに言っちゃうぞ?」

「使いが来たってことは、何か計画に支障でも?」

 

聞くと少女は満面の笑みで答えた

 

「そうそう!でさ、集合時間が少し遅くなるってさ!」

「遅くなるって…少し曖昧だな。具体的にはどのくらいだ?」

「んー、じゃあ一時間」

「じゃあ?」

 

何言ってるんだこいつ?じゃあ?

それに一時間も経ってしまっては最終試験の時間まで削らなくてはならなくなるぞ?

 

 

「たがらさ、お話しよ?」

「おい」

おかしい

 

「お前、本当に茜さんの使いか?」

「そ、そうに決まってるじゃん!!」

「なら、茜さんの名字を言ってみな?分かるだろ?」

 

銃を構える

 

「…………谷?」

 

タン!

 

引き金を引く。

しかし、銃弾は彼女の前で停止する

 

「チッ、磁力のステルスか。いや、雷と共に降りてきたことを考えれば電気系統の方が打倒か。兄貴と同じ能力ってのは厄介だな。

おいお前!目的はなんだ!」

 

すると少女は悲しげな表情を浮かべた

 

「……お話ししたかっただけなのに」

「怪しいんだよ。何者か言え」

 

少女は押し黙った。

 

「沈黙か、とりあえずお前は拘束させてもらう」

 

銃に込めた弾丸を非殺傷弾(ゴムスタン)に切り替える。

 

「武器を捨てて、地面に伏せろ。両手は頭の後ろにだ」

「…そうすれば、お話しできる?」

「黙ってろ。お前は尋問官の前で存分に喋らせてやるよ」

「ふざけないで!!」

 

バチンッ

彼女の足下の草花が焦げ、彼女の回りに目に見えるほどの電気が走った

 

「なんで駄目なの!!私は私のしたいことしたいだけなのに!」

 

バチバチ

彼女の周り電気がさらに強くなる

 

「電撃を抑えろ!」

「うるさいっ!!」

 

少女の周りの電気が収束し、青白い光を放つ

これは、まずい

 

「うるさぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

雷撃の奔流が襲ってきた。

かわす間もなく飲み込まれる

 

しかし、その寸前で誰かに体を吹き飛ばされる

 

「あがぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

俺を吹き飛ばした女性は俺の代わりに雷撃に飲み込まれる

その女性は森茜、亜瑠の師匠で計画を立てた本人だった。

 

「この程度でっ!!」

 

茜さんは雷撃の奔流から逃れた

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

「茜さん。これは一体どういうことですか?」

「彼女は、とある国際犯罪組織の構成員。狙いは謎曖昧だけれど、敵対していることは確かよ」

「あなたは『神速』…皆、みんな邪魔ばっか……」

 

「くそっ、何なんだよ。何が起きてるんだよ!」

 

少女の周りの電気が再び収束する

 

「一真君。動かないでね」

 

耳元で呟かれる言葉

反応する前に彼女は消えた

 

 

「えっ?」

「あぐぅっ!?」

 

気付けば茜さんは彼女の腹に拳をめり込ませていた。

 

「なるほど、何となく意図が掴めたわ。可愛いわね」

「く…そ。」

「いいこと教えてあげる…」

 

笑みを浮かべた茜さんは彼女に耳打ちをする。

途端に電気がさらに収束する。

 

「一真君の……」

 

茜さんが彼女から離れる。

一真君……だと?

 

「アホぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!」

 

目の前が真っ白に染まった

 

そして、光が消えると。少女の姿は何処にもなかった。

 

「何だったんだよ…」




次回は3月に更新できたらいいなぁ…
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