ラバウル六勇士 ~1944~ 戦場の軌跡   作:鷹と狼

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第11話 離別する勇士 

 

 

 

 

1944年2月上旬 ポートモレスビー基地、格納庫ー

 

「……よしっ…これで良し!」

 

あのラバウル空襲以来、アメリカ陸海軍の戦爆連合は損害を受けたあと、日本軍の襲来はなかった。

パンサーは非番でもランスローたちの愛機を整備している時ー

 

「おおーい、パンサー!」

 

「バッキーさん、なんですか!?」

 

「俺とアイリッシュ大尉、パンサーに配属が変わるぞ!」

 

「えっ、そうなんですか…?」

 

パンサーは整備を中断して兵舎に向かい、配属先変更の貼り紙が張られていた。

 

夜、兵舎にてパンサーを含め、ランスローたちパイロットと看護婦が集っていた。

 

「空母エセックス……ですか?」

 

「そうだ、海軍の中部太平洋攻略の足掛かりとして補充された。」

 

「…中部太平洋の攻略…つまり日本へ?」

 

「そうなんだステラ…隊長と俺、パンサーは空母エセックスの戦闘機部隊と整備士として配属することになったんだ」

 

「…そうなんだ、バッキー…あ~あ、…これからという時に。ねぇ、マリー…?」

 

「実は、あたしも……アメリカ本国に行く指示が下されたの……」

 

「えぇ~、うそ~!?」

 

ステラは納得いかずがっかり気味だった。例えば戦火でもう一度、共に大空に飛べることを期待していた。

そしてマリーも、アメリカ本国に転属する指示を下された。

そして、ウィリアムがある言葉を述べた。

 

「ステラ、この拠点でも大事な任務がある。どんな艦か基地にいても我々は常に青空の元にいる家族だ!」

 

「…家族……」

 

「そうだ、シャルロットとパンサー、マリーもだ!」

 

「…………はいっ!!」

 

「パンサー、今まで私のカタリナのメンテナンスありがとう!我々からの送別会として、赤道祭をやろう!」

 

「「「おぉっ!」」」

 

ウィリアムが気前よく基地の片隅で、彼らだけで赤道祭を行った。

飲み食いしながら男たちがハワイで学んだファイヤーダンスや乙女ならではのアロハダンス。

最後には、みんなで記念写真を撮った。

数日後、エセックスがポートモレスビー基地に寄港。出航まで、空母を含む艦隊の艦艇から物資の積み降ろしや入れ替え、人員の補充。

出航の日、その中に整備士のパンサー。パイロットのランスローとバッキーが乗艦した。

左舷側の甲板から3人は波止場でウィリアムとシャルロット、ステラ、マリーを見送った。

 

「ウィリアム!ステラ!シャルロット!マリー!」

 

「このポートモレスビー基地、楽しいことがあって良かったぞー!!」

 

「この地でも健闘を祈ってますよー!!」

 

「ランスロー!バッキー!パンサー!」

 

「3人とも、しっかりするのよー!!」

 

「ご武運を」

 

「皆さん、ご武運を~!!」

 

波止場のウィリアムたちもパンサーたちに手を振って見送った。その時、パンサーは中にいたステラを見たのが最後だったとは思っていなかった。

 

 

ラバウル基地ー

 

「なんですと!?」

 

「ラバウルからトラック諸島に転属!?」

 

基地の司令室にラバウル六勇士が集う中、天沼俊介大佐による勧告で隊長の十三と新一郎が驚愕した。

あの1月17日の空襲で見事に完全勝利を得たが、それ以降の空襲で味方の航空部隊の被害が相次ぎ、消耗が激しい為に主力航空機とパイロットはトラックに転属することになった。

 

「そうだ、兵站拠点を移すことが、連合艦隊司令長官からの直々な命令だ」

 

「司令長官の……しかし、いきなり過ぎる……」

 

「そんな……ラバウルの守りはどうなるのですか!?」

 

「…残念だが、…補給が断たれた現状で…放置せざるを得ない…」

 

「(転属と言う言葉の撤退だな)」

 

その場にいた進次郎は内心感じながら、右手を握りしめた。

アメリカの反攻作戦の一端であるカエル跳び作戦により、ラバウル周囲の島々が陥落。後方からの補給線が断たれ無力化した。

 

「六勇士の主な任務は陸攻隊の護衛及び、最終便の殿を務めることである。以上だ!」

 

「「「「 はっ!! 」」」」

 

苦虫を噛み締める時、進次郎たち六勇士は兵舎の荷物を整理する中、上空は第1陣の陸攻や輸送機がトラック諸島に向けて飛行していた。

 

「(…このラバウルに来て1年、いろんな事があったな…)」

 

隊長の十三、そして洋介とラバウルに着任してから六勇士の結成前に、兄の新一郎とペアの幸吉、虎雄と喧嘩。ダンピール上空で共に戦い、作戦を除いて現地の食材で賞味など。先月の上空で勝利を収めた。

進次郎が染々する時ー

 

「進次郎さんたち、行かないで!」

 

「サン…ごめんな…僕たちは行かないと行けないんだ…」

 

原住民の少女サンが進次郎にしがみつき、涙を流しながら懇願した。だが

 

「進次郎さん……みんながいなくなる……守ってあげて……!」

 

「みんな…?…いなくなる…厚木隊長や兄ちゃんたちが…?」

 

「うん!!」

 

サンが進次郎に伝えた言葉の中の、ある部分に疑問を感じた。

 

「おおーい!!進次郎、サン!!今から記念写真を撮るから来い!!」

 

「はい!…さぁ、行こうサン!」

 

「………うん…!」

 

トチローの号令で進次郎とサンは滑走路の隅で、十三の零戦と陸上げした新一郎の零観を並べた。

 

中央の最前列に隊長の厚木十三中尉と沖田新一郎少尉、原住民の少女サン。右側に沖田進次郎二等飛行兵曹と金城幸吉三等飛行兵曹、左側に桜井洋介飛行兵曹長と大賀虎雄一等飛行兵曹。後ろには零戦と零観、翼には双子の兄妹、秋山敏郎と敏子兵曹長。

カメラのタイマーは自動的に設置、撮影は完了した。

 

夕暮れ、陸海軍の兵士や原住民を交えたラバウルで赤道祭が始まった。

幾つかの屋台や現地の産物の販売。各部隊の曲芸や仮装、演劇、神主がお祓いなどを行っていた。

十三と新一郎、サン、進次郎は神社にてお祓いを終えた。

 

「はっはっは!爽快爽快~♪」

 

「隊長、いつぞやのトラック諸島の赤道祭と盛り上がりが違いますね~♪」

 

「そりゃそうさ、この地に於ける最後の赤道祭だ、生死を分ける戦場でも心残りの無いようにな。」

 

「あぁ、兄ちゃん!」

 

「ねぇ、新一郎さん。トチコさんと幸吉さん、トチローさんはどこに?」

 

「あぁ、彼らなら…」

 

サンが進次郎に尋ね、指を指した方向に彼らがいた。

 

「「「わっしょい!!わっしょい!!わっしょい!!」」」

 

「さぁ~担げや担げ~!!」

 

トチローは神輿を担げている整備員たちに祭り用の内輪を扇ぎ、盛り上がっていた。

 

「さぁ、らっしゃいらっしゃい!石鯛のマーズ煮と海亀のチタタプゥうどん、海亀の餃子だよ~♪」

 

「さぁ、頬っぺが落ちるほど旨いですよ~!!」

 

トチコと幸吉は出店を開き、ラバウルで確保した産物で食材を販売。兵士や原住民からは好評であった。するとー

 

「あれ?洋介さんと虎雄さんは?」

 

「えっ!?」

 

「あぁ、あいつらなら~」

 

十三が指す方向に、二人の姿があった。だが

 

洋介と虎雄は女装、家政婦の格好をして、屋台の看板娘として客を集めていた。

 

「皆さ~ん、トチコ屋台はこちらで~す♪」

 

「食べなきゃ後悔しますよ~♪」

 

二人は乗り気であったものの、目が死んでいた。何人かの兵士が写真に収めたり、デートに誘われたが、洋介と虎雄が返り討ちにして追い返した。

南十字星が見える夜間、日本陸海軍将兵や原住民たちは合唱した。『我は海の子』を

 

『我は海の子白波の、さわぐ磯部の松原に煙たびなくとやまこそ我がなつかしき住みなかれ』

 

何人かの兵士、六勇士たちの目元から涙が溢れた。

 

ラバウル六勇士の写真や赤道祭のは後日、人数分に配られた日に新一郎と幸吉、虎雄は、トチローとトチコの兄妹が乗船する船舶を護衛しながらトラック諸島へ向かった。

そして三日後、滑走路ー

 

「コンターク!!」

 

最終便の陸攻や輸送機が離陸、3人が搭乗する3機の零戦がラバウルの滑走路を走った。

 

「…!?あれは!」

 

「おーい、おーい!!」

 

滑走路の脇道からサンが手を振って走ってきた。

 

「十三さーん、洋介さーん、進次郎さーん!」

 

「「「 サン!! 」」」

 

「みんな、元気でねー!!」

 

「ありがとうー!!」

 

「さらば、サン!(さらば花吹山、さらばブランチ湾、さらばラバウル…)」

 

十三、洋介、進次郎は彼女に手を振り、滑走路を蹴りトラック諸島に向かって飛行した。進次郎を除いて二度と戻らない地へと飛び去った。

3機は輸送機を護衛しつつ、夕刻過ぎにトラックに到着した。

 

 

 

 

 

 

2月17日早朝トラック諸島、竹島。海軍飛行場ー

 

 

 

進次郎は愛機の翼の下に筵を敷いて、寝転びながら写真を見ていた。

 

「…純子…」

 

ゥウウーーウウゥー

 

「空襲だぁー!!」

 

指揮所から警報が全島に轟き鳴った。パイロットたちは急いで搭乗機に搭乗、進次郎たち六勇士は短時間で離陸。東の空をラバウルに凌ぐほどの艦載機が傀儡した。

その他の味方機が整備や出撃を怠り、敵の別働隊が待機の機体を襲撃した。

 

「『しまった!』」

 

「奴らの好き勝手にさせてたまるかぁー!!」

 

3機の零戦と二式水戦、零観が倍以上の敵編隊の迎撃に向かった。

 

ギュイーン  ダダダダダッ ドカアァン

 

「『隊長!ラバウルに引き続き、この海域までも新型戦闘機とは!』」

 

「『アメ公は鉄が余っているんだよ!』」    

 

  ダダダダダッド  カァン  

 

「『…っ!?あいつらだ!』」

 

「『なんですって!?』」

 

そして、敵群集の中にラバウルで十三と洋介が対峙したF6Fヘルキャットを確認。

 

「『ラバウルのゼロ、あいつだ!!』」

 

「『この前のリベンジだ!』」

 

ランスローは珊瑚海海戦以来のライバルである十三と、バッキーもラバウルで対決して以来、因縁のライバルになった。

 

新一郎、幸吉ペアと虎雄、そして進次郎は艦艇と船舶の護衛に専念。襲撃する爆撃機と雷撃機の襲来を阻止する。

 

ダダダダダッ ドカァン 「よしっ!」

 

「『沖田さん、幸吉!魚雷が落とされた!!』」

 

「『任せろ!!』」 ギュイィィン 

 

新一郎、幸吉の零観が海中の魚雷に接近。

 

「『それっ!』」  

 

バシュッ  バッシャアァン

 

弓で矢を放ち、撃破した。だがー

 

ヒュウゥゥ  ドカアァン

 

「ああっ!!那珂がやられた!」

 

「『くそっ!陸軍の船舶がやられた!』」

 

「『おのれぇ…武器を持たぬ民間人を襲うとは!』」

 

米軍の圧倒的物量に捌き切れず、次々と艦艇と輸送船、陸軍の船舶。島を防衛して高射砲を放つ軍事港湾施設のみならず、民間人でさえ、次々と敵機の襲来を受けた。

 

「くそっ……くそおぉぉっ!!」 

 

ギュイィィン  ダダダダダ

 

進次郎は幾つもの爆雷撃機を撃墜、午前9時前に敵機は去った。

迎撃に向かった部隊も飛行場に引き返した。

 

竹島飛行場ー

 

「くそっ、軍事施設だけじゃなく民間人も襲撃されるとは!」

 

「進次郎、そうだな…俺たちは何のために迎撃したのやら……」

 

進次郎と洋介が呟くと、隣の夏島から空襲に免れた陸攻部隊が離陸、目標はアメリカ空母部隊への反撃に。

そして各島から輸送船が寄港して民間人を乗船準備を行った。第4251輸送船団は護衛の特設巡洋艦と駆逐艦を率いてマリアナ、パラオへ出航。

進次郎はトチローたち整備員と機体の整備の時だった。

 

「準備万端!いつでも飛ばせるぜ進次郎!」

 

「ありがとうございます。トチローさん!ん…?この音は……まさかっ!?」

 

諸島の沖合から砲撃の滑空音が聞こえた。そして、十三が血相を抱えて駆けつけにきた。

 

「おい!トチロー!!今すぐ零戦に爆弾を装備させろ!!」

 

「十三!?」

 

「隊長!この爆音はまさか…」

 

「敵の大型艦艇が船団を襲っている、爆装して出撃するぞ進次郎!トチロー、頼む!」

 

「はっはい!!」

 

「合点承知!!」

 

トチローは整備員をかき集め、十三と進次郎の零戦に爆装、出撃を整えた。

 

「十三、進次郎!準備はばっちりだ!」

 

「トチロー、ありがとう」

 

「ありがとうございます、トチローさん!!」

 

すると洋介と虎雄が十三のところに来て尋ねた。

 

「隊長!俺も行きます」

 

「わしも行きますぜ隊長!」

 

だが、十三の首は縦に動かなかった。

 

「駄目だ!いつ、如何なる襲来に備えて待機せよ!」

 

「あ…くぅ……わかりました!!」

 

洋介は苦虫を噛み潰したように堪え、自身の上官の指示に従った。

 

「隊長と進次郎の武運を祈ってます!!」

 

「ありがとう!」

 

「ありがとうございます!!行きまーす!!」

 

虎雄と洋介は十三と進次郎が出撃する二機の機影に敬礼した。

二機は、暁が水平線に沈むまで探索したが艦艇の影すら無かった。

 

「隊長、敵が…敵がいません……!」

 

「『遅かったか……うぅっ……くそっ!』」

 

飛行した海域に敵艦の姿が無く、海上は味方艦の残骸や油のみ浮いて、生存者は一人も確認できなかった。

燃料が危うかった為に、トラックへ引き返し帰投した。

そして、アメリカ空母部隊に攻撃した部隊の成果は空母一隻を大破。

 

翌日18日、アメリカ軍の空襲が再度始まった。ラバウル六勇士の機体以外は離陸出来ず、絶好の的となって殆ど地上で撃破された。

 

「くそっ……くそっ!!アメ公が、叩き落としてやる!!」 ギュイイイィン  ダダダダダ  ドカアァン

 

進次郎は鬼神の如く、一機、また一機の戦闘機や、船舶を撃沈した爆雷撃機をトラック近海に落とした。

六勇士の機体は被弾しながらもそれぞれの竹島と夏島に帰投する。全員で20数機を撃墜したがー

 

「てめぇら~!!」

 

「「「「「「 ぎゃあぁー!! 」」」」」」

 

トチローは怒りを顕に、スパナを持って殴りに掛かり、六勇士は逃げるに逃げた。

その夜、六勇士はトチローに打たれた頭にこぶを付けながら、ドラム缶内部を炎で照らして愛機を整備員と共に修復作業を行い、終える頃だった。

司令官の天沼は自ら六勇士たちの元に赴き、新たな指示を述べた。だがー

 

「なんだって!六勇士が解散!?」

 

「そうだ……ラバウルに引き続き、この区域でも消耗が激しく、連合艦隊司令長官の正式な命令だ。」

 

「…そんな……」

 

進次郎は歯がみ、手を握りしめ、六勇士たちと後方で支援してきた整備員と給士たちも残念そうな顔をしかめた。

 

「すまないみんな。……今後、諸君らは新たなる指示が出るまで待機せよ!」

 

「「「「「「 …………はっ!! 」」」」」」

 

六勇士のパイロットと整備員、給士はしぶしぶ納得しつつ、噛み締めながらも敬礼した。

 

「今宵も、満天の星空と南十字星が見えますねぇ~」

 

進次郎は夜空を見上げ、他のみんなも南十字星星座を眺めた。

 

「そうだな進次郎。オレたちは解散して、バラバラになっても常に、同じ青空と星座の下にいる。元帥から頂いた短剣と共に」

 

兄の新一郎が呟き、懐から短剣を取り出して見つめた。そこへ、十三は酒ビンとお猪口を持ってきた。

 

「はっはっは!今夜は敵さんの襲来はない、お前らの送別になるが、共に酒を飲もう!」

 

「はいっ!」

 

十三自ら酒ビンの栓を開けて、一人一人のお猪口に注ぎ入れた。

 

「言っておくが、これは別れの盃ではない。みんなと共にいる盃だ!」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

「我々は解散して、配属先がバラバラになっても、おれたち六勇士のパイロットと整備員のトチローとトチコさんは常に青空と夜空の下にいる仲間だ!命ある限り戦い、そして生き残るんだ。乾杯!!」

 

「「「「「「「 乾杯!! 」」」」」」」

 

みんなは盃の入った酒を一滴を無駄にせずに喉を通して飲み干した。

そして、一夜かな送別会が始まった。幸吉は三線を奏で、洋介と虎雄は(十三とトチコに無理やり)女装して、十三と新一郎、進次郎は裸体になって棒に両先端に火を着けた。楽器に合わせて踊り舞った。最後はラバウル小唄と椰子の実、故郷の空。そして我は海の子を合唱した。

 

その後、ラバウル六勇士の転属先が決定したと同時に昇進した。

 

大賀虎雄飛行兵曹長 及び 秋山聡子 → シンガポール水上飛行部隊基地

 

沖田新一郎中尉 及び 金城幸吉二等飛行兵曹 → 戦艦大和、水上観測部隊 

 

厚木十三大尉 桜井洋介少尉 沖田進次郎一等飛行兵曹 → 内地、搭乗員育成教員隊

 

秋山敏郎兵曹長 → 空母瑞鶴整備班長

 

三日後、トラック諸島からパラオ諸島経由、シンガポール行きの輸送船の日がやってきた。

輸送船には軍人や軍属、民間人が乗船。物資の中には虎雄の二式水上戦闘機改が積み込まれており、 デッキには虎雄とトチコの姿があった。

 

「虎雄さぁーん!!シンガポールでご武運を!」

 

「じゃぁな、虎雄!シンガポールでもしっかりな。」

 

「トチコさん、お元気で!」

 

「トチコ!しっかりな!!」

 

「ありがとうー!!隊長!中尉!洋介!進次郎!幸吉、トチローさん!」

 

「兄ちゃんも!他のパイロットにスパナで強打するのもほどほどに!」

 

進次郎、新一郎。十三、洋介、幸吉、トチローは二人が乗船、出航する輸送船を見送り、水平線に沈むまで居続けた。

翌日、深夜。トラックの竹島と夏島から3機の零戦と1機の零観が離陸。行き先はマリアナ諸島のサイパン島まで長距離飛行した。

 

 

 

 

正午過ぎー

 

 

 

 

ギュイイィン 「サイパン島だ!」

 

「もうすぐ到着かぁ~流石に零戦の胴体は、身体に堪えるぜってんだぁ…」

 

「ははは…わざわざすいません、トチローさん」

 

進次郎の零戦の胴体には整備員のトチローが機乗。余りの窮屈さで苛立っていた。

 

 

サイパン近海に空母瑞鳳が停泊。アスリート飛行場で滞在時、幾つかの手続きを済まして着艦、内地に向けて航海、そして4月8日、呉軍港に到着。

進次郎たちが日本に帰国するのは実に2年振りであった。

 

 

 

 




進次郎のラバウル六勇士はトラック諸島にて解散、彼らのみの赤道祭で飲食し、泣きながら笑いあった。
それが、青春する中で忘れられない思い出を日誌に刻んだ。

内地で新たなるパイロットを育成する任務が待っていた。

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