ラバウル六勇士 ~1944~ 戦場の軌跡   作:鷹と狼

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第13話 血に染まりしマリアナ、月夜のノルマンディー 

 

 

 

西暦1944年6月15日、ギマラス泊地ー

 

日本海軍は戦艦5、空母9隻を伴う機動部隊が出航。目標先はマリアナ諸島サイパン島上陸するアメリカ軍を撃滅する『あ号作戦』を発動。

 

サンベルナルディノ海峡。空母瑞鶴、飛行甲板にて多くの乗員やパイロット、整備員が眺める時、三人のパイロットも瑞鶴から旗艦の空母大鳳のマストからZ旗が出されるのを目撃した。

 

「おおっ、Z旗だ!!」

 

「あれがZ旗かぁ~!厚木隊長はZ旗を見るのは真珠湾攻撃以来ですよね。」

 

「あぁ、…このマリアナの戦いで…命運が別れる…桜井…進次郎…我々パイロットの手に掛かっている、何が何でも、戦闘機パイロットの意地に懸けてだ!」

 

「「はいっ!!」(隊長の手……)」

 

進次郎の視線から十三の右手の拳は血が滲みでるほど握りしめていた。その後、三人は格納庫に向かい、愛機を拝みに行くと、通路でトチローと鉢合わせた。

 

「よう、トチロー!」

 

「「トチローさん!」」

 

「おぅっ!十三、洋介、進次郎!おめぇら、どこに行くんでぃ!?」

 

「おれらは愛機を拝みにだ、トチローは?」

 

「おれっちも同じってんでぃ!その件で大事な話しがあるがいいか?」

 

「あぁ、構わないが…」

 

「俺も一存はありません。」

 

「同じくです!」

 

「そうかぁ!」

 

4人は格納庫にてラムネを飲みながら語り合った。

戦況に左右する状況で、国内工業の職員が軍隊に招集されて、航空機の性能が不備気味や。熟練パイロット不足など。

 

「……しかしながら、この空母瑞鶴で零戦以外に新型機を配備したんだが……」

 

「空母の飛行甲板に離着艦するだけで精一杯の未熟な連中ばかりだ…」

 

「心気臭いこと言うな!…ヒヨッコだろうが素人ばかりでも、おれっち整備員は整備することはネジ一本も緩めず、手を抜かねぇってんでぃ!グイッ……」

 

トチローがラムネを飲み干すと、進次郎の背後に何人かの青少年パイロットが涙ながらに集まった。

 

「あの…すみませんですが、ラバウル六勇士のパイロット達ですよね…?」

 

「あぁ、そうだが…?」

 

「やっぱり!」

 

「ラバウル六勇士の皆さんの武勇、伝え聞いております!」

 

「厚木大尉と桜井少尉、沖田一飛曹の勇士と戦えるなんて、光栄であります!」

 

「え…あぁ……」

 

「君たちは、どこの部隊のパイロットだ…?」

 

「はっ!!天山艦攻隊です!!」

 

「こちらは彗星隊です!!」

 

洋介は青少年パイロットたちの質問を聞き、4人は気まずそうな雰囲気が漂い、左舷デッキに移動して、沈黙しながら海峡を眺めた。

 

「なぁ…おめぇら、この先の戦いで考えたことあるか?」

 

トチローの質問に解答は無くとも、進次郎たちはわかっていた。

 

マリアナ諸島のサイパン、グアム、テニアン島がアメリカ軍により陥落すれば、本土侵攻及び新型爆撃機B-29の基地に変貌する。

 

6月18日、各艦の偵察機が発艦。そして昼過ぎ、大和の索敵機がアメリカ軍機動部隊を発見した。

 

零観、沖田新一郎中尉、金城幸吉二飛曹。

 

「新一郎中尉!敵艦隊発見!!」

 

「とうとう、おいでなすったか……幸吉、数は!?」

 

「……戦艦7、空母は…15隻!その他艦艇多数!!」

 

「…とんでもない数を投入したんだな、アメ公は…幸吉、すぐに艦隊に報告を!」

 

「了解!!」

 

幸吉の報告で新一郎は操縦桿を握りしめながら息を呑んだ。幸吉はすぐさま連合艦隊に連絡を取った。

 

空母瑞鶴ー

 

「偵察隊からの連絡だ!アメリカ軍の空母部隊を発見したぞ!!」

 

「発艦準備を急げ!」

 

偵察隊の報告により艦内が慌ただしくなった。整備員が機体の確認、爆雷撃の準備を施した。

 

「十三!洋介!進次郎!燃料、弾薬。機体の調子は万全だ!しっかり戦ってこい!!」

 

「トチローさん、ありがとうございます!」

 

「ありがとうトチロー!これでミッドウェーと南太平洋で連中の仇が討てる!」

 

進次郎の小隊はいつでも出撃態勢を整えた。だがー

 

「何だって!?」

 

「出撃が明日明朝!?なんでなんですか隊長!」

 

「そうだ、…今から攻撃部隊を出撃して帰投するのが夜。…夜間に着艦するのが難しい…それが、上層部の決定だ。…くそったれめ…」

 

十三は当然納得するはずはない。あのミッドウェーで敵空母を発見して、すぐさま攻撃部隊を出動せず武装転換の隙に4隻の空母を損失した反省を得ても、今の状況は当時と変わらなかった。

 

サイパン近海、アメリカ海軍空母部隊上空ー

 

「…奴ら、来ないですね…」

 

「あぁ、…正直言ってあくびが出るぜ………」

 

「そうだな、戦艦アラバマのレーダー管制の情報はうんともすんとも無い。第1ラウンドはここまでだ。母艦に帰投するぞ!」

 

「「了解!!」」

 

ランスロー小隊は艦隊上空で敵編隊を待ち伏せしたがレーダー管制どころか機影すら確認せず、エセックスに帰投した。

 

エセックス、飛行甲板ー

 

「タッチダウン!!皆さん、お疲れ様です!」

 

パンサーはランスロー達を出迎えながら整備メンバーと共に機体をエレベーターへ移動、格納庫に収納した。

 

「パンサーさんか、…レーダーで偵察機を発見するも逃げるは、敵機と遭遇することがなかった…」

 

トムはやや不満気味だったが

 

「あぁ〜、トムさん!生き延びたことがオイラにとって良いことですよ。」

 

「そ、そうだったな…!」

 

「ランスロー小隊は運が強いですね!」

 

「…っ!そうだな…」

 

パンサーの一言でランスローは気付いた。初陣のハワイと珊瑚海海戦で生き延び、敵味方双方に損害を出したミッドウェーとソロモン海戦など。

新型戦闘機のF6Fヘルキャットを受領、日系人のバッキーとトムを仲間にして、ウェーク島と日本近海に接近して、対空攻撃や敵機と交戦して生き延びたのであった。

 

飛行甲板、右舷ー

 

「…お前ら、同じ日本人を撃墜する=殺す覚悟は出来ているか…?」

 

「無論です、1機でも多くの敵機を撃墜し、1日でも早く戦争を終わらすなら、なんだってやります!」

 

「僕も兄さんと同じです、ランスロー隊長!」

 

「そうだな(…ウィリアム、フィリップ……そして…アレン…十三…幾人の血を流せば戦争が終わるんだ)」

 

パンサーはランスローの依頼で3機の尾翼に日本刀のマーキングを描いた。

 

翌日早朝0745時。瑞鶴ー

 

瑞鶴の飛行甲板にはびっしりと戦闘機と爆撃機、攻撃機が並び、出動の順番を待っていた。

 

「厚木十三、出撃する!」

 

「桜井洋介、行きます!」

 

「(落ち着け…落ち着け…)沖田進次郎、発進します!」  

 

  ギュイイィン

 

水平線に朝日が昇る頃、進次郎の十三小隊が飛行甲板から発艦。そして、全空母の攻撃部隊が次々と発艦して、サイパン近海に展開する敵アメリカ海軍空母機動部隊へ飛行。

偵察機の指示した海域へ2時間長く飛行して発見した。

 

0935時ー

 

「敵艦隊だ!頼むぞ、攻撃部…え…」 

 

進次郎の左隣の3機の彗星が突如爆発。上空からヘルキャットの編隊が来襲。

 

「『待ち伏せだ!桜井、進次郎!攻撃隊を守れぇ!!』」

 

「「『…っ!了解っ!!』」」

 

十三の小隊は急旋回して襲いくる倍以上のヘルキャットへ突入した。

進次郎は攻撃隊を護衛しながら一機、また一機のヘルキャットを撃墜。

 

 ドカアァン 「4機撃墜!くそっ、また攻撃隊がやられた!また敵機が…」  

 

ドカアン  グオオォン

 

一機のヘルキャットが撃墜、落としたのは一機の天山を引き連れ、護衛する洋介であった。

 

「『進次郎!俺が護衛した天山攻撃隊が一機を除いて全滅した!そちらの部隊に合流して援護する!』」

 

「桜井さん…了解です!!あの、隊長は!?」

 

「『隊長はいつもの敵さんと交戦している!俺たちは護衛に専念だ!』」

 

「はいっ!!」

 

十三はランスローと交戦する中、進次郎と洋介はあの空母で会った未熟パイロットが扱う彗星と天山を護衛しながらいつもより激しい弾幕をすり抜け、敵空母に接近。彗星が500キロ爆弾を投下、天山は魚雷を海中投下して空母に命中した。

 

「やった!やったぞ!」

 

「『やった!やりました沖田一飛曹!!』」

 

「『やったな!…よし、空母に帰投するぞ!!』」

 

「『はい!桜井少尉……』」 ドカアァン

 

「『…あ…!』」  ドカアァン

 

護衛していた彗星と天山がヘルキャットの銃撃を受けて被弾、撃墜された。Z旗を揚げた日とさっきまで話していたパイロットと攻撃機がマリアナの海に墜ちた。

 

「野郎…野郎…叩き墜としてやる!!」

 

進次郎は怒り狂い、彗星を落とした機体の尾翼にローマ数字のⅢで日本刀を描いたヘルキャットを照準に入れた。

 

「もらった、墜ちろ!!」 ダダダダダ  「なにっ!?」

 

進次郎の一撃必殺の銃撃が外れ、交わされた。回避したヘルキャットが進次郎の背後に廻り、射程位置に着いた。

 

「背後を取られた!殺られるか!!」 ギュイイィン

 

ヘルキャットのパイロットであるトムは驚愕した。

 

「必殺の銃撃が交わされた……奴は…本物の…墜とさないと多くの仲間がっ!」

 

進次郎とトムによる一対一の勝負が始まった。二人は急降下と急上昇、急旋回による激しいGによる巴戦。結果、両機の機銃弾が尽きて空中戦は終わった。

 

 カチカチ 「「…弾切れか……あいつも同じかな……」」

 

両機が左右に並び、互いにパイロットの顔を拝めた。

 

進次郎視点ー

 

「…あのヘルキャットのパイロットか…ん…日本人か…?」

 

トム視点ー

 

「…あのパイロット…僕と変わらない年齢かな…?」

 

二人は隊長から無線で呼び出され、小隊に戻り、それぞれの母艦に帰投した。

 

夕刻、第1機動部隊上空ー

 

「何てことだ!…空母が…二隻の空母がいない…!?」

 

「『馬鹿な、…いつ…敵の攻撃部隊が来襲したんだ…』」

 

母艦の瑞鶴以外、大鳳と翔鶴の姿が無く、進次郎と洋介は上空で愕然とした。

瑞鶴に着艦後、トチローの話しによると空母の艦載機が発艦後、米潜水艦が忍び寄り、発射された魚雷の攻撃で二隻は沈没した。

そのあと、進次郎たちはトチローたち整備員と共に愛機の整備作業を手伝った。

 

「(いつ、如何なる時も敵の来襲に備えなければ……)」

 

作業を終えた後、進次郎はいつもの様に日誌を書き記した。あの米機動部隊上空で戦ったヘルキャットのパイロットの顔が見えた。そのパイロットの顔は日本人だった。

 

翌日、補給船団が日本艦隊に到着。艦隊は空母最優先で補給船から補給を受けながら海上で待機した。

旗艦は、巡洋艦羽黒から空母瑞鶴に変更。

瑞鶴、飛行甲板ー

 

艦長の指示により、補給船団から補給を終え次第、再度敵艦隊に向けて攻撃隊を護衛せよとの命令を受けた。だが、厚木小隊は鳴かず、艦橋付近で三人は不機嫌に座り込んでいた。

 

「補給を受けるのは良いが、敵さんからしてみればいい的だ。」

 

「そうですね隊長……」

 

「爆弾の一発でも艦船に当たれば、火だるまですよねぇ~」

 

進次郎たちが僻んでいると艦橋要員が慌てた様子で出てきた。

 

「敵機来襲ーっ!!」

 

「なにっ!?しまった!」

 

「桜井、進次郎!搭乗だっ!!」

 

「「 了解!! 」」

 

進次郎、洋介は十三の指示により零戦に搭乗、日本艦隊を襲来する200以上の敵機の迎撃に向かった。艦艇を襲撃するドーントレス、ヘルダイバー艦爆、アベンジャー雷撃機を撃墜した。

 

「くそっ!幾ら墜としてもキリが…」

 

「『進次郎!!』」

 

「はっ隊長!!…あいつは…昨日の」

 

十三の一言で進次郎は後ろを振り向き、ヘルキャットの銃撃を回避した。そう、彼を襲ったのは昨日、一対一の戦いで引き分けたヘルキャットのパイロット、トム・K・五十嵐であった。

その激戦の最中、勝負の時に別の敵攻撃部隊が来襲。空母と補給船が一斉に襲い掛かった。

 

「空母が……隊長、桜井さん!」

 

「『わかっている!おれは今、いつもの奴と交戦している!』」

 

「『同じく俺も!ラバウルから戦った奴が!』」

 

進次郎たち三機はライバルとの激しい空戦の結果、引き分けに終わった。そして、瑞鶴に帰投した。

 

日が水平に落ちた1940時、日本艦隊は撤退。損害は空母大鳳、翔鶴、飛鷹が撃沈。

空母隼鷹、千代田が中破。

戦艦榛名、空母瑞鶴、巡洋艦摩耶、補給艦速吸が小破。

 

空母瑞鶴、飛行甲板ー

 

「…隊長……」

 

「…あぁ、…惨敗だ…くそったれめ!」

 

十三の心中は怒り、爆弾が被弾した艦橋付近で艦橋の破片を蹴った時だった。

 

「……っ!?桜井さん!」

 

洋介は日が沈む水平線に向けて、所持している軍刀鷹狼を鞘から抜いて、刃を首筋に通そうとした。

 

「桜井さん!やめろ!!」

 

「桜井ぃぃー!!」

 

十三が駆けつけ、洋介を殴った。そして、襟首のマフラーを掴み、怒っていた。

 

「桜井、何をしているんだ!」

 

「…隊長、…マリアナで多くの友軍が味方が散りました…俺はあの未熟パイロットたちに、生きて日本に帰らす約束をしたのに、この海に死なしてしまった…ここで…償って死を…」

 

「洋介、まだわからないのか!!お前に家族はいないのか!?」

 

「…両親は…災害で亡くなりました…姉は従軍看護婦…弟は…戦車兵…エンゲ(婚約者)がいます…」

 

「だったら、ラバウル六勇士の教訓を思い出し、残した姉弟と新たなる家族のために死ぬな、生きろ!!そして、戦闘機乗りの任務を遂行しろ!!」

 

「隊長、桜井さん……」

 

その光景を見ていた進次郎も、洋介と同じ様に、あの敵艦隊上空と味方艦隊上空で味方を多く見殺しにしてしまったことを、自決で償おうと考えていた。

進次郎にしても、山本元帥の戦死でラバウル六勇士を結成した時の教訓を忘れかけていた。

 

1、情報を持ち帰る

2、何度も生還してダメージを与える

3、命どぅ宝

 

「(…そうだった。…オレにも家族が…桜井さんみたいに…純子さんと…)」

 

そう、進次郎は胸に秘めながら撤退、艦隊は日本に帰還した。

マリアナ諸島のサイパン、テニアン、グアム島がアメリカ軍により陥落。そこからB-29の基地として日本を空襲する作戦が日に日に近付いた。

あと1年、乗艦した十三と洋介、トチロー。

戦艦大和の新一郎と幸吉、シンガポールに配属する虎雄とトチコがこの世界から消失することを進次郎たちは分からなかった。

 

アメリカ艦隊、空母エセックスー

 

日本航空部隊、空母艦隊を撃滅したパイロットたちは夜間に帰投。飛行甲板に照明を照らしながら艦上機を誘導する。その中にランスローたち3人も着艦した。

 

「皆さん!お帰りなさい!!」

 

パンサーはランスロー、バッキー、トムが機体から降りて出迎えた。

 

「皆さんは凄いご活躍しましたね!」

 

「おうっ、この通り!」

 

「まだ一歩だが、戦争を終結させることに勝利したな!」

 

「ふっ、そうだな。私は一刻も戦争を終わらして、敵側の友人と再会したい。」

 

「…ランスロー隊長…?」

 

パンサーはランスローの言葉が気になった。

そして、バッキーとトムは部屋に戻り、ベッドに寝転がった。

 

「バッキー兄ちゃん。昨日、今日の空中戦で本物のサムライと戦った……」

 

「トム、おれにはラバウルから戦ってきたサムライがいる。おれは奴を倒さない限り、おれの戦争は終わらない。」

 

「バッキー兄さん、兄さんがそう言うなら、僕もあのサムライを必ず倒す!」

 

二人の日系人兄弟は互いに誓い、手を取り合った。

ランスローたちが戦いの疲れでベッドで眠った頃、パンサーは彼らの愛機にメンテナンスを施した。

 

「昨日、今日の戦いでランスロー隊長は生き延びた。次の戦いまで、メンテナンスを施さねば!」

 

顔や作業服に油まみれになりながらも、作業をやり遂げた。

パンサーもまた分からなかった。ランスローとバッキー、トム。ここにはいないウィリアムと赤十字看護のシャルロット。

陸軍戦闘機パイロットのステラ。

欧州のフランス、ノルマンディー作戦でイタリアに上陸した戦車乗りのフィリップとヴェン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃フランス、ノルマンディーに数十万に及ぶ連合軍が上陸。防衛に失敗したドイツ軍は敗退、部隊は散々、混乱が発生した。

 

月夜の中、米軍のM-4戦車が3輛、歩兵約30がドイツの敗残兵を討伐、草原を行進する最中で

 

ドカアアァン

 

「ぎゃっ…」

 

「待ち伏せだっ!!」

 

「残った兵は戦車を盾に、あとは横列で草原に入り、討伐する!」

 

「了解!!」

 

ドカアアァン

 

米兵が草原に入ったタイミングでもう1輛の戦車が撃破。

最後に残った戦車が、目標のパンターⅡ戦車を発見、照準に入れて発射、撃破した。

 

「ヤッホー!!ナチの戦車撃破…」 

 

「マズイっ!路上にパンサーだ!!」  ドカアアァン

 

パンターを撃破したM-4戦車は路上に露出した豹Ⅱ、砲塔を右の真横に向け、獲物であるM-4を狩った。

 

M-4戦車隊が全滅、残った歩兵が慌てながらバズーカで、豹に向けて発射。

 

命中寸前に、キューポラから車長が軍刀を鞘から抜き、バズーカ弾を真っ二つに斬った。

 

「なっ…野郎!!」 バシュッ

 

米歩兵が小銃や機関銃を向け、発砲する寸前に頭部を打たれて倒れた。

 

「…ナチじゃない…さ…サムライ…」

 

指揮官が恐怖を出しながら拳銃で発砲、だが命中せず、軍刀を手にした車長が振り斬った。

残った米兵は蜘蛛の子を散らすように逃亡した。

 

パンターⅡの車長、桜井勇介は軍刀狼虎を構えながら周囲を確認する。

乗員、通信手のアリシア・A・フェアバンクが無線機の内容を伝えた。

 

「車長、本隊から連絡です。これからパリに向かうとの連絡です」

 

「よし、警戒しながら本隊に撤収するぞ!」

 

「「「「 はいっ!! 」」」」

 

月が照らす闇夜に紛れて、豊田純子が扱うパンターⅡは、ゲリラ戦を展開しながらラスナー大隊へ合流しに路上で走行した。

 

「書割とはいいアイディアだったね、純子」

 

乗員、装填手のパウラ・M・オットーが純子を褒めた。

M-4戦車が撃破したパンターは即座に作ったハリボテだった。

 

「いえいえ、忍者ならではの変わり身の術をやったまでだわよ。パウラも、装填のスピードが早くなったね~!」

 

「日本の忍者、恐るべしですわ…行ってみたいですわね…お婆様の日本へ」

 

二人の会話でアリシアは微笑みを浮かべた。

 

「しかし、思った以上、みんな凄いな~!」

 

「まぁ、みんなは生き延びることに必死ですから…それに車長…さっきは危なかったですよ!」

 

「あ…ありがとう……それに、すまん……」

 

先ほど軍刀で米兵を斬っていた勇介は、パンターのキューポラから副長兼砲手の大賀晴香の狙撃で救われたことを、彼女に感謝と謝罪を述べた。

 

「(賑やかな夜わね…)」

 

純子は女性としての青春を過ごせた。

 

そして、ドイツ軍の外人部隊に配属する勇介と晴香、アリシアとパウラはあと1年、この世界から消失するのは、豊田純子はまだ分からなかった。

 

 

 

 

 




マリアナ沖海戦で惨敗、日本に帰投した進次郎。
彼は日本に帰国して、人として重大な任務が待っていた。
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