4月1日、アメリカ軍が沖縄本島に上陸。九州の陸海軍は全航空戦力を持って特攻隊を出動させた。
九州沖ー
ダダダダダ ドカアァン
「『腕を上げたな進次郎!』」
「えぇ!!この近海に敵が現れた以上、好き勝手にさせる訳にはいきませんよ!!」
洋介と進次郎は特攻隊の護衛しながら敵機と交戦、幾つもの敵機を撃墜、そして敵艦隊上空に到達した。
「『桜井少尉、沖田さん、誘導感謝します!!』」
特攻隊員の最後の言葉を伝えた後、一機、また一機が敵艦、あるいは海面に突入、命中した敵艦は大破した。
沖縄沖でおぞましい光景を目の当たりにした二機は鹿屋基地に帰投した。
鹿屋基地ー
進次郎は特攻隊の護衛で、精神が疲弊したために、呉で撮った豊田純子との写真を眺め、心を慰めた。
「(…純子さん……)」
日本はドイツと同様、敗戦が濃厚になりつつ音信と潜水艦航路が途絶え、毎日のように心配をしていた。
4月6日
基地の司令官が戦闘機パイロットの招集、その中に桜井洋介と沖田進次郎の姿もあった。
「お前たちに来て貰ったのは他でもない、本日未明に沖縄に航行する第2艦隊最後の出撃する護衛を担って貰う!!」
その内容は、連合艦隊最後の出撃であった。
「司令、我々が護衛する艦隊の艦艇は…?」
「…戦艦大和以下、第一遊撃部隊だ…!」
「っ!?…大和だって…」
あの時南シナ海を航行、かつてのラバウル六勇士が集い、護衛した艦隊の戦艦大和を始め、軽巡洋艦矢矧以下、数隻の駆逐艦を伴い、沖縄に向けての水上特攻隊であった。
「くっ…艦隊ですら…特攻に駆り出されるとは…」
司令の返答で洋介は、苦虫を噛み潰したように小声で呟いた。
続いて、進次郎が質問した。
「司令、大和からの護衛する航空機はありますか?」
「聞いた話によると、たった一機の水上機。零観のみだ」
「零観…(兄ちゃん…幸吉…)」
アメリカ海軍 空母エセックス格納庫ー
「………よし!」
パンサーは以前に洋介と進次郎との空戦で損傷を受けたバッキーとトムの機体の修復を終えた。
「パンサー、俺の愛機はどうだ?」
「バッキーさん!この通り、トムさんの機体も修復を終えました!」
彼の進言を受けたトムは愛機を擦った。沖縄に進出してからのアメリカ艦隊は敵の特攻隊の標的になり困難していた。
空母を直接沈めなくとも、飛行甲板に穴を空けられたり、輸送船も損傷を受けて物質を確保が困難を極めていた。
「うん、しかもよく他の機体の部品と組み合わせたな~!」
「明日の作戦に間に合ったな、トム!」
「作戦ってなんですか?」
バッキーとトムはパンサーにある程度の作戦を伝えた。
アメリカ海軍が掴んだ情報によると、日本の残存艦艇が沖縄に向けて航海する事であった。空母の艦載機全てが戦艦部隊の支援に行動する任務を帯びた。
「バッキーさん、トムさん!アイリッシュ隊長のように、決して死なないで下さいよ!」
「パンサーが整備してくれた機体だ!絶対に生還するぜ!」
「それに、明日は久しぶりにスパロウさんとキャサリンも、作戦に参加するからな♪」
南方のポートモレスビーで別れたカタリナの機長、ウィリアム・J・スパロウ少佐とシャルロット・F・トライン従軍看護婦も参加する情報を得て、三人はウキウキしていた。
4月7日、11時30分。鹿屋基地、滑走路ー
「洋介、進次郎!!大和を襲う敵機を撃退してこい!!」
「はい、トチローさん!!桜井洋介、行きます!!」
「沖田進次郎、発進します!!」
トチローの激を飛ばし、二人が扱う零戦64型が滑走路を蹴り、離陸。向かう先は、沖縄へ航行する第2艦隊の戦艦大和だった。
出撃して約30分、空に厚い雲が覆う海域でついに肉眼で確認できる距離に接近した。
「桜井さん、大和です!!」
「『あぁ、こちらも見えている!…大和から…零観…?』」
「桜井さん、兄ちゃんと幸吉です!!」
戦艦大和から一機、進次郎の兄である沖田新一郎中尉とペアの金城幸吉二等飛行兵曹の零観が発艦。
すると洋介が何かに反応し、翼を上下に揺らした。
「『っ!?進次郎、左舷10時方向に敵機来襲!!』」
「なんですって!?」
洋介が指示した方向に100機を越える空母艦載機が来襲、零観の新一郎と幸吉も反応したのか、大和から発艦、決戦の大空へ向かった。
戦艦大和の三基の主砲が左舷に向けて放ち、数十機の敵機が撃墜された。
艦上の高角砲や対空機銃が放ち、アベンジャー雷撃機が弾幕をすり抜けた。この先には零観が飛行、何機かの雷撃機を撃墜、あるいは投下された魚雷を矢で居抜き、海中で破壊した。
「(大和も凄いが、兄ちゃんと幸吉は相変わらずだな!オレも負けてられない…っ!?兄ちゃん!!)」
進次郎は増槽を投下、零観を襲うヘルキャットに向かって飛行、撃墜した。
「兄ちゃん、幸吉!大丈夫か!?」
「『進次郎か!?助かった!!』」
「『助かりました、進次郎さん!!』」
「『正面に敵!!』」
正面に2機のヘルキャットが出現、瞬時に爆発して海に落下した。
「『お久し振りです!沖田さん、幸吉!!』」
洋介の零戦が左旋回して、零観の隣で並び飛行した。
「『洋介さん!!』」
「『桜井!!進次郎といいペアを組んでいるな!!』」
「『俺にとって、最高の相棒ですよ!』」
「『はっはっはっ!!』」
「『皆さん、話すのは大和の任務が達したあとにしてください!!』」
「「「『 了解!! 』」」」
進次郎のことを、洋介が自慢気に話している時、幸吉が制止した。
数は三機に揃いながらもラバウル六勇士が集結し、大和などの乗組員は絶望的な状況にありつつも、六勇士の三機は、戦艦大和率いる水上特攻艦隊をアメリカ艦載機による航空攻撃を一時的に防いだ。
だがー
「っ!?しまった!!大和が…」
戦闘機と雷撃機に夢中になっている時、厚い雲の中からSB2Dヘルダイバー艦爆の急降下爆撃により、後部艦橋が被弾、爆発した。この影響が大和の運命になったのはまだ、わからなかった。
続々と爆雷撃機が接近、洋介と進次郎は大和に向けて飛行していると、目の前にロケット弾が飛翔した。
「あっ危ない!」
「『進次郎!…っ!?…あいつらだ!!』」
ロケット弾を発射したのはバッキーとトムが扱うヘルキャットだった。
進次郎と洋介は回避しながら旋回、二人は照準を合わせて射撃。だが、高速で回避された。
「くそっ!回避されたか!」
「『ガガ…進次郎さん、洋介さん!あの敵機を任せたとのことです!!』」
「幸吉…わかった!今度こそ、海に叩き落としてやる!!」
この大和が戦う海でトムとの対決が始まった。にも関わらず、攻防一体で決着が付き難い状況の頃。
「(くそっ!どうすれば…考えろ…この生死を別ける戦いで…生死…)」
トムは進次郎機の背後に取り付き、照準を入れた。
「これで、止めだ!!」 ダダダダダ
トムは機銃を放ち、進次郎機を掠めた。その影響なのか進次郎機のプロペラが止まり、海に向けて落下した。
「…やった…やったぞ!鷹のジークを墜とした!!」
トムは嬉しさの余り歓喜した。進次郎は殺されてはいなかった。トムの銃撃のタイミングで機体を滑らし、わざと掠めた時にエンジンを停止して海に落下した。
「…そろそろか…発動!!」
計器のスイッチを発動、プロペラが全力で回り始めた時を見計らって、操縦桿を手前に倒し上昇した。
グオオォン
「掴まえた、そこ!!」 ダダダダダダ
照準でトム機を捉え機銃を放ち、エンジン部と舵を被弾させ、機体が弱まったところで後ろに回り、機銃弾を浴びせ、トム機から火が吹いた。
「やった!!……ん…あぁ…」
トムのヘルキャットは海上に墜落、すると一機のカタリナが墜落したヘルキャットの側に着水。
ヘルキャットの操縦席から脱したトムは、ウィリアムのカタリナから投げ出された浮き輪に掴まり、救助された。
「(…生きて帰れよ……)」
進次郎はトムに向けて敬礼し、大和が航行する海域に戻った。
だが、その時点で数隻の艦艇が伍落、大和も次々と魚雷が命中、減速した影響で爆弾が命中、左の傾斜が激しく傾き掛けた。
「っ!?大和が……」
「『進次郎さん!また敵攻撃隊の来襲だ!!』」
「『迎え撃つぞ、進次郎!!』」
「了解!!」
進次郎は新一郎・幸吉ペア、洋介に続き迎撃に向かった。
「墜ちろ!!」 ダダダダダダ ドカアァン
「次っ!!」 カチカチ 「ん…?しまった、弾切れだ!!」
アベンジャー雷撃機を照準に捉えた時、進次郎機の機銃弾が尽きた。
「畜生!一か八か…」
進次郎は機体を仰向けにし、アベンジャーの前部に飛行。所持していた手榴弾を投げ、敵機の風防を爆破、その影響でアベンジャーが海に落下した。
数で圧倒的な敵攻撃部隊と対処が抑え切れず、大和が横転、その影響で大爆発。
巨大なキノコ雲が空を覆い、沈んだ海に重油が浮かび上がった。
14時23分、戦艦大和が沈没した。
「……大和が…沈没した…うぅ…」
進次郎たち三機は涙を拭い、旋回しながら敬礼した。
「『進次郎!燃料が尽きる前に、帰投だ!』」
「……兄ちゃん…了解…」
進次郎と洋介、新一郎・幸吉は鹿児島の鹿屋基地に向けて帰投した。
アメリカ海軍、病院船ー
「トム!!」
「トムさん!!」
バッキーとパンサーがあの大和が戦った海域で、ウィリアムに救助されたトムを見舞いに駆けつけた。
「バッキーさん、パンサーさん!」
「……パンサー…兄ちゃん…」
従軍看護婦のシャルロットが顔半分を包帯を巻いて手当てする時、ベッドで居座るトムは、魂が抜けた様な返事だった。
「…トム……すまない…すまない…うぅ…」
バッキーはトムに抱きつき、涙をながしながら謝罪した。
「…あのサムライ…強かったな…」
「……トム…絶対に仇を撃ってやるぜ……」
「そうです、僕も今以上に機体のメンテナンスを施しますよ!」
「久しぶりだな、バッキー、パンサー!」
カタリナの機長であり、トムを救助したウィリアムが訪問。
「トム…この怪我で大丈夫か…?」
「機長…助けて頂き、ありがとうございます…」
「なぁに、私のハワイで過ごした仲間じゃねぇか!それに、フィリピンでランスローは気の毒だった…」
その言葉でパンサーたちは沈黙。ウィリアムは舷窓から海と沖縄を眺めた時、追及した。
「…私は本部からバッキー、トム、パンサー、シャルロットはハワイに帰投する命令を受けた。」
「…ハワイへ……?」
「そうだ、物資の搬入と新型戦闘機の受領だ。」
その時点でパンサーたち整備員の悩みは、日本近海で日本機による新型の戦闘機との戦いで遭遇、ボロボロになって帰投した機体が続出した。
そのために、新型戦闘機が必要。数日後、パンサーたち4人はウィリアムが扱うカタリナを機に機上、ハワイに向けて飛行した。
第二艦隊の攻防で死闘を繰り広げた進次郎のラバウル勇士とハワイの仲間たち。
激戦の末、幾つかの損害を受け、それぞれの拠点に引き返した。
戦局は膠着する欧州にて、進次郎が愛する豊田純子は走った。君は、生き残ることができるのか…