ラバウル六勇士 ~1944~ 戦場の軌跡   作:鷹と狼

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第4話 休息で運命の出会い

 

 

 

11月9日、空母瑞鶴は内地の呉に帰還。

 

呉海軍航空隊基地 厚木小隊の隊員は予定通り昇給。第1種軍服と外套を纏い、呉港で休暇を得た。

 

「さて、今から3日後の1600時に帰隊する様に、以上解散!!」

 

「「「 は!! 」」」

 

厚木十三、桜井洋介、沖田進次郎は基地から出た。

 

「桜井、沖田、お前らの予定は?」

 

「俺の姉は広島赤十字病院で勤務しているので、面会に行こうと思います」

 

「おれはまだ決まってません。隊長は…?」

 

「俺はレス(料亭)でエンゲ(婚約者)がいるから。気をつけてな!」

 

「「はっ!!(隊長に婚約者〜!?いいなぁ…)」」

 

二人は敬礼しながら内心羨ましく思った、厚木はただ一人で呉市街地へ向かった。進次郎と洋介は徒歩で呉駅に向かった。

 

呉駅前ー

 

「とうとう着いた~凄い賑わいだ……トチローさんも来ればよかったのに……」

 

「そうだな〜あの人は航空機の整備で多勢だからな。帰る際に土産を買って帰らねば。それに、流石は東洋一の軍港だ……んで沖田、君はどうするんだ?」

 

「そうですねぇ~……あたっ!」

 

「きゃっ!」

 

一人の少女が改札口から出て進次郎に衝突。進次郎と少女はお互いに床に転び着いた。

 

「大丈夫か、沖田!?」

 

「大丈夫です。痛ってぇ…あの、君…大丈夫ですか…?」

 

「…すみません…急いでいたもので…」

 

「いや、こちらもぼーっとしていましたから……陸軍の…軍服……君は…?」

 

進次郎は少女が着用しているグレーの外套を纏った陸軍の軍服が気になった。するとー

 

「おおーい!純子、豊田純子陸軍上等兵~!」

 

「あっすみません!豊田純子、ただいま到着しました!!」

 

その少女が敬礼した相手の上官がやって来た。その顔は

 

「君は海軍の下士官か、俺の仲間が失礼したな。」

 

「いえ、ん…桜井飛曹長…?」

 

「どうした?沖田……ん……お前は…勇介…!?」

 

「あぁ……兄貴……兄貴じゃねぇか!!」

 

進次郎の前に現れたのは、桜井洋介の弟、桜井勇介であった。再会した二人は互いに手を掴み握りしめた。

 

「あの桜井曹長殿、この海軍軍人殿は…?」

 

「あぁ純子。彼は俺の兄貴、海軍の桜井洋介だ」

 

「あ、桜井洋介です。海軍飛行兵曹長、戦闘機パイロットです。」

 

「同じく沖田進次郎二等飛行兵曹です!桜井飛行兵曹長の3番機のパイロットです!」

 

「桜井勇介陸軍曹長です。戦車隊の教官を勤めている。」

 

「豊田純子です。陸軍上等兵であります!あの…沖田兵曹、先程失礼しました!///」

 

「いいえ、こちらこそ///」

 

「偶然だな勇介、なんでこの呉に…?」

 

「あぁ兄貴、それはだな…」

 

「桜井曹長殿!大賀晴香軍曹、ただ今赤十字の看護婦をお連れしました!!」

 

駅のホームから別の女性兵士が3人、グレーの看護外套を纏った看護婦を伴い降りて来た。

 

「ご苦労さま、大賀晴香軍曹。久し振りね、勇介。……あぁ…洋介も!?いやぁ、神戸の水災害以来ね~♪」

 

「志帆姉さん!」

 

「姉さん!確かに神戸の災害以来だ!」

 

呉駅で桜井の3姉弟が揃いに揃った。

 

「姉弟水入らずの中で失礼しますよ。洋介君。」

 

「洋介君………その声は………雪……!!」

 

神矢雪、洋介の幼馴染みの女性であり、神社の巫女で赤十字の看護婦を勤めていた。

桜井洋介の顔ぶれの前に、進次郎と純子、晴香ともう一人の看護婦は立ち竦んでいた。

 

「凄いなぁ…桜井さんたちの家族の顔ぶれだな…」

 

「えぇ…」

 

「あの3姉弟は一体何が……」

 

「……そうね…あ…私は大賀晴香陸軍の軍曹であります…!」

 

「私は桜井看護婦長と神矢さんの後輩、西澤澪です。」

 

洋介のと勇介の姉である桜井志帆は呉で顔馴染みの旅館に行き、陸軍の戦車兵と海軍のパイロット、看護婦たちの経緯による懇談会が始まった。

 

桜井勇介の開戦当初、マレーとシンガポール、フィリピンの戦車での武勇伝。だが、対戦車戦で負傷して内地に帰投。戦車兵育成の教官に就任していた。その逸材なのが、陸軍特別入隊した大賀晴香と豊田純子だった。

桜井志帆は勇介と洋介の軍隊入隊後、洞察力が優れ、自らも愛する兄弟の命を救うことを目標に看護婦になるために1940年に赤十字に入学。

その翌年、神矢雪も国の平和と神社再建、洋介の心を救うことを目標に入学。軍閥の娘である西澤澪も兵士の生命を救うために赤十字に入学。

 

「…そう……なんですか…」

 

「そうなのよ、あたしの弟たちは昔から言葉より行動で示す体質だから危なっかしいのよ」

 

「「ほっとけ、姉さん…」」

 

「「だからたまに……無鉄砲なところが…」」

 

進次郎と有紀、晴香と純子はサイダーを飲みながら納得したような顔をしていた。

 

「洋介、勇介。ちょっと来なさい。」

 

「「はい…!」」

 

そして志帆は桐の包み箱を持って別の部屋に移動した。そして、進次郎は外の空気を吸うために旅館の庭にでた。

 

「ここの空は平和だな~少し、肌寒いが……」

 

「あの…大丈夫ですか…?」

 

進次郎の背後に豊田純子がついてきた。

 

「あ…豊田さん。これはどうも……///」

 

「あの…わたしのことは純子でいいですよ沖田さん…///」

 

「じゃあ、おれも…進次郎と呼んでください…///……あの……なぜ純子は陸軍……もとい、女の子の君にがなんで……?」

 

「うふふ、それはね…」

 

進次郎は照れながら指で頬を掻きながら純子を尋ねた。

純子は戦車の部品製造する業者の令嬢であり、車輛を運転するプロのレーサーも兼ねていたものの陸軍に目を付けられ、陸軍戦車隊に特別入隊した。短期間で操縦員に就任。上からの指示でより良い戦車搭乗の操縦員になるために、隊長の桜井勇介と大賀晴香と共に呉からドイツに特別留学することが決定された。

そして、進次郎も経緯を話した。漁師の出身の次男坊、予科練習生で戦闘機パイロット。早期に卒業してソロモンの海で戦った。

 

「…そうなんだ…」

 

「純子も凄いな。この戦局でドイツに留学なんて」

 

「そんなことないですよ進次郎さん。あなたに比べてまだ実戦を経験していません……もしそうなったら…みんなの足手まといに……」

 

「おれから言っても助言になるかは分からんが、完璧な人はいないよ。レーサーを目指した時の心を初心に戻せば上手くなると思うよ。」

 

「あ…ありがとう…進次郎さん…///」

 

「純子…///」

 

二人は顔を見つめた時ー

 

「「「 うわあぁぁー!! 」」」

 

「みっ皆さん!?」

 

庭園の木の影から旅館の中にいた陸海軍人と看護婦の皆が将棋倒しになって倒れた。

 

「さっ…桜井隊長…!!」

 

「たはは…邪魔してゴメンなぁ~」

 

「もう、隊長ったら~純子ちゃんを覗くなんて最低です!」

 

「狙撃兵の晴香さんが言うな…」

 

「…青春ね~…洋介君~」

 

「…そうだな雪…///」

 

「さて、皆…。……撤退ぃっ!!」

 

「「「 了解!! 」」」

 

「皆、待たんかぁ〜!!例え上官でも許さんぞー!!」

 

「…うふふ…///」

 

桜井志帆の指示で全員がこの庭園を離脱。進次郎は怒りを表して、ホルスターから拳銃を抜き出して追撃した。

翌日、進次郎たちの目から桜井の兄弟はこの日から軍刀を帯刀することになった。

進次郎は純子、洋介は雪、勇介は澪と呉でデートを満喫した。進次郎たちは一晩旅館で過ごした。皆はすやすや布団で眠りに浸った。

 

早朝ー

 

「朝だー!!総員起こしー!!」

 

「わわっ!」

 

フライパンと摺りこぎ棒を持った志帆が叩きながら陸海と赤十字看護婦を起こした。

 

「まったく、姉さんは…」

 

「…そうだな…亡き父さんに似ているゼョ…」

 

男子部屋の洋介と勇介は欠伸をしながら軍服に着替え、部屋に運び込まれた朝食で食事を摂った。

 

「さて、シャバとの飯としばしの別れだな。」

 

「そうですね!」

 

「そうやな、たらふく喰おう!」

 

進次郎たちは食事を終え、旅館から呉駅前に移動した。

 

呉駅前ー

 

海軍航空隊に戻る沖田進次郎と桜井洋介、ドイツに特別留学する桜井勇介と大賀晴香と豊田純子。そして、赤十字に戻る桜井志帆と神矢雪、西澤澪と健闘を称えあった。

 

「これから軍に戻る洋介と勇介、沖田君。晴香ちゃんと純子ちゃん。武運長久をお祈りします。」

 

「ありがとうございます。桜井志帆、神矢雪、西澤澪に対して敬礼!!」

 

桜井洋介が音頭を執り、進次郎たちは敬礼した。そして呉駅前で記念写真を撮った後に解散、それぞれの場所に戻った。これが、桜井3姉弟が最後の別れになることは誰にも分からなかった。

 

呉海軍航空隊基地前ー 

進次郎たちが向かうところ、二人の上官であり軍刀を所持した厚木十三中尉と鉢合わせた。

 

「中尉!」

 

「おう、お前ら。帰るの早いな!」

 

「長い休暇と言えども、シャバであまり…ん…軍刀…?…隊長も…?」

 

「桜井も軍刀を所持することになったか、オレも同じだ。基地に入れば、シャバとしばしの別れだ。前線で戦う覚悟はいいな!」

 

「「 おうっ!! 」」

 

進次郎たちが基地に戻ったところ、新たなる任務が待っていた。

 

 

 




豊田純子と運命の出会いをした沖田進次郎。一度の出会いで再び戦地へ
翻弄された時代で、再び会うことができるのか?

君は、生き残ることができるのか…?
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