『天気予報のコーナーです』
『このところずっと雨が続いていますね。
今後の見通しはどうでしょうか。気象予報士の○○さん?』
『はい。残念ながら、状況の好転は見込めません。
この先も全国的に、いかにもな梅雨模様という天気になりそうです。
地域によっては雨量が増えているところもあります。
土砂災害や水害に十分警戒してください。
詳しく見てまいりましょう。まずは西から――』
最終追切と木曜会見で疲れた身体を風呂で癒してきて、
何気なくつけたテレビをそこまで見たところで、おもむろに消した。
まったくため息しか出ない。
テレビでも言っていたが、このところ日本中でずっと雨続きだ。
時期的にしょうがないと言えばそうなんだが、こうも続くと、ねぇ?
しかも、今度の日曜日には上半期の総決算、宝塚記念が控えている。
もちろん俺も出走を予定しており、昨年末の有馬に引き続き、
ファン投票1位での選出である。ファンには感謝しかない。
この分では、不良バ場での開催は必至だろう。
雨に嫌な思い出がある身としては、歓迎できる状況でないのは確か。
しかし、あのときとは何もかも違う。
体格もそうだし、体重もそう。なにより、能力的にも成長していると思う。
なんとしてでも、あの二の舞だけは避けたいところだ。
そういう意味では、通常は前日移動であるところを、
今回は前々日の現地入りになったのは僥倖である。
阪神レース場が初コースになることを懸念して、
スーちゃんが事前に手を回していたものだが、雨のことまで見越していたのなら、
さすがのご慧眼といったところだろうか。
わずかな時間だけど、土曜日の開催前の朝に、
事前スクーリングと試走させてもらえることになっている。
宝塚、阪神コースとなると、ルドルフの直前アクシデントが思い出されるが、
そのこともあって、スーちゃんとシンボリ家が猛烈にプッシュしたとかしないとか。
史実では、二度と阪神には出走させないとまで言ったらしいが、
本当のところはどうだったのかわからないし、
こっちでも噂に聞いた程度だから、定かではない。
なんにせよ、本番前にコースを走らせてもらえるのは大変ありがたい。
授業なんかで習った基本的な特徴などは覚えているつもりだが、
知識だけの状態と、実際に経験しているのとでは雲泥の差だと思うからね。
さて、明日は金曜日で、下校して早々に阪神へと移動だから、
今のうちに荷物をまとめておかないとな。
土曜、早朝6時。
まだお客さんが入っていない、閑散とした阪神レース場。
コースの下見をするために、スーちゃんと一緒にターフ上へ出てきた。
無論、今日も朝から雨。
風がないのが救いというくらい。
一緒にコースを歩いてくれるというスーちゃんは傘装備だけど、
これだと1周してくるころには、足元がびしゃびしゃかもしれない。
ご迷惑をおかけします。
俺? 俺はいつぞやのアニメでみんなが着てた、
ウマミミ付きの合羽ですよ。
いま履いているのは長靴だけど、1歩踏みしめるごとに、
ぐちゅっと水が染み出してくるような状態だから、普通の靴だったら
あっというまに浸水してしまうだろうな。今から気が重い。
「それじゃ、コースの特徴をおさらいしながら、
歩いて1周してみましょうか」
「はい、お願いします」
スーちゃんと連れ立って歩きだす。
まずは芝2200mのスタート地点へ向かう。
阪神コースといえば、従来のオムスビ型が思い起こされるが、
改修されて外回りコースが新設されたんだよな。
この外回りは、右回りとしては日本最大で、1周は東京よりも長いとか。
その分3、4コーナーも緩やかで、紛れは生じにくい。
授業で習ったことを思い出す。
まあ宝塚は内回りコースなんで、外回り云々は関係ないけどね。
「2200mのスタートは、直線の1番奥。
そこから1コーナーまではまっすぐで、500m以上あるわ。
余裕をもって1コーナーに入れそうね」
「そうですね」
発走地点が最初のコーナーまで近いコースは、外枠からの発走は厳しいもんな。
逃げウマにとっては特にそう。東京2000とか京都3000とかさ。
その点、阪神2200は精神的に優しいと言える。
スタート地点から、ゴールへ向かって歩く。
スタンドを左奥に見つつ、右から内回りコースが合流してくる。
「内回り使用時の最後の直線距離は、Aコースが356m。
Bコースがちょっと伸びて359mよ。まあほとんど差はないわね」
いや、ハナ差アタマ差とかの接戦になったら、
その3mの差は結構大きいんじゃないですかね?
ちなみに、宝塚記念はBコースで行われる。
仮柵が直線部分で3m、曲線部分で4m外側に設けられるそうだ。
「Bコースになるとはいえ、やっぱり内側は荒れてますね。
芝は剥げてるしボッコボコだ」
「それはしょうがないわね。これだけ雨続きだし」
見た感じ、ところどころに芝の剥げ目はあるし、
たくさんのウマ娘が全力で駆け抜けるせいで、大きな凹凸ができてしまっている。
これに足を取られてしまっては大変だ。
やっぱり外目に出て行くのが正解か?
出来たら全レース良バ場で走りたいものだが、
屋外競技である以上、天候に左右されるのは致し方ないことだ。
それも含めてのレース展開、実力の内なのだから。
「明日はもっと荒れるでしょうし、いつも通り、
作戦はリアンちゃんに任せるわ」
「わかりました」
さて、どうしますかね。
いいところを求めて外に行くか、それとも、
あくまで経済コースを通って最短でゴールを目指すか。
う~む……
考えながらさらに直線を進むと、徐々に
中山ほどではないにせよ、急であることに違いはない。
近くからゆっくり眺めてみると、それはさながら“壁”のようだ。
「残り200mからゴール前の坂よ。120mで1.8mの高低差があるわ」
「中山はどれぐらいでしたっけ?」
「中山は残り180mから、110mで2.2mよ」
少し気になったので聞いてみたら、すぐに答えが返ってきた。
やはり中山よりは緩い。というか、中山がきついと言うべきか。
中山の急坂は葉牡丹賞やセントライトなどで経験しているが、
最初は滑っての出遅れで無我夢中で覚えが無し。
セントライトの時は、あんまり意識してなかったけど、苦労した感じはない。
ああそうだ、有馬記念があるじゃないか。
でもアレも競っていたから、正直そこまで覚えてないんだよな。
参考になるのがセントライトしかないじゃないか。
つまり、直線向いた段階で余力さえあれば、問題ないということだな。
……なんか至極当たり前なことのような気がする。
というか、スーちゃんさらりと答えてるけど、
レース場のデータとか全部暗記してるのか?
阪神の特徴も、何も見ずにソラで言っているしなあ。
「すごいですね、全部覚えてるんですか」
「これくらい、トレーナーならば常識よ。
コースの特徴を熟知してなくちゃ、作戦なんか立てられないからね」
突っ込んでみたら、何食わぬ顔で言ってのけるスーちゃん。
トレーナーってすげえなあ。
さすが東大並みの試験を突破してるだけのことはある。
しかし、10人に聞いて全員がすんなり答えられるのかは、甚だ疑問だ。
そりゃ阪神はゴール前に坂があるなんてことは誰でも答えられるだろうけど、
スペック上の細かい数字まで覚えているなんてことはないと思うぞ。
ゴールを過ぎ、1コーナー2コーナーを回って、長いバックストレッチへ出る。
「内回りはほとんど平坦ね。残り800mから直線にかけて
緩やかな下り勾配が続いていくわ」
下り勾配なのは、先行勢に有利かも。
で、調子づいて加速していっちゃって、ゴール前の急坂で足が止まるパターン、
あると思います。気を付けないといけない。
仮に、この前の天皇賞みたいな展開になったとき、
あの状態ではあのとき以上に足が上がってしまうと思う。
京都は直線平坦だから助かった面が大いにある。
……最後の最後で、シリウスかスターオーちゃんに差し切られる画が、
いま明確に脳裏に浮かんでしまった。
いかんいかん、そんなイメージは要らんのだ。
見事に逃げきって見せるんだから。
それに、今回は不良バ場だ。差し切りなんてそうそう決まるもんじゃない。
「はい、これで1周よ」
「ありがとうございました」
そうこうしているうちに、4コーナーの合流地点に辿り着き、
スクーリングはこれで終了。
やっぱり実地で体験できるというのはいいね。
初コースでも、物怖じせずに臨めるよ。
「それじゃ、ちょっと走ってきますね」
「あんまり時間もないし、ゆっくり1周だけね。
それと、力を入れ過ぎて明日に疲れを残さないように」
「わかってます」
お客さんが入る前に引っ込まなきゃいけないし、長居して風邪ひいてもいけない。
普通に梅雨寒の気温だからな。まあそれを見越して着込んできてはいるけれども。
そして毎度のごとく、釘を刺されました。
軽く準備運動して、ジョギング程度の速度で走り出した。
スタンド前を通り過ぎる。
明日の午後、大勢の観客でいっぱいになった光景を、俺は先頭から見られるだろうか。
お客さんたちの大歓声を、先頭で受けられるだろうか。
すべては自分次第だ。
「……」
顔に当たる雨を感じながら、俺はコースを1周した。
『第29回宝塚記念、パドックに参りましょう』
『最初にご紹介するのはもちろんこの娘、2番ファミーユリアンです。
現在支持率73%で堂々の1番人気です』
『春のこの2戦がものすごく強いレースをしましたからね。
これだけの支持率になるのも当然といったところでしょう』
『道悪はどうでしょう?』
『2戦目の葉牡丹賞は、発表こそ稍重でしたが、
実際のバ場はドロドロの状態だったようです。ですが問題なく勝ってますから、
少なくとも不利に働くことはないのではないかと思います』
……好き勝手言ってくれるなあ。
何が『問題なく』だ。大ありでしょうよ。
アレだけ滑って盛大に出遅れてるんだぜ?
結果のみを見るとそう見えてしまうのか。
不利にはならない?
精神的には大いにマイナスだけどな!
またどこかで滑ったりしないかってヒヤヒヤしてるんだ。
まったく、いい気なもんだぜ。
息を吐き出しつつ奥へと引っ込む。
(お疲れ様です、リアン先輩)
(ありがと)
その途上、出番を待っているスターオーちゃんと目が合ったので、
軽くコンタクトを取っておいた。
スターオーちゃんは本当癒し。心のオアシスだーね。
同じレースを走るライバルだけど、実際に走るとき以外は、
こうやって心中を察してなだめてくれるからさ。
もう毎回一緒に出走してほしいくらいだよ。
『9番ニッポーテイオー、2番人気です』
『前走、安田記念を制して3勝目のG1となりました。
ファミーユリアンとは初対決になります。いかがでしょうか?』
『勢いはあります。しかし、この距離は若干長い気もしますし、
大阪杯で敗れているサクラスターオーを物差しにしますと、
少々苦しいかなという感想ですね』
マイルの帝王、ニッポーテイオーか。
放送でも言っているように、彼女とは初めての対戦になる。
はたしていかがなものだろうか?
マイルだけでないことは、その戦績が物語っている。
秋の天皇賞を制しているし、史実ではこの宝塚で2着のはず。
逃げに近い先行脚質なのも見逃せない。強力なライバルだ。
『3番人気は、14番サクラスターオーです。
前々走の大阪杯で1着、前走天皇賞では3着でした』
『しっかり仕上がってますね。前走で離された敗戦だったので
少し人気を落としていますが、実力的には引けを取りません。
要注意でしょう』
今しがた目が合ったスターオーちゃん。
いや、注意では済まん。
この距離では彼女のほうに分があるとすら思えるくらいだ。
有馬のときのような先行策で来るか、
それとも思い切った後方待機で来るのか、始まってみないとわからない。
『4番人気、15番シリウスシンボリです。
前走、春の天皇賞では、ファミーユリアンをあと一歩のところまで追い詰めました。
今回はどうなるでしょうか』
『これだけの不良バ場ですから、後方一気というのは考えづらいところです。
どういう作戦を取るのか見ものですね。
状態としては良い意味で平行線ですね。問題ありません』
確かに、シリウスがどういう位置に陣取るかは注目だ。
ある意味、1番わからないのが奴だからな。
誰もが思いつかないような奇策に打って出てくるかもしれない。
田んぼ状態だったダービーを圧勝した
道悪巧者でもあるし、警戒しなければ。
『降り続く雨が、阪神レース場のターフを濡らしています。
ここに来て雨脚が一層強まってまいりました。
第29回宝塚記念、まもなく発走となります』
発走を前にして、さらに強まる雨。
実況席からは、発走地点すら霞んでしまっているくらいである。
『バ場状態をどう見ますか?』
『第7レースの同条件の1勝クラス戦ですが、2分20秒台の決着でした。
良バ場よりも7秒近く落ちるタイムです。
もう最悪に近いレベルだと見ます』
『ではそんなバ場状態を踏まえて、最終的な展開予想をお願いします』
『はい。ファミーユリアンが逃げます。2番手3番手に、
ニッポーテイオーとメジロフルマーが付けるでしょう。
以下は混戦になると思います』
『サクラスターオーとシリウスシンボリはどう出るでしょうか』
『難しいですね。前目にも後ろにも付けられる2人ですから、
始まってみないとわからない部分が大きいです。
正直わかりません。申し訳ない』
『解説者泣かせの一戦というわけですね。
さあ、スターターが台に向かいます。宝塚記念ファンファーレ!』
解説者もある意味、自分の仕事を放棄してしまったところで、
時計は発走時刻を伝えた。
――ガッシャン
ゲート入りはすんなり完了し、降りしきる雨の中をスタート。
加速していく中で、大粒になってきた雨が嫌でも顔に当たってくるが、
そんなことは気にしていられない。
2番枠スタートってことで、1コーナーまではただひたすらまっすぐ……
ん?
『ファミーユリアン、ハナを切りますが、メジロフルマー並びかけていく』
外から猛然とメジロフルマーが並んできて、一歩も引かない構えを見せてくる。
また君か、レースが壊れるなあ。
出バ表を見たときからまさかなとは思ってたけど、
そのまんまの展開とは恐れ入った。
日経賞でのことを忘れたとは言わないよね?
それとも、それを踏まえた上で、こうして再び挑んできたというわけかな?
……いいねぇ、そう来なくては。
自分の中に、
思わずゾクゾクと震えてしまうくらいの感覚だった。
いいぜ、ついてきたければついてくるがいいさ。
でもやっぱり、共倒れだけは勘弁な!
『ファミーユリアンとメジロフルマー、お互い譲らず並んで1コーナーを回ります。
3番手5バ身離れてニッポーテイオー続きます』
『日経賞の再現か? バックストレッチに入っても両者譲りません。
ファミーユリアンとメジロフルマーが後続を大きく引き離しました』
『2番人気ニッポーテイオーは3番手。プレジデントシチー4番手、フリーラン5番手に続いた。
サクラスターオーはここ、ここにいます。今日も前目に付けました』
『その直後にシリウスシンボリ。雨のせいでしょうか、
人気各バが前のほうにいます』
『1000mをいま通過。59秒1! バ場を考えるとかなりのハイペースです』
ハイペース? そんなの関係ねぇ!
今はただ、メジロフルマーとの先頭争いを楽しみたい。
『レースは3コーナーから内回りコースへ。
先頭は依然ファミーユリアンとメジロフルマー、大きく逃げる』
『3番手ニッポーテイオーとは7バ身から8バ身くらい』
前回と違って、今日のメジロは一足違うな。
日経賞ではもうこのあたりで脱落していったんだが、まだその気配はない。
むしろ、気合充分という感じでついてきている。
距離が短いからか? あるいはこの子、雨が得意だったりする?
あの惨敗で何か得るものがあったかな?
なんにせよ、こっちとしても譲れないので、行けるところまで行くだけさ。
さてフルマーちゃんよ、俺の
超前傾走法、行くぜぇ!
『先頭の両者、ここまで全く譲らず、勝負所の4コーナーを迎えます』
『ファミーユリアンここで前に出た! メジロフルマーここまでか!?』
加速して離れていく瞬間、「っ……!?」っていうフルマーちゃんの、
息を飲む音が聞こえたような気がした。
ここまでこんなハイペースで逃げて、さらにそんな加速ができるのかという悲鳴。
もちろんそんなことを気にしている余裕なんかないし、
確かめたわけでもないから、本当にそうだったのかはわからない。
しかし明らかなのは、そこからの一人旅が、直線に入ってからの大歓声が、
いつも以上に気持ち良かったということだった。
『ファミーユリアン先頭、今日も逃げた逃げた逃げた!』
『後続はどうした? 何も来ないぞ、このバ場では何も来ない!』
『ようやくニッポーテイオーがメジロフルマーをかわして2番手に上がった。
その後ろはバ群でひと固まりだ。皆もがいている!』
多くが泥んこバ場に苦労してごちゃごちゃしている間に、
リアンは1人、坂を駆け上がる。
ニッポーテイオーがメジロフルマーをやっと抜いて2番手に浮上したころ、
レースは遥か前方でもはや決していた。
『ファミーユリアン先頭でゴールイン! 珍しく右手を挙げました。
雨でも、初めての仁川でもお構いなし。
まさに異次元の逃亡者ファミーユリアンですっ!』
実況でも触れられたように、リアンにしては珍しく、
軽くではあるが右手でポーズを取りながら入線した。
『ニッポーテイオー離されて2着。メジロフルマー粘って3着!
4着に混戦から抜け出したシリウスシンボリ。
サクラスターオーは着外の模様。バ群に沈みました』
2着はそのままニッポーテイオーが入った。
逃げ粘ったメジロフルマーが3着。
最後に、さすがの重バ場巧者ぶりを見せたシリウスが4着に滑り込み。
バ群の中でもがいていたスターオーは終始何も出来ず、
初めての二桁着順となる10着に終わった。
第29回宝塚記念 結果
1着 2 ファミーユリアン 2:13.9 不良
2着 9 ニッポーテイオー 6
3着 7 メジロフルマー 2
……勝った。
なんだか自分でもよくわからないうちに高揚してしまい、
ゴールするときにガッツポーズを取ってしまった。
ここまでそういうことは自重してきていたから、ちょっと反省。
大丈夫かな? 傲慢な奴だと思われてないかな?
まあそれは置いておいて、だ。
ゴール後、真っ先にしたことは……
お、いたいた。
フルマーちゃんを探すこと。
彼女は、膝に手をついて上体を倒しながら、肩で大きく息をしていた。
別に文句を言うつもりはないよ。
何も問題はなく勝ったんだしね。
むしろ、感謝したいくらいだったから、こうして探したわけだ。
今まで経験したことのなかった、あの謎の高揚感を生んでくれたのは、
間違いなく彼女のおかげだと思うからね。
「メジロフルマーさん」
「っ……! ……何か?」
近づいて声を掛けたら、キッと睨まれてしまった。
まあ無理もないか。
俺だって、同じ状況だったらこうなるよ。
だけど、一声かけなきゃ気が済まなかった。
美人の鋭い視線に一瞬だけ怯みかけたが、気を取り直して、
いまだ呼吸の整わない様子の彼女に、俺はこう声をかけた。
「いいレースだったね。ありがとう」
「ありが、とう……?」
何を言われたのか、理解が追い付かない状況のフルマーちゃん。
盛大にハテナマークを浮かべているのがバレバレだったが、
構わずに続ける。
「また一緒に走れるといいな」
「………」
「それじゃ、また後で」
いまだ再起動できない彼女をしり目に、
ライブでの再会を約束して踵を返した。
ちょうど係員のお姉さんもやってきてくれたわけだしね。
今の段階じゃ、フルマーちゃんが何着だったのか俺にはわからない。
もちろん全体の結果もそう。
しかし、雨と不良バ場だったことを除けば、良いレースだったと言い切れる。
その要因の一端というか、大きな要素が、
フルマーちゃん、君の存在だったんだよ。
君が勇気をもって挑んできてくれなければ、これほどの満足感は得られなかった。
改めて、ありがとうフルマーちゃん。
またどこかのレースで、一緒に逃げよう!
メジロフルマー
「ファミーユリアンさん……(キュン」
メジロデュレン
「……私もメジロで、私もいたんだけどな」
メリーナイス
「被害者の会、会員募集中です(チラッチラッ」
メジロの脳を焼いていくスタイル
メジロフルマーのイメージ
【挿絵表示】
【挿絵表示】
片側縦ロール→お嬢感
後ろ髪の「ツンツン」→ライアンの血縁感
耳飾り「カモメ」:フルマー=フルマカモメの意
最近の阪神芝2200m不良のデータが乏しい、というか見当たらなかったので、
今回はハロンタイムや上がりなどの数字を挙げるのは避けます。
意外にもこの時期で、案外重馬場になってないんですよね、宝塚。
楽しみにしてくださっている方がいらっしゃったら申し訳ない。
仮にリアンが海外遠征する場合、初戦は何が良いですか?
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ドバイワールドカップ
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ドバイシーマクラシック
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ガネー賞(仏)
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クイーンエリザベス2世カップ(香港)
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アメリカ遠征