転生孤児ウマ娘の奮闘記   作:しょうわ56

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第73話 孤児ウマ娘、また巻き込まれる

 

 

 

 

今回の『ファミーユリアンちゃんについて語るスレ』のコーナー

 

 

(菊花賞リアルタイム視聴組の反応)

 

:リアンちゃん派閥の直接対決、第2回戦やな

 

:どっちが勝つと思う?

 

:正直逃げは厳しい

 

:実際リアンちゃんが久方ぶりの勝利だったし、

 リアンちゃん以降も壊滅だもんな

 

:それでも、それでも俺はファルコを推す!

 

:僅差2番人気だし、みんなそう思ってるよ

 

:タマモかファルコの二冠達成が9割

 長距離だけにアッと驚く伏兵誕生が1割だと思う

 

:つまり、2強以外の上位人気が勝つ確率はゼロだと

 

:パッとしないもんなそれ以外

 

:春の勢力図と全く変わってないよ

 

:さてスタートだ

 

:揃った

 

:ファルコ行く

 

:さほど早くなさそうだ

 

:63秒、スローだ

 

:上がり勝負になるとタマモ有利か

 

:ペースさらに落ちたな

 

:バ群が詰まる詰まる

 

:これは……もしやリアンちゃん戦法!?

 

:中盤落として再加速ってやつ?

 

:しかしそう言うには前半遅すぎないか

 

:後ろも離せてないし

 

:じゃあ2周目下りで行くのか?

 

:やっぱり下りで行ったよ

 

:少なくとも意識はしてるな

 

:さあ逃げ切れるか?

 

:タマモクロス来てるぞ

 

:ダービーの再現や

 

:うおおお熱い!

 

:どっちだ!?

 

:わからん

 

:肉眼じゃまったくわからんな

 

:リプレイ見ても正直……

 

:さて……

 

:長いな

 

:まさか同着とか?

 

:出た! タマモ!

 

:白い稲妻!

 

:二冠おめ!

 

:ああファルコ……

 

:膝ついてガックシ

 

:ダービーに続いて僅差だし、そりゃ悔しいよ

 

:手を差し出してファルコを立ち上がらせるタマモ

 

:ふつくしい……

 

:これぞスポーツマンシップ

 

:リアンちゃん派閥らしく、リアンちゃんと同様

 ダービー菊花の二冠になったか

 

:終わってみればシグナルだった

 

:ダービーでもリアンちゃんと同じく記録尽くめだったし

 

:で、そう言うおまいらはもちろんタマモに入れたんだろうな?

 

:あ、もちろんタマモ単独で、だぞ

 

:………

 

:さ~て、来週の天皇賞の検討しようか

 

:ツッコミ待ちかな?

 

:兎にも角にも、これで両者は

 有でリアンちゃんと対決だろう

 

:燃える展開

 

:憧れの存在で、実際に世話になった大恩人との対決とか

 

:激熱だ

 

:その前にリアンちゃんは天皇賞とJCあるから

 

 

 

 

 

(天皇賞リアルタイム視聴組の反応)

 

:見どころは、イナリワンがどこまでリアンちゃんに迫れるか

 

:中央でも通用するのは前走で証明した

 

:他は正直どうでもいい(暴言)*1

 

:タマモ、ファルコ、イナリワンがリアンちゃん三銃士だな

 

:メジロフルマーも入れてあげて

 

:あいつはライバル枠だから

 

:よし、今日も調子良さそうだ

 

:お? 珍しく外ラチまで行った

 

:と思ったら、タマモとファルコ来てるじゃん

 

:ファンクラブの面々と一緒に応援か

 

:皇帝に並ぶかという一戦だし、そりゃ周りも力入るよな

 

:ルドルフも内心はどうなんだろうな?

 

:親友なんだし、誇りこそすれ怒りはしないでしょ

 

:さあスタートだ

 

:何回見ても緊張する一瞬……

 

:よし!

 

:1人だけ早すぎる

 

:もう一歩目が違うもんな

 

:スタートも異次元だ

 

:はええ

 

:離れすぎィ

 

:57秒4!?

 

:早すぎでしょ

 

:大阪杯より早いとか

 

:実況「目視ではもうわからないくらいの差」

 

:ホントわかんねえよ

 

:これは大草原

 

:早くも大楽勝ムード

 

:イナリワン上がってくるも

 

:はい終戦

 

:大圧勝フーッ!

 

:皇帝に並んだ!

 

:おめでとぉぉおおお!!!

 

:日本レコードもさらに更新!

 

:初めての春秋連覇やったー!

 

:格が違いすぎる

 

:イナリワンでも7バ身か

 

:まあ迫ったほうじゃね

 

:やっぱりあの大井での模擬レースは、

 身体できてなかったってことなんだろうな

 

:終わってみればいつも通り

 リアンちゃん王国はまだまだ続く

 

:重賞最多勝記録更新の14勝目

 

:リアンちゃんはいったいいくつURA記録を作る気なのか

 

:そりゃあ作れるだけよ

 

:何気に連対記録も継続中だよな?

 

:最多連対はシンザンだな

 デビュー以来の19戦19連対の連対率100%だ*2

 

:リアンちゃんはいま何回なの?

 

:18戦16勝2着2回の18連対

 

:ということは、その記録も夢じゃないな

 

:連対率100%も維持してるし

 

:もうすぐに更新できるじゃん

 

:有でキリよく20戦連続連対の新記録や

 

:スピードシンボリトレーナーに抱き着いて号泣

 

:久しぶりのリアンちゃんの涙

 

:ほぼ1年ぶりだ

 

:デビュー戦の時が思い出されるな

 

:俺もそう思った

 

:同じ舞台だからなあ。出来すぎてるよ

 

:もう4年たつのか……

 

:早いもんだ

 

:いかん、もらい泣きしそう

 

:ルドルフおるやん

 

:「君に並ばれたのなら本望だ。

  むしろ、さっさと超えていってくれると嬉しいな」

 

 確かに聞こえたぞ!

 聞いたなみんな!!?

 

:ルドルフにも抱き着いて、あらら

 

:大号泣だ

 

:そりゃ、親友でもある大先達から

 こんなこと言われたら感極まるってもんだよ

 

:てぇてぇ……(昇天)

 

:良い関係だなあ

 

:周知の事実ではあるけど、

 気安い関係であると再認識(昇天)

 

:やはりルド×リア

 ルド×リアは世界を救う(昇天)

 

:怒涛の昇天ラッシュで草(昇天)

 

:みんな落ち着け!

 昇っちまったら、もうリアンちゃんを見られないぞ!

 

:ルドルフにも祝福してもらえて

 よかったなあリアンちゃん(もらい泣き)

 

:これインタビューどうなるん?

 

:それどころじゃない気がする

 

:まあ落ち着くのを待つしかあるまい

 

:落ち着きませんでした

 

:終始泣きっぱなしだったなあ

 

:こんなの初めて(嬉)

 

:普段しっかりしている娘の涙は心に来る(泣)

 

:やっぱりプレッシャーだったんだろうよ

 

:重圧から解放された瞬間に、

 誰あろうルドルフ自身から祝福されたもんだから

 

:美しい涙でした

 

 

 

 

 

:ハロンタイム来た

 12.4-11.2-11.1-11.3-11.4-11.9-11.9-11.8-11.6-11.8

 4F 47.1

 3F 35.2

 

:恐ろしいペースだ……

 

:2ハロン目の加速力えぐい

 

:スタート以外11秒台並べるとか……

 

:マイル戦並みのラップだよなあ

 

:まさにマイルのスピードを中距離で維持できる

 ってところだ

 

:なんという化け物(誉め言葉)

 

:もはや形容する言葉も出てこない

 

:改めて思うが、これだけ飛ばせて

 上がり35秒そこそこでまとめられる能力よ

 

:坂で全然タイムが落ちない

 むしろ加速する

 

:下り坂スパートの件といい、上り下り関係なく

 坂を全く苦にしないのは大きな強みだ

 

:走りによほどのパワーがあるんだろう

 まあ道悪実績からもわかってたことだけど

 

:そこが1番の長所説

 

:長所多すぎて絞り切れん

 

:・抜群のスタート

 ・抜群のペース把握管理能力

 ・逃げて伸びる抜群の末脚

 ・数々のレコードを作る抜群のスピード

 ・不良バ場でも良並みのタイムで走れ、

  坂をまったく苦にしない抜群のパワー

 ・3000のレコードを上回るペースで逃げた上での

  3200を超絶レコード勝ちできる抜群のスタミナ

 

 ・基金を創設して寄付を募り自らも多額を寄付する聖人

 ・ファンサービスに熱心で、

  時には自分の都合すら犠牲にする献身性

 ・これだけの強さにもかかわらず常に謙虚

 

 まだまだあるとは思うが、

 軽く考えてもこれだけ挙がってくる

 

:経験と知識を惜しみなく提供する

 その結果誕生したのが今年のクラシックウマ娘2人*3

 

:人を見る目の確かさ

 地方のデビューしたばかりの娘の適性を見抜いて中央に誘う

 タマモとファルコの件にも繋がるな

 

:2回の骨折にも負けない不屈の精神力

 リハビリに耐えて時を待てる忍耐力

 

:1番肝心の「かわいい」が抜けてるやんけ

 

:欲望に素直ニキおっすおっす

 

:スレ説明回収乙です*4

 

:ずいぶん時間をかけたフラグ回収だなw

 

:考えれば考えるほど、良いところしか出てこないな(歓喜)

 

:むしろ欠点ってあるの?

 

:謙虚なのはいいんだが、それが見る人から見ると、

 厭味ったらしく見えるのかもしれない

 

:揚げ足取りでしかなくて草

 

:言いがかりじゃあ

 

:もう好みの問題だな

 

:何はともあれおめでとうリアンちゃん

 次は皇帝越えだな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第14回エリザベス女王杯。

 

『メジロフルマー圧勝! 完全な独走でゴールインッ!

 ついにG1タイトルを手にしました!』

 

テレビには、激走後にもかかわらず

涼しい顔で観客に向けて手を振っているフルマーちゃんが映し出されている。

 

実況が言っていたように、やっとG1を勝った。

 

去年なんで出なかったんだって意見が多くて、

俺に付き合わせてしまったせいかなんて、差し出がましくも

思っちゃってたところなんで、俺もホッとできたところだ。

 

2着につけたのは大差。

今年のティアラ路線の子たちが揃って出てきたんだけど、

まったく寄せ付けなかったね。

 

ハイペースで逃げた上に、フルマーちゃん単独なら潰せると思ったのか

どうかはわからないが、競ってきた2人をレース半ばで早々に潰した挙句、

記録したタイムは、俺に続いて2200で2分10秒切りの2分9秒9。

もちろんレースレコードとコースレコードを大幅に更新した。

 

そのハイペースの恩恵を受けたのが、後方から2着に突っ込んだ最低人気の子。

サンディフェイマス……サンドピアリスだな、史実では。

確かいまだにG1では最高の単勝配当を生んだ超穴馬だったはず。*5

こっちの世界でも一世一代の激走を見せてくれた。

 

それにしてもフルマーちゃん強かった。

また強くなったんじゃないの? こりゃうかうかしてらんないねぇ。

 

インタビューでは、「これで胸を張って、()()挑戦できます」

なんて言ってたけど、誰に、なんて言うのはナンセンスだよね。

 

いいぜ、俺は逃げも隠れもしない。

……って、レースでは逃げるのが主だけどね(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第9回ジャパンカップが目前に迫った。

出走予定の海外ウマ娘たちを見ていこうか。

 

 

・キャロルハウス(英)  凱旋門賞、愛チャンピオンS

・イブンベイ(英)    オイロパ賞(独)、イタリア大賞

・アサティス(英)    ジョッキークラブ大賞(伊)

・トップサンライズ(仏) ロワイヤルオーク賞

・ホークスター(米)   オークツリー招待ハンデ、セクレタリアトS

・ペイザバトラー(米)  ジャパンカップ2着

 

 

今年は6人の海外ウマ娘が来日。

比較的少数で、日本バの出走予定を合わせても12人しかいない。

世間では少数精鋭と評されているようだ。

 

そんな出走者の少ないことを紛らわせてくれているのが、

2年連続での凱旋門賞ウマ娘の参戦だろう。

また、去年の俺の2着だったペイザバトラーが再び来ていることも、

一因となっているのは想像に難くない。

 

だがちょっと待ってほしい。

最重要の娘が来ていないと思わんかね?

そう、史実の勝ち馬ホーリックスだ。

 

時期が外れたのか、はたまた存在していないのか。

まあオグリ世代の登場が遅れたので、それを考えると

順当と言えるのかどうかはわからないが、まあ深く考えるのはやめよう。

 

今日この後、事前記者会見がある。

海外娘たちと一緒に、当然俺も出席する予定なんだが、

相変わらず日本のウマ娘は俺以外にいない。

 

イナリが有に専念するって回避しちゃったからさ。

タマちゃんとファルコちゃんも出ないっていうし、寂しいなあ。

矢面に立たされる身にもなってくれよぉ。

 

また要らぬ火種をぶちこまれかねないし。

去年のトニーみたいに、やさしい子がいてくれたらいいなあ。

 

 

 

 

 

「それでは、第9回ジャパンカップ、

 事前記者会見を始めさせていただきます」

 

司会者の言葉で、会見が始まった。

呼ばれるまで袖で待機待機。

 

「当代最強ウマ娘、G1最多10勝に並んだファミーユリアンさん」

 

呼ばれて飛び出て……ではないが、

出て行ってぺこりと一礼し、所定の席に着く。

 

「今年も来ました凱旋門賞ウマ娘。

 イギリスのキャロルハウスさん」

 

「4連勝中、ヨーロッパ中距離王者、

 同じくイギリスのイブンベイさん」

 

「同じくイギリス代表アサティスさん」

 

「フランス代表トップサンライズさん」

 

「2分22秒台の持ち時計*6を引っ提げての来日です。

 アメリカから参戦のホークスターさん」

 

「昨年2着の実力者、アメリカ代表ペイザバトラーさん」

 

あとは順番に紹介されていき、出席者全員が席に着いた。

しかしまあこうして見ると、やっぱり海外娘はガタイがよろしいのう。

羨ましいこって。

 

「まずは、なんといっても世界一のレース、

 凱旋門賞を制されたキャロルハウスさんにお聞きしたいと思います。

 日本の印象はいかがですか?」

 

「I had a sunbath the other day and it was nice and warm」

 (この前ひなたぼっこしたんだけど、あったかくて気持ちよかったなあ)

 

「は、はあ、そうですか」

 

記者の質問に、どこかズレた感想を返すキャロルハウス嬢。

フランスとかと比べると、この時期の東京は暖かいんだろうか。

 

というか、聞きたいのはそういうことじゃないと思うんよ。

 

あんまりメディアに出ない不思議ちゃんらしいけど、

やっぱりよくわからんな。

このぽわぽわした空気感が、レースではどう変わるのか。

 

凱旋門賞ウマ娘の先輩としてどう思うかって、事前に

トニーに聞いてみたんだけど、対戦したことはあるらしいけど、

この1年は日本にいて、直接見てないからよくわからないってさ。

 

聞いておいてなんだが、使えないやつだ(暴言)

 

「では次に、イブンベイさんにお尋――」

 

「ニポンゴ喋れまーす! ワタクシ、セレブですので!」

 

「……は、はい」

 

次に質問されたイブンベイも、記者たちというか、会場全体の度肝を抜いた。

なんと、質問をし終える前、もちろん翻訳される前に、

自分からこう言って割り込んでいったのだ。当然日本語で。

 

自称セレブなだけあって、ムーンみたいないかにもお嬢様風のいでたちに、

両耳を出した帽子が似合ってはいる。日本語も前もって学習済みってか。

さすがイギリス娘、名誉的とはいえ今でも貴族制度の残っている国の子だ。

 

「おーっほっほ! なんなりとご質問アソバセ!」

 

「は、はあ」

 

「ジャパンカップは中距離、ワタクシは中距離で4連勝中!

 なーんも問題アリマセン! ワタクシの独壇場!

 まさに鬼に can not bow デース!」

 

「……」

 

こいつ、自己肯定感の塊だな!?

1人で勝手にペラペラしゃべるもんで、

記者さんたちのほうが絶句しちゃってるじゃないか。

 

最後のは『鬼に金棒』って言いたいのか?

 

……前言撤回。貴族の皮を被ったゴリラだ。

どこかで見たことあるな? ……カワカミかな?

 

「A noisy one. Too noisy」

 (やかましいやつじゃ。うるさくて敵わん)

 

「え? ええと、ホークスターさん?」

 

すると、この中でもひと際ガタイのでかいウマ娘、

ホークスターが嫌気が差したとばかりに、口を挟む。

 

「That's prat,shut up a little. How old are you?」

 (痴れ者が、少しは黙らんか。子供かおのれは)

 

「……What!?」

 (なんですって!?」

 

ホークスターが続けてそう言うと、イブンベイは一呼吸置いた後、

思わずガタッと椅子を鳴らして立ち上がるほどに激昂した。

 

最初になんて言ったのかは聞き取れなかったけど、

(あとからアレは英国でのスラングで、馬鹿とか無能だって意味だと知って納得。

 わざわざ英国式の単語使ってる時点で確信犯だ)

後半はさすがにからかっているんだってわかったよ。

 

日本でもいきなり年齢を尋ねるのは失礼に当たるが、

英国人に対してはもっと失礼になるんだとか。

俺にも馬鹿にしてるってわかるほどだし、イブンベイが怒ったのも当然だった。

 

「Maybe you should just go back to England

 where the weather is bad before you cause any more embarrassment」

 (これ以上の恥をさらす前に、さっさと天気の悪い英国へ帰らんかい)

 

「ぐぬぬ……!」

 

さらに天気のことを言われて、悔しがるイブンベイ。

悔しがり方が日本語になってるぞ。

 

「I hereby declare!」

 (ここに宣言しよう!)

 

そしてホークスターもまた勝手に、声高らかに宣言した。

 

「I will win. And I will set a world record」

 (勝つのは私様じゃ。そして、世界レコードを出す)

 

彼女の視線が、間にいるキャロルハウスやイブンベイたちを飛び越えて、

俺のほうに向いてきた。

視線だけではなく、指まで差してきやがった。

 

「That bitch seems to have it now,

 but I'll make sure to rewrite it.I promise」

 (今はそいつが持っているようだが、必ず塗り替えてやる。必ずじゃ)

 

……うわーい、またなんか飛び火してきたよぉ。

しかもいま俺のことビ〇チって呼びやがったな?

 

大口過ぎるうえに、口が悪いにも程があるぞ。

公式の会見で放送禁止用語使うとか、頭おかしい。

 

「Of course you'll take it, won't you?

 Hey, world record holder?」

 (もちろん受けて立つよな? なあ、世界レコードホルダーさんよぉ?)

 

ニヤリと微笑んで、そのギザ歯を見せつけてくるホークスター。

 

まったくお馬鹿さんだぜ。

逃げてレコードを出してやるから、おまえもついて来いよって言うんだろ?

そんな見え透いた挑発に乗るヤツなんて、どこに――

 

「Okay, I'll take it!」

 (わかりました、受けて立ちましょうとも!)

 

――いたぁ!?

マジかよ、うっそだろおまえ。

 

「皆様が証人デスワ!」

 

1人納得した様子で、勝手に解釈したイブンベイが、

また勝手に1人で語り始める。

 

「そうまでして勝負をお望みとあらば、このワタクシが受けて差し上げます。

 英国淑女の名に懸けて、お約束いたしますわ!

 If you are so eager to compete, I will accept the challenge.

 In the name of the English lady, I promise you!!」

 

「………」

 

「………」

 

シーンと静まり返る会場内。そりゃそんな空気になるよ。

日本語で言った後、わざわざセルフで通訳しているくらいだもんなあ。

悪態ついたのは自分を乗せるためだって、また好意的も好意的に受け取ったのか。

このポジティブモンスターは。

 

ホークスターの「ええ……?」ってなってる顔がすごく面白い。

まさに、おまえに言ったんじゃねえんだよって感じか。

 

そういや確か史実では、この2人が絡み合って超ハイペースになったんだった。

ウソでしょ? こういう形で史実を追うことになるわけ?

 

まったく冗談ではない。

そんなチキンレースになんぞ誰が付き合うか。

 

「あのっ、ファミーユリアンさんっ!」

 

「は、はい?」

 

そんな折、思い切って質問の声を上げて来た記者さんが1人。

って、乙名史さんじゃないか!

 

勇気あるな彼女。この空気の中でよくやるよ。

 

「ホークスターさんがああ仰っていますが、どうですか?

 世界レコードホルダーとして、ディフェンディングチャンピオンとして、

 受けて立つ義務があると思いませんか?」

 

「……えーと」

 

くっ、今この時に限っては余計なことを……

このままスルー出来るかと思ってたのに。

 

「どうですか!?」

 

乙名史さんはなおのこと、目を輝かせて迫ってくる。

わかった、わかりましたよ。応えてあげればいいんでしょ?

 

「元よりレースなんですから、勝負というなら受けますよ」

 

「素晴らしいです! ありがとうございますっ」

 

嬉々として頷く彼女。そしてフラッシュの嵐。

 

ああ、明日のスポーツ紙の見出しは決まりかなあ?

『世界レコード保持者ファミーユリアン、

 “世界”からの挑戦を甘んじて受ける!』とか、そんな感じ?

 

「ファミーユリアンさんからは、何かありませんか?」

 

「そうですね……」

 

このうえコメントまで求める?

まあいいか。せいぜい()()させてもらいますよっと。

 

ホークスターのほうに向きなおって、一言述べる。

 

「Let's play fair and square, Miss.Hawkster」

 (正々堂々と勝負しましょう、ホークスターさん)

 

「hhh……Hahaha!!

 It's getting interesting. Looking forward to the race!」

 (ははは、面白くなってきたのう。レースが楽しみじゃ!)

 

するとホークスターは満足そうに笑う。

 

まあ、せいぜい悦に浸っているがいいさ。

おまえが思い描いた通りの()()になるとは限らないからな(ニヤリ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の『ファミーユリアンちゃんについて語るスレ』のコーナー・その2

 

 

(エリザベス女王杯の結果を受けて)

 

:強いなあ

 

:フルマーもこれでようやくG1娘の仲間入りか

 

:やっと報われたな

 

:おめでとうフルマー

 

:リアンちゃん以外でレコード大差勝ちが見られるとは

 

:競ってきた2人を潰しての大差逃げ切りレコード勝ち

 まるでリアンちゃんのレースを見ているかのようだったぞ

 

:ほんとそれ

 リアンちゃん以外に敵うやつはいないな

 

:ティアラ組をまとめて負かしたし、

 これだけの差なんだから、レベルの違いは明らか

 

:生まれる時代が違えば、

 フルマーが今のリアンちゃん状態になってたのかな?

 

:わからんぞ

 リアンちゃんに出会ったからこそ、かもしれん

 

:去年の日経賞まではごく普通の逃げウマ娘だったから、

 その可能性が高いと思われ

 

:リアンちゃんとレースして覚醒しちゃったかあ

 

:現にリアンちゃんとレースするたびに着差縮めてるからなあ

 

:自分だけではなく、周りのレベルも高めていくリアンちゃんよ

 

 

 

 

 

(ジャパンカップ事前記者会見を受けて)

 

:「レース前から火花、ライバル意識むき出しの海外ウマ娘たち」

 https://www.umamusumenews.com/*******

 

 ジャパンカップの事前記者会見が

 出走予定の海外ウマ娘たちと、我らが日本代表

 ファミーユリアンが出席して行われた。

 

 今年も目玉は凱旋門賞を制したウマ娘、キャロルハウス。

 日本の印象を問われると、気候の良さを挙げた彼女。

 このほんわか娘がレースでどのように変わるのかが見ものだ。

 

 そして主導権を握ったのは、英国代表イブンベイだった。

 記者の質問の範疇を超えて勝手に喋りだし、

 挙句にはうるさいとなじった米国代表のホークスターと

 睨み合う、まさに一触即発の事態となった。

 

 ホークスターは、前走米国での芝2400mレースで

 2分22秒8という非常に早いタイムを叩き出して優勝。

 高速決着は望むところとあって、

 彼女の牙はファミーユリアンにも向けられた。

 

 世界レコードを必ず塗り替えてみせるとまで言い放った

 ホークスターに対し、「正々堂々と勝負」と応じたファミーユリアン。

 言うまでもなく、現世界レコード保持者は彼女だ。

 

 何よりここは日本、ホームの地。

 日本の絶対王者が海外勢を正面から迎え撃つ。

 

 はたして類稀なるタイムでの決着となるのか、

 世界レコードは本当に更新されるのか、期待大である。

 

:火花バチバチやな

 

:去年までとは立場が逆になっとる

 

:すでに世界から一目置かれているリアンちゃんよ

 

:あのリアンちゃんがそういう存在になったんだなとしみじみ

 

:そりゃ去年、凱旋門賞バを正面から打ち負かしての

 世界レコードだったからなあ

 

:俺イブンベイ好きだわw

 

:「じゃじゃウマ」って評判は本当だったw

 

:わざわざ日本語覚えてきてるの草

 

:俺もそういう姿勢嫌いじゃないよw

 

:キャロルハウスは、本当に凱旋門勝ったのかって雰囲気だったな

 

:リアンちゃんだってそうだろ?

 普段はこんなレコード連発するようには見えない

 

:そんなタイプこそ警戒しなければ

 

:人呼んで米国の暴君ホークスター、その実力やいかに?

 

:タイム的には、良い勝負になるかも

 

:それだけのタイム出せるなら、日本にも合うはずだしな

 

:でもああいう態度はいけ好かんな

 

:そういうキャラなのかもよ?

 異名からしてさ

 

:素なのかキャラ演技なのかわからんな

 

:素だったら大問題やんけ

 

:イブンベイは間違いなく素だなw

 

:あんなキャラ作ってるんだとしたら大したもんだよw

 

:逆に応援するわw

 

:とにかく好勝負を期待

 そして皇帝越えだリアンちゃん!

 

 

*1
杉本アナ乙

*2
JRA所属の連対率100%には他に、ダイワスカーレット12戦12連対、エルコンドルパサー11戦11連対、マルゼンスキー8戦8連対など

*3
言うまでもなくタマちゃんとファルコ

*4
当初のスレ最初の説明文が「ちっこくてかわいい、怪我にも負けない彼女を純粋に応援しましょう!」だった

*5
20頭中の20番人気、単勝43060円

*6
前走の米国でのG1芝2400mで2分22秒8を記録。史実では世界レコード





ホーリックス不在
健康ランド師匠は、やはりオグリと競ってナンボだと思うのです

仮にリアンが海外遠征する場合、初戦は何が良いですか?

  • ドバイワールドカップ
  • ドバイシーマクラシック
  • ガネー賞(仏)
  • クイーンエリザベス2世カップ(香港)
  • アメリカ遠征
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