2月も半ばを迎えて、海外遠征前のトレーニングも、
佳境を迎えつつある。
向こうでどれくらいできるかわからないから、
出発前にある程度は仕上げていく予定だ。
現地では環境に慣れることと、軽い調整くらいになるだろうな。
「それじゃ今日はここまで。お疲れ様」
「お疲れさまでした」
今日のメニューを無事に終え、先にトレーナー室に戻るスーちゃんを見送り、
クールダウンのための体操に入る。
芝の上に腰を下ろして、各種ストレッチを遂行。
しばらく続けていると、誰かが近づいてくる気配と足音。
「ごきげんよう、ファミーユリアンさん」
そんな声に顔を上げたら、フルマーちゃんだった。
ジャージ姿なところから、彼女もトレーニング上がりかな?
「少々お話しさせていただいても構いませんか?
すぐに済みますので」
「いいよ。フルマーちゃんも上がりかな?
じゃあ一緒にストレッチしながら話そうか」
「よろしいのですか? ではお言葉に甘えまして」
俺からそう提案すると、フルマーちゃんはうれしそうに頷いて、
同じようにすぐ横に腰を下ろして、ストレッチし始める。
「で、お話って何かな?」
「はい。急で申し訳ないのですが、今度の週末、
ご予定はもうお決まりでしょうか?」
「週末? 特に何もないけど」
例年ならイベントを入れてもらっているところなんだけど、
今年は海外遠征を発表したこともあって、
それよりも準備に専念してくれって、各所から言われちゃってね。
イベントをやって下手に調子や体調に影響するよりも、
万全の態勢を整えて、海外で勝ってもらえるほうがいいってさ。
自分としては、それでもイベントやりたいところだったわけだが、
方々の好意を無碍にするわけにもいかず。
なのでトレーニングも休みな週末は、まるまる暇ですよ。
「あ、フルマーちゃん、ちょっと背中押してくれないかな?」
「お安い御用です」
「ん~」
足を開いた状態でフルマーちゃんに押してもらって、上半身を地面につける。
こう見えて身体は柔らかいんだぜ。180度開脚も余裕。
「ありがと。それで、週末?」
「はい。よろしければ、我がメジロ家にお越しいただけないでしょうか」
「え? メジロ家に?」
「ええ。前々からおばあさまには話を通していたのですが、
このほど都合と準備が整いまして」
なんと、そうだったのか。
フルマーちゃんよ、どのように話をしていたのか気になるな……
まあこの様子なら、悪いようには伝えられていまい。
「いかがでしょう?」
少し不安そうに、こちらの反応を窺ってくるフルマーちゃん。
これ断るのも失礼なやつだよね?
断れる明確な理由もないし、超名門メジロ家と聞いて多少は恐ろしくもあるが、
興味があるのもまた確か。
それに、どっぷりシンボリに浸かっている俺が、
今さらメジロだのなんだのと言っていられる立場ではないわな(汗)
「じゃあご招待に預かろうかな?」
「まことですか? ありがとうございます」
「いやいや、お礼を言うのは私のほうだよ」
一般論で言えば、名門のお屋敷に招待されるなんて、
庶民からしてみたら大変光栄なことなのだ。
だからそんな、パッと弾けるような笑みで喜びを表されると、
こっちとしたら反応に困ってしまいますよフルマーちゃん?
特にシンボリで
「では土曜の朝にお迎えに上がります」
「うん、わかった」
こうして今度の週末に、メジロ家へ訪れることが決まった。
……決まったのはいいんだが。
「う~ん……」
自室のタンスを片っ端から開けて確かめてみた結果、
思ってもみなかった問題がひとつ。
「何を着ていけばいいんだ?」
訪問時に着用していく服をどうしようか、ということ。
まさかドレスコードがあるというわけもなく、
カジュアルなものでいいとは思うけど、そこはやはり、
名門のお屋敷だから、ある程度の格式は重んじなければならないだろう。
制服というわけにもいかんし、どうしたもんかな?
「ルドルフからもらった服もあるけど、
みんな“カワイイ”系の服*1ばっかりだからなあ」
入学当初に誕生日プレゼントと称して押しつけられた一件以来*2、
ルドルフからは定期的に衣服を贈られている。
それはいいんだが、大半がフリフリだったりするソッチのものなので、
今回の件には着ていけそうになかった。
「ただいま」
「あ、おかえり」
と、そこへルドルフが帰ってきた。
今日は早めの帰宅だな。
「何をしてるんだ?」
そんなルドルフが、帰宅早々に目にした光景に首を傾げる。
タンス開けっ放しで、服をいくつも散らかしている様子を見たら、
そりゃそうなるよな。
「いや実はさ──」
1人で悩んでいてもしょうがないし、
こうなったら、ルドルフも巻き込んでしまえ。
事の経緯を簡単に説明する。
「そうか。メジロ家に、か」
説明を受けたルドルフは、若干ではあるが、
眉間にしわを寄せたように見えた。
「やっぱり、まずい? 承諾しちゃったけど」
「ん? いや、まずいということはないよ」
シンボリ漬けの俺がメジロ家に行くことは、
問題だったかと深読みしすぎたが、そうでもなかったようだ。
「昔はうちとも浅からぬ縁*3があったみたいだからね。
今はほとんど交流もないみたいだが」
「へえ?」
そうなんだ? シンボリとメジロ、
日本の二大個人オーナーブリーダーと言ってもいい名門の2家が、
かつては交流していたとは。
「お婆様なら、何か知っているかもしれない」*4
「へえ」
スーちゃんか。今度聞いてみようかな?
今は付き合いないっていうけど、触れるのがタブーだったりしないよね?
「これを機に、メジロとの交流を再開してもいいかもしれないな。
もちろんキーマンは君だぞ」
うへぇ、勘弁してくれよ。
きっかけには最適だろうけど、俺にそんな大役を振らないでくれ。
今でさえいっぱいいっぱいなんだから。
「で、この状況とどう繋がるんだ?」
「あ、そうそう。光栄ではあるけど突然だったからさ。
何を着ていこうか悩んじゃって」
「なるほど、そういうことか」
2度3度と頷くルドルフ。
納得はしてもらえたようだ。
「確かにこう見てみると、非公式な訪問とはいえ、
そういう場に相応しい服があるかというと、ないな」
「だよね」
ベッド上に何着か広げられた自分が贈った服を見ながら、
そう言って苦笑するルドルフ。
俺も同じように苦笑するしかない。
「では買いに行くしかないな。明日は大丈夫か?」
「え?」
マジで言ってる? 即断即決だのう。
うじうじ悩んでた俺とは大違いだ。
「ええと、トレーニングの前か後なら大丈夫」
「じゃあ午前中にするか。午前なら私も多少は抜けられる」
ルドルフも俺も、卒業に必要な単位はとっくに取り終えているし、
年齢的にも全く問題はない。
というか、極めて自然に付き合ってもらえる流れになっているのは草。
というわけで、明日はルナちゃんと久しぶりにお出かけです。
「君と出かけるのも久しぶりだな」
「そうだね」
どことなく上機嫌なのは、足取りが軽い様子から見て取れる。
あ、もちろん2人とも変装してますよ。
こんなところを見つかったら、買い物どころではなくなってしまう。
パパラッチ的なやつらには、デートか、なんて煽られちゃったりね。
「それより付き合わせちゃって悪いね。
仕事に影響出ちゃわないの?」
「なに、造作もないことさ」
そう言って微笑むルドルフ、マジイケメン。
多少は大丈夫と言っていたが、本当なんだろうか?
「今は比較的手すきの時期だから心配いらない。
まずは駅前のデパートへ行ってみるか」
「うん」
こいつの言う大丈夫は、他人からすると『かなり無理しないとダメ』
とほぼ同義だから安心はできない。
でもせっかく付き合ってもらってるんだし、
今はそんなことは忘れて、久々のお出かけを楽しむとしますかね。
「希望はあるか?」
「うーん、私そういうのには疎いからなあ」
デパートの服飾売り場に来て、物色しながら相談する。
いや、元おっさんの俺に、そういうセンスを期待しちゃだめよ?
いまだに女の子的な思考とか、よくわからないんだから。
「リアンは何でも似合うから、とりあえず試着だな」
だからルドルフが付き合ってくれたのは大変助かるわけだけど、
あのときのように着せ替え人形と化すのが大変なわけで。
「この年になってもゴシック系まで似合うのは、
反則だと思わないかリアン?」
「そんなこと言われても」
遠回しに童顔だと言われてる?
はい、しっちゃかめっちゃかにされましたよ。
デパートだけでは飽き足らず、周辺のファッションショップとかも
何軒か回ったせいで、いったい何着試着したことやら。
ま、ルナちゃんも終始楽しそうだったし、
俺もなんだかんだで楽しかったから、良しとしましょう。
お昼近くになったので、適当な店に入って、昼食も済ませていくことにする。
「付き合ってくれてありがとね。
おかげで良い服が買えたよ」
「どういたしまして。こういう用件ならウェルカムだよ」
注文を済ませて待っている間に、話をする。
「しかし、あの服で良かったのか?
地味とは言わないが、比較的おとなしめの服だったが」
「いや、メジロ家にド派手な服を着ていくわけにはいかないでしょ」
「それはそうなんだが、素材が良いんだ。
もう少し厳選しても良かったと思う」
いやいや、素材が良いとかそんなわけあるか。
美形揃いのウマ娘なんだから当然という中でも、
俺は良くて中の下くらいだと思うよ?
しかも厳選とか、あと何時間かける気なんだおまえは。
生徒会の仕事もあるんだろ? これでいいんだよ。
しっかしまあ服ってお高いよねぇ。
男子ならまだしも、女子ならなおさらで、失礼ながら、
こんな服がこんなにするの、って思ったの1度や2度じゃないぞ。
「おまたせいたしました」
そうこうしているうちに料理が運ばれてきたので、食事に。
ルドルフはウマ娘専用の特別メニュー。
俺のほうは、普通の人間サイズに、
サイドメニューをいくつか付け足したもの。
「こうしていると思い出さないか?」
「うん? ……そうだね」
箸がいくらか進んだところで、ルドルフがそう言い出した。
すぐにピンと来る。*5
「相変わらず君は少食だな」
「ルナが、いや、他のウマ娘が大食いすぎるんだよ」
しきりにそれで持つのか、大丈夫なのか、と聞かれた。
食事面に関しては、本格化以降の身体の成長もあって、
これでもだいぶ食べられるようになったんだぞ。
だけどルドルフが言うように、ウマ娘の標準からすると、
それでもまだ少ないほうなのは、こいつの言い様からもよくわかる。
一部の大食い中の大食いから見たら、信じられないんだろうな。
「私の分を少し分けようか?」
「いやいや大丈夫だってば」
「体力づくりに食事は肝心だぞ。
海外に向けて精をつけなければな。ハンバーグを1枚あげよう」
「いやいやいや……」
無理やり押し付けてくるのはやめい。
太り気味になったらどうしてくれる。
この世界線には、ナンデモナオールやスリムスキャナーはないんだ!
そんなこんだで、メジロ家ご招待の週末。
「おはようございます。お迎えに上がりました」
朝、寮のロビーで待っていると、
約束の時間5分前きっかりに、フルマーちゃんが現れた。
「まあ、素敵なお召し物で。
よくお似合いですわ」
「そうかな? ありがと」
さすが名家のご令嬢。まずは社交辞令を忘れない。
フルマーちゃんの格好もなかなかにお見事だよ。
お世辞抜きにかわいいし、似合ってる。
「それではこちらへ」
「うん」
フルマーちゃんの先導で、前の道路に停められている
黒塗りのリムジンへ乗り込んで出発。
アニメでマックイーンが乗ってた、
運転手のじいやさん付きのアレだ。
久しぶりにお世話になるリムジン。
シンボリのご厚意での送り迎えで慣れていなかったら、
フルマーちゃんたちの前でオロオロしてしまったかもしれない。
そういう意味では、“慣れさせて”もらって助かった。
車内ではフルマーちゃんと談笑しながら、走ることしばし。
メジロの大豪邸へと到着した。
「……は~」
車から降り、見事なお屋敷を見上げると、
わかってはいたものの、やっぱりため息が漏れてしまう。
車には慣れても、広い敷地と大邸宅には慣れないようだ。
シンボリ家のほうでも、夏合宿で行くと、
いまだに場違い感を覚えてしまってしょうがないからな。
「まずは、おばあさまにご紹介いたします」
「うん」
……うん?
つい勢いで頷いてしまったが、いきなりですか。
まあそうなるよな。最初に当主と顔合わせするよな。
いったい何を言われることやら。
アニメで見た限り、厳格そうな人だから緊張するぜ。
「大丈夫ですよ」
俺の様子から察したのか、フルマーちゃんが笑いかけてくれる。
「確かに厳しいところもありますが、
基本的にはお優しい方ですから」
「あ、うん」
いかんな、気を遣ってもらっているじゃないか。
俺のほうが年上なのにこれでは情けないぞ。
今日は招待客なわけだし、堂々としていればいいんだ、うん。
「おばあさま、ファミーユリアンさんがお越しです」
『お入りなさい』
お屋敷の中を歩くことしばし。
立派な大きいドアの前で止まってノックしたフルマーちゃんが、
中へとそう声をかけると、すぐに返事があった。
おお、アニメで聞いた榊〇ボイス。
「それでは参りましょう」
「うん」
扉を開けて室内へ入っていったフルマーちゃんに続いて、
俺も中へと入る。
すると、でっかい窓を背景にした正面の執務机に、
黒い帽子を被った1人の老婦人の姿があった。
「ファミーユリアンさん、ようこそメジロ家に」
彼女はゆっくりと立ち上がって、机の前まで歩み出てくると、
朗らかな微笑みを見せる。
「歓迎しますよ」
「お目にかかれて光栄です。ファミーユリアンと申します。
お招きいただきありがとうございます」
「まあまあそう緊張なさらずに」
俺も頭を下げて挨拶。
かけられる声は明るくて優しげ。
「ときに、ファミーユリアンさん」
「な、なんでしょう?」
頭を上げた時に、おばあさまとバッチリ目が合ってしまった。
そして感じる、ものすごいプレッシャー。
今の今までとは大違いの、冷たく鋭い声が飛び掛かってくる。
「あなたはこれまでに、天皇賞を何回勝ちましたか?」
「て、天皇賞、ですか。えっと……3回、ですね」
「3回。その内訳は?」
「内訳? ええと……春2回、秋1回、です……」
放たれてくる重圧に、声が徐々に小さくなってしまう。
これが名門当主の威圧感、ってやつか……
そうだよな、これくらいが名門としての普通であって、
シンボリのお父様お母様くらいフランクなのが異常なんだ。
あのお二人も、厳しいときはこうなるんだろうか。
「羨ましい。本当、羨ましい限りです」
「は、はあ」
「まあ、野暮なことを申すのはこれくらいにしておきましょう」
放たれていたプレッシャーがフッと消える。
おばあさまの正体がメジロアサマ、メジロのおばあちゃん*6のどちらか、
あるいはそのハイブリッドだったとすると、まさしく本音だったんだろうなあ。
そりゃ自分の身内を差し置いて、天皇賞を3勝もしている奴がやってきたら、
威嚇のひとつもしてみたくなるというものだろう。
勝ち抜け制があったせいで、複数回勝ったのは、俺が初めてなんだし。
歯軋りしたくなる心境だったに違いない。
理解はできるが、プレッシャーを受けるほうとしては、
たまったものではないけどな!
「自分の家だと思って、くつろいでくださいね」
「はい、ありがとうございます」
威圧感の消えたおばあさまは、そう言って微笑んだ。
まったく、やれやれだぜ。
今すぐにも脱力したい気分だが、少なくともこの場を辞すまでは、
なんとか耐え抜いて見せねば。
「はあ~、緊張したよ……」
「申し訳ございません」
おばあさまの部屋を後にして、別室へ案内してもらっている真っ最中。
俺が盛大なため息を洩らすと、フルマーちゃんはおかしそうに笑った。
「ああ見えてお茶目なところもあるんですよ。
久しぶりに迎える大物のお客様なので、きっと心が弾んだのでしょう。
年寄りの戯言だと思って、お許しください」
いや、許すも許さないもないけどさ。
お茶目? アレがお茶目で済むか? う~む……
しかしフルマーちゃん、君の言い方も大概だねぇ。
君たちメジロの子は、あんなプレッシャーに日頃から接しているのかい?
そりゃパーマーが“逃げたい”って思うはずだよ。
逆に言えば、そんな重圧にも負けずにG1を勝つ、
ライアンやマックイーンたちがすごいということか。
「ささ、こちらです」
「うん」
そうして案内された一室。
中へと入ると
『お待ちしておりました』
先にやってきて待機していた子たちがいたようで、
俺の入室に合わせて声が重なり、一斉に頭を下げた。
そしてその頭が上がると、
なんせ──
「はじめまして! メジロライアンです」
「メジロパーマーだよ。以後よろしくお願いします」
「ごきげんよう。メジロマックイーンと申しますわ」
メジロ黄金期の三人衆、
ウマ娘でもおなじみの3人だったんだから。
つい今しがた、彼女たちのことを考えていただけに、なおさらだった。
「彼女たちはこの4月に、トレセン学園に入学するんです。
せっかくですのでご紹介を、と思いまして」
こう説明するフルマーちゃん。
なるほど、彼女たちと引き合わせるという目的もあったってわけか。
となると、3人の合格が決まったから、今回の訪問が実現したってことかな?
入学試験の合格発表がつい先日にあったからの邪推。
あ、ちなみに、オグリも無事に編入決定したからご心配なく。
史実から多少遅れて、彼女も4月からの合流になるようだ。
「姉がいつもお世話になってます。
ご活躍のほどは姉からも良く聞かされてます」
にこっと笑って爽やかに言うライアン。
はて、姉?
姉とは誰のことだ?
「……コホン。不躾な妹で、すみません」
わざとらしく咳払いし、申し訳なさそうに言うフルマーちゃん。
え? うそ?
ライアンってフルマーちゃんの妹だったの?
しまった、それは知らなかった。
ここでそうなんだから、史実でもそうだってことだよな?
史実では弟ということになるか。
だとすると、フルマーちゃんも
ゲームに出てきても全然おかしくないやん。
「そっか。フルマーちゃんの妹なら、
将来の活躍は保証されるようなものだから安泰だね」
「恐れ入ります。ライアン、ファミーユリアンさんから
お墨付きを得たからといって、努力を怠ってはいけませんよ」
「はい姉さま、承知してます。
ご心配なく、もっと鍛えて鍛えまくりますから!」
腕をまくり、見事な力こぶを披露するライアン。
ああ、この頃からのマッスル教信者だったんか。
「パーマーは、私たちと同じく逃げに適性があるようでして、
よろしければ、よろしくご指導ください」
「どうも。えっと、ごしどう、ごべんたつ……だっけ?
よろしくお願いします!」
「よろしくね」
人懐こい笑みを浮かべつつも、どこか悪ガキっぽい気配をまとい、
それでも育ちの良さを窺わせる不思議な少女、パーマー。
のちのグランプリ2勝ホースは、今はまだ雌伏の時。
「マックイーンは、長距離に適性を見出されていて、
我らがメジロの悲願である天皇賞に最も近いと云われている才女です」
「フルマーさん、過分なお言葉ありがとうございますわ。
ご紹介に預かりました、メジロマックイーンでございます」
フルマーちゃんから紹介されて、優雅にカーテシーを決めてみせるマックちゃん。
幼くてもしっかり“マックイーン”だった。
「ファミーユリアンさんのご活躍は、いつも拝見しております。
その強さの秘訣がありましたら、ぜひともご教授くださいませ」
「そんな秘訣なんてものはないよ。
強いて言えば、地道な努力かな?
あとは、怪我しないような体づくりを心掛けること」
「さすが、ご経験されている方のお言葉は、説得力が違いますわ。
金言感謝いたします。心に刻んで精進いたします」
「うん、がんばって」
かわいいなあマックちゃん。
おしることかパクパクですわとか、メロンパフェとか、ホヤあそばせとか、
言いそうになさそうでやっぱり言いそうな雰囲気がまたかわいい。
そして、最後にもう1人。
「お会いできて光栄です。メジロアルダンと申します。
姉ラモーヌの名に恥じないよう、頑張る所存です」
水色の髪が美しいアルダン。
彼女は既に入学済みだが、直接顔を合わせたことはなかった。
「アルダンは身体が弱くて苦労していたのですが、
それも癒えてトレセン学園に入学し、今はデビューを待つ身です」
「来月デビューする見込みです」
そっか、もうすぐデビューするんだな。
『ガラスの脚』と称されたくらい故障続きだったけど、
こちらの世界ではどうなるか。
できることなら例の研究所を紹介してあげたいところだったが、
メジロはメジロで優秀な医療スタッフ抱えているだろうしな。
例の主治医さんとかさ。
ここで俺が出しゃばるのは余計なお世話というものだろう。
「今年のクラシックを、
大いに盛り上げてくれる存在になってくれたらうれしいな」
「はい、ありがとうございます。
いただいたお言葉通りになれるよう励みます」
「身体には気を付けてね。
走れなかったら元も子もないんだから」
「痛み入ります」
俺がそう言うと、アルダンは軽く頭を下げて応じた。
かわいいのう。ルックス的には超好みよ。
病弱設定なのに、割と良いガタイしているのとかすごくいい(聞いてない)。
少なくとも、俺よりはよっぽど筋肉質だ。
そういやラモーヌはいないんだな?
彼女もトリプルティアラ達成した後はすぐ引退しちゃったし、
今は何をしているんだろう?*7
ま、なんにせよがんばってくれ。
今後の日本を背負って立つのは、間違いなく君たちなんだから。
メジロ家にご招待されました
直接関係ないですがネットに転がってたメジロアサマ(ウマ娘)の絵、
すごくよかったです。絵師さんに感謝
仮にリアンが海外遠征する場合、初戦は何が良いですか?
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ドバイワールドカップ
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ドバイシーマクラシック
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ガネー賞(仏)
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クイーンエリザベス2世カップ(香港)
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アメリカ遠征