転生孤児ウマ娘の奮闘記   作:しょうわ56

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第83話 孤児ウマ娘、天狼星を見上げる

 

 

 

 

時間は遡って、前年秋の話。

 

ここは北海道日高にあるシンボリ分場。

シンボリが本家とは別に所有しているトレーニング施設だ。

 

本来であれば、トレセン学園入学前や、

合宿などで使用するこの施設に、

G1シーズンを迎えた今、似つかわしくない人物の姿があった。

 

「……ふぅ」

 

かつてクラシック二冠を獲得し、

翌年の春の天皇賞をも制したシリウスシンボリ、その人である。

 

シリウスはひとっ走り終えてきたところと見え、

足を止めて汗を拭うと、さらに少し前を回想する。

 

 

 

 

 

トレセン学園、理事長室。

 

「疑問! それは学園ではできないことなのか?」

 

「できないから、こうしてわざわざ申し出てるんだ」

 

理事長からの質問に、シリウスは仏頂面でこう答えた。

学園で1番偉い人を前にしても、その態度は変わらない。

 

「君のトレーナーからも、認めてやってほしいとの

 要望が来ているが……」

 

困惑している理事長。

それもそのはずで、トレセン学園在学中で現役のウマ娘から、

このような申し出がなされるのは異例であったからだ。

 

「シリウスさん、ご希望はわかりました。

 しかしこれからとなりますと寒くなっていく時期ですし、

 冬眠前の熊と出くわす可能性もあります。危険です」

 

隣で聞いていたたづなからも、危惧する声が聞かれた。

 

では肝心の、シリウスが申し出たこととは何なのか?

それは、学園から離れて北海道へと向かい、

自然豊かな環境の中で己を見つめ直し、鍛え直すというものだった。

 

いわば、野山を駆け巡るクロスカントリーのようなことを行なって、

近走の低迷しがちな成績から脱却したいということなのだろう。

 

少なくとも、理事長とたづなはそう捉えた。

年齢的に見れば、シリウスも下り坂であることは間違いない。

であるからこその要望だろうと。

 

「はっ、私はウマ娘だぞ。普通の人間ならまだしも、

 熊と会おうが鬼と会おうが、逆に叩きのめしてやるさ」

 

自信満々に言ってのけるシリウス。

確かに、ウマ娘のパワーをもってすれば、熊をも倒せるかもしれない。

しかし危険は拭えない。

 

「そのほうが逆に鍛錬にもなる。

 ぜひ出てきてもらいたいね」

 

さらにシリウスは豪語する。

この様子に、さしもの理事長とたづなも諦めたようだ。

 

「了承! だが、安全には十分配慮してくれたまえ」

 

「無論だ。レースのためのトレーニングなのだから、

 ケガをしたんじゃ元も子もないからな」

 

仕方なく、安全に気を付けるという条件でOKを出す。

シリウスはニヤリと笑って頷いた。

 

こうしてシリウスは学園から離れ、

北海道にて自身を顧み、鍛え直すことになったのだった。

以上、回想終わり。

 

 

 

 

 

「……ふん。こっちに来て1週間。

 狐や鹿には出くわしたが、熊は出てきやがらねえな。

 恐れをなしたか、フフ」

 

不敵に笑うシリウス。

実際、ウマ娘が本気で野生の熊と戦ったら、どうなるのだろう?

 

「まあいい。人工の施設にはない自然のアップダウンで、

 かなり鍛え直された気はする。いい感じだ」

 

まだわずか1週間だが、この短期間でも、

それなりに手応えを感じることができている。

狙い通りに下半身の強化にはもってこいだ。

 

ではそもそもなぜシリウスは、わざわざ理事長に直談判してまで、

学園を飛び出してトレーニングをする気になったのか。

 

「あのままでは絶対にリアンに届かない。

 決断して正解だった」

 

大体の想像はつくだろうが、まさにその通りである。

 

もはや自分のことは眼中にないかのような言動態度のリアンに、

もう1度こちらを向かせるため。そして、アッと言わせてやるため。

 

「今に見てろ。必ず、目に物言わせてやる」

 

シリウスの両の瞳には、確かなやる気の炎が灯っていた。

 

 

 

 

 

そうして時が過ぎ、年末にリアンの海外遠征が発表される。

それを受けて、シリウスも即座に動いた。

 

すでに北海道は雪深くなっていたので学園に戻っていたが、

リアンの会見の直後に、とある連絡先へと電話をかける。

 

『やあ。君のほうから連絡してくるとは珍しい』

 

相手はすぐに出た。

シリウスのスマホの画面には、相手方が『シンボリ当主』と表示されている。

 

『いや、何も言わなくていい。用件はわかっているつもりだ。

 リアン君の件だね?』

 

「……ああ」

 

当主からの問いに短く頷いたシリウス。

声色の不機嫌さが向こうにも伝わったのだろう。

 

『黙っていたのは悪かった。しかしだね──』

 

「そうじゃない。何もわかっちゃいねぇ」

 

『──え?』

 

すまなそうに後を続けそうになったのだが、

シリウスは相手の声を強引に遮った。

 

「別に秘密にしてたのはどうでもいいさ。

 理解はできるし、私も聞こうとしなかったからな」

 

『……そうかね』

 

実際、シリウス自身も自分から関わろうとはしなかったし、

知らされなかったことは気にしていなかった。

 

しかし、相手方からすれば意外であったようで、

一言そう返すのが精いっぱいだったようだ。

 

「だが、悪く思ってくれてるのならちょうどいい。

 詫びということで、ひとつ()()()を聞いてもらいたいね」

 

『……聞こう』

 

「話が早くて助かる」

 

それはシリウスにとっては大変好都合であり、

逆にシンボリ側にとっては、格好の弱みを見せる形となってしまった。

 

かくしてシリウスは咄嗟の機転を利かせ、自分の要望を、

シンボリに飲ませることに成功したのである。

 

 

 

 

 

年末年始を挟んで10日ほどが経ち、今度はシリウス側に、

シンボリ当主からの連絡があった。

 

『やあシリウス君。頼まれていた件についてだが』

 

「……どうなった?」

 

さすがのシリウスも、用件が用件だっただけに、

やや息を飲んで次の言葉を待つ。

 

『URAの推薦を得ることには成功したよ。

 あとはあちらさん次第だが、まあ大丈夫だと思う』

 

「そうか」

 

ホッとして胸を撫で下ろした。

ここで失敗したとなれば、すべては水の泡だったからだ。

 

前例からして鑑みるに、所属団体からの推薦があれば、

“当該レース”への出走はまず間違いなく叶う。

 

「……感謝を」

 

『おや珍しい。君から素直に感謝されるとは』

 

「………」

 

『悪かった、冗談だよ。こちらとしても嬉しい限りさ』

 

ひねくれているのは自覚しているから、

冗談交じりというのもわかってはいるものの、

直接こんなことを言われては、良い気はしなかった。

 

思わず無言になってしまい、当主から謝らせてしまう。

 

『リアン君に続いての海外遠征となれば、話題性は抜群。

 しかもうちの縁者となれば、我がシンボリとしても、願ったり叶ったりだ。

 それに、身内の頼みを聞けずに何が家族か』

 

「ではついでと言っては何だが、お優しい家族として、

 もうひとつ言うことを聞いてもらおうか」

 

『さすがに内容によるなあ。どんなことだい?』

 

「リアンはもちろんのこと、マスコミ連中にも、

 直前まで内密にしておいてもらいたい。

 発表前に知られるようなヘマもするんじゃないぞ」

 

『それは構わないし、そういうことなら

 細心の注意を払うが、なぜだね?』

 

もっと無茶な申し出がされるとでも思っていたか、

第二の希望は呆気なく受け入れられる。

シリウスはそれもあってか、ニィと笑みを漏らして言い放った。

 

「もちろん、()()()をアッと言わせてやるためさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリウスシンボリも海外遠征発表!

ドバイシーマクラシック出走へ、すでに出国

https://www.umamusumenews.com/*******

 

URAは、ファミーユリアンに続いて、シリウスシンボリも

ドバイに遠征し、ドバイシーマクラシックに出走すると発表した。

 

陣営はここまで発表が遅れたことに対して何もコメントしておらず、

シリウスシンボリ本人は既にドバイへ渡っているという。

 

なおシーマクラシックには、昨年英チャンピオンS1着のリーガルケース、

仏愛ダービー覇者のオールドヴィック、英ダービー2着のテリモン、

キングジョージ2着のカコイーシーズ、

一昨年BCターフ優勝の実績を持つグレートコミュニケーターら、

世界の強豪が出走を予定している。

 

 

 

 

 

思いがけずシリウスのヤツがこっちに来て、

シーマクラシックに出走するなんて言うもんだから、

慌てて検索して日本のニュースを見てみた結果がこれだよ。

 

出発した後に発表って、なんなの? どういうこと?

 

ルドルフにも連絡を取って聞いてみたけど、

あいつも知らなかった、報道で知ったって言うんだ。

まさかのシンボリは関与してないってオチ?

 

あくまでシリウス本人の暴走というか、

個人で遠征してきたってことなの?

いやでも、個人で招待を得られることなんてある?

 

とかなんとか思ってたら、シンボリのお父様から連絡があった。

 

彼の説明では、本人が秘密にしておいてほしいというから、

URAに口止めして、マスコミにも発表は控えていたんだって。

シンボリの中でも、お父様くらいしか知らなかったようだ。

すべて内密にして、準備は粛々と進んでいたとのこと。

 

……まあね。

 

俺も海外遠征のことは伏せていたんだし、

強く言える立場じゃないのは重々承知してるんだけどさあ。

URAにそうやって要望を飲ませるお父様もさすがというか。

 

でもこうなることがわかっていたんなら、

もっとやりようがあったというか、気持ちの持ちようががががが。

 

1人で見知らぬ異国の地にいるのって、結構心細いのよ。

もちろんスーちゃんはいるんだけど、

現役の立場にいるのは俺だけなわけだし、

こっちに来て早々に、あんな超大物2人に絡まれちゃったしさ。

 

そして数日後。

もうひとつ驚くことというか、サプライズが起こったんだ。

 

 

 

 

 

「久しぶりだ、リアン」

 

「元気してた?」

 

「ト、トニーとムーンじゃないか!」

 

なんとなんと、トニーとムーンがフラッとやってきた。

 

こいつらも何も言ってなかったぞ。

どういうことなんだいったい!!!

 

「来てくれたのはうれしいけど、どういうこと?」

 

「実はな」

 

俺がこう尋ねると、2人は顔を見合わせてにっこりと微笑むと

 

「私たちは」

 

「こういう者よ」

 

そう言いつつ、それぞれが何やらカード状のものを手渡してきた。

なんだそれ? え? 名刺?

 

受け取ってみると、ビジネスマンが交換するような、

まさしく日本のザ・名刺そのもの。

 

「えっと、『URA国際部 国際交流室 エグゼクティブアドバイザー』?」

 

2人の名前と共に、日本語と英語の併記でそう印字されている。

これは……

 

「え、2人とも、URAに就職したの?」

 

「そういうことだ」

 

「私たちの実績と経験を買って、どうしてもって言うからね」

 

「そうなんだ……」

 

なんとまあ……

そりゃ確かに、2人ほどの経歴を持つ人物となれば、今後、

一層国際化していく中で、喉から手が出るほどの人材なのはよくわかる。

 

2人とも、実馬は引退後は、日本で種牡馬生活を送った。

ちょうどいいタイミングで日本に滞在していたということで、

こっちでは、こういう形で関わることになるのか。

 

「というわけで、これが私たちのURA職員としての初仕事だ。

 リアン、今の君のリアルな現状を“視察”させてくれ」

 

「それは構わないけど、視察?」

 

「まあ名目上は今後の参考としての視察だけど、

 ほとんどあなたの応援に来たようなものだから、安心しなさい」

 

「URAも、それを見越して私たちと契約してくれたのではないかな?」

 

「なるほど……」

 

そういうことか。URA、グッジョブ!

たまにはと言うと失礼だけど、良い仕事をしてくれるぜ。

 

ただでさえ寂しかったところに、シリウスというまったく予期していなかった

異分子が飛び込んできて、ちょっとメンタル面できつかったのよね。

 

トニーとムーンが来てくれて本当に助かった。

2人は国際経験が豊富だし、色々と相談させてくれな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに時は過ぎ、

いよいよドバイミーティング当日となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メインレースであるワールドカップの前に、

シリウスが出走するシーマクラシックがある。

 

俺もそうだが、シリウスもナイトレースの出走は初めてのはず。

異国の地ということもあって、さぞかし緊張しているのかと思いきや。

 

「さて、それじゃ行ってくるか」

 

そう言って、いつもと変わらない様子で控室から出てきた。

一応様子を見に来てみたんだが、余計なお世話だったか。

 

声をかけようかとも思ったんだけど、なんて言ったものか悩んだ末、

なんだか憚られてしまって、無言のまま脇を通り過ぎていくのを見送──

 

「……ふん」

 

「わぷっ」

 

──ろうとしたら、シリウスのほうから手を出してきやがった。

乱暴に頭に手を置かれて、くちゃくちゃっと撫で回される。

 

「やめっ……せっかくセットした髪がー!」

 

「気を回しすぎだ。他人の世話焼いてる場合じゃないだろ」

 

「そうなんだけど……も~」

 

ああもう、髪の毛ぐちゃぐちゃじゃないか。

こんなんじゃ人前に出られない。

セットし直しだよ、まったくもう。

 

「リアン」

 

「なに?」

 

手を離してそのまま2歩3歩と進んだシリウスは、

そこで立ち止まり、向こうを見たままこう言った。

 

()()()()、世界をアッと言わせてきてやるぜ」

 

「あんまり期待しないで見てるよ」

 

「ははっ、そこまで期待されちゃ仕方ない。まあ見ていろ」

 

そこまで言って、手をひらひらさせつつ、去っていった。

 

まったく、相変わらずの捻くれ者め。

現状、10人立ての9番人気とまったくの人気薄だけど、

それくらいのほうが気楽に臨めていいのかもしれない。

 

しかしこうして改めて後ろ姿を見ると、またひと際ガッチリしたような?

特に足回り。勝負服のズボン、パッツパツじゃないか。

それだけ鍛えたんかな? レース出ないで何をしてたんだあいつは。

 

こう言うのもなんだけど、ピークは過ぎた感があるのは確か。

初めての海外ということもあって、実力を出し切れるかどうか。

 

何はともあれ、後悔だけは残すんじゃないぞ。

 

「リアン」

 

「ん? あ、ルドルフ」

 

シリウスを見送ったところで、ルドルフが現れた。

彼女だけではなく、理事長とたづなさんの姿もある。

 

ルドルフは当日は行くと言っていたが、

理事長とたづなさんも応援しに来てくれたんだな。

 

海外のVIP扱いで、ここまで入れてもらえたか。

 

「激励しに来たんだが、シリウスはもう行ってしまったか」

 

「うん、つい今しがたね」

 

「そうか」

 

ちょっと遅かったね。

まあこの2人が顔を合わせるとロクなことがないんで、

今回ばかりはよかったのかもしれない。

 

「ではリアンの激励も済ませてしまおうか。

 このあと向かおうと思っていたんだ」

 

「ありがとね。理事長とたづなさんも、

 わざわざ現地までありがとうございます」

 

「鼓舞! 我らが日本代表に、当然の行いだ」

 

「月並みですが、がんばってくださいねリアンさん」

 

「はい、ベストを尽くします」

 

日本からも、ファンクラブの連中がやってきているし、

有志の人たちが大挙として応援に来ているらしい、

との話を乙名史さんから聞いた。

 

彼らのためにも負けられないし、無様な姿は見せられない。

 

「強敵揃いだが、君なら勝てると信じているよ」

 

「正直気圧されてるけど、

 そんなこと言ってる場合じゃないもんね」

 

ルドルフからの激励の言葉。

これ以上の励ましはないよ。いっそう気合が入った。

 

でもまずはシリウスのレース。

 

仮にも同じ日本代表として来ているわけだし、

直後のレースになるから、現地にいながら控室でのモニター観戦になるが、

一応は応援してやりますかね。

 

「ところで、なんでそんなに髪が乱れているんだ?」

 

「……あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドバイシーマクラシック、まもなく発走となります。

 今年は日本からシリウスシンボリが参戦しております。

 日本のウマ娘としては、彼女がドバイへの初出走になります』

 

リアンが出走を表明したおかげで、今年のドバイ競走の模様は、

日本でも生中継されている。

 

メインはなんと言ってもワールドカップのほうだが、

ついでと言っては語弊があるが、シーマクラシックも衛星生中継だ。

 

『現在1番人気は、昨年度の仏愛ダービー覇者のオールドヴィック。

 2番人気は同じく昨年のイギリスチャンピオンSを制したリーガルケース。

 3番人気はアメリカでBCターフほかG1を3勝の実績を誇る

 グレートコミュニケーターとなっておりまして、

 日本のシリウスシンボリは9番人気です』

 

人気が全然ないことに触れるアナウンサー。

近頃の成績を考慮すると、当然のことではあった。

 

だが、日本時間で真夜中の放送を見ている、

熱心なウマ娘ファンの視聴者の中には、欧米から見下されているとの

扱いを受けたとの思いで、歯軋りしている者もいるだろう。

 

『低評価を覆す走りを期待しましょう。

 さあシーマクラシック発走です』

 

『スタートしました! シリウスシンボリ絶好のスタート!

 ロケットスタートを決めてハナに立ちます』

 

スタート直後から、日本の視聴者たちは度肝を抜かれたことだろう。

なんと、シリウスがフライングではないかと思うほどの好スタートを決めて、

一気に先頭に立って逃げ始めたからだ。

 

『グングン引き離していくぞ!

 日本から参戦のシリウスシンボリ、大逃げに打って出ました!』

 

さらには後続をこれでもかと引き離していくものだから、

日本中のファンが、真夜中にもかかわらず絶叫したかもしれない。

 

『シリウスシンボリ快調に飛ばします。

 後続とは7、8バ身の差。1番人気オールドヴィックは2番手追走』

 

『有力娘たちが軒並み休み明けの一戦というこのレース。

 はたしてここからどういう展開を見せますか』

 

欧州がシーズンオフということもあってか、

レース間隔が開いている娘たちが多いこのレース。

 

オールドヴィックは体調不良などもあり、昨年7月の愛ダービー以来。

リーガルケースも10月のチャンピオンステークス以来であり、

かく言うシリウスも6月の宝塚記念以降の出走がない。

 

唯一叩きを入れているのがグレートコミュニケーターで、

2月のアメリカでのG2を勝利しての参戦となっている。

 

『シリウスシンボリ、後続を大きく引き離して

 単独先頭で4コーナーを回ります』

 

欧米勢からすると、人気薄のラビット*1と見られたか、

誰もシリウスを追いかけていかない。

 

あれよこれよという間に、レースは最終直線を迎えた。

これは好都合とばかりに、シリウスがほくそ笑んだような気さえしてくる。

 

『メイダンレース場の芝コース、直線450メートルの攻防』

 

『依然シリウスシンボリ先頭。

 2番手オールドヴィックだが差は詰まらない!』

 

『シリウスシンボリ逃げる逃げる!

 脚色は衰えないぞ! 残り200メートル!』

 

『シリウスシンボリがんばれ!』

 

思わず私情を入れて実況するアナウンサー。*2

おそらく日本中の思い、願いであっただろう。

 

『外からリーガルケースとグレートコミュニケーター並んで上がってくる。

 内からようやくオールドヴィック!』

 

『しかしシリウスシンボリがんばった!

 あと100メートル! 差はまだ3、4バ身ある!』

 

ゴール前でようやく海外勢が脚色を増して追い込んできたが、

時すでに遅し。もう届かない。

 

『シリウスシンボリ先頭のままゴールイーンッ!

 右手を突き上げましたシリウスシンボリ! ついにやった! やりましたー!

 ついに日本のウマ娘が、海外のG1を制しました!』

 

日本ウマ娘レース界の長年の夢が、達成された瞬間。

 

『全天一の輝きを放つ天狼星が、遠くドバイの地でも輝いた!

 日本のウマ娘、シリウスシンボリがドバイシーマクラシックを制しています!

 史上初の快挙が達成されましたぁ!』

 

 

 

この夜は、いったい何人のウマ娘ファンが絶叫を上げ、

何人の安眠が阻害されることになったんだろうか。

 

しかもこの後にはメインのドバイワールドカップ、

リアンのレースが控えているのだ。

 

 

 

ドバイシーマクラシック  結果

 

1着  シリウスシンボリ   2:25.98R*3 

2着  オールドヴィック     2.1/2

3着  グレートコミュニケーター  1

 

 

 

*1
トラック・ロードの中長距離やマラソンなどで記録樹立を助けるため、指定されたタイムでレースを引っ張る役目の選手のこと

*2
「前畑がんばれ」を彷彿させる

*3
現レコードは今年イクイノックスが出した2:25.65




シリウスがやってくれました!
シリウスが勝つ、それも大逃げでという予想、
立てられた人はおりましょうか?

やっぱり奇襲といえば大逃げですよね!

仮にリアンが海外遠征する場合、初戦は何が良いですか?

  • ドバイワールドカップ
  • ドバイシーマクラシック
  • ガネー賞(仏)
  • クイーンエリザベス2世カップ(香港)
  • アメリカ遠征
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