「これにて新型グレネードランチャーの講習も終了です。残り時間は運用などについてフリートークを予定していますが、少将閣下の方で指針などありますでしょうか?」
講習は終わった。いいね?
「うむ、ありがとう。だが私よりも中佐達が中心になって議題を考えた方が良いのではないかな?」
「いえ閣下。閣下だからこそ気付く点もあるかと」
あんた少将なんだから遠慮しないでよ。目上に遠慮された方がキツイの察して欲しい。
「むむ……。では重自動小銃だが、これの弾とマガジンの重さ、それと携行弾数は自動小銃比でどうなっている?持てる弾が少なくて継戦能力に不安がありそうなのだが」
よりにもよって
とはいえ、その重量こそが重自動小銃が抱える1番の問題なのだけど。
「はい閣下、重自動小銃の37mmHEAT弾は1発250gで自動小銃の小銃弾は1発24g、つまり10倍。重自動小銃の6発マガジンは1個1000gで自動小銃のマガジンは350g、つまり3倍になります。また、銃本体も3倍の重さとなっていますので、射手が持てる携行弾数は自動小銃と同じ基準で計算すると、
「あっはっは。携行弾数でマイナスを聞く事になるとは、あっはっはっは」
「ちょっと待ってくれ、それでは継戦能力どころでは無いだろう」
「射手と弾薬手を別にするとしても、射手が全く弾を持てないのはあまりにも運用に制約が大き過ぎる」
携行弾数-6発と聞いて笑ってられる少将閣下、マジで
「最も、この計算は射手が今の共和国軍小銃手と同じ装備をしているという想定の元に弾き出された数字です。ですが実際の所、そうである必要はありません。まず、重自動小銃の配備により手榴弾の必要性が下がります。そもそもレギオンに対し効果的ではなかった事も考えれば不要と言ってもいいでしょう」
「うむ。それもそうだ」
「確かにレギオン相手には
「とはいえ、手榴弾なんて1個400gくらいだろう」
よし、他の装備重量を削るという方向性には理解を得られた。これで-3発。
「銃剣も要りませんよね?」
「要らんな。レギオンには効かん」
「そもそも重自動小銃には着剣できないだろう」
「できないよな?」
お?できるようにしておこうか?これで-2発。
「小銃手が持つ事になっている携行対戦車ミサイルの弾薬1発10kgも、対戦車ミサイル自体を新型グレネードランチャーで置き換えれば1発2kgになります。この携行弾数を3発としても6kgにしかなりません」
「ふむ、しかし対戦車ミサイルは必要だろう?」
「はい。いいえしかし、携行対戦車ミサイルは阻電攪乱型からの電磁波妨害により命中率がかなり悪化しています」
「対戦車ミサイルは旧式ではありますが車載の有線誘導式のがあれば十分でしょう」
もっとも、新型グレネードランチャーの弾薬はタンデム弾頭とロケットモーターを備えた
「次に防弾装備です。共和国軍の防弾装備は新型であれば至近距離からの小銃弾すら防ぎますが、その重量はベストとヘルメットを合わせて12kg。そしてレギオンの最小火力も斥候型の7.62mm機関銃なので数発は防げますが、レギオンの精確無比な射撃はそれ以上の命中弾を一瞬で齎すため無意味です。砲撃からの破片防御程度まで性能を落とせば6kgにまで軽量化できます」
「それは……、どうなんだ中佐?」
「心象としては、防弾装備の質は落としたくないのですが……」
「実情としては、レギオンに対して防弾装備は確かに破片防御にしか役立っていないのも事実です」
効果の乏しい装備は削ってナンボ。そもそも最小火力が機関銃って何なんなのよレギオンって。これで24発。
「これで24発、6発ドラムマガジン4個を射手が携行できるようになります。いかがでしょうか?」
「なるほど、なるほど。確かに、ある程度は持てるのだな」
「レギオン1機に対して2~3発命中させれば撃破出来るとして、命中率10%なら所要弾数は20~30発。ギリギリ許容範囲か?」
「本当のギリギリだな。しかし、効かない自動小銃と弾を持つよりは遥かにマシだ」
とりあえず、これで使ってはくれる。
後は、どう使うのか。
「ともかく、歩兵の火力でレギオンに対抗出来るなら機動防御が出来るな。歩兵の防衛線でレギオンを拘束し、機械化歩兵の別動隊でその側背面を強襲する」
「ああ、教範通りの見飽きた戦術だが、それ故にレギオンにも有効だろう」
それは理想、あるいは空想でしかないというのを、共和国の兵器製造に関わる私は知っている。そして作戦部のクリーブ少将も。
「あー、カールシュタール中佐、ミリーゼ中佐。すまないが、再編される君たちの第112歩兵連隊へ配備する車両なんだが、定数を大きく割り込む事になる」
「なんですって?少将閣下、そんなまさか」
「少将閣下、もしや予備すら払底しているのですか?」
「その通りだ。第112歩兵連隊に配備される
「それでは皆無も、最初から壊滅してるも同然ではないですか!」
「型落ちの、モスボール保管されていた車両すら無いのですか?」
「正確には、まだあるにはあるのだ。だが再編と予備役を動員するペースに対し、モスボールから再整備するペースが釣り合っていない。トラックなどの非装甲車両は民間からの徴発で数だけは賄えそうだが、不整地走行性能は劣るだろう」
民間車両なんて、オフロードトラックやSUVでも配当されなければ現代戦の基本中の基本である機動戦なんて不可能だ。
そもそも、国丸ごとを囲い込むように包囲されて殆ど太刀打ち出来ずに蹴散らされていくなんて、そんな馬鹿げた喪失ペースは全く想定されていなかったのだ。
「砲は、まさか砲まで無いなんて事は」
「81mm迫撃砲なら砲も弾あるが、他はもう払底した。120mm迫撃砲は生産ペースが喪失ペースに追い着く見込みがあるが、155mm自走榴弾砲や227mm多連装自走ロケット砲となると今年中の配備は無理だろう」
「なんて事だ。81mmだと直撃以外では自走地雷にしか効かないぞ」
「近接猟兵型に至っては迫撃砲弾を回避するというのに」
そもそも迫撃砲の供給に余裕があるのはレギオンに効かないが故に需要が無いからだ。
極めて安価かつ簡易な兵器ながら、歩兵や非装甲目標には激烈な破壊を齎し、直撃さえすれば軽装甲車両程度までなら撃破可能な兵器。それが迫撃砲。
その欠点として、曲射しか出来ず、弾速も遅い為に飛翔時間が長く、近接猟兵型に至ってはその機動性で回避さえしてくる。
しかも射程が短いから対砲兵射撃の的になり易いので現代戦では自走化が必須だが、駐退器を持たない為に車体に掛かる負荷が大きく自走化し辛いという扱い辛さもある。
直射さえ出来れば使い道もあるのだけど……。ああ、あるじゃない。
「平射、自走、迫撃砲」
「ほ、ほう?」
「なに?」
「今なんと?」
あ、やっべ。
作るもの。作らされるもの。
PCP001 82mm車載速射迫撃砲
ソ連の2B9 82mm自動迫撃砲のコピーを4x4軽装甲車猛士に搭載した自走迫撃砲。
https://youtu.be/npmUtNPuUVw
Q.
何で中国の兵器ばかり?
A.
あの国は何でもかんでも作るから、特異な環境に対応できる兵器を探すと大抵この国に辿り着く。
何でもかんでも作っても需要のある国土の多様性というか、そういう国土の多様性故の要求というか、標高4800mで大真面目な戦争しようとすんな。
自動擲弾発射器を1人でも運用したいとか、酸素が薄い高地でも高機動大火力自走砲が欲しいとか、理屈は分かるが他の国は諦めてるんですよ。