オデュッセウスの知略による激しい攻撃によって私の掲げていた盾はもう使えなくなってしまった。
一度失ったこの命、どう生きようが私の好きにさせろと家で同然で出てきてしまったからな。父上もいとこも悲しんでいてくれるだろうか。いや、そんな考えを持つなど英雄たる彼らに申し訳が立たないだろう。
一度は輜重部隊として無様な死にざまを迎えた私がこのような英雄のように誉ある舞台で死に絶えることが出来るとは何たる幸運か。
「おお我が祖アレスよ! 我が死に舞台をご照覧あれ!」
どうした! たかが一兵卒ごとき我が誇り高き盾を失おうとも
さあ! さあ! このままでは兵卒の多くが死に絶え! 士気は大いに下がるであろう! そのようなことを知将オデュッセウスが放置するか!? 否だ!
「我がいとこよ! よくぞ我が前に現れた! いかに貴公が不死の身であろうとも諦める
「なぜだアイアス! なぜ祖国を裏切りよりにもよってトロイアにいる!」
若草の色を示す髪を逆立たせた美丈夫は俺を見据え、なぜと問うてくる。
「何故と問うのか予言に踊らされる哀れな英雄よ。出立の時に行ったはずだ。俺は俺の好きなように生きその行く末がどうなろうとも後悔せぬと我が祖アレスに誓ったと」
「そもそもなぜ神アレスに誓ったのだ! せめて神アテナであれば頭を下げ供物をささげれば許してもくれよう!」
「お前は己の言ったことを覆し、あまつさえ守りさえすれば下げる必要のない頭を守ることを考えるのか? それこそ愚か! 故に俺は覆さぬ覚悟とともに祖たるアレスに誓ったのだ!」
激しい剣戟、いや、こちらは剣であるのに対しあちらは槍であるため剣戟というには少しばかり合わないが、いいだろう。その中で問答を続ける俺たちは、しかし決して交じり合うことはないだろう。
俺はこの地に生まれ落ちる以前に現代日本で暮らしていた記憶があり、だからこそ他とは異なる価値観の下動いてきた。
祖だからとアレスを敬うのも違いの一つであろう。この時代のアレスは単なる粗暴な神、祖であろうが敬うものは数少ない。
対してアキレウスは言っては何だが神代ギリシャにおける普通の価値観で動く。戦の神であればアレスよりアテナを敬い場合によっては人に残虐な殺し方を施すことに躊躇いがないだろう。
「アイアス! その剣を落とせ! そうすればお前は捕虜として生かす!」
「お前はそう言われて槍を投げ落とすか! 論外だ、俺はもう二度と共に戦う仲間を裏切らん!」
そうはいっても相手はギリシャの大英雄アキレウス。たかがこの身で勝てると思うほど自惚れてはおらず、そして事実俺は大地に伏していた。
手は砕かれ剣も持てず、足は槍に断たれ腰だけになった。それでも嚙みついて攻撃しようとして歯も折られた。
城壁の向こう側から、否、過去から見ている巫女に目を合わせる。愚かな王子パリスは不和のリンゴを代償として娘を攫ってきてしまった。
ああ、でも、捕虜にされ、大切だったはずの仲間の情報を漏らし、恨み言を聴きながらの毒殺よりは、いい死に方だ。
既に声は出ない。だがそれでも口に出す。
我が祖アレス。あなたとの誓い、確かに果たしたこと、報告いたします。
ここはカルデア。大西洋異聞帯の攻略を終えた最後のマスター藤丸立香は召喚ルームで聖晶石を抱え、召喚を行っている。
その隣には護衛として人理焼却を共に乗り越えたヘクトールとつい最近カルデアにやってきた彼の弟パリスがいた。
そしてセイントグラフが回り、表したクラスはバーサーカー。それを確認したヘクトールはさりげなくマスターの前に立つ。
「バーサーカー、アレスの神使、真名はアイアス。よろしく頼む、マスター。おや、ヘクトールとパリスじゃないか。久しぶりだね」
マスターの前に立って居たヘクトールは驚きに顔を歪ませ、パリスは申し訳なさげにうつむいている。
クラス:バーサーカー
真名:アイアス
性別:男性
身長:174㎝
体重:80㎏
出典:トロイア戦争
地域:ギリシャ
属性:秩序・悪・人
好きなもの:自由・誇りある死
嫌いなもの:束縛・無様な死
天敵:アキレウス
保有スキル:勇猛 C+
不屈の意志 C+
熾天覆う七つの円環 A+++
味方全体に対粛正防御状態を付与(3回・1ターン)
クラススキル:狂化 A
対魔力 B
騎乗 B
神性 D
アペンドスキル:追撃技巧向上 ×
魔力装填 ×
対ライダー攻撃適性
宝具:
「ヴヴヴヴゥ……ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
自身に無敵貫通を付与(1ターン)&敵単体に超強力な攻撃&自身のHP減少【デメリット】
カード:BBBAC 宝具B
会話
1 マスター、出撃はまだか?
2 マスターは無茶なことさえしなければいい
3 よほど無茶なことを言われなければ従う
4 ヘクトール、この後一服、どうだ?
5 パリス、あまり怯えないでくれ。あまり怯えられると思わずそこの太陽羊を握りつぶしてしまう
6 そうか、私が死に絶えた後に……救援感謝する。勇ましき女王よ
7 おぉ、その威容……我が祖に栄光あれ
8 ん? ああ、アキレウスがいるな。会いに行かないのかって? ……どの顔でだよ
9 知将オデュッセウス殿。貴殿もいかがですか? これから一服
10 ほう……ほーう……ふーん……まぁ、切り札的に使われているのはうれしいことかね
11 ほお! 大英雄ヘラクレスもいるのか。これはぜひ手合わせ願おう
絆Lv
1 マスター、君が成人したら共に杯を酌み交わそうじゃないか
2 マスター、私はどれだけ言葉を尽くそうが、どうしようもない戦狂いだ。使いすぎないように
3 はぁ……まぁ、これでもかつての友と肩を並べて戦えるのは感謝しているけれど、忠告したはずだよ
4 そうか……アジアは独立し、平和はなったか……
5 まいったな、思った以上に君に絆されていたらしい。うん、僕はアイアスであってアイアスじゃない。中にいる魂は、大東亜戦争にて散ったしょうもない男なんだ
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