今回は初回ということで、振り返りのようなもの+一期の時に考えた話を練り直したオリジナル話です。
これまでのあらすじ
私の名前は
私は勇者部に入って毎日楽しんでたんだ。
でもそれは長く続かなかった。
だって、私の正体は精霊だったんだから。
でも何やかんやあって、人間になったんだ。
終わり
「短いわ!」
夏凜が盛大にツッコミを入れる。
「え~。まとめるとこんな感じだよ~」
「中身なさすぎでしょ!」
「そうよ、望乃。もう少し何かあるでしょ」
風が夏凜に賛同する。
「ん~。あ、うどんがおいしい!」
「それはいつもでしょ!」
「でも、望乃ちゃんと夏凜ちゃんが来てからいろいろなことがありましたよね」
「そうね、友奈ちゃん」
友奈の言葉で、勇者部は思い出を辿る。
「望乃ちゃんと夏凜ちゃんが来てすぐに、夏凜ちゃんの誕生日会をやったよね!」
「みんなでカラオケにも行きました」
「海にも行ったわね」
「望乃ちゃんは暴走した私を止めようとしてくれました」
「忘れちゃいけないのが文化祭よ。望乃と乃木は参加してないけど」
「それに、にぼっしーとにぼしの友情物語もあったよね~」
「そう聞くと、いろんなことがあったね~」
「変なの混ざってたわよ!」
「園子ちゃん、にぼしは友達ってやつだね~」
「友達食べてるじゃない!」
そこで風が何かを思いついたようにポンと手を叩く。
「これがホントの友食いね!」
「うっさいわ!」
「そんなこんなで振り返りは終わりだよ~」
「雑っ!」
本編始まります。
私の名前は小木曽望乃。
「――って、その始まり方何回やんのよ!」
「夏凜ちゃん、モノローグにツッコまなくても~」
望乃と夏凜は肩を並べて勇者部に向かっていた。望乃がクラスメイトにお菓子をもらっている間に友奈たち三人は先に行ってしまったからである。
二人が部室に入ると、既に全員揃っていた。
「やっほ~」
「望乃ちゃんと夏凜ちゃん来た!」
「望乃、相変わらずいっぱい抱えてるわね」
「えへへ~」
望乃はお菓子を机の上に置いて、袋を開ける。そしてボリボリと食べ始める。
「あれ? 何か落ちてますよ」
樹が床に落ちているものを拾う。それは小さく折られた紙だった。
「何よその紙」
「手紙ですね」
「誰宛てでしょう?」
「開けてみれば分かるんじゃない?」
「え? で、でも……」
夏凜に言われて樹があわあわとする。その紙を園子がパッと取る。
「じゃあ、私が読むよ~」
園子は手紙を開けてその内容を口にする。
『小木曽さんへ 明日の放課後、屋上に来てください』
「これ、コギー宛てのラブレターなんよ〜!」
「えーーー!」
「ほえ?」
勇者部が反射的に見た望乃は、自分のこととは欠片も思っておらず、お菓子を食べながら首を傾げていた。
「の、望乃にラ、ラブレターって、まさか……」
恋愛のレの字も知らなさそうな望乃に訪れた吉報に、風は動揺を隠せなかった。
友奈や東郷は素直に喜んでいた。
「望乃さん、どうするんですか?」
樹が望乃にそう聞くが、望乃は困ったようにポリポリと頬を掻いた。
「どうするって言われてもな~。男の子とは話したこともないんだよな~」
「コギー、字の感じ的に女の子みたいなんよ」
「え? じゃあ、ラブレターじゃなくない?」
「部活の勧誘の方が可能性高そうですね」
「望乃ちゃん、運動神経良いもんね!」
「てか、乃木は何でそれをラブレターだと思ったのよ」
「見た瞬間、ビビッと来たんよ~。私の直感ではラブレターなんよ~」
「百合の波動を感じるってやつだね~」
「そんなのあるんですか?」
「……夏凜ちゃん?」
そこで友奈がツッコミもせずに黙り続けている夏凜に声を掛ける。夏凜は腕を組んで望乃から目を背けていた。
「……何よ」
「いや、静かだなーって思って」
「確かに、うるさいくらいにツッコみまくりなのに」
「……うるさいわね」
「? 夏凜ちゃん、どうかしたの?」
夏凜を心配した望乃が、食べ続けていたお菓子の袋を置いて夏凜に近付く。そして熱を測るために、自分と夏凜のおでこをくっつける。
「ん~。熱はないみたいだね~。でも心配だから、今日は帰るよ」
望乃はそう言って、夏凜を連れて部室を出て行った。そして残された五人はお互いの顔を見合わせていた。
「夏凜ちゃん、調子悪かったのかな?」
「でも、来たばかりの時は元気にツッコミしてたわよ」
「私が思うに、にぼっしーは嫉妬してるんよ~」
「嫉妬? あの手紙でってこと?」
「でもあれって、ラブレターじゃないんじゃないの?」
「そうとも限らないでしょ~。きっとにぼっしーはそれで嫉妬してるんだと思う」
「本当にそうなんでしょうか?」
「樹?」
「私には、夏凜さんは嫉妬しているというより、何か考え事をしているように見えました」
「私も樹ちゃんの意見に賛成です」
東郷が樹の意見に賛同する。
「仮に夏凜ちゃんが嫉妬していたとしたら、もっと動揺するはずです」
勇者部は望乃と園子が二人で出かけた時の夏凜の反応を思い出す。
「だから、夏凜ちゃんは、おそらく望乃ちゃんのことで考え事をしていると思われます」
「でも、大丈夫だよ!」
友奈がそう言いながら立ち上がる。
「もしも夏凜ちゃんが何か考え込んでても、望乃ちゃんが何とかするよ! だって、二人は一番の友達なんだもん!」
友奈は「私と東郷さんみたいに」と付け加えて東郷がパアっと顔を明るくさせる。勇者部は友奈の言う通り、望乃に任せることにした。
自宅へ帰ってきた望乃と夏凜は、中に入ると望乃が夏凜をベッドに座らせる。
「夏凜ちゃんは寝てていいよ~。私はご飯作ってるから~」
そう言って望乃は台所に向かう。しかし夏凜は望乃の言うことを聞かず、ベッドから立ち上がって望乃の元まで行く。そして夏凜は望乃の肩を掴んだ。
「夏凜ちゃん?」
「……望乃。あんた、あのラブレターどうするつもり?」
「どうって……。とりあえず行ってみようかな~って。そもそもラブレターかどうかも分からないしね~」
「もしも、あれがラブレターで、あんたに告白して来たら、そいつと付き合いなさい」
「え?」
望乃は夏凜の言っている意味が理解できなかった。
「前から思ってたのよ。あんたは世間を知らなさすぎる。勇者や勇者部のこと以外は分からないことばかりなのがその証拠よ。だから、私達以外のところで生活してみるべきなのよ。だってあんたは、もう人間なんだから」
「……」
望乃は何も答えられなかった。望乃はずっと精霊として生きてきた。自分はいつか消える運命だと理解していた。だからこそ、自分の未来のことなんて考えたこともなかった。まして、人間としての未来なんて、望乃には想像もできないことだった。
この日、望乃と夏凜は一言も話さず、気まずい夜を過ごした。
翌日、朝から一言も話していない望乃と夏凜を見て、友奈は二人の間に何かあったことを察した。そしてその日の放課後、友奈は夏凜を引っ張って屋上に向かった。それを見た東郷と園子も二人の後を追いかけた。
放課後に望乃が屋上までやってくると、手紙の主であろう人物はすでに来ていた。
その人物は腰あたりまで伸びた長い黒髪をした女子生徒だった。
「お待たせ~」
「来てくれたのね」
「まあね~」
望乃はその女子生徒のことを知っていた。隣のクラスでよく望乃にお菓子をくれていた女子生徒だったからだ。
「要件を言う前に、一つ聞きたいことがあるのよ」
「何~?」
「三好さんとどういう関係なの?」
「夏凜ちゃん? お友達だよ~」
「そう。私、小木曽さんのことが好きなのよ。付き合ってほしい」
望乃は少しばかり驚いた。相手が女子だった時点で、部活の勧誘だと思っていたからだ。
「私と百合的な関係になりたいの?」
「そうよ」
相手が嘘を吐いていないことは望乃には分かっていた。だから望乃も真剣に考えた。
昨晩の夏凜が言っていた通りにするならば、望乃はこれを受け入れることになる。
望乃は考えた末、一つの答えを出した。
「それはできないかな」
「どうして?」
「夏凜ちゃんが悲しむと思うからだよ」
望乃は昨晩の夏凜のどこか悲しそうな表情を思い出していた。
「三好さんとはただの友達じゃなかったの?」
「ただのお友達じゃないよ。夏凜ちゃんはね、素直じゃなくて、勝ち気で、意地っ張りで、ツッコミで、風ちゃんが好きで、友奈ちゃんも好きで……」
「後半おかしくない?」
「でも、でもね、すごく優しいの。私がずっとずっと一緒にいたい、一番大好きなお友達なんだ~。だからね、夏凜ちゃんには悲しんでほしくないんだ」
望乃は満面の笑みを浮かべてそう言った。相手の子もその笑顔を見てクスリと笑った。
「小木曽さん、あなたにとって、三好さんは本当に大切な人なのね」
「うん!」
「じゃあ、私はもう行くわ」
「ん~? もういいの?」
「ええ、どう足掻いても三好さんには勝てそうにないもの」
相手の子はそう言って去って行った。それと入れ違うように夏凜が望乃の前に現れた。
「望乃」
「夏凜ちゃん? 見てたの?」
「……友奈に連れて来られたのよ」
「友奈ちゃん?」
望乃がドアの方を見ると、おずおずと友奈が出てくる。
「ごめんね望乃ちゃん。二人に仲直りしてほしくて」
「友奈ちゃんだけじゃないわ!」
そんな言葉と共に友奈に続いて東郷と園子が出てくる。
「私も同罪よ! だから友奈ちゃんだけを怒らないで!」
「わっしー。コギーは怒ってないと思うよ~」
「うん。私、別に怒ってないよ~」
「望乃」
夏凜が真剣な表情で一歩踏み出す。
「あんた、私がせっかくあんたのためと思って考えたのに、台無しにしてんじゃないわよ」
「ごめんね、夏凜ちゃん。でも私はね――」
「――じよ」
「へ?」
夏凜は顔を赤くしながら望乃の目をまっすぐ見た。
「私も同じよ! 昨日はあんなことを言ったけど、私も望乃と一緒にいたいのよ!」
夏凜のその言葉を聞いた瞬間、望乃は夏凜にギュッと抱き付いた。
「夏凜ちゃんも同じ気持ちだったんだね~」
「信じて……いいのよね?」
「確かにね、私はいっぱい嘘を言ってきたよ。でもこの気持ちに嘘はないよ」
望乃のその言葉を聞いた夏凜は、フフッと笑った。それを見た望乃も同じように笑い、二人は笑い合っていた。
「良かった! 二人が仲直りできて!」
「一件落着ね」
「やっぱり二人はこうでないとね~」
「いやー、良かった良かった!」
「風先輩、いつの間に!」
友奈たちの隣にはいつの間にか風があははと笑っていた。
「あの、私もいます」
「樹ちゃんも!」
風の後ろから樹がおずおずと出てくる。
「いやね、やっぱ気になるじゃない? だからちょっと覗き見してたってわけ」
「ご、ごめんなさい!」
「あんたら、覗くなんてどうかしてんじゃないの?」
「言っとくけど、夏凜に言う筋合いないわよ。望乃を除いた全員が同罪なんだから」
「私は気にしてないよ~」
その時、望乃のお腹がグウと鳴る。
「コギー、お腹鳴ってるよ~」
「えへへ~。お腹すいちゃった~」
「仕方ないわね。じゃあ、みんなでうどん食べましょ!」
「ダメですよ、風先輩。今日の依頼がありますから」
「そ、そうだったわね」
「終わったら、みんなで行きましょう!」
「そうだね、ゆーゆ」
「それまでの間、望乃さんは何か食べててください」
「望乃にはもらったお菓子があるから大丈夫でしょ」
「りょ~か~い」
勇者部は揃って屋上のドアに向かって行く。
「ねえ、みんな」
勇者部の背中を見ていた望乃が声を掛けると、ハテナを頭に浮かべながら振り返った。
「私ね、ずっと精霊として生きてきて、私はみんなと対等になんかなれないって思ってて、私は本当は仲良くしちゃいけないんだって思ってた。それでもみんなは仲良くしてくれて、精霊だって知ってからも一緒にいてくれて、本当に嬉しかった。こうして人間になれて、勇者部に入って良かったなって思うよ。だから、ずっとは無理かもしれないけど、それでも私は、みんなとずっと一緒にいたいな」
望乃が笑顔でそう言うと、勇者部は笑みを浮かべていた。その気持ちは七人全員同じだった。
「それとね、やっぱり思うんだ」
まだ続きがあるのかと、勇者部は耳を傾けて望乃の次の言葉を待つ。
「やっぱり……早くうどん食べたいなって」
「――って、最後にそれかい!」
夏凜の盛大なツッコミが屋上に響き渡ったのだった。
次回から本編に入ります。
三期は書くか迷っていました。流れとしては
三期始まるし書こうかな。
↓
でも望乃を入れられるかな。
↓
何話か見てから考えよ。
↓
くめゆとのわゆあんの? 無理じゃん。書くのやめよ。
↓
見終わったら意外といけるかも。でもまあいいか。
↓
なんか思いついたな。どうしよう。
↓
書くか
という感じです。
二期でやりたいことをやりつくした感じがあったので、あまり自信はありませんがよろしくお願いします。のんびり更新していきます。