小木曽望乃は勇者である?~大満開の章~   作:桃の山

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 ついに最終決戦です。
 二期てやったところはバンバンカットしていきます。


最後の戦い

 最終作戦のために船に乗り込んだ芽吹、雀、夕海子、しずく、望乃の五人は現地へと向かっていた。そして亜耶は、まだ完成には至っていない霊的国防装置、千景殿で反抗するために待機していた。

 

「一撃を放った後は勇者に託す。ですが、大赦からは詳しいことを聞かされないまま、戦闘に参加するなんて……。望乃さんの話がなければ何もわからないままでしたわ」

 

「量産型だから……」

 

「かー! 戦果を上げて認めさせてやりますわ!」

 

「メブ。親玉が来るの?」

 

「ええ。だから千景砲なんて切り札を持ち出したのよ。望乃が言ってた通り、最終作戦というのは本当でしょうね」

 

「千景砲か……。皮肉なものだよね……」

 

「望乃、何か言った?」

 

「ううん、何でもないよ」

 

「じゃあじゃあ、やっぱりこれを乗り切れば戦いが終わるんだね」

 

「私たちの代で、終わる……」

 

 雀が嬉しそうにコクコクと頷く。

 

「そう願う」

 

「ですわね」

 

「終わるって言って! 言って! 言って!」

 

「これで終わるよ~、雀ちゃん」

 

 いつの間にか雀の隣に移動していた望乃が、雀に微笑みかける。

 

「ほ、本当?」

 

「うん。信用できないかな~?」

 

「だって、メブがーーー!」

 

「芽吹ちゃんがこれで終わりだよって言ったら、気が緩むでしょ~」

 

「それはそうだけど……そ、それに、望乃ちゃんが言ってたことが本当だとしたら……」

 

 雀がブルブルと震え出す。

 

「急に震えてどうしたの~? もしかして寒いの? それともおトイレ?」

 

「違うよ! 怖いの!」

 

「あ、そうなんだ~。じゃあ、ほぐしてあげるね~」

 

 そう言って望乃が雀をくすぐる。

 

「あ、ちょっと、くすぐらないでー!」

 

 その様子を見ていた夕海子が芽吹に通信で声を掛ける。

 

「望乃さん、少し様子がおかしくありません?」

 

「それは私も思ってたわ」

 

「いつもと全然違う……」

 

「望乃さんはお役目の時は真剣でした。命の危険があったからでしょうけど、それは今回も同じことですわ」

 

「いつもより危険って言ってたのに、緊張感がない……」

 

「緊張感がない。そうね、いつも通りに見えて、全く違うわ」

 

 その間も、望乃と雀は緊張感のないやり取りを続けていた。

 

「……ねえ、頼みがあるのよ」

 

 芽吹が夕海子としずくに声を掛け、二人が芽吹の次の言葉を待つ。

 

「できるだけ、望乃を見ていてほしいの。望乃は多分緊張感がないというよりも、覚悟が決まって吹っ切れているように見えるわ。もしかしたら、さっき言ってた方法をするつもりなのかもしれない。私も見ているつもりだけど、二人にもお願いしたいのよ」

 

 芽吹に頼まれた二人は、悩むことなく二つ返事で了承した。

 

 

「人としての営みが終わります。ですが、我らは神樹様と共にあります。これは待ち望んだ祝福なのです。これで我ら一同、神樹様と一つになり神の眷属として認められますなんと幸せなことなのでしょう」

 

 芽吹たち防人全員の胸の辺りに、烙印が現れる。

 

「何これー?」

 

「とても嫌な感じ……」

 

「望乃さんには現れていませんわ!」

 

「え? 何で?」

 

「そりゃあ、そうだよ。それは人にのみ現れるもので、人じゃない私は対象外なんだもん」

 

「え? これは何なの?」

 

「それは……神樹様や大赦がやろうとしている、あまりにもふざけていることが、始まった印だよ」

 

「あまりにもふざけていること? 大赦は一体何をやろうとしているの?」

 

「それは――」

 

 その時、防人一行は初の樹海へとやってきていた。

 

「…………これが樹海。勇者たちの世界」

 

「時間が止まっている世界なんて、説明を受けていても、受け入れがたいですわね」

 

 初めて見る樹海の世界に各々が驚いている中、特に反応していなかった望乃は辺りを見渡してから目を閉じ、そしてゆっくり目を開いた。

 

「……さてと、そろそろ……行こうかな」

 

「望乃!」

 

 望乃がボソリとそう呟き、それがわずかに耳に入った芽吹が即座に反応する。

 

「どこへ行くと言うの!」

 

「芽吹ちゃん、みんなにはみんなのやることがあるように、私には私のやることがあるんだ。だから行ってくるよ」

 

「だからどこに!」

 

「それは言えない。ただわかってほしいのは、私は行かなきゃいけないってこと。だから止めないでほしい」

 

「それは、あなたが言ってた方法をするから? それなら止めないわけにはいかない。そんなこと、絶対にやらせはしない」

 

 そこで夕海子としずくが望乃の腕を掴む。

 

「望乃さん、これでも行くと言うんですの?」

 

「行かせない……」

 

 そしてさらに雀が望乃の腰にしがみつく。

 

「望乃ちゃん、行っちゃやだよー。私を守ってよー」

 

「……夕海子ちゃん。しずくちゃん。雀ちゃん」

 

「これでもまだあなたは自分を犠牲にするつもり? あなたはそんなに薄情な人間なの? あなたは勇者だったんでしょ? 答えなさい、小木曽望乃!」

 

「……違うよ。私は、勇者じゃない。人間でもない。私は……」

 

 望乃は何かを言いかけて、首を横に振る。

 

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。今から行こうとしてるのは、言ってた方法をするためじゃないから」

 

「え?」

 

「ちょっとした用事って感じかな。だからちゃんと帰って来るよ」

 

「それなら一人じゃなくてもいいでしょ!」

 

「みんなにはお役目があるでしょ? 私の用事に連れて行くわけにはいかないよ」

 

 望乃は三人の拘束を振りほどく。芽吹は望乃が一人で行かないよう、手を伸ばす。

 

「待ちなさい、望乃!」

 

「芽吹ちゃん、私は必ず戻るから。ただ……今と全く同じ状態とは言えないかもしれないけど」

 

 芽吹が望乃の手を掴もうとした瞬間、望乃はその場から消えてしまった。

 芽吹は悔しさのあまり、掴めなかった手をギュッと握りしめた。

 

「どうしますの? 芽吹さん」

 

「……望乃の行先がわからない以上、どうすることもできないわ。私たちはお役目を全うすることしかできない。望乃の言葉を信じて戻るのを待つしかないわ」

 

「そうですわね」

 

 そう言いながらも、芽吹には引っかかっていたことがあった。それは望乃が消える直前の言葉だった。

 今と全く同じ状態とは言えない。望乃はちょっとした用事と言っていたにもかかわらず、今と状態が変わるかもしれないことをしようとしている。その用事とは何なのか。芽吹には見当もつかなかった。

 

 そこに大量の星屑が現れる。

 

「総員、戦闘態勢! これは、最終作戦である。我々は祈祷完了までの間、東西南北の祈祷場を防衛。千景砲の一撃を持って、勇者の戦いを必勝のものとする!」

 

 船に防護壁が張られ、防人は大量の星屑に向けて銃を放っていく。

 

「現在、今まで戦果を上げてきた望乃はいない! でも、私たちは、望乃がいなくても戦える!」

 

 ――そして、見せてやるわ。望乃がいなくてもやれることを。だから、一人で頑張らなくてもいいということを。

 

 

 一方、神樹様の近くまで来ていた友奈は、少し前の出来事を思い出していた。それは、勇者部で勇者御記を読んだ日のこと。その日の夜、友奈は夢の中でとある人物に会っていた。

 その人物とは初代勇者の一人、高嶋友奈だった。神樹様の気まぐれにより、魂だけ守られ、神樹様の一部になった高嶋友奈。高嶋友奈は、結城友奈の祟りを代わろうとしていた。しかし誰かに押し付ける方が辛いと言う理由で断ったのだった。

 その会話の最後で、結城友奈は疑問を聞いた。

 

「あの、どうやって、私に会いに来たの?」

 

 高嶋友奈は神樹様の一部で、神樹様から見れば結城友奈と同じ人物。しかしだからと言って夢の中とはいえ、会える理由がわからなかったのである。

 

「神樹様の気まぐれで、私は友奈ちゃんの近くにいるんだ!」

 

「え? それって……」

 

「でも、元々は見守ることしかできないはずだったんだ。こうして話すことはできないはずだったんだ。でも会えるようにしてくれたんだ」

 

「それも、神樹様の気まぐれ?」

 

「ううん、それは神樹様じゃない」

 

「じゃあ、誰が……」

 

「私もすっごく驚いたんだ! その子はね、友奈ちゃんが苦しんでるのを知って、何とかしたいけど直接助けることはできないから、少しでも力になれないかって頑張ってくれてる、とても優しい子なんだ!」

 

「私のために……?」

 

 

 神樹様の近くでその会話を思い出していた友奈はゆっくり目を開けた。

 

 ――私のために頑張ってくれてる人がいる。勇者部以外にも頑張ってくれてる人がいる。私の命がもうダメなのなら……私の命でみんなが助かるのなら……。怖くない、怖くない。

 

 

 その一方で、勇者部は天の神との戦いに夏凜、園子、樹の三人。友奈を助けに東郷、風、そして望乃が行っていた。

 なぜか望乃が調子を悪くしていく中、東郷の満開の艦で移動していた。しかし、天の神による攻撃を受け、艦を捨てることになった。その際、東郷の身を精霊が守り、東郷は疑問を抱いていた。

 艦による移動ができなくなり、三人は走って移動していた。三人の中で最も機動力のある望乃は大きく息を切らせながら最後尾を走っていた。

 天の神とは違う、大きな木のような攻撃が三人を襲う。

 

「神樹様に、妨害されてる?」

 

「きっと……神樹様も私たちのこと、気付いて、るんだね」

 

 神樹様により、三人の走っていた先に大きな壁ができる。風が大剣を両手で持って、大きく振りかぶる。

 

「たとえ神樹様でもね、今回だけは譲れない!」

 

「風先輩!」

 

 その風に、神樹様の妨害が襲う。

 

「しまった!」

 

「風、ちゃん!」

 

 風の目の前に犬神が現れる。

 

「犬神!?」

 

 風は自身の満開ゲージを確認するが、満開ゲージは減っていなかった。

 

「どういうこと?」

 

 東郷はやっぱりと思いつつ、目の前の光景が理解できていなかった。

 神樹様の攻撃は風の目の前に現れた犬神が防ぐ前に動きを止めたのである。そしてその木のようなものはゆっくりと退いていった。

 

「神樹様、心変わり、したのかな?」

 

「そんなはずは……」

 

 こんな急に心変わりするわけがない、そう思っていた東郷だったが、望乃の言う通りかのように神樹様の妨害が止んだ。それどころか、まるで友奈まで導くように道を作り始めた。

 

「どういうこと? 何が起こってるのよ!」

 

「わかりません。でも行くしかありません」

 

「そうね!」

 

 神樹様はいつの間にか三人を守るように壁を作っていた。本当に心変わりをしたようだった。

 そうして三人は、神樹様の意図がわからないまま、神樹様が作った道を進んで行った。 




 望乃が二人いる理由、ヒント出しすぎて読んでくれてる人全員、気付いてるんじゃないかって思えてきました。
 もう答えが分かってる人も、答え合わせまで待っていてください。
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