小木曽望乃は勇者である?~大満開の章~   作:桃の山

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 遅くなってしまいました。くめゆ関係を調べるのに時間を取られました。


防人と望乃の初任務

 防人のサポートとして現れた望乃。その望乃が初めに行った行動は、防人の一人ひとりと仲良くなるために話すことだった。防人は三十二人もいるので、一人と長く話している時間はないので、望乃は手早くでも確実に話しかけていった。

 防人の子のほとんどは、不安で怯えていた。それは先ほど知ったばかりの壁の外の真実やお役目の内容が原因で、それは仕方のないことだと望乃は思っていた。バーテックスと戦うわけではないとはいえ、中学生の女の子が簡単に受け入れられるものではなかった。

 お役目の内容を知っても怯えていない防人は、無表情の山伏しずく、堂々としている弥勒夕海子、そして最後まで勇者候補だった楠芽吹だけだった。

 その中に交ざっていた望乃は、当然恐怖など覚えていなかった。望乃は、勇者に選ばれる実力を持つ望乃に、守ってもらおうと防人の子達が持ってきたうどんを食べてからとある人物の元へ行った。そのとある人物とは、今回大赦が用意した防人ではない参加者、国土亜耶である。

 

「やっほ~」

 

「こんにちは。小木曽さん」

 

「え? 何で名前知ってるの~? 初対面だよね?」

 

「先ほどみなさんが言っていましたから」

 

「あ、そっか~」

 

「初めまして、国土亜耶と申します。大赦に所属する巫女の一人です。中学一年生です。好きな食べ物はおうどんです。香川出身ですから。今後ともよろしくお願いしますね」

 

「よろしくね。じゃあ、私も自己紹介するね。私の名前は小木曽望乃。さっきも言った通り、精霊だよ〜。好きな食べ物はうどん。好きなことは食べることとか、食べることとか、食べることかな〜」

 

「食べることがお好きなんですね。お歳はおいくつなんですか?」

 

「あ、えっとね、生まれてから二年くらいなんだけど、中学二年生なんだ〜」

 

「そうなんですね。なら先輩ですね。改めてよろしくお願いしますね、小木曽先輩」

 

「先輩! ホントは望乃って呼んでもらおうと思ってたんだけど、先輩って響き良いね〜」

 

「それでは、望乃先輩と呼ばせてもらいますね」

 

「完璧だよ~。私は亜耶ちゃんって呼ぶけど、いいかな?」

 

「はい」

 

 亜耶は嬉しそうに微笑み、望乃も同じように笑みを浮かべ、二人は握手をしたのだった。

 

 

 

 亜耶との挨拶を終えた望乃は、芽吹の元に向かった。

 

「芽吹ちゃん」

 

「……小木曽さん。 どうかしたの?」

 

「みんなと話したから芽吹ちゃんとも話そうと思っただけだよ~」

 

「小木曽さんはふざけてると思わない?」

 

「何が?」

 

「大赦は私たちを失格にしたのにまた呼び出して、勇者と違って都合の良い道具扱い。私たちは道具じゃないわ」

 

「……そうだね。大赦はいくらでも替えがきく、そう思ってると思う。でもそれは勇者も同じだよ」

 

「勇者も同じ?」

 

「私たちは道具じゃない。同じことを言った勇者がいたよ。その子は傷付く友達のために全てを壊そうとしたの」

 

「規模が違うわね」

 

「私が言いたいのはね、勇者も防人も変わらないんだよってこと。みんな、変わらない中学生の女の子なんだよ。私は違うけどね。だって私は人ですらないから」

 

「……小木曽さん。一つ聞いてもいいかしら?」

 

「ん~? 何~?」

 

「あなたは何のために戦っていたの?」

 

「決まってるよ。私は、大切なお友達に傷付いてほしくないから戦ってる。大切なお友達に死んでほしくないから戦ってる。そのためなら私は、なんだってするよ。もちろん、防人のみんなのことも守るよ。だってもう……誰かが死ぬところなんて、見たくないから……」

 

 芽吹は望乃のことを怪しんでいた。突然現れた望乃を、怪しまないわけにはいかなかった。しかし、望乃の戦う理由とそれを言った時の表情で、芽吹は疑うことをやめた。

 

「小木曽さん。私も同じ気持ちよ。頑張りましょう」

 

「うん! あ、それと、望乃でいいよ。芽吹ちゃん!」

 

「……考えておくわ」

 

 そうして、芽吹と望乃は握手を交わしたのだった。

 

 

 

 そして決行の日。支給された戦衣を纏った防人たちは四国防御結界に集まっていた。その中で異質だったのが巫女服を着た亜耶と、大赦に認知されていないため戦衣を与えられず、背丈の近い雀から借りた訓練用の服で参加していた望乃だった。

 

「我々のお役目は、あくまでも外界の地質調査。神樹様から分けられた苗を植えるポイントに辿り着くこと」

 

「了解!」

 

「ホントに行くだけだよね? そうだよね?」

 

「行くだけって言っても油断は禁物だよ」

 

「望乃先輩の言う通りです。バーテックスが沈静化したとはいえ、何があるかわかりません。みなさん、絶対に無事に帰ってきて下さい。絶対に!」

 

「もちろんよ」

 

「わかってるよ。私はともかく、みんなは絶対に死なせないよ」

 

「望乃先輩も、ですよ」

 

「ん~。わかったよ」

 

 亜耶に釘を刺された望乃は頬をポリポリと掻いた。

 

「あと、最後に一つだけ。私はもう勇者の力は使えない。使えるのは精霊の力だけで、一度に何人も守ることはできない。主人のいない今の私は瞬時に移動することができるけど、それでも限界はあるから、そのことは理解しておいてほしいんだ」

 

「私たちもできるだけ小木曽さんに頼らないようにするつもりよ」

 

「うん。そうしてもらえるとありがたいかな」

 

 望乃は大きく深呼吸をしてからもう一度口を開いた。

 

「さあ、行こうか。芽吹ちゃん」

 

 その言葉を聞いて、芽吹はコクリと頷いた。

 

「総員、配置に就け!」

 

 防人たちは四人一組で船に乗り込み、亜耶は安全祈願の祝詞を唱える。望乃は防人のリーダーである芽吹の船に乗り込んだ。

 芽吹たちの乗った船は壁の外に進んで行く。

 その様子を眺めていた亜耶がボソリと言う。

 

「どうか、ご無事で」

 

 

 

 壁の外では、芽吹たちの船はバーテックスの墓場に来ていた。

 一番船に乗る芽吹たちはその手に銃剣を持って辺りを見渡していた。

 

「これが……聞いていたよりもずっと不気味ですわね」

 

「教科書と違う……」

 

「大赦が隠してきた真実だからね~」

 

「うぅ……」

 

 雀が震えながら芽吹の足元に隠れる。

 

「訓練通りにやれば大丈夫よ、雀。苗をちゃんと植樹できるのかそれを調べられればいいだけなのだから」

 

「ホントに戦闘ない?」

 

「未知の計画だから」

 

「ないって言って! そのバーテックスっていう怪物は勇者様がやっつけてくれたんでしょ? そうだよね? 元勇者の望乃ちゃん」

 

「私は勇者じゃないよ。確かにバーテックスは勇者のみんなが倒したから出てくることはないけど、この壁の外には――」

 

 望乃がそこまで言ったところで、しずくが遠くの方を指差した。

 

「あれ……」

 

 しずくの視線の先にいたのは、大量の星屑だった。

 

「星屑!」

 

「そう、この壁の外にはあの星屑がいっぱいいるんだよ」

 

「嘘嘘嘘つき!」

 

「私、言ったよ~」

 

「あれは雑魚敵ですわよ。何を恐れることがあるのです? ここで功を上げ、弥勒家の名を轟かせるのですわ!」

 

 夕海子がそう言って銃剣を構える。

 

「総員、戦闘態勢!」

 

 芽吹が防人に指示を出して、銃剣を構える。望乃は瞬時に精霊バリアを張れるよう準備を整える。

 

「銃剣隊、射撃用意! 護盾隊は構えて!」

 

「護盾隊って私のことだよね!?」

 

「ほら、雀ちゃんも立たないと」

 

「やーだー!」

 

「来ますわ!」

 

「一斉射撃!」

 

 しかし他の防人は星屑の存在に怯えて、撃つことができない。

 

「どうしたの? 一斉射撃!」

 

「それ貸して!」

 

 通信の先で聞こえてきた声は望乃の声だった。芽吹は咄嗟に先ほどまで望乃がいた後ろを見るが、そこに望乃はいなくなっていた。

 瞬時に他の船に移動し銃剣を借りた望乃は的確に星屑を打ち抜いていく。

 

「この手の武器を得意じゃないんだけど」

 

 そう言いながらも望乃は確実に星屑を仕留めていき、同じ船の子に借りて芽吹と通信する。

 

「芽吹ちゃん! 一度固まった方がいいかも」

 

「わかってるわ! フォーム陣形、展開!」

 

 その陣形で亜耶の祝詞によって作られた防護壁が展開される。しかし大量の星屑相手では一時凌ぎにしかならず、防護壁を壊して中に入って来る。

 防人たちが応戦するが、七番隊がピンチに陥る。

 

「五番隊、六番隊は七番隊の援護に回って!」

 

「芽吹ちゃん! 私が行くから大丈夫!」

 

 そう言って望乃は七番隊の船に移動して、その周りの星屑を一気に倒していく。

 船と船を移動し続けている望乃は星屑に狙われやすく、防人のように浮遊能力も持ち合わせていないため、囲まれてしまっていたが、高い機動力で星屑を踏み台にしながら躱し、両手に持っていた銃剣の剣で星屑を倒していき、さらに精霊バリアも駆使して防人三十二人より星屑を倒していた。そして、星屑に狙われた防人の子を何度も精霊バリアで守り、望乃の体力の消費も尋常ではなかったが、それでも望乃は戦い続けた。

 

「死なせない! 私は、絶対に誰も死なせない!」

 

 その姿を船の上で戦い続けていた芽吹は思った。

 

 ――普段の姿とは全く違う。これが、勇者として戦っていた人の戦闘。勇者の力がなくてもここまでなんて……。

 

 結局、望乃の活躍により防人側から負傷者は出たものの、死者は出なかった。しかし防人たちは大きく肩を揺らし、完全に疲れ果てていた。

 

「生きてる?」

 

「だね……」

 

「私たちの勝利ですわ!」

 

「ふう、何とかなったね〜」

 

 芽吹たちの一番船に戻って来た望乃も息を切らして疲れ果てていた。

 

「望乃さん、すごかったですわね」

 

 望乃のことを夕海子が賞賛する。

 

「勇者のみんなに比べたら、大したことないよ〜」

 

「勇者様ってさっきのよりやばいの!?」

 

 望乃の言葉を聞いて、雀が震え出す。

 その時、頭から血を流し柱にもたれかかっていた芽吹が倒れ込む。

 それを見た四人は名前を呼びながら駆け寄る。

 

「……大丈夫」

 

 その言葉を聞いた四人は安心する。芽吹はその状態のまま望乃に話しかけた。

 

「……小木曽さん、あなたと一緒なら、みんなを守れると思うわ」

 

「芽吹ちゃん……」

 

「……だから、これからも共に頑張っていきましょう。望乃」

 

「! 芽吹ちゃん、こちらこそだよ〜」

 

 芽吹の名前呼びに嬉しくなった望乃は、芽吹をギュッと抱きしめる。

 

「ちょっと、怪我人ですわよ!」

 

「あ、ごめんね~」

 

 その時芽吹は、昔父に言われた言葉を思い出していた。

 

『弛まず努力を続けなさい。車輪の下敷きにならないように』

 

「……ええ、ならないわ」




 望乃、強すぎないかなって思ったんですけど、芽吹以上の身体能力+精霊の身体能力向上って考えると、こんなものなのかなって思います。

 亜耶ちゃんの自己紹介はゆゆゆいの自己紹介を参考にしました。
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