小木曽望乃は勇者である?~大満開の章~   作:桃の山

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 遅くなりました。
 オリジナル多めです。


あなたを救うために戦う

 防人はいつもの調査に出ていた。

 

「まもなく指定ポイントに到達する。一番船で植樹作業を行い、二番から八番は警戒態勢のまま待機」

 

「了解!」

 

 芽吹は亜耶を呼び、亜耶が植樹作業を行う。そこに星屑が押し寄せてくる。

 その戦闘中、しずくの様子が変化する。

 

「出たー! もう一人の方のシズクちゃん」

 

「雀! お前もガタガタ言ってんじゃねぇ!」

 

「は、はい!」

 

 そこに銃剣を持った望乃が現れ、シズクと背中合わせになる。

 

「やっほ、シズクちゃん。こんな状況じゃなかったら、ゆっくりお話ししたいんだけどな」

 

「そんなことしてる暇なんてねぇよ」

 

「そうだね」

 

 望乃はそう言って飛び出していく。

 

「シズク。前に出過ぎだ」

 

「ふん。あれに比べたらましだろ」

 

「望乃は自分を守れる力を持ってるから別」

 

 そうして、芽吹たちは星屑を倒していった。

 それからの調査でも星屑が現れ、戦っていった。やはり望乃が戦いながら全員を完全に守ることはできず、雀を除いた防人は顔や体には傷ができていた。それでも、芽吹たちはお役目をこなしていったのだった。

 

 

 

 戦いでの怪我で入院していた芽吹は、ハート形の錠前を眺めていた。その錠前には芽吹、亜耶、雀、夕海子、しずく、シズク、そして望乃の名前が書かれていた。

 

「いいじゃない」

 

「他の班の子たちはもう飾ってるって」

 

「本当なら、ロマンチックな恋人同士で書く願掛けなのだそうですけど」

 

「恋人いるの?」

 

「そ、それは淑女の秘密ですわよ!」

 

「夕海子ちゃんの恋人? それって雀ちゃん? それともしずくちゃん?」

 

「え? 何で私!?」

 

「理解、できない……」

 

「え~? 芽吹ちゃんと亜耶ちゃんは違うだろうし……他の防人の女の子? あ、もしかして、夕海子ちゃんの学校の女の子?」

 

「なぜ女の子が相手になるんですの!?」

 

「だって、恋人と言ったら相手は女の子に決まってるよ~」

 

「そんな決まりはありませんわ!」

 

 芽吹がそれを見ながら微笑んだ。

 

「七人、だね」

 

 それを聞いたしずくが少しうれしそうにコクリと頷く。

 

「これは絆です。みなさんとの絆がいつまでも続きますように」

 

 亜耶のその言葉を聞いた芽吹、雀、夕海子、しずくは笑みを浮かべた。しかし望乃だけは少し複雑そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

「望乃ちゃん」

 

 望乃がぽけーっとしていると、急に声を掛けられた。声を掛けた人物は雀だった。

 

「どうしたの? 雀ちゃん」

 

「メブ、知らない?」

 

「芽吹ちゃん?」

 

「ほら、今日休暇でしょ? だから一緒に遊びに行こうかなって」

 

「なるほどね~。でも残念だけど芽吹ちゃんはいないよ~。だって芽吹ちゃんは今日、デートに行ってるからね~」

 

「え……えええ!!」

 

「どうしたんですの!」

 

「事件……?」

 

 雀の大声を聞いて、夕海子としずくが駆け寄ってくる。

 

「聞いてよ! メブがデートって望乃ちゃんが!」

 

「まあ、芽吹さんが? いつのまにそんなお相手が?」

 

「意外……」

 

 雀と同じく二人も驚きを見せる。望乃は心底嬉しそうにその相手の名前を口にした。

 

「相手は亜耶ちゃんだよ〜」

 

「……へ? あやや?」

 

「うん。今日休暇だから、芽吹ちゃんとどこか遊びに行ったら? って亜耶ちゃんに言ったんだ〜」

 

「なーんだー。あややかー」

 

「何でそんな反応なの~? だって芽吹ちゃんと亜耶ちゃんだよ? こんなに興奮するようなことって中々ないよ~」

 

「いや、女の子同士じゃん!」

 

「だからいいんだよ~。今から亜耶ちゃんに頼んだ、今日の報告を聞くのが楽しみだよ〜」

 

 そう言う望乃は鼻息を荒くさせ、目を輝かせていた。

 

「前から思ってたんですけど、望乃さんはそういうのがお好き何ですの?」

 

「当然だよ! 女の子同士でイチャイチャしてるのを見るのが大好きなんだ〜」

 

「へ……へー」

 

「安心して! 私的には芽吹ちゃんと亜耶ちゃんが一番だけど、雀ちゃん、夕海子ちゃん、しずくちゃんのどの組み合わせでもいけるよ〜。あっ、しずくちゃんとシズクちゃんもいいかも〜」

 

 望乃がそう言いながら親指をグッと突き立てる。

 

「思っていたより重症ですわね」

 

「私たちは……そういうのじゃない……」

 

「望乃ちゃんが入ってないんだけど?」

 

「え? 私? 私はいいよ〜。私みたいなのがやってもつまらないからさ〜」

 

「望乃ちゃんってさ、自己評価低くない?」

 

「雀ちゃんには言われたくないかな〜」

 

「え、だって、私なんて何で勇者候補に選ばれたのかもわからないような人間だし……」

 

「私はそもそも人ですらないよ。本来存在しない小木曽望乃という存在の評価が低いのは当然のことだと思うんだよ。だって……私はどうあがいてもみんなと対等になることなんてできないんだから」

 

 それを聞いた三人は言葉を発することができなかった。

 望乃とは仲良くなったが、付き合いが長いわけではない。精霊として生まれた望乃の心情を察することなどできなかったのである。

 

「それとね、芽吹ちゃんと亜耶ちゃんに遊びに行くように言ったのにはもう一つ理由があるんだ」

 

「もう一つ?」

 

「二人ともこうでもしないとちゃんと休んでくれないと思ったからだよ」

 

 それに関しては三人共納得だった。二人ともただ休めと言われただけでは、ちゃんと休めなさそうだからである。

 

「小木曽って、よくわからない……」

 

「しずくちゃん?」

 

 しずくの言葉に、望乃が頭を傾げる。

 

「変だったり……真面目だったり……」

 

「それはそうかも。望乃ちゃんって、さっきみたいに変なことを言い出したと思ったら、ちゃんと考えてること言ったりするよね」

 

「えへへ~」

 

「褒めてるわけではありませんわ」

 

 そんな調子で望乃を含めた四人は、休暇を過ごしていったのだった。

 

 

 

 翌日の朝。望乃は事前に亜耶と待ち合わせしていたところにやってきていた。理由はもちろん、昨日のことを聞くためである。

 望乃がのんびり到着すると、亜耶が先に来て待っていた。

 

「亜耶ちゃ〜ん、おはよ〜」

 

 望乃は亜耶の名前を呼びながら抱きついた。

 

「あ、おはようございます。望乃先輩」

 

 亜耶はそれに笑顔で応える。望乃は亜耶から離れて、本題に入ることにした。

 

「亜耶ちゃん! 昨日、どうだった?」

 

「昨日は芽吹先輩の知らなかった一面が知れました。望乃先輩のおかげです」

 

 亜耶は芽吹と行ってきたところについて話してくれた。

 

「いいね〜。やっぱり芽吹ちゃんと亜耶ちゃんは百合的にも最高だよ〜」

 

「百合的? とは何なのでしょう? お花?」

 

「百合っていうのはね、女の子同士でイチャイチャするものすごく良いものなんだ〜」

 

「そうなんですね。勉強になります」

 

 亜耶はそう言って微笑む。それを見た望乃はあることに気が付いた。

 

「あれ? 亜耶ちゃん、元気ない?」

 

「え……そ、そんなことないですよ」

 

「それは嘘だね。亜耶ちゃん、何か隠し事をしてるよね?」

 

「……望乃先輩の目は誤魔化せませんね」

 

「私は隠し事のプロだからね」

 

「プロなんですか?」

 

「ずっと隠し事してたからね」

 

 俯いている亜耶に望乃は一歩近付いた。

 

「亜耶ちゃん。そんな私から一つアドバイスだよ」

 

「アドバイス、ですか?」

 

「私の経験的にね、大切な人への隠し事の時間と罪悪感って比例するの。隠し事をしてる時間が長くなると、罪悪感も大きくなる。私は、それがとても辛いことだって知ってる。亜耶ちゃんが隠してることが何かはわからないけど、相手のことを思うなら隠すより言うべきだと思うよ」

 

「相手のことを思うなら、ですか……」

 

「まあ、隠しておかないといけないことっていうのもあると思うから難しいけどね。例えば……実は正体が諸悪の根源でした、みたいなね」

 

「もしかして、望乃先輩」

 

「例えばの話だよ~」

 

「……望乃先輩、私が隠していることを聞いてもらえますか?」

 

「私でいいの?」

 

「はい!」

 

 亜耶は微笑んでからその内容を口にした。

 その内容は、天の神の力が急速に増しているため、奉火祭の儀をもってそれを鎮めることが決まり、その生贄に亜耶が選ばれたということだった。

 

「そ、そんな……そんなこと聞いてないよ!」

 

「芽吹先輩たちも知らないことですから」

 

「そう……だよね。亜耶ちゃんは、それでいいの?」

 

「……仕方ないことですから」

 

 そう言う亜耶の姿を見て、望乃は決意を固めた。

 

「亜耶ちゃん。一つ覚えておいてほしいんだ」

 

「え……?」

 

「この世に犠牲になっていい人間は、いないんだよ」

 

「望乃先輩……」

 

「待ってて、必ず……あなたを救うから」

 

 望乃はそう言い残して、芽吹たちにそのことを伝えるためにその場を去った。

 

 

 

 一方芽吹たちは大赦の話を聞いていた。それは、望乃が亜耶から聞いた話と神樹様の寿命が尽きようとしているため、苗を回収するという話だった。

 話が終わり、大赦が去ったところに望乃が到着する。

 芽吹たちが沈んでいる理由を聞いた望乃は、「そっか」と漏らした。

 

「何度も怖い目に合って植えてきたのに……」

 

「あんな任務、聞くわけにはいきませんわ!」

 

「外の世界の奪還は凍結。これからは内地の防衛が優先される」

 

「国土さんのことと言い、どうなってますの? 私たちのやってきたことは――」

 

「無駄。無意味。徒労。……車輪の下敷き」

 

 芽吹がドンと叩く。

 

「消耗品なんて認めない! 私たちが無駄じゃないことを知らしめないと!」

 

「芽吹ちゃんの言うこともわかるよ。だからこそ言うけどね、私は苗のことこうなる気がしてたよ」

 

「どういうことですの? 望乃さん」

 

「大赦はね、神樹様のことをわかってるつもりでわかってないんだよ。大赦は世界のためなら少しの犠牲は仕方ないことだと思ってるの。でも私はそれに納得できない。だから私の存在を隠してほしかったんだ。私の存在が知れたら、きっと大赦は利用するだろうから」

 

「望乃ちゃんはどう思ってるの?」

 

「決まってるよ。私は大赦のやり方は認めない。誰かが犠牲にならなきゃ、誰かが涙を流さないと救われない世界なんて、私は認めない。だから、私は……たとえ神樹様がどう思ったとしても、亜耶ちゃんを救うために戦うよ」

 

「望乃さん、私も力になりますわ」

 

「私も! できれば危なくない方法で……」

 

「手伝う……」

 

「望乃」

 

 芽吹が望乃に一歩近付く。

 

「どうにかできるの?」

 

「わからない。まだどうすればいいのかも。でも、必ずやってみせるよ」

 

「私も同じ気持ちよ。仕方がないなんて受け入れられない。あの子を救うためならどんなことでもやるわ!」

 

 芽吹のその言葉に雀、夕海子、しずくが頷く。

 

「なら、救おう。亜耶ちゃんを。私たちの大切なお友達を」

 

 芽吹たちはこの日、これまで自分たちが頑張ってきたことが無駄になったことを知った。しかし大切な友のために立ち上がった。そして亜耶を必ず救うと心に決めたのだった。

 




  めぶあやデートは泣く泣くカットしました。
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