予想通り龍達がランク3に上がったことは騒ぎになった。本来卒業寸前に何とか届くところを1年目の夏休みに、しかも4人が達成したのだ。異常としか言えなかった
「すごい騒ぎになりましたね」
「そうね。私だって、リュウガ達と会う前ならこんなことありえないって言ってたはずよ」
2人が苦笑するが龍は特に気にすることなく諸々の資料を用意していく
「リュウガくんどうしましょう?もしかしたら監禁とかされて、秘密を話すまで出して貰えないとか…」
「んな事やったところで俺らをどうこうできるとでも?」
そう言って焔の刀身を少し抜いてからチャキン、と音を鳴らしながら納刀し、トワは手元の槍を軽く揺らす
「…確かにそうですね」
「それより早く着替えろ。面倒事はさっさと終わらせるに限る」
必要な資料をバックにしまい、龍が立ち上がるとトワ達も立ち上がり、着替えに向かった
「ここが教官の部屋か」
騎士学校の教官は個室が与えられている。龍が扉をノックすると慌ただしく動き回る音が聞こえてきた
((((片付けやってないな?))))
数分してから入っていいという声が聞こえてきたので扉を開ける
「やぁ、リュウガ、思ったよりも早かったね」
「面倒事は早めに片付けたいからな。それと掃除はいつもやっておいた方がいいぞ」
「うぐっ…と、とりあえず話をしようか!」
((((雑な話題のかえ方だなぁ…))))
大人の癖にこういう子供っぽい所が妙に似合うナキータ教官なのだった
「えっとね、リュウガ。この速さでランク3になっちゃうってさ、すごいってだけで済まないんだよ」
「だろうな。ランクの高い冒険者はそのまま国の軍事力につながるからな。その秘密にはどれ程の価値があるんだろうな?」
ランクが1つ違えば世界が違う。ランク1がランク2の冒険者を倒すのに100人以上必要だと言われている。ランク3にもなれば何人いればいいのか…
「よくわかってるようだね。まぁ、あたしも学園も君たちを守りたいんだけど…ここは国の機関だからね。私たちもお上には逆らえないんだ…どうやって短期間でランク3に至ったのか調べろってお達しが早速来たよ」
「ま、だろうな」
予想通りと龍は書類を取り出そうとする
「ナキータ、入るぞ」
その前に部屋の扉が開き、巨漢の男…スゴート教官が入ってきた
「あっ、遅いですよ。スゴート教官」
「黙れ遅刻常習犯…さて、全員集まっているようだな。この問題は一教官の手に余る。教育主任として私が監督することになった」
「そんじゃあそのつもりで対応するぞ。資料渡すからそれ読みながら聞いてくれ」
そう言って2人に資料を渡すと龍は説明を始める
「まず大前提としてランク2騒動の時点で瘴気を取り除くことで身の丈に合わない魔石を普通の2倍近い効率で取り込み、更に人体への悪影響もないから連続しようも可能というのは話したと思う」
「ああ、その件に関しては感謝している。提供された瘴気分離装置と使用されている術式まで提供してもらったからな」
龍は既に自分の身を守る(というか面倒事を避ける)為に妖精印の分離装置の現物と術式を含めた設計図を全て提示した。と言っても中身は無駄やダミーを大量に仕込んだ代物でこの世界の住民にはそうそう使えない、作れないものになっていた
「検証はしたんだろう?」
「もちろんだ。そして浄化の実現は成功した…だが現状の術式では複雑すぎて使い物にならない。この国のトップクラスの魔術師たちを何十人も集めて研究しているが…誰1人そのままでは使用できなかった」
だからこそ、とスゴート教官は1泊置いて言葉を紡ぐ
「色々手を加えた…が、簡略化も決して成功とは言えない代物だ。提供された設計図は複雑すぎる上、膨大。術式もほとんどが解析不能でほぼ総当りで簡略化したのだ。何とかこの国最高位の魔術師が30回に1回成功する術式が完成した…が、残り29個の失敗した魔石は大抵壊れるか悪化していた…まだまだ実用レベルではない」
「…一応言っとくが俺らにどうにかしろは無茶だからな?作ったの俺らじゃないし。あいつも今どこにいるか分からんし…ていうかあいつもあれで最大限簡略化してるって話だし」
実際には龍のバックの中で昼寝しているのだが嘘をついておく。こうでもしないと面倒くさいことになるからだ
「それはわかっているのだ…だが上層部は君たちを利用して何とか製作者を呼び出そうとしている。何とか浄化装置の量産、並びに術式の簡略化を…とな。超天才でないと使えない術式なんて意味は無い。だがそう言って捨ておける発明でもないのだ…」
「ま、そうだろうな。まぁひとつ言えるのは俺らじゃどうしようもないって事だ。さて、浄化が本物であることはわかってもらえてるだろうがその上で2枚目の書類に目を通してくれ。それは俺たちが戦い、魔石を食らったまものの記録だ。これの通りにやれば誰でも半年足らずでランク3になれるぞ?」
龍がそう告げると教官2人は渡された資料を読み込む…がどんどん顔がひきつっていった
「ありえない…こんなの、公開できないよ!?」
「同意だ…これが最善だ。こうすればランク3になれると公表するのは、生徒や冒険者達に自殺しろといってるようなものだ…真似すれば死ぬ。逆に疑問が湧いてくる。何故君たちは生きているんだ?普通なら両手足で数え切れないほど死んでいるぞ…?」
ランク以上の力を発揮出来るクーナやアンネだからできたパワーレベリング、そしてギリギリの戦闘を繰り返した結果でもあった
(普通に真似したら死ぬのは間違いないがな…実際やったし嘘はついてない)
「書いてあることは全て真実だ。何も隠してない。街を離れてる間のことは分からんだろうが、この街にいる間のことは素材の売買をやってる店に確認すれば裏が取れるだろ」
「…信じられないが、信じるしかなさそうだ。君の資料は学園内で共有したあと、国に報告させてもらう」
「だろうな」
スゴート教官はため息を着く
「リュウガ、これは先程の浄化と関係がある話だが…何とか製作者を呼び出せないだろうか?この国最大の魔術機関、クラムリンド魔術研究所からスカウトしたいと…浄化の最適化の研究をして欲しいとのことなんだ。詳細な雇用契約内容はこの手紙に記載されている」
「へぇ…中身は見ても?」
「問題ない」
龍は封を切り、中身を確認する。書かれている内容はかなりのものだった。下手な貴族の年収よりも高い高給取り、それ以外の待遇もいい、爵位も貰えるらしい
「うーん…けどあいつこういうの興味無いだろうし、多分バッサリ断られるぞ?」
「…せめて話を通すくらいはできないだろうか…?」
スゴート教官の要望にどうしたものかと考え込む龍…だが部屋の天井付近から声が聞こえた
『その必要は無いのです〜』
「「!」」
その声とともに銀色のクワガタが龍の頭の上に着陸する
『初めまして教官のお二人さん〜。件の浄化装置の製造者です〜』
「!あなたが…その…この銀色の虫は…?」
『簡単に言えば自然界の生物に擬態して様々な場所をフィールドワークしたりするためのゴーレムの1種です〜』
クワガタが頭の上から手紙を覗き込むと首を横に振る
『まぁ私にとって興味が湧くようなものではないですね〜』
「…そうか」
『おや?引き止めないんですか〜?』
退学をチラつかせるなどして強引に勧誘してくると思っていたのだがアッサリと引き下がったことに疑問を覚えた
「君達の意思に任せるようにと国王からの通達があった…何故国王が君達を守ろうとしているのか…私には想像もできないな」
「…ふーん…」
(あの国王なりにアンネを守ろうとしてんのな…)
「んで?まだなんかあるか?」
「ああ…実はな…」
そう言ってスゴート教官はため息を着く
「…先程研究のために最高位の魔術師達を集めたと言っただろう?それで最低限の成果しか出せなかったせいで一部の魔術師が猛烈にプライドを傷つけられたようで…色々騒いでいる」
「…まさかこいつと会わせろと?」
龍はクワガタを指さすとスゴート教官は頷く
「そのまさかだ…形式としては魔術師達を呼んだ上で彼女が公演を行う形になるが…もちろん謝礼も出される」
「いや謝礼が出るつっても来る客が恥をかかせるつもりのカスの群れなのは問題だろ」
「それは…まぁ…」
若干顔をしかめるスゴート教官…だがそこで妖精が動く
『構いませんよ。講習会、やってあげます』
「「!」」
「「「!?」」」
「ん?珍しいな?」
意外な返答に教官も、クーナ達も驚く。龍も流石に真意を問うと妖精は間延びした声で返答する
『簡単なことです〜。こういうのは無視したところで余計にごねて面倒なことになるだけ…それで迷惑が龍我達にかかるのは私も望みません〜』
「そうか…ありがとう」
『ただし条件があります〜』
そう言うと妖精は条件を伝えていく
『1つ、講演会はこの1回だけ。2つ、これ以降龍我達に私関係の話を持ち込まない、交渉しない、3つ、もし仮に講演会を行うまでに何らかのトラブルが発生して龍我達に被害が出た場合問答無用で講演会はバックれます』
「…ふむ。3つ目に関して具体的には?」
『そうですね〜…例えば冤罪で逮捕されたり…しかもそれをした被害者や衛兵やその上司がのうのうと生きてたり…ね?』
「…わかった。国王にもそう伝えておこう」
『あ、あと謝礼金は全部龍我達に渡しといてください。私には無用の長物なので』
そう伝えるとクワガタはどこかに飛び去って行った
「…まだ日程とか決まってないんだが…」
「…決まり次第俺が伝えとくわ」
「…すまん」
To be continue…
キャラ解説…要る?
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書け!
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別に要らんじゃろ