5D's:武藤遊戯の孫   作:ジャガイモ

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第九話 サテライトの男

 

 人はなぜ生き、 

 

 なぜ眠り、

 

 なぜ欲望を抱くのか。

 

 そのような哲学めいたことを考えながら、オレは目をかっぽりと開け、暗い天井を見上げる。

 決して横を向いたりしない。決して肺いっぱいに空気を取り込んだりしない。鼻孔に抜ける良い匂いだとか、横から伝わってくる生暖かい体温だとか、そんなもの決して感じたりしない。

 暗闇に潜む忍者のように。己という存在を全て、この世からひた隠す。

 

 そうだ。そうだったじゃないか。

 今オレが考えなきゃいけないことは、ハングリーバーガーのことだったんだ(錯乱)。

 ハンバーガー牧場から、今日も1個2個とハングリーバーガーが柵を飛び越えていく光景が浮かぶ。ずっと疑問に思ってたんだ。なんでハングリーバーガーって戦士族なんだろうって。

 

 隣で眠っている存在を思考の外へと追いやり、オレは答えの出ない問答を繰り返す。そのおかげか、段々と眠気が襲ってくれた。

 よかった、これで眠れそう。後ろから優しく引っ張られるように、意識が闇の中へと落ちていくのが分かる。

 あと少し、あと少しで……!

 

「ん、んぅ……」

「……」

 

 うん、だめだったよ。龍可の寝息でまた目が覚めちゃった。

 もうギンギンだ。目から水分が無くなってるかもしれない。

 

 はぁ……。

 どうしてオレは龍可の隣で寝ているんだろう。川の字で眠るのはまだわかる。友達と同じベッドで寝たことないから、ほんのちょっぴり憧れとかあったし。

 でも、普通は男同士が横並びで眠るんじゃないの? なんでセンターが龍可なんだぜ? オレだって思春期きてるからさ、かなりきついんだよなぁ……。

 

 肝心の龍亞はすぐ寝ちゃったし。後を追うように龍可もそのまま落ちた。意識の覚醒で取り残されたのはオレ一人だけ。

 まぁ、あの倒れていた人を家に運び入れて疲れたのは分かるけどね。Dホイールとかめちゃくちゃ重かった。龍可とのデュエルも中断したままだし、なんだかなぁ……。

 

『クリ?』

 

 ふとクリボーに心配された気がする。でも、心配するだけじゃなく、できればこの場をどうにかしてほしい。

 冗談じゃなく、今のオレはこれで限界。

 これ以上、龍可から1発でも食らったらやばいって、体全体が悲鳴を上げているのがわかるぜ。

 トイレに逃げようにも二人が起きないか気が気じゃないし、このまま一ミリも動かないっていうのも結構きつい。

 くっそーー……早く意識よ落ちてくれぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁあ……」

 

 朝、起きてきたのは以外にも龍亞だった。

 寝るのも早ければ、起きるのも早いのかな。

 とりあえず、オレは朝の挨拶を交わしておく。

 

「オハヨ、ルア」

「うん、遊太もおはよー……って、うぉ⁉ なんか隈ひどくない⁉ なにかあったの⁉」

「……ナニモ、ナカッタ」

 

 起きた龍亞が、オレの顔見てそう言ってきた。

 

 ふっ、どうやらこの世にいる神は無慈悲だったらしい。結局オレは一睡もできなかった

 体? 当然、一ミリも動かしてない。

 もう二宮金次郎像がごとく、ピシッとベッドの上で固まらせていただきました。

 

「そ、そう? まぁ、なにもなかったんならいいけど……とりあえず、龍可もまだ起きてないし、顔洗ってきたら?」

「ソウサセテモライマス」

「なんで片言?」

 

 精神を崩壊させねば、勝てぬ戦いがあったからさ……。

 オレがそう微笑して言えば、「いや何と戦ってんのさ」とマジレスが返ってきたのは、言うまでもないことだ。

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 龍可も起きて、三人で仲良く朝食を取り、今は少しだけまどろんでいる。

 とはいっても、和やかな雰囲気はあまり無いけど。

 理由は簡単。目下の問題がリビングでお眠りになったままだからである。

 サテライトの男。たしか狭霧さんがそのように呼んでいたっけ。

 昨晩、このホテルの下で倒れていた人。多分、いやほぼ確定的にあの悪魔と因縁を持っている可哀そうなお兄さん。オレはそっと内心合掌する。

 あれに目を付けらているなんて、あなたも相当な苦労人ですね。という憐憫の情を込めて。

 

 ……なんだか、死んだ人に手を合わせてる気分だ。

 やめとこ。

 

「このほっぺのなんだろ」

 

 オレが不謹慎なことを考えていると、隣から両膝をついていた龍可が訪ねてきた。

 頬? なにかあったっけ。

 と思いオレもサテライトの男の頬を見やる。見覚えのない黄色い線のようなものが、片側にだけ塗料されているようだ。

 確かに何だろう、これ。見たことないや。ファッションかな。ちょっとだけカッコいいと思ったのは内緒だぜ。

 

「マーカーだよ。知らないの? セキュリティに捕まった人は皆付けられるんだってさ」

 

 うん、なにもカッコよくなかったぜ。

 龍可がサテライトの男の頬を見て聞くと、龍亞が答えてくれた。

 

 へー、そうなんだ。とは決して言わない。オレも知っていましたと言わんばかりの表情で、静かに頷いておく。

 あの捕まった時に新しく付けられたのかな。サテライトから来ただけで捕まったというよりは、無断でデュエルスタジアム使ってたから犯罪者扱いになった気がするけど。

 それで言うなら、あの悪魔も同罪か。

 なんで捕まってないんだ、あの人……キングだからですね、ご愁傷様です、保安局の皆さん。

 

「じゃあ、この人悪い人?」

「カードの妖精は大丈夫って言ってるんだろ?」

「うん、大丈夫……だと思う」

「なら俺は信じる!」

 

 一人思案していると、龍亞と龍可がコソコソとなにやら話し合っていた。コソコソというわりには、少し龍亞の声が大きい気がするけど。

 二人の会話に少しだけ気になる単語が混じっていたため、オレも無駄な思考はやめて、飛び込み参加させてもーらおっと。

 

「カードの妖精?」

「あれ、遊太には言ってなかったんだっけ? 龍可はデュエルモンスターズの声が聞こえるんだ」

「ちょっと、龍亞!」

 

 オレがそう尋ねれば、剽軽な態度で龍亞が応えてくれた。

 けれど、龍可的にはそれはあまり触れられたくない話題だったらしい。咄嗟に龍亞の口を自身の手で塞いでしまう。

 

 でも、デュエルモンスターズの声が聞こえる、か。

 そう言われると、なんとなく思い当たる節がある。デュエルしているときも、よく龍可は目を閉じて瞑想していたし。時々デッキの上に手を重ね、何かを感じ取るような所作をしていた。

 あれが全部カードの声を聴いていた行為ではないんだろうけど、いくつかはそうなのだと確信を持てる。

 

「すごいや。龍可がカードをすごく大切にしてるからかな? だから、カードも応えてくれてるのかもね」

「……遊太は、信じてくれるの?」

「え? だって龍可は嘘つかないじゃんか。もちろん信じるよ」

 

 龍可がそんな嘘をついたところで、なんのメリットもないことくらい分かるしね。

 

「それに、昔ある人から聞いたことあるんだ。カードには精霊が宿ってるって。大事な場面で答えてくれるのは、それが理由だって。多分、龍可にとっては、そのカードとの絆が見えるんだけど、他人からは見えないもの。謙遜することないよ! それは素晴らしいものだからね、きっと!」

『クリクリー』

 

 オレがそう言い切ると同時、背後からクリボーの声が聞こてきた。

 うーん。もしかしたら、これもオレの幻聴じゃないのかも。コイツをデッキに入れてからと言うもの、頻繁に聞こえてくるしね。でも姿とかは見えないから、やっぱり幻聴なのかも? あの人は姿も見えてるって言ってたし、なんなら会話できるらしいし。

 こっちのクリボーは一方通行すぎるんだもんなー。ガイアナイトなんて、もはや私怨の声しか聞こえてこないし。ゴヨウがどんだけ憎いんだよ、お前。

 

 ――はッ、待てよ⁉ もしかして、これは俺のイマジナリーフレンドってやつじゃ……⁉

 

 あっぶなー。もう少しでオレも龍可と同じ、カードの声が聞こえる力があるかと思っちゃうところだったぜ。なんだ、みんなオレのイマジナリーフレンドだったのか。バーラ君とか、ゾっ君とかとなんら変わらないな。

 …………はは、なんでだろう。頬に温かいなにかが伝う感触がするのは。

 

「って、なんか僕恥ずかしいこと言っちゃったかな? あははは、やっぱり今のなし、忘れて! うん、寝不足でテンションが変なんだ!」

 

 内心を気取られないよう、オレは必死に取り繕いながら声を上げる。今ここで龍亞や龍可に変な人を見る目で見られたら、もう立ち直れる自信がない。

 間違いなく、一週間は家に引きこもることだろう。これは予想ではなく、確定事項である。積みゲーが溜まってるから全然それもありだけど、今はそれより友達と遊ぶ方が楽しいんだぜ。

 しかし、どうやらオレの心配事は杞憂に終わったらしく、話を聞いていた龍可がするりと龍亞の口から手をのけた。

 

「ううん、そんなことない……すっごく嬉しい」

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………。

 

「あれー、龍可顔真っ赤じゃ……いて、いててて! 頬ひっふぁらないで」

「もう、余計なここと言わなくていいの」

 

 ――あ、良かった。まだオレ生きてた。

 

 オレの思考が、銀河の海でバタフライをしているうちに、どうやら龍亞が何か気に障ることを言ってしまったらしい。珍しく、龍可が実力で兄を教育する貴重な場面が広がっていた。

 

「ん……」

 

 とまぁ、そんなこんなで暴れていると、これも必然のことだろう。ソファで寝かされていたサテライトの男がめを覚ましたみたいだ。

 ゆったりとした動作で上体を起こせば、見慣れないオレたちを見て警戒の色を強める。うへぇ、観察するような眼で見てくるなぁ。そういうのはあまり慣れてないからやめてほしいぜ。

 

「お前たちは誰だ?」

「覚えてない? 昨日、下で倒れてたんだよ?」

 

 尻込みしているオレとは違い、臆せずいったのは龍亞だった。こういう時は本当に頼もしい限りだぜ。

 男も自分が何故ここにいるのか、今ので理解できたらしく、それ以上は何も聞いてこなかった。それを隙だと思ったのだろう。龍亞が怒涛に切り込んでいく。

 

「俺は龍亞っていうんだ。こっちは妹の龍可。俺たち双子なんだ。で、こっちは遊太。俺の親友!」

 

 俺の親友……親友? ただの友達ではなくシンユウ……つまり心(の)友……?

 

 龍亞ぁ!! 君ってやつはぁ!!

 

 とオレがひとり感激していれば、サテライトの男がいきなり自分のデッキを取った。その行動に龍可が委縮する。まぁ、大の大人相手がいきなり動いたら、びびっちゃうよな。いつも通りの龍亞がすごいだけで。

 

「ねぇ、名前なんていうの⁉」

 

 それにしたってガンガンいきすぎ気もするけど。大丈夫かな。この人、龍亞の話を聞いていない気もするけど。

 

「……遊星だ」

「へぇ、遊太と名前似てるんだ」

 

 俺の心配などよそに、案外素直に遊星さんは名乗ってくれた。

 やっぱり悪い人じゃないのだろう。質疑応答ができている時点で、あの傍若無人な悪魔より好感が持てる。

 あ、いや。人外と比べるってのは良くないか。ごめんなさい、遊星さん。あんな人の皮を被った金色の悪魔と比べてしまって。

 

 心の中でオレが謝罪している間、さらに龍亞は会話を繋げていく。

 

「遊星ってデュエリストなんでしょ?」

「ああ」

「じゃあ、デュエルしようよ! 俺、強い奴といっぱいデュエルして、もっと強くなりたいんだ! 最低でも、遊太には勝てるようになりたい!」

 

 おっと、いきなりオレの名前が出された。

 えーと、最低でもオレに勝ちたい、だっけ? うーん……。

 

「龍亞は十分強いと思うけどなぁ、僕も多分デュエリストとしては弱い方だし、最近気づいたけど」

「そんなことないじゃんか! 昨日だって一回も俺勝ててないし!」

「それは龍亞が『俺のシンクロは、キング戦までのとっておきだから。ここでは使えないよ(キリっ』とか言って、使わなかったからでしょ」

「ふふ」

「あ、笑うなよ、龍可! 俺のこまだりなんだから!」

「それを言うなら『こだわり』でしょ? なによ、こまだりって」

 

 なんて遊星さんを置いて、オレたちは勝手に会話を盛り上げてしまう。

 ふと、友達いなかった人間の性とも言える悪癖で、オレは遊星さんの顔を覗き見た。子供がやんやと騒ぐ様なんて、大人からしたら鬱陶しいかも、と急に思えたからだ。

 けれど意外にも、彼の顔は穏やかだった。少しだけ懐かしむような眼でオレたちを見ているような気がする。というより、オレたちを通して何か思いを馳せているような? まぁ、そんな感じが伝わってきた。

 

「あっ、そういえば昨日の龍可と遊太のデュエル、どうなったんだっけ⁉」

「龍亞が寝ちゃったから、そのまま私達も寝たわよ」

「うん。一応、そのまま残してはあるけど。流石に熱が冷めちゃったね」

 

 そう言って卓上に一応並べたままにしてあるカードたちを見る。

 いろいろとあったせいで、完全に熱は冷めてしまった。もう一度、昨日のテンションでデュエルしろ、と言われても存外無理な話である。

 龍可もオレに同感なのか、カードを片付けるべく、広げられたカードたちを丁寧に重ねていった。

 

「えー、龍可に負けそうだったからって、わざと流そうとしてない?」

「うぐっ」

 

 ジト目で見られるけど、こればっかりは言い返せない。

 正直に言うと、普通に負けそうだったぜ!

 

「手札、見てもいいか?」

 

 オレも逃げるように自分のカードを片付けようと手を動かせば、急に遊星さんから声をかけられる。

 やっぱりデュエルにはすごい興味があるんだ。根っからのデュエリストだなー、この人。あの悪魔とやりあえるんだから、当然か。

 

「え、あ、うん。別にいいけど」

「……」

 

 はい、とオレは手札を渡した。

 それを受け取り、右から左へとカードを確認する遊星さん。最後にオレの場に置いてあった「時の魔術師」を見て、すべてを理解したらしい。

 なるほどな、と言われ返される。

 うん。まぁ、オレのやろうとしていたことは分かったのだろう。

 

「ちぇー。まぁ二人がやる気ないならいいけどさ。じゃあ、遊星! 俺とデュエルしない?」

「え、いきなりすぎじゃない?」

「そんなことないって! デュエリストなら挑まれたデュエルは受けなきゃ!」

 

 あー、これは最初からデュエルをするつもりだったなぁ。

 だって、デュエルディスク既に装着してるし。今日はそっちで100回もやらされるのかって内心恐怖してたけど、多分遊星さんとやるのが目的だったんだろう。

 よかった。オレの脚は守られた。

 

「匿ってくれたことには感謝するが、俺に関わらない方が良い。迷惑はかけられない」

「迷惑なんかじゃないよ! ねぇ、お願い! やろうよやろうよやろうよやろうよ!」

 

 龍亞の猛烈なデュエルしたいアピール。腕を激しく動かしているせいで、大きさが体格にあっていないデュエルディスクが、ズレ落ちてしまう。

 あれじゃ、かっこつかないぜ。なんて思いながらも、オレは事の成り行きを見守ることにした。

 

「ねぇ、あれじゃ龍亞の方が迷惑かけてない?」

 

 しかし、妹からしたら兄の行動が痴態に映ったらしい。

 龍可がこそっとオレに近づいて、耳打ちをしてくる。

 

「へへ。まぁ、あれが龍亞の良さだからね」

「……やっぱり遊太は龍亞に甘すぎ」

 

 えぇー、そうかなー。そうかもしれない。

 でも、多分今回は間違ってないと思うんだ。

 なぜかって? 心なしか遊星さんの顔に笑顔が浮かんでるんだから。

 

「わかった。やろう」

「おぉ、やったー! 遊星とデュエル! 遊星とデュエル!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということでオレたちはさっそく庭にでた。

 庭? いや、これはバルコニーか? もしくはテラス? でもやっぱり、屋根もないし巨大なプールがあるから庭かも?

 うん、なんと表現したらいいか分からないくらい、とにかく金持ちっぽい外庭だぜ!

 流石に吹き抜けのリビングがあるからって、内室でデュエルディスクは使えないからね。

 

「そうだ、龍亞。僕のデュエルディスク貸そうか?」

 

 一応、サイズが合っていないことは知っているので提案しておく。

 オレも一回だけ付けさせてもらったけど、あれは子供からしたらかなり重い。ずっと付けていたら、次の日には腕を痛めてしまうんじゃないだろうかって思うくらいだぜ。

 全く。あれを買い与えた親は、一体なにをしてるんだよ。うちのパパも全然帰ってこないから、他人様のこと言えないんだけどさ。

 

「平気だって! それに遊太知ってる? ディフォーマーは青の方が映えるんだぜ――っとと、と」

「あははは……」

 

 言ってるそばからバランスを崩している龍亞。

 本当に大丈夫かなぁ。腕にはめるリングが緩いっていうのも原因なんだろうけど、どうしてあげることもできないし。オレはゲームのハードウェアを弄るのは得意分野だが、デュエルディスクは弄ったことないんだぜ。

 

「お前たちは仲がいいな」

 

 さて、どうしたものかと頭を悩ませていると、布を持った遊星さんが歩み寄ってきた。そして慣れた手つきで龍亞の腕とデュエルディスクを固定していく。

 

「まぁね! 龍可はたった一人の妹っていうのもあるけど、遊太も良い奴だからさ! なんたって俺の夢を応援してくれてるし!」

「そうか……仲間は大切にした方が良い」

「……」

 

 あぁ……今は龍亞の言葉より、なんとなく遊星さんの感情に寄り添ってしまう。

 ――仲間。

 多分ジャックさんも、この人の仲間だったんだろうな。あの晴れ晴れとした悪魔の顔を見れば、なんとなくわかる。この人にとっても、それにジャックさんにとっても、断ち切ることのできなかったもの。

 喧嘩、してたのかな。

 聞いてみたいけど、聞く気にはなれない。あの晩のことは、ジャックさんと遊星さんだけのものだ。部外者であるオレが、易々と興味本位で踏み込んでいい領域じゃないと思う。

 だから、何も言わないし、何も聞かない。

 多分それが正解なんだと思えるから。

 

「よし、これでマシになっただろう」

「うぉー、本当だ! ありがとう、遊星!」

「気にしなくていい。それじゃあ、始めようか。お前のターンからだ」

「おう! 遊太も応援よろしく!」

「え? あ、あぁ……応援してるよ」

 

 そう言って二人が所定の位置に戻るのに合わせ、オレも離れる。

 だめだ。今日はうまく頭が働いていない。寝不足なのも原因だろうけど、どこかぼーっとする。なんでだろう?

 

「遊太、こっちこっち」

「あ、龍可。ありがとう」

 

 先にベンチに座っていた龍可が隣に招いてくれた。

 お言葉に甘えて座らせてもらおう。正直、立っているのもきついなって感じていた頃合いだ。

 

「ねぇ、本当に大丈夫かな?」

「え?」

「あの人のこと……」

 

 一瞬、オレの体調不良がばれたのかと思ったけど、どうやら違ったみたいだ。オレが隣に座るなり、警戒心を孕んだ目で龍可が遊星さんを見た。

 まぁ、初めて会う、それも下で倒れていただけの大人の男を、すぐに信用しろというほうが無理な話だとは思うけど。それでも少しは信用して上げても良いんじゃないかなぁ。悪い人なら、龍亞があれほど懐いたりしないだろうし。

 これは最近分かったことだけど、龍可はどうも人見知りのきらいがある。龍亞とは真逆のような性格だ。

 でも、そのおかげでこの兄妹はつり合いがとれてるんだろうな、とオレはすぐに納得した。

 

「んー、僕も分かんないや。遊星さんが本当は良い人なのか、悪い人なのかなんて」

「もう、遊太まで無責任すぎない?」

「そうかもしれない。でも僕は、遊星さんのこと信じたいなって思うんだよね。なんでだろう?」

 

 本当に不思議だ。今日、会話するのも初めてなのに、オレもかなり心を許している感じがする。

 

 ”やっぱ、じーちゃんと雰囲気が似てるからかな?”

 

 オレはそう思い、そっと首から下げられた千年パズルに触れ、空を見上げるのだった。




遊太の手札にあったカードとは……⁉
答えは多分、一生出さないかもしれない……!
いや、今後のデュエルには正解のカードが出るけど!!


と、馬鹿なことはさておいて。
少し悩んでいるのですが、次の龍亞と遊星のデュエルをスキップするかどうしようかな、と思ってるんです。
勝敗がもう皆見えてるだろうし、それより早くフォーチュンカップいけや、と思ってる人がいるかもしれない。

ということでアンケート開催です!

遊星と龍亞のデュエルを見たい人ー?

  • Yes、どんなデュエルでも見せてくれ!
  • No、早くフォーチュンカップいこう!
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