5D's:武藤遊戯の孫 作:ジャガイモ
モクバおじさんとは、それこそ物心つく前からの知り合いだ。
じーちゃんが亡くなってからも、モクバおじさんは何かと亀のゲーム屋に遊びに来たり、海馬ランドへ招待券をくれたりした。ばーちゃんもモクバおじさんとは古い付き合いらしく、普通に仲が良いらしい。
でもオレとモクバおじさんの関係で最も重要なことといえば、やっぱり<青眼の白龍>だろう。
なぜオレが<青眼の白龍>という超絶レアカードを持っているのか。
それはモクバおじさんがある歳の誕生日に「これは亀のゲーム屋に返す」といきなり渡して来たらからだ。
返すって、なんの話? とは思ったけど、なんでもじーちゃんのさらにじーちゃん(オレの高祖父)が、海馬コーポレーションへ貸していたものらしい。
どういう経緯でそうなったんだろう……。
返すにしても、かなり前の話しすぎない?
なんて思って聞いてみたものの、それ以上のことは教えてくれなかったし、聞いても苦笑で返されるだけ。
でもそれを受け取った時、何だか心が温かくなる気がしたから、きっと良い思い出なんだとオレは勝手に納得した。
話を戻して。
さそんなオレとは切っても切り離せない関係であるモクバおじさん。
サプライズだ、と言って参加者に潜り込むその行動力は未だ衰えることを知らないらしい。ある時「世界一のハンバーガーが食べたいなー」となんとなしに呟いたら、いきなりプライベートジェット機を自ら運転して、海外に連れて行くくらいだぜ? 悪魔とは別方向でやばい人である。
『な、なんと、謎の男KMは海馬コーポレーション名誉会長である海馬モクバ氏だったぁー! て……これ、大丈夫かぁぁぁ!?』
「あ、はは……MCの人が驚いてるけど、僕もびっくりしたよ。いや、マジに大丈夫なの?」
「なーに言ってんだ、遊太。KCが協賛なんだから、何も問題ないだろ?」
「軽っ!」
モクバおじさんはそう流すと、オレの手を無理やり取って握手する。がっしりと掴んできた右手からは、老獪さなんて微塵も感じさせなかった。
「そ、れ、よ、り、も、だ。俺はただ遊びに来たわけじゃないんだぜぃ? お前が大きくなって、初めて大舞台に立つって聞いたんだ。俺たちとしちゃー、ここいらで見極めるのは絶好の機会と思ってるんだ」
「? 見極めるってなにを?」
「あぁ、それは――」
そう言ってオレのデュエルディスクを指差し、モクバおじさんは笑った。
決して綺麗な笑みではない。
挑発的な、それこそ獲物を見定める際の野生的で獰猛な笑みを浮かべたのだ。
「お前が<青眼の白龍
オレはそれを聞いて、冷や水を背中に流された気分になるのだった。
× × ×
『えー、かなりのアクシデント……ではなく、サプライズはありましたが、主催者であるゴドウィン氏の認可もあったとのことで、大会は問題なく進めるぞぅ! というか、私にも事前にこれは伝えておいてくれぇ! VIPの登場は心臓に悪すぎる!』
気を取り直したのか、実況の人がそう宣言すればオレとモクバおじさんは同時にデュエルディスクを構えた。
会場はまだまだどよめいているが、デュエルが始まれば自然と思考がシフトしていくって考えなんだろうな。
『それでは両者、デュエルを始めてくれぇー!』
「全力で来いよ、遊太! 俺が得意なのはカプ・モンだけじゃないって教えてやるぜぃ!」
「うぐ……おじさんはいっつも猪突猛進なんだよぁ……僕だって、友達との約束もあるんだ! 絶対負けるわけにはいかないよ!」
そうしてオレたちは同時に叫ぶ。
「「――――デュエル!!」」
先行は、オレだ。
「僕のターン、ドロー! 手札から<トレード・イン>を発動! 手札の<混沌帝龍カオス・エンペラー・ドラゴン―終焉の使者―>をコストに2枚ドロー! さらに<調和の宝札>も発動し、<
ソリッドビジョンによって映し出された、カオス・エンペラーと白い珠石のようなモンスターが、ポリゴンの欠片となってフェードアウトする。
オレはそれを見送ってから、計4枚のカードを山札から引いた。
――よし、悪くない。これならいい感じに回せそうだぜ!
問題はモクバおじさんがどう出てくるか、だ。
オレは手札を右から左へと順に見て、頭の中で戦略を立てていく。
記憶にある限りだと、モクバおじさんのデッキは宝石ドラゴンを中心としたパワーデッキだったはず……随分と昔にデュエルしたっきりだから、あんまり覚えていないや。
でも、オレの今のデッキと似たり寄ったりな構成をしているに違いない。
だってモクバおじさんはカプコンだとテクニシャンだけど、他ゲームになると途端に脳筋プレイをするからね!
だったら、付け入る隙はある!
「僕は墓地に送った<伝説の白石>の効果発動! デッキから<青眼の白龍>を手札に加える!」
「おー、やるな! 早速ブルーアイズを手札に加えたか!」
「まだまだ感心するには早いよ、モクバおじさん!」
オレのデッキは龍亞や悪魔との特訓でかなり進化した。大会に出ると決めた時とは大違いなほどに。
この程度で展開が終わったりはしない。
「手札の<輝白龍ワイバースター>の効果! 墓地のカオス・エンペラーを除外し、このカードを特殊召喚する!」
オレがそう言って出したのは、青い肢体と純白の翼が特徴的なワイバーンだった。そいつは空を優雅に舞いながら、オレの側に降り立つ。
ふふん、どう? このかっこいいモンスター!
フォーチュンカップのために、新たにデッキに加わった仲間だぜ!
<輝白龍ワイバースター>
光属性|レベル4|ドラゴン族/効果
攻1700|守1800
「続けてチューナーモンスター<守護竜ユスティア>を通常召喚!」
ワイバースターの後に続き、水晶体のような透明感の体をした龍が現れる。性別はメスなのか、ワイバースターの逞しい姿に、うっとりとした熱い視線を投げかけていた。
う、この並びを見ると、ちょっと気まずいんだよなぁ……いつもイチャつく映像になるから!
<守護竜ユスティア>
水属性|レベル2|ドラゴン族/チューナー/通常
攻0|守2100
「チューナーと非チューナーが並んだか……ハハっ、立派に今どきのデュエリストらしくなったじゃねぇか、遊太! 今度ハンバーガーでも奢ってやるよ!」
「んもう、いつまで子供扱いしないでよ! 僕、もう11なんだから!
……ハンバーガーは奢ってもらうけど……んん、こほんごほん!
気を取り直してレベル4のワイバースターに、レベル2のユスティアをチューニング!」
「来るか……!」
ワイバースターに抱きついてユスティアが円形フレームへと変わり、ワイバースターは強制的に4つの星に転じる。そうして一条の光がスタジアム内で迸れば、真っ白い空間から流体のような、個体のような、泥の体をしたドラゴンが這い出てきた。
「――シンクロ召喚! モクバおじさんの度肝を抜いてやれ<ドロドロゴン>!」
「………あぁ〜」
対面にいるモクバおじさんが何か言いたそうな顔をしたあと、瞬時に鼻をつまむのが見える。
そして観客の前列にいた人たちも、咄嗟に鼻をつまんでいた。
それを見たドロドロゴンが殺意の波動を激らたのは言うまでもない……ごめんよ、ドロドロゴン。
<ドロドロゴン>
闇属性|レベル6|ドラゴン族/シンクロ/効果
攻500|守2200
「シンクロ素材となったワイバーンスターの効果を発動! 僕は<暗黒竜 コラプサーペント>を手札に加える。そして、このコラプサーペントもワイバーンスターと同じような能力を持ってるんだ。僕は墓地の光属性モンスターを除外し、コラプサーペントを特殊召喚!」
ワイバースターが呼んだ、鱗が黒で腹がオレンジ色をしたドラゴン。そいつは登場とともに眼をぎょろぎょろと見回せば、彼女ユスティアとともに墓地に眠ろうとしていたワイバースターを噛み砕き、フィールドへと我が物で降臨した。
いっつも思うけど、オレのデッキにいるワイバースターとコラプサーペントは仲が悪すぎるんだぜ。ソリッドビジョンに悪意しか感じない!
<暗黒竜 コラプサーペント>
闇属性|レベル4|ドラゴン族/効果
攻1800|守1700
「さらにチューナーを増やしてシンクロ召喚――って雰囲気じゃなさそうだな。いいぜ、全力のお前を見せてくれ!」
「言われなくても、そのつもりだよ!
ドロドロゴンの真価を発揮する時が来た!
僕はドロドロゴンとコラプサーペントを融合素材として墓地に送り――」
ドロドロゴンはオレの合図とともに、緑の泥のような体を、ぼこぼこと激しく泡立たせる。そうして激しく波打ち、凝縮と膨張を繰り返して変形したのは、モクバおじさんもオレも良く見覚えるのある姿……<青眼の白龍>を模ったドロドロゴンだった。
変化したドロドロゴンはほくそ笑む。
そして隣でワイバースターだったものを、はむはむしていたコラプサーペントを飲み込み、沼地へと姿を変えた。
「これが新たな僕の力! 融合召喚<ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン>!」
沼地より羽ばたき、飛翔したモンスター。
その鱗は氷のように白く、光を受けて輝きを放ち。瞳は深い青色で、星空のような輝きを秘めている。神秘という言葉が打って付けの発光した両翼を大きく広げ、デュエルスタジアムにいま咆哮を轟かせた。
ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン!
これこそブルーアイズが進化した姿。
彼は一度オレの方を見ると、そのまま庇い立つように地に降り立った。
くぅーーー、めちゃくちゃかっこいいぜ!!
『おぉーと、遊太選手! まさかシンクロ召喚したドロドロゴンをそのまま素材に、伝説のドラゴン、ブルーアイズを呼び出したぞぉ!?』
<ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン>
光属性|レベル8|ドラゴン族/融合/効果
攻3400|守2900
――デュエルスタジアム 選手控室
「あれが、あいつのモンスターか」
「えっへへー、すごいでしょ? でもまだまだ、あんなもんじゃないぜ?」
沸き立つ会場、そして興奮するオレとは裏腹に、対戦相手であるモクバおじさんはどこまでも冷静だった。
それこそ「ブルーアイズを使うなら、このくらいできて当然」という感じだ。どっしりと構えている。
「まぁ、これくらいしてくれないと俺としても困るしな?」
ブルーアイズ・タイラント・ドラゴンもそれは感じているのか、ぐばぁと喉奥から白い吐息を漏らし、次のターン以降に出てくるだろう相手のモンスターへ警戒していた。
「ちょっとは驚いてくれたっていいじゃん、おじさんのケチ……僕は融合素材となってコラプサーペントの効果で、2体目のワイバースターを手札に加える。このままカードを2枚伏せてターンエンドだよ、こんちくしょう!」
「そう拗ねんなよ。お前ガキ扱いされたくなかったんじゃなかったっけぇ?」
「それとこれとは別なの!」
「面倒くさいヤツだなぁ。こう見えて、一応驚きはしてるんぜ? ――でも、それだけだ。俺のターン」
カードを一枚引いて、モクバおじさんは余裕綽々と腰へ手を当てる。
「へへ。遊太、1体のブルーアイズを並べて満足してちゃ、まだまだだぜ? ブルーアイズの本当の使い方ってやつを、俺が代わりに教えてやるよ」
「っ、まさか、モクバおじさんのデッキって……!?」
モクバおじさんが手札から魔法カードを見せ、宣言する。
「そのまさかだよ! 俺は手札から、魔法カード<ドラゴン・目覚めの旋律>を発動! 手札の<青眼の白龍>を墓地に送り、デッキからもう一体の<青眼の白龍>と<
モクバおじさんの魔法カードから、ヘッドがどう見てもブルーアイズでできているギターを手にした、ロード・オブ・ドラゴン風の男が参上する。その男はピックを大きく振ると、ギターの弦を鳴らし、デュエルスタジアム全体に音の振動が広がらせた。
その旋律に長い眠りから目が覚めたのか、丸めていた体をゆっくりと起こし眼を開ける2体のドラゴン。そして完全に眼を覚ませば、そのままモクバおじさんの手札へと吸い込まれるように消えていく。
――最悪だぁ! まさかモクバおじさんがブルーアイズを使ってくるなんて!
今までモクバおじさんがあのカードを使っているところは見たことがない。というより、普段は誰かに遠慮して使っていない様子だった。
なのに今回は使ってくる。オレの頼れる友達であり、伝説とも謳われるドラゴンを……しかも、きっと俺より巧みに使いこなす腕前で……!
一瞬だけ、オレの足がすくんだ。
まだデュエルは始まったばかりなのに、その事実だけで敗北を認めそうになった。
けど、後ろから「クリクリー」と声が聞こえる。
背中を支えられたような感覚になる。
……そうだ、冷静になれ。発想を逆転させろ。
ブルーアイズを使ってくるということは、その分戦略が読みやすくなったということ。確かにブルーアイズの使い方はモクバおじさんの方が上かもしれない――――
けど、それがどうした!
このデッキには皆がいる!
デッキの仲間たち全員が強い方が、デュエルは強いんだ!
「……ふっ、へっぴり腰は直ったみたいだな、遊太」
「きぃ〜〜、誰がへなちゃこ弱虫だってぇ!?」
「そこまで言ってねぇよ……相変わらず、上がり下がり激しいな、お前……まるで出会った頃の遊戯みたいだぜ」
ん? モクバおじさんがオレを見ながら、懐かしそうに頷いてる。
何考えてんだろう……?
「まっ、やる気を出してくれなきゃ、ここまで出張ってきた意味もない! いくぜ、遊太! 俺はオルタナティブ・ドラゴンの効果で、手札の<青眼の白龍>を相手に見せ、そのまま特殊召喚する!」
いぃ!? オルタナティブ・ドラゴンは超厄介すぎる!
<青眼の亜白龍>
光属性|レベル8|ドラゴン族/効果
攻3000|守2500
「まだまだ続けるぜー! 俺はさらに<復活の福音>を発動!」
「!? そんなのずるじゃんか!? すっげぇレアカードだよね、それぇ!?」
「へへへ、負け惜しみは聞かないぜー、遊太! 財力も立派なデュエリストに必要な力だからな。悔しかったら、かーちゃんの言うことはしっかり聞いて、無駄遣いせず貯金するこった」
「……モクバおじさんにだけは、金遣い云々言われたくないんだけど」
「……こほん。さて、このカードの効果により墓地の<青眼の白龍>を攻撃表示で特殊召喚だ!」
「あ、ごまかした」
気を取り直したモクバおじさんの宣言とともに、地面から青眼の白龍の石像が出現した。そこに天から光が降り注ぎ、徐々に石像には亀裂が走る。石片がぼろぼろと鱗のように剥がれ落ちれば、目の辺りの石表が完全に砕け、中の青眼の白龍がじろりとタイラント・ドラゴンを見た。
ぱり、ぱき、ぱきき。
耳障りのいい亀裂音。それが石像の全身を駆け巡ったかと思えば、次の瞬間には、勢いよく外皮を覆た石片を弾き飛ばし、モクバおじさんのブルーアイズが復活の咆哮をあげた。
<青眼の白龍>
光属性|レベル8|ドラゴン族/通常
攻3000|守2500
「まだまだ安心するなよ、俺の召喚権はまだ残っているからな!」
「っ、安心なんてできるわけないだろ!」
「そいつは僥倖! だったらお前に最高のショーを見せてやる! 俺は〈正義の味方カイバーマン〉を通常召喚!」
モクバおじさんがそう言ってデュエルディスクにカードを置く。
出てきたのは、太陽に反射した茶髪を靡かせて、「ふははは!」と不適な笑い声をあげる変態……もとい正義の味方カイバーマン! 既にフィールドに並んでいる2体のブルーアイズを見て、「すごいぞ!かっこいいぞー!」と叫ぶのだった。
いつも思うけど、なんでこのキャラだけセリフ付きなの!?
というか、誰かに声が似ている気がするし!
「カイバーマンの効果! このモンスターをリリースすることで手札の<青眼の白龍>を特殊召喚できる!」
カイバーマンは高笑いを響かせ、ソリッドビジョンのくせにカードを高らかに掲げ口上を叫ぶ。
それに合わせモクバおじさんも共に宣言した。
「「貴様に伝説を見せてやろう! いでよ、我が忠実なるしもべ――――<青眼の白龍>!」」
カイバーマンは高笑いとともに風に紛れて消え、代わりに3体目のブルーアイズが降臨する。
これでオレの場と合わせて計4体のブルーアイズが出揃った。まずお目にかかることはできないだろう壮観に、オレだけでなく、このスタジアムにいる全員が心を打ち震わせる。
やっぱり、モクバおじさんはすごい……!
すごくて、強い……!
でもそれ以上に、このブルーアイズの光景に、オレはただ感動してしまっていた。
『なんと……なんということだぁ! あまりの光景に私自身、実況することすら忘れさせられていた! ブルーアイズが、あの伝説の龍がなんと、ここに4体も出揃ってしまったぞーーー!?』
スタジアム観客席。
そこに座っていた天兵は思わず言葉を漏らす。
「すごい……僕、ブルーアイズがこんなに並んでるの生まれて初めて見たよ……」
そんな彼の呟きを尻目に、氷室の表情は険しかった。
「まずいな」
「? 何がまずいんだい、兄あんちゃん。まだ遊太君のタイラント・ドラゴンを上回る攻撃力は出ておらんよ?」
「オルタナティブ・ドラゴンの効果だ。あいつには攻撃力なんて関係ねーのさ。最悪、このターンで負けるぞ」
モクバおじさんは、自身の場に並んだ3体のブルーアイズを背に、不適な笑みを浮かべる。
「へへ、やっぱりブルーアイズは3体並べないとな」
「……」
「さぁ、このままバトル! と言いたいところだが、バトルフェイズにいく前にオルタナティブ・ドラゴンの能力を発動だ。自身の攻撃を放棄することで、フィールドのモンスターを1体破壊する。指定するのは勿論、<ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン>!」
「くっ」
指定されたタイラント・ドラゴンは迎え撃つため、光の翼を羽ばたかせる。
されど<青眼の亜白龍>は、真正面から戦闘するつもりだったタイラント・ドラゴンを嘲笑うように、不意をつき喉元に牙を食い込ませた。
まともな戦闘すらさせてもらえず破壊されるタイラント・ドラゴン。
沈みゆく背中、最後にはオレへとその碧眼を向けていた。
――分かってる。
このまま終わるわけにはいかないことくらい。
「タイラント・ドラゴンが破壊されたことで罠発動! <レベル・レジスト・ウォール>!」
オレはタイラント・ドラゴンが破壊されると同時、伏せてあった1枚目の罠カードをオープンさせた。
「やっぱり罠を仕掛けてあったか」
「僕は破壊されたモンスターと同じレベルになるよう、デッキからモンスターを守備表示で特殊召喚する! <ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン>のレベルは8! よって、来い、レベル1<アンクリボー>、同じくレベル1<クリボーン>、そしてレベル6<ラブラドライドラゴン>!」
タイラント・ドラゴンの体が砕けて星となり、その星の上にそれぞれのモンスターが搭乗して現れる。
1つだけの星には外皮に黄金の装飾を散りばめたクリボーっぽいモンスター。もうひとつの1つだけの星には、修道女のような白いクリボーっぽいモンスター。そして6つの星に乗っているのは、呪いの鱗をもつラブラドライドラゴン。
それぞれが地上まで落星すると、モンスターは華麗に着地してみせていた。
<アンクリボー>
闇属性|レベル1|悪魔族/効果
攻300|守200
<クリボーン>
光属性|レベル1|悪魔族/効果
攻300|守200
<ラブラドライドラゴン>
闇属性|レベル6|ドラゴン族/チューナー/通常
攻0|守2400
「うまい!」
「これで最悪の結末は避けられたな」
「ふぅ、儂も少し冷や冷やしたよ……」
「もう、みんな心配性ね」
「そう言って、龍可も心配してたんじゃない?」
「な、べ、別にそんなことないわよ!」
モンスターが守備表示で並び、それを見たモクバおじさんは不適な笑みを浮かべながら見渡す。
「何とか防いできたって感じだな。まぁ、どれだけ雑魚モンスターを並べても、ブルーアイズの前じゃ所詮すべて無力。まずはそのレベル6のチューナーモンスターから破壊してやるよ! 攻撃だ、<青眼の白龍>。滅びのバースト・ストリーム!」
「そうはさせないよ! 僕はトラップカード<マジカルシルクハット>を発動!」
オレの宣言とともにラブラドライドラゴンが、全長を覆い隠すくらいの大きさのシルクハットで隠される。そして同じ大きさのシルクハットが2つ増え、高速で入れ替わり位置を変えた。
定めていた照準先がいなくなったことで、モクバおじさんの<青眼の白龍>は、喉奥に力を溜め込んだまま停止する。どれを撃ち抜いていいのか、主の指示を仰いでいるようだ。
「おっと、もう一枚はマジカルシルクハットか、懐かしいな。だが次のターンにレベル10のシンクロ召喚はさせたくないし、狙う相手は変えないぜ! <青眼の白龍>、一番右奥のシルクハットに攻撃!」
再び下される攻撃命令。
今度の青眼の白龍は迷うことなく、指示通りに右奥のシルクハットを撃ち抜いた。
しかし、現れたのは<ガード・ブロック>という罠カード。本当に撃破したかった<ラブラドライドラゴン>は入っていなかった。
ふぅ、これで場に2体は残りそう。
「チッ、ならもう1体の<青眼の白龍>で今度は真ん中にいるシルクハットを攻撃だ!」
モクバおじさんの宣言を受け、2体目の<青眼の白龍>がシルクハットを攻撃する。吹き飛ばされる帽子。そしてその中から、ラブラドライドラゴンの撃ち抜かれた姿が現れた。
「よっし、当たりだな!」
「ごめん、ラブラドライドラゴン……」
運が良ければレベル6チューナーを無償で残せていたのに、モクバおじさんの読みに負けてしまった。
だが、こればっかりは仕方ない。50%なんて最初っからギャンブルしすぎだ。それ頼って動くのはオレらしくないぜ。
「俺はこのままターンを終了するぜい」
「相手ターンの終了時、僕がシルクハットで呼び出していたカードは墓地に送られる」
そうして場にひとつだけ残ってあったシルクハットが消えた。
さて、布石が機能してくれるといいんだけど……。
モクバの宝石ドラゴンを期待してた人ごめんなさい
ブルーアイズ、ブルーアイズが世界を救うんです!(錯乱)
モクバの喋り方これであってるのか崩壊してきましたが、
なんかあれば教えてくだされ