5D's:武藤遊戯の孫   作:ジャガイモ

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第十八話 遊太からの贈り物

 

 

「俺はこのままターンエンド……おじさんのターンだよ……」

 

 そう言った龍亞の表情は、完全に追い詰められた人間の顔だった。

 心なしか、声もどんよりとしている。

 

「(なるほど、手札事故か)」

 

 それを見たボマーも、流石に憐憫の情を抱かずにはいられなかったのか、目を伏せる。

 

 デュエリストであれば、誰しもがついて回る悲運な事故。どれだけ洗練されたデッキ構築をしていようとも、ただ運がないだけで起こりうる最悪の出来事。それが手札事故だ。

 

 ボマーはゴドウィンからの命令など関係なしに、1ターンくらい待ってあげようかと、甘い考えすら脳裏をよぎった。

 

「(いやしかし、ただ待つだけでは芸がない)私のターン、ドロー」

 

 平静さをなんとか保ち、ボマーは龍亞には悟られないようポーカーフェイスを続ける。

 

 正直、追い込まれたのは龍亞だけではない。ボマーもである。

 彼の役目はシグナーの力を引き出すこと。それを手札事故していました、なんという理由で放棄するわけにもいかない。なんとか接戦の末に、相手が隠し持っている爪を引っ張り出さないといけないのだ。

 

 かといって、ここであからさまな手抜きをすれば、対戦相手にとって失礼であるし、あまりの不自然さにシグナ―の力を引き出せないかもしれない。

 となれば、残された道はただ一つ。

 あと一歩、ギリギリの窮地というところで止め、次のターンに再起復活を果たすことを祈るしかない。

 

 ボマーはそう思い、手札からモンスターを選び取った。

 

「私は2体目の<可変機獣ガンナー・ドラゴン>を通常召喚」

「うわー! やっぱりモンスター出せるんだぁ!」

 

 出せるに決まってるだろ。

 そう思いはしたものの、ボマーは口には出さなかった。

 

 

<可変機獣ガンナー・ドラゴン>

闇属性|レベル7|機械族/効果

攻2800|守2000

 

攻2800 → 1400

守2000 → 1000

 

 

 2体のガンナー・ドラゴンを並べ、そしてボマーは宣言する。

 

「このままバトル。ガンナー・ドラゴンでモバホンに攻撃!」

 

 ボマーの号令を合図に、1体目のガンナー・ドラゴンが熱線を発射した。その破壊力は、まるでバターを割くようにモバホンを一刀両断するほど。どう考えても装甲戦車VS歩兵の勝負である。

 最期に浮かべたモバホンの油の涙は、さらりと空中で霧散した。

 

 

 龍亞LP 4000 → 2700

 

 

「モバホンっ!? あー、しかも俺のライフが、もう3000を切っちゃったよー!?」

 

 もう半分、泣きべそをかいている龍亞が悲痛に叫ぶ。

 観客先の大きなお友達が、「おいもっと手加減しろー!」と野次を飛ばしているのが聞こえた。

 

 しかし、ボマーもデュエリスト。

 なんと言われようと、デュエルには真摯に向き合う。

 手加減はすれど、油断はしない。

 

「続けて、2体目のガンナー・ドラゴンでプレイヤーにダイレクトアタック。いけ、機甲灼熱線!」

 

 キャタピラをからからと回し、2体目のガンナー・ドラゴンが前に出る。すると首を下の位置にさげ、モバホンを葬った技と同様の熱線を、龍亞に向かって放った。

 

「うわあああああああ!」

 

 ソリッドビジョンにより、閃光と疑似的衝撃が龍亞に襲う。

 体のサイズが一回り小さくなったモンスターでも、直接攻撃は相応の迫力を有していた。

 

 

 龍亞LP 2700 → 1300

 

 

「どうした。君のディフォーマーとの結束とはこんなものか」

「う、ぐぐ……! 今に見てろー……! 俺のディフォーマーデッキはこんなもんじゃないんだから……!」

 

 大見得を切って言い返す言葉もない龍亞は、三流悪役のような言葉を漏らす。

 ボマーはそれを聞いて、ふっと息を吐いた。

 

「(どうやら完全に戦意が死んだわけではないらしい……ならば、さらにダメ押しの一手をいれておくか)私は手札より永続魔法<機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)>を発動」

 

 そうして発動されたカードには、マシンナーズモンスターが破壊されるイラストが描かれていた。

 龍亞は新たなカードの発動に、ひっ、と短い悲鳴を漏らす。

 

「つ、次はなに……? もしかして負け……?」

「心配することはない。このカードの効果は、私のモンスターが破壊された場合、デッキから新たなモンスターを呼び寄せるカード。君がガンナー・ドラゴンを破壊した場合、私のデッキから新たなモンスターが出てくるというわけだ」

「じゃ、じゃあ、今のターンには関係ないってこと!?」

「……ああ、そういうことだ。私はこのままターンエンド」

 

 ボマーは若干に不安になりながらも、龍亞にターンを譲る。

 

 さっきの安堵の言葉。龍亞はどこか短絡的にデュエルをしているところがある。

 ボマーはそう見抜いたからこそ、今目の前に立つ対戦相手が本当にシグナーの力を持っているのか、懐疑的になってしまったのだ。

 

「よーし、せっかくターンが返ってきたんだ、このターンで必ず逆転してみせるぞ!」

「……随分と楽しそうだが、君は自分のピンチを分かっているのか」

「え?」

 

 ボマーの厳しい声に、ドローをしようとしていた龍亞の手が止まる。

 

「確かにターンは返ってきた。しかし、私の場には2体のモンスターと、それを破壊して発動する永続魔法。これをひっくり返すのは、今の君の手札では至難の技であろう。ただ延命したことを喜ぶようであれば、君は真のデュエリストとは呼べない」

「真の……デュエリスト……」

「(さぁ、どう反応する)」

 

 ボマーがまじまじと項垂れた龍亞を見る。

 

 ただでさえ偉丈夫であるボマーから、威圧的な声をかけられたのだ。そんじょそこらの男性でも、すくんでしまうだけの凄みはある。それをただの子供が受けてしまえば、意気消沈してサレンダーを選択しても不思議ではなかった。

 

 故に、これはボマーにとっても賭けに近い脅しだ。

 もしここで龍亞がサレンダーしてしまうようであれば、それはシグナーとしての力を持ち合わせていなかったと断定せざるを得ない。ゴドウィンがその結果を受け入れるかは分からないが、ボマーとしてはそれで納得のいく答えだ。ここまでして滾らないのであれば、そもそもゴドウィンにとっても無用の長物であろう。

 

 しかし、ボマーの憶測とは裏腹に、顔を上げた龍亞はニヤリと笑っていた。

 

「分かってるよ、おじさん! 俺だってキング目指してるんだ! このくらいのピンチをひっくり返さないと、友達に顔向けできないぜ!」

「ほう、ならばこの盤面からひっくり返せる確信があると?」

「それは、その……わかんないけど! でも、俺は自分のディフォーマーデッキを信じる! 俺が勝つって信じてくれた皆を信じる! それさえあれば、どんなピンチだって乗り越えられる気がするんだ!!」

 

 龍亞はそう言って、山札から一枚引いた。

 

「こい、逆転のピース!! 俺のターン、ドローーーー!!」

 

 太陽の陽光が龍亞の手を照らし、それが光り輝く。

 眩しさと緊張から目を細めた龍亞は、己の引いたカードをゆっくりと見た。

 

 そして――――。

 

「……おじさん、俺とディフォーマーデッキの結束! さらに遊太との友情パワーが合わさった、最強の戦術を見せれそうだよ!」

「面白い。では、君の言うとおり、その戦術とやら、披露してもらおうか!」

「おう! やってやる!!」

 

 龍亞が男勝りに返事をすると、観客席にいた龍可は「もう私に似せる気ないわね……」と呟く。

 対して、選手待機室にいた遊太は「頑張れ、龍亞!」と立ち上がりながら応援した。

 

「俺はモバホンを通常召喚!」

 

 龍亞はそう言って、手札から2体目のモバホンを出す。

 ガラケーから変形してみせた2体目のモバホンは、ギャングスターに憧れた青年がやりそうなポーズをした。

 

 前の龍亞のターンの焼き回しのような光景。ボマーは眉を顰めた。

 

 

<D・モバホン>

地属性|レベル1|機械族/効果

攻100|守100

 

 

「また、性懲りも無くモバホンか」

「へへ、そう言ってられるのも今のうちだよ! モバホンのモンスター効果発動! ダイヤルー・オーーーーーン!!」

 

 龍亞の効果発動の宣言とともに、モバホンの胸部にある数字が激しく点滅を始める。

 ピポパピポパ、と機械音を奏でながら行われる抽選に、龍亞の脳内にいる鼻が特徴的な男が、「圧倒的……圧倒的、緊張……!!」と声をあげていた。

 

 そして、モバホンの数字が「4」のダイヤルボタンで止まる。

 

「よっしゃ、4だ! デッキからカードを4枚捲る!」

 

 今度はそこそこ良い数字が出たため期待値があるのか、龍亞の声は明るい。

 しかし、対してボマーは冷静に戦局を見守っていた。

 

「来い来い来い、いいカード! …………きた! 俺はチューナーモンスター<D・スコープン>を攻撃表示で特殊召喚!」

「これでフィールドにはチューナーモンスターと非チューナーモンスターが1体ずつ……」

 

 顕微鏡から変形したロボット、スコープンを見てボマーは初めて警戒心を釣り上げた。

 ここでシンクロを出してくるのなら、それはそれで面白い。

 

 しかし、龍亞の場のモンスターのレベル合計は4。そこからどうするのかと頭を悩ませていると、さらに龍亞がスコープンの効果を発動する。

 

 

<D・スコープン>

光属性|レベル3|機械族/チューナー/効果

攻800|守1400

 

 

「さらにスコープンのモンスター効果! 1ターンに1度、手札からレベル4以下のディフォーマーモンスターを特殊召喚できるんだ! 俺は<D・ステープラン>を攻撃表示で特殊召喚!」

「なに、さらに特殊召喚だと……!?」

 

 さらにホッチキスから変形したロボット、ステープランが龍亞のフィールドに現れる。

 手札事故を起こしていたとは思えない展開力だ。たった一枚で、ここまで場を制圧しに来れるものなのかと、ボマーは素直に関心を示す。

 

 しかし、その関心はさらなる驚きで上書きされた。

 

 

<D・ステープラン>

地属性|レベル4|機械族/効果

攻1400|守1000

 

 

「へへへ。おじさん、これで終わりだと思ってないよね?」

「……どうやら、その表情。まだ秘策があるようだな」

「当たり前じゃん! まだ俺と遊太の友情パワーを見せてないもんね!」

 

 龍亞はそう言って、大会が始まる前。

 彼の家で100回勝負の特訓をしていた時のことを思い出していた。

 

 

 ――『そうだ龍亞。これ使ってよ』

 ――『ん? なにこれ?』

 ――『龍亞のカードと相性の良さそうなカード。知り合いの人から貰ったんだけど、僕じゃ使いこなせなくて……でも、龍亞ならもっとこのカードを使いこなせると思うんだ!』

 ――『え、そんな貴重なカードいいの!?』

 ――『うん。このカードも、龍亞の方が喜ぶと思うんだ』

 

 

「(ありがとう、遊太……ありがたく使わせてもらうよ!)俺はフィールド魔法<ダイス・ダンジョン>を発動!!」

 

 龍亞が魔法カードを発動したことにより、デュエルステージに大きな賽の目が刻まれる。

 DDMから流用されたカード。元は遊太が知り合いのおじさんに、DDMで勝ったことで譲り受けたものだが、そこまでの歴史を龍亞は知らない。

 

 ただこのカード。

 遊太がおすすめしただけのことはあり、ディフォーマーというよりは、あるカードたちとシナジーが高かったのである。

 

「へっへーん! ダイス・ダンジョンの効果により、俺はデッキから<ディメンジョン・ダイス>を手札に加えられるんだ! そしてそのまま、魔法カード<ディメンジョン・ダイス>を発動!」

 

 魔法カードが発動されたことにより、龍亞のフィールドにいたモバホンがサイコロに包まれる。

 何事かと思ったモバホンは慌てふためくも、隣にいたスコープンたちは、まるで都会に旅立つ友を見送るように手を振っていた。

 

「ディメンジョン・ダイスは、1から6の数字をルーレットする効果を持つモンスターを対象に発動できるんだ! その対象にしたモンスターと同じく、ルーレット効果を持つモンスターをデッキから特殊召喚する! モバホンをリリースして、デッキからチューナーモンスター<D・テレホン>を特殊召喚!」

 

 モバホンを包んでいたサイコロが再び開かれ、その中から固定電話機が出現する。そしてその固定電話機が変形を始めると、液晶に可愛らしい目をふたつ映したロボットへと姿を変えた。

 

 

<D・テレホン>

地属性|レベル1|機械族/チューナー/効果

攻100|守100

 

 

「(たった一枚呼び込んだだけで、これほど回るとは……末恐ろしいデッキだ……)だが、おもしろい! もっと君の全力をぶつけてこい!」

「言われなくても、がんがんいくぞー! テレホンのモンスター効果発動! ダイヤルー・オーーーーーン!!」

 

 テレホンは受話器を模した大砲からビームを出し、左肩から伸びるダイヤルボタンを激しく点滅させ始める。

 

 1、2、3……5、6、1……。

 

 最後に止まった数字は、「5」であった。

 

「よっしゃー、いい数字! テレホンの効果で、出た数字×100ポイントを俺のライフに回復!」

 

 テレホンが放ったビームが空中で発散し、そのままポリゴンの雨となって龍亞へ降り注ぐ。

 

 龍亞LP 1400 → 1900

 

「そして出た数字以下のディフォーマーモンスターを、墓地から特殊召喚できる! 俺は<D・モバホン>を墓地から特殊召喚!」

「モバホンを復活させるだと? しかし、そのカードはもう既に能力を使用している」

「ち、ち、ち! モバホンにターン1制限はないんだ! つーまーり! 蘇ったモバホンなら、もう一度同じ効果が使えるってわけ!」

「……凄まじいモンスターだな」

 

 ボマーの本音が溢れるのと同時、龍亞のフィールドに先ほどサイコロに包まれたモバホンが華麗に参上する。

 見送ったスコープンたちは未来を予知できていたのか、「あ、おかえりー」とでも言っているような気軽さで、手をあげて挨拶をしていた。感動の再会を期待していたモバホンも、それにはつい、ぎこちない手振りで返事をする。

 

 

<D・モバホン>

地属性|レベル1|機械族/効果

攻100|守100

 

 

「さあ、戻ってきたモバホンのモンスター効果だ! ダイヤル・オーーーーン!!」

 

 何度も触れるルーレット賭博。

 これにはイカサマチンチロで悪の親玉を倒した男もニッコリである。

 

 そして……。

 

「フ、6を引き当てたか」

「やったー、最高の目だー! いっひひー、デッキからカードを6枚捲っちゃうぞー!」

 

 ダイヤル・オンで出せる最大値。

 それを引き当てた龍亞は、声を弾ませながらカードを捲っていく。

 

 ボマーは静かに龍亞の動向を見守っていると、6枚目でお目当てのカードを捲れたのか、龍亞はボマーを見てそのカードを見せた。

 

「悪いけど、これで逆転のピースは揃っちゃったもんね! <D・ラジオン>をデッキから攻撃表示で特殊召喚!」

 

 ラジオ機器から変形した人型ロボットは、他のディフォーマーモンスターを見つけると、頭部から生えたアンテナ部分より電波を飛ばす。

 散々、種族詐欺だと言われてきたラジオン。見るからに機械族の見た目をしているくせに雷族の彼は、こここそが俺の出番だ、と張り切った様子で仲間たちの力を増大させた。

 

 

<D・ラジオン>

地属性|レベル1|雷族/効果

攻1000|守900

 

 

「ラジオンのモンスター効果は、俺のフィールドにいるディフォーマーモンスターの攻撃力を全て800ポイントアップさせるんだ! これがどういうことか分かるよね?」

「なるほど。つまり君のモンスターが全て攻撃に成功すれば、私のライフを削り切れるということだな」

「その通り!! 悪いけど、ここまで耐えたんだ! 遠慮はしないからね!」

「仔細問題なし! それを受けきってこそ、デュエリストだ!」

 

 ラジオンの電波により、ディフォーマーモンスター全員がスパーク状態のような見た目へと変化する。パチパチと青雷を放電させ、各々が戦闘態勢に入る姿は、まさに映画のワンシーンとも言えるだろう。その中でもテレホンは受話器の大砲を構え、まるで左腕にサイコガンを仕込んだ宇宙海賊のようなポーズをとっていた。

 

 

<D・ラジオン>

攻1000 → 1800

 

<D・ステープラン>

攻1400 → 2200

 

<D・スコープン>

攻800 → 1600

 

<D・モバホン>

攻100 → 900

 

<D・テレホン>

攻100 → 900

 

 

「いっくぞー、みんな! バトルフェイズ! まずはステープランでガンナー・ドラゴンを攻撃!」

 

 強化したステープランは、大きく空へと跳び上がり、そのまま落下を利用して拳を撃ち下ろす。攻撃されたガンナー・ドラゴンはひとたまりもなかったのか、赤い装甲はあっけなく砕かれ、キャタピラ部分は派手に弾け飛んだ。

 

 

 ボマーLP 4000 → 3200

 

 

「くっ」

 

 ボマーはガンナー・ドラゴンが破壊されても、永続魔法を発動しない。

 それどころか伏せカードも発動しなかった。

 

「永続魔法の効果は使わない? それに伏せカードも……ええい、でも恐れてちゃダメだ!」

「フッ(短絡的だと思っていたが、私が魔法効果を使わないのはきちんと警戒できているようだな。それでこそ、滾ってくるというもの)」

 

 ボマーが内心でそう評価すると、龍亞は意を決した表情で、続けて攻撃を宣言する。

 

「続けて、ラジオンで2体目のガンナー・ドラゴンを攻撃! イヤホーン・シュート!」

「ぐぅ!!」

 

 ラジオンが左腕からイヤホンのロープを伸ばし、それを鞭のようにしならせて攻撃する。放電している鞭に巻き取られたガンナー・ドラゴンは、不快な機械音を奏で、そのまま爆散した。

 爆散した擬似的余波により、ボマーは少しだけ身じろぎする。

 

 

 ボマーLP 3200 → 2800

 

 

「私はこの瞬間、<機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)>を発動! さらにトラップカード<レベル・レジスト・ウォール>を発動する!」

「そのトラップは、遊太も使っていた……!?」

「そうだ。ならば、効果も知っているだろう。私はレベル・レジスト・ウォールの効果により、デッキから<マジック・リアクター・AID(エイド)>と<トラップ・リアクター・RR(ダブルアール)>を守備表示で特殊召喚!」

 

 ガンナー・ドラゴンの破片が合計7つの星へと変わり、それがさらに3つと4つに分けられる。そして別れた星たちはやがて姿を変形させ、まるで戦闘機のようなモンスター2体を、ボマーのフィールドへと着陸させた。

 

 

<マジック・リアクター・AID(エイド)

闇属性|レベル3|機械族/効果

攻1200守900

 

<トラップ・リアクター・|RR(ダブルアール)

闇属性|レベル4|機械族/効果

攻800|守1800

 

 

「っ、1体だけ防御力が高い……! で、でも魔法効果で出てくるモンスターはガンナー・ドラゴンの攻撃力1400よりも低いモンスターのはず……!」

「なにを勘違いしている。ガンナー・ドラゴンは自身の効果により攻撃力が一時的に下がっていたに過ぎない。マシンナーズ・フロントラインが参照する攻撃力は、いま墓地にあるガンナー・ドラゴンの攻撃力2800だ!」

 

 ボマーはそう言うと、デッキからカードを1枚抜き取り、デュエルディスクに置いた。

 

「私はデッキから<サモン・リアクター・AI(エーアイ)>を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 ブロロロロ、というエンジン音を吹かせながら、ボマーの奥から巨大な人型戦闘機が現れる。

 まるで死を運ぶ鳥のようだ。両肩にあるプロペラが激しく回り、空気を振動させるような重低音を響かせている。

 

 サモン・リアクターのあまりの威圧感に、対面していたディフォーマーモンスターも、その主ある龍亞も、少しだけたじろいでしまった。

 

 

<サモン・リアクター・AI(エーアイ)

闇属性|レベル5|機械族/効果

攻2000|守1400

 

 

「攻撃力2000……!」

「どうした、まだ君のバトルフェイズは終了していない。攻撃を続けるといい」

「っ、言われなくても!」

 

 ボマーの言葉で我に帰った龍亞は、スコープンにマジック・リアクターへの攻撃を命じる。

 

「いけ、スコープン! マジック・リアクターに攻撃!」

 

 その命令を聞き届けたスコープンは、ワイヤーのようなアームを伸ばし、それによってマジック・リアクターを破壊してみせた。

 ボマーはそれを涼しい顔で見届ける。

 

「(おじさんの手札は残り3枚……攻撃力2000のモンスターがいるとはいえ、ラジオンに攻撃すれば俺にそこまでのダメージはこないはず……だったら)俺はこれでターンエンド! エンドフェイズ時、スコープンのモンスター効果で特殊召喚したステープランは墓地に送られる!」

「……なんだと?」

 

  龍亞がステープランを墓地に送ったのを見たボマーは、人知れずそう呟いた。




前話が思った以上に前置きが長く、今回の話にも響いてしまった……!
まさか、3話に渡ってデュエルを書くことになるなんて……!
すまない、すまない……!


次話 決着


あとごめん、龍亞たちのあとに控えてる遊星と炎城戦のライディングデュエルは飛ばす予定なんだ……許せ、ムクロ
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