よう実 最速Aクラス卒業RTA Aクラス綾小路籠絡ルート   作:月島さん

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3-裏

 橋本正義の戦慄

 

 

 俺は自分の事を良くわかっていて、反して大抵の人間は自分の事を良くわかっていない。

 

 

 まあ、当たり前の事だ。

 誰だって、内心では自分を特別な何かだと思っているし、俺にだってそう思いたいという気持ちはわかる。

 

 

 だが、実際は違うのだ。

 世の中には、強い奴と弱い奴が明確に存在していて、そして俺を含めて大抵の人間は弱い奴の分類に入っている。

 

 そんな弱い奴に出来る事はただ一つ。

 実際に存在している強い奴ら。その中でも一番の奴に付き、勝者の立ち位置を確保する事。

 

 それが出来ない奴から落ちていく。たまたま、運で強い奴に付く事が出来て、運良く生き残る奴も居るには居るが、俺はそんな運否天賦に身を任せるつもりは無い。俺は自らの意思で強い奴を見出す。

 

 無論、強者とは常に移り変わるもの。だからこそ、俺は沢山のツテを作る事で、いつでも付く先を乗り換える事が出来る様にしている。

 

 

 

 こうする事で、俺はずっと勝ち続けてきた。

 

 

 

 それこそが俺の強みであり、だからこそ今までも、そしてこれからも正しい立ち回りをしていくことが出来る。

 

 誰がリーダーなのかという拘りなど一切ない。

 そいつに付けば自分に利があるのか、勝者になれるのか。

 それが判断基準。俺にとって大事なことは、最後に勝つ事のできるポジションを取り続けることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京都高度育成高等学校。

 進学率、就職率100%の触れ込みに惹かれて入学したが、5月になって、その恩恵を受ける事が出来るのはAクラスで卒業した生徒のみと判明した。

 

 

 つまり、これからはクラス間闘争が始まる、ということだ。

 

 

 集団闘争には、何よりもまずリーダーが要る。

 

 

 俺の所属するAクラスにおいて、学校のルールを聞いてから直ぐにその立ち位置に名乗り出た人物が2人居た。

 

 

 一方の名は葛城康平、もう片方は坂柳有栖。

 

 

 どちらも非常に優秀で、文句無しに強い奴に分類される人間だ。

 

 

 葛城の方は非常に固い頭をしているものの誠実な人格による人望と、堅実な策を立て、それを実行するだけの能力を持っている。

 要は攻めよりも守りを重視するスタンスってことだ。

 

 対して坂柳の方は、その圧倒的な才能と、リスクをある程度支払ってでもいいからひたすら攻めのスタンスを取るという印象がある。

 

 

 両方とも決して悪くは無いが、2人の内どちらかを選べと言われたら、より優秀な……いや、俺がこの高校に入るまで見た事がないくらい優秀であり、所謂天才と呼ばれるような実力を持っている坂柳……姫さまの方を選ぶだろう。

 

 

 実際に、姫さまの方はいち早くSシステムに勘付いていたらしく、4月の段階で既に俺たちに授業態度を良くした方がいいなどのアドバイスをそれなりの頻度で行われる放課後会議でしていた。

 

 それによって、俺たちは965ポイントという、全クラスの中でダントツで高いCPを得る事が出来た。

 その実績から、現時点での支持者の数としては葛城よりも姫さまの方が若干多いように感じる。

 実際、俺から見ても姫さまは下に付く相手としては実に申し分ないように映るしな。

 

 

 

 だが、俺は葛城どころか、天才である姫さますら選ばなかった。

 

 

 

 このクラスには、2人より明らかにもっと強い奴が居たからだ。

 

 

 

 そいつの名前は怜山静香。

 

 

 

 俺たちの世代で最も学力の高い人間として、中学の頃から有名だった人物だ。

 

 

 そいつはどう見ても異常だった。

 

 

 4月にあった姫さま主催の会議に一切参加せず。

 5月になってSシステムが判明してからも、葛城も姫さまも全く眼中に無いと言わんばかりに放課後になった途端即帰宅する。

 

 普通の人間は、周囲に合わせようという同調の意識が多かれ少なかれ存在する。それは人間社会において、自らが生き残るための手段だ。

 

 だが、そいつにそんな意識は一切存在しない。

 自分1人の力で全てをこなせるから、そんなもの一切必要ない、と言わんばかりの行動。そしてそれが許される圧倒的な能力。

 

 実際、俺の作ったツテから聞いた話によると、入試で全科目満点だったらしいし、4月末の小テストも当然のように1人だけ満点。生徒会長に目を付けられて、葛城や一之瀬が落とされた生徒会に勧誘されているとの噂も耳にした。

 何よりも、何が起きようが、Sシステムの詳細が判明した時ですら、全て分かりきった事と言わんばかりに一切表情を変えないそいつから漂う圧倒的な風格。

 

 

 俺には、他の奴よりも強者を的確に嗅ぎ分ける嗅覚がある。

 

 

 その嗅覚が言っている。

 姫さまが天才だとしたら、そいつはまさに怪物、という言葉が相応しい存在だと。

 

 

 だから俺は、

 

 

「なあ、怜山サン」

 

「…………」

 

 

 話しかけて来た俺にそいつは一言も発さずに目線だけを向けてくる。

 これは賭けだ。一世一代の賭け。

 

 

 手に汗が滲み、背中にほんのりと冷たいものが染みる。

 俺は今までの人生で一番緊張していた。

 

 

「今、葛城くんと坂柳がクラスのリーダー争いをしてるってのは知ってるよな?」

 

「…………」

 

 

 相変わらず言葉は発しなかったが、頷いていた。

 一応、話を聞いてはいると理解したため続ける。

 

 

「俺は、あの2人じゃなくてあんたの下に付きたい。だって、このクラスで一番強いのはあの2人のどちらかじゃなくてあんただろ?」

 

「……あなたを下に付ける利点は?」

 

 

 当たり前の質問。

 こう返ってくるということは、少なくとも一切取り合わずに断る、なんてことは無いことを意味している。

 

 いやむしろ、この質問ということは、割と前向きに考えてすらいるんじゃないか? いくらこいつでも使える駒は必要と思っていたか? 

 

 俺は高揚を隠せなかった。

 

 

 もちろん、その質問に対する回答は用意している。

 

 

「いくらあんたが強いからって、物理的に手はあった方がいいだろ? その分、俺は沢山のツテを作ったからその辺の奴よりは役に立てると思うぜ」

 

 

 俺はボールを投げた。

 実際、あんたにとっても有用な話の筈だ。さあ、どうする? 

 

 そいつが思考に割いた時間は一瞬。だが、俺にはその一瞬がとても長い物に感じられた。良く小説等でこう言った表現を見るが、まさか自分にそれが当てはまる日が来るとは思っていなかった。

 

 そして、

 

 

「そう。わかった。あなたの望みは?」

 

 

 俺は歓喜の笑みを隠せなかった。

 こいつが俺を下に付ける気になった事、そして即座に俺の望みを聞いてくるその話の早さに。

 

 

「今後、多分何らかの形でポイントが増減する機会が増えるだろ? その時、あんたのおこぼれを頂戴したい」

 

「そう。なら、早速情報をあげる」

 

 

 俺は驚いた。

 いくらなんでも話が早過ぎる。

 まさか、俺が話しかけてくるタイミング、俺の望み、その全てを読んでいた? 

 いや、そんなはずはない。こいつは俺の事など眼中に無かったはず。

 

 俺は自分を落ち着かせて問いかけた。

 

 

「情報? 一体どんな……」

 

 

 そしてそいつがくれた情報は、俺を更に驚愕させるのに十分すぎる内容だった。

 

 中間試験2週前に範囲が変更される事、そして過去問と全く同じ問題が出題される事。

 そいつ自身は範囲や過去問など関係なく満点が取れるから必要ない情報だが、俺にとって、いやこいつ以外の全員にとっては重要過ぎる情報だった。

 

 どうやってこの情報を手に入れた? いや、それはどうでもいい。

 俺が考えるべきこと、やるべきことは決まっている。

 

 

「ハ、ハハッ。やっぱあんたとんでもねえな。これからもよろしく頼むよ、女王様」

 

 

 こいつが強いことはわかっていた。

 だが、ここまでの奴には今までの人生で会ったことが無い。

 

 だから、俺は一瞬ビビってしまった。

 だが、直ぐにこいつの下に付くことにした俺の判断が正しかったこと、得た情報のあまりの旨みを理解し、それは喜びへと変わる。

 

 この女王様に付いていれば、俺は絶対に勝てる。そう確信出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が女王様の下に付いてすぐ、早速こんな指示が来た。

 

 

『過去問数年分、出来るだけ早く確保して。あと、チェス盤も用意して』

 

 

 過去問数年分は、まあわかる。

 だが、チェス盤? 何に使うんだ? まさか、俺とチェスで遊びたいなんてことは無いだろうし……

 

 とはいえ、特に反抗する理由は無い。

 

 俺はツテを使って過去問3年分を確保し、ついでにチェス盤もいらないと言う人がたまたま居たため、譲ってもらった。

 

 女王様が言った通り、過去問は3年全て同じ問題だった。範囲はやはり少し違うが……これも例年数日後に変更が知らされると先輩から裏取りが出来た。

 

 女王様の言った通りだな。後は、どうやってこれを使って利益を得るか……

 

 

 

 

 

 そんなことを考えていたある日の放課後。

 

 

 

 

 

 葛城が聞きたい事があると言って、女王様に話しかけていた。

 

 

「怜山。聞くところによると、Dクラスの勉強会に協力したようだな? どうしてAクラスの会議や勉強会には一切参加しないのに、敵であるDクラスの勉強会には参加するんだ」

 

 

 それは俺もツテから聞いたし、葛城と同様に疑問に思っていた。

 女王様は誰にも何にも興味が無いものだと思っていたのだが、違ったのか? しかも、なんでよりによってDクラス?? 

 まあ、変に詮索をして竜の尾を踏むことも無いと考えて、直接聞いたりはしなかったんだが。

 

 

 他のクラスメイトも、全員が2人の様子に注目していた。みんな、やはり疑問に思ったのだろう。

 だって、普通に考えて女王様の行動はあまりにも意味不明過ぎるから。

 

 

 そんな中それを言われた女王様は、葛城ではなく俺の方を見て、

 

 

「橋本君、過去問」

 

 

 とだけ言ってきた。

 

 

 まったく……ほんっとに言葉が短いし、無視された葛城くんが青筋立ててるぞ? 

 

 

 とはいえ、逆らう意味もないから、過去問3年分を2人の前に出す。

 

 

「見て」

 

 

 女王様が葛城に言う。

 葛城は物凄く怪訝な顔をしていたが、とりあえず言われるまま、過去問を見ることにしたらしい。

 

 そしてすぐに、

 

 

「これは……3年全部、同じ問題、か? 一体これは……」

 

 

 葛城は過去問が全年度において全て同じ問題であることに直ぐに気付いた。

 

 それを聞いたクラスメイトがざわつき始める。

 まあ、そりゃそうだ。

 だって、もしそうだとするなら、中間試験はもはや終わった様なものなのだから。

 

 

 そんな中、葛城はあの事にも気付く。

 

 

「いや、だが……少し範囲が違う……のか?」

 

 

 気付く速度はまあ、流石と言ったところだな、葛城。

 

 だが。

 

 

「数日後に範囲変更の知らせがある」

 

 

 女王様がいつもの様に簡潔に述べる。

 もう、葛城が何を言うかなんて全てわかっていると言わんばかりに。

 

 

「そうか……いや、だからと言ってお前の行動は……

 

 

「クラスの事を思うなら、あなたのやるべき事は他の事だと思うけど」

 

 

 それでも食い下がろうとした葛城の言葉を遮ってトドメの一言。

 

 

 葛城は顔を歪めて悔しそうにしている。

 

 

 残念だったな、葛城。女王様はお前より明確に格上だ。

 

 

 さて、じゃあ俺も今から稼がせてもらいますか。

 

 

 そうして俺は、他のクラスメイトからPPを得るための交渉を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が葛城を始めとしたクラスメイトからPPと過去問を交換するための交渉をしていたところ、今度は別の人物が女王様に声をかけた。

 

 

 それは、もう一つの陣営の長である、坂柳……姫さまだった。

 

 

 

「怜山さん。聞くところによると、私の開く会議などを完全に無視していながら、別クラスの生徒と親交を深めているようですね?」

 

「ええ」

 

 

 女王様のいつも通り短い返事を聞いてから姫さまは続ける。

 俺たちも交渉を止め、全員で2人の美少女の話に耳を傾ける。

 

 

「会議に参加しないことはわかります。ですが、他クラスの生徒。よりによって怜山さんは、この私がその生徒に劣っている……そう、言いたいのですか?」

 

 

 あ、これめちゃくちゃキレてる。

 俺は姫さまの表情を見てそう思った。

 

 姫さまからしたら、女王様がクラスに貢献するしないはどうでも良く、まるで姫さまがその生徒に劣っているかのような扱いをされるのが許せないらしい。

 

 それに対して女王様は、全くの予想外で一見斜め上に見えるが、本質を的確に突いた発言をした。

 

 

「あなたの本当に聞きたい事、やりたい事はそれじゃない筈」

 

「……? それは一体……」

 

 

 姫さまも、その返事は流石に予想外だったらしく、怒りを忘れて困惑しているようだった。

 

 それは俺たちも同じ。全員がはてなマークを頭に浮かべていた。

 一見、ただ会話を逸らしたいだけの発言に思える。だが、さっきの葛城とのやり取りを考えると、何かまた深い意味があるのではないか、と全員考えざるを得なかったのだ。

 

 

「橋本君、あれを」

 

 

 女王様が俺に指示を出してくる。

 

 

 あれ……あれ、ね。

 ほんっと、一体どこからどこまで見透かしているのやら。

 

 

 俺は心当たりがあるもの、つまりは指示されたもう一つの品であるチェス盤を取り出し、2人の前に置いた。

 

 

「これは……フ、フフフ……」

 

 

 それを見た姫さまは笑い出す。

 

 

 それは決して嘲笑の笑いではない。

 それは、歓喜の笑みだった。

 

 ……いや、これはきっと歓喜だけじゃない。

 俺にはよく分からない。だが、まるで生物的本能をくすぐられるかのような、明らかにおかしな雰囲気を姫さまの笑みは宿していた。

 きっと、これを理解出来るのは同格以上の相手だけなんだろうな、と思った。

 

 

「フフフ……確かに。確かにその通りです。色々お聞きしたい事もありましたが……貴女との対決が叶うならば全ては些細な事」

 

「…………」

 

「ああ、なんて、なんて素晴らしい日なのでしょう。きっと、この日のことは一生私の記憶に残る、人生の岐路とすら言える出来事となるに違いありません」

 

 

 姫さまは頬を赤く染め、それはもう大層嬉しそうにし、よくわからないが何やら圧倒されるような雰囲気を強く宿しながらそう語った。

 

 

 

 そうして、俺たち1-A、いや、1学年における2トップの対決が、クラス全員の前で唐突に幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チェスってのは統計上先手有利と言われている。

 

 

 それは実力が高い指し手であればある程顕著のようで、俺もそこまで詳しくは無いが、先手勝率約40%、後手勝率約25%、引き分け35%と聞いた気がする。

 

 ゲームでそこまで勝率が偏るってのはなかなか聞かない。

 例えば、俺も少し嗜んでいるデジタルカードゲームでそんなに勝率の差がある場合、余程バランス調整が難しいとかじゃなければまず間違いなく運営によるテコ入れが入るだろう。

 

 そんな風に、チェスは明確に先手有利なゲームで。

 

 

 

 

 

 そして、今俺たちの目の前で繰り広げられている光景は、異常なものだというのが良くわかる。

 

 

 

 

 

 先手を取った姫さまは、側から見てそれはもうめちゃくちゃ必死に頭を使っていて、長考することがとても多かった。

 何というか、頭から湯気が出る、って表現がこれ以上無くふさわしいくらいに。

 

 

 

 反して女王様は、自分の手番が回ってきた瞬間に、全く表情を変えずに完全にノータイムで駒を動かしていた。

 

 

 

 それは、どう見てもおかしな光景。

 まるでこれは勝負などではなく、大人が子供に合わせて遊んであげているかのような。そんな光景。

 

 

「ここまで差があるものなのか……」

 

 

 思わず口に出したのが誰なのかはわからない。

 だが、それは俺たち全員の総意だった。

 

 もちろん、姫さまが弱いわけじゃない。

 見てる観客の中で、姫さまとまともに勝負出来る奴なんてまず居ないだろう。

 

 

 ただ、女王様が異常に強すぎる。

 その一言に尽きる。

 

 

 2トップの対決? 

 一体何を馬鹿な事を俺は考えていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして

 

 

 

「Resign。……流石、素晴らしいです」

 

 

 降参して自らのキングを弾いたのは、もちろん姫さまの方だった。

 

 歓声など上がる筈がない。

 Aクラスに蔓延っていた感情はただ一つ

 

 

 恐怖だ。

 

 

 全員の目の前で葛城を軽くあしらい、そして、あの姫さまを簡単に叩き潰す女王様への恐怖。

 

 

 このクラスで誰が一番強くて、誰に逆らってはいけないのか。

 

 

 どんな馬鹿でもわかる。

 

 

「負けた私にはもう何も言う資格はありませんね。これから先、怜山さんの行動に口を出す人間はこのクラスに誰も居ないでしょう」

 

 

 敗北した姫さまは、負けたにも関わらず何やらとても嬉しそうな顔をし、周りを見渡してからそう言った。

 当然、反対意見などある筈が無い。

 

 

「そう」

 

「ただ……負けた身で申し訳ないのですが、一つだけお願いを聞いてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「何?」

 

「私は、いずれまた貴女に挑みたい。その時はまた挑戦を受けてもらいたいな、と」

 

「……もう少し強くなってからなら」

 

 

 もうこれ以上無いほどの侮辱の言葉。

 だが、その言葉を聞いた姫さまはさっきよりも更に嬉しそうな顔をしていた。

 

 ……姫さまはSだと思っていたが、実はMなのか? 

 

 そんなどうでもいいことを考える俺を他所に姫さまは、もはや蕩けてしまったかの様な表情で言う。

 

 

「フ、フフフ……ここまで格下扱いを受けるのは生まれて初めてです。ですが、わかりました。私はこれから強くなりましょう。そしていつか必ず、貴女を打倒して見せます」

 

 

 そんなやり取りを交わす天才2人、いや、天才と化け物に口を出せるような勇者はこのクラス、いや学年には存在しなかった。

 

 

 

 

 

 

しかし……先程は興奮で見えていませんでしたが、冷静になって考えると、怜山さんは私がチェスを嗜む事や、勝負に拘る私の性格をご存知だった? だとしたら……

 

 

 何やら小声でぶつぶつ呟く姫さまを横に、俺は自分の判断の正しさを心の底から再認識すると同時に、女王様の機嫌は絶対に損ねてはならない、無意味な詮索などは決してしない、などといったことを改めて心に誓っていた。

 




チェスの勝率関連を修正
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