同じジャンプの能力モノです。通してください。
雄英高校入試実技試験当日
個性:尻尾を持つ
ヒーロー科への高いハードル。勉強の方は特に問題も無く、結果は今から始まる実技にかかっていた。
周囲にも雄英高校からトップヒーローを目指す志を持つ優秀な面子が揃っているように見える。
各々が体操服や勝負服を着ており、持つ武器なども木剣や槍、弓やグローブ等様々なモノだった。
尾白には足より太い筋肉で出来た尻尾と長年鍛えてきた武術がある。
空手独特の呼吸法で神経を集中させ前を向こうと思ったその時だった。
テニスのラケットを持った男を見つけてしまったのは。
ラケット?しかもラケットのガットの部分ではなく側面の部分でポンポンとボールを何度も跳ね上げていた。
「ハイスタートー!」
「くっ!」
集中を乱した瞬間に放送から開始が告げられる。
慌てて走り出すと既に一番手には先ほど見たテニスのラケットとボールを持った男子生徒がいた。
前からぼそっと声が聞こえてくる。
「リズムに乗るぜ♪」
その男子はまさしくリズムに乗るように左右に揺れながらいち早く前方へダッシュしていった。
あまりの速さに体力自慢の受験生も驚いている。
「速い!…でもあいつなんでテニスのラケットなんて持ってるんだ?」
尾白も心の中で同意していた。
そして事前に説明されていた試験でのポイントになるロボット達がいる交差点に尾白が辿り着くと、そこには既にその場の半数以上ものロボットを倒しているラケットを持った先ほどの男子がいた。
「
尾白の聞き間違えかロンドン行くよ等と聞こえたが幻聴であろう。ここは日本で今は試験中だ。
そしてラケットの男子がテニスのサーブのようにポンポンと地面にボールを跳ねさせた後上に放り、全身をしならせて上空のボールを叩きつける。
そのボールは1ポイントロボットの手前にバウンドし、異常な回転が掛かっていたのか弾道とは逆方向に跳ね上がりロボットを下から貫通し破壊した。
「「なっ!?」」
既に破壊されていたロボットを見ると同じようにボール大のものが貫通して破壊されていた。
テニスのボールも近くにいくつか転がっている。彼が行ったのは明白だった。どんな個性だと見ているとその彼が止まっている周囲に声をかける。
「
今日耳掃除忘れたかなと思うほどの空耳だったが意味は理解し、慌てて近くのロボットへ襲い掛かる面々。
「なんだあのテニス野郎は!」
「調子狂ったけど、
今日帰ったら耳掃除絶対しようとロボットを破壊しながら尾白は決意した。
粗方ロボット倒した尾白はさらに試験場の奥へ進んでいく。
ラケットの男子は既にいない。いなくて助かっている。
普通に敵を倒し、適度に困っている生徒達を助けている。
ポイントも大事だが目の前で困っている人を助けずにはいられなかったのだ。
そうしていると試験場中央の最も敵が多い場所へ到達する。
そこでは多くの受験生が各々の方法でロボットを倒すために奮闘していた。
しかしそこに秩序は無く、大乱戦といった所だった。
ある大柄な男子が腕を岩石に変えて目の前の2ポイントロボットを豪快に吹き飛ばす。
本人はそれに気をよくして次のロボットへ向かう。
だが尾白は見えてしまった。
その吹き飛ばされたロボットが角の生えた金髪の少女に向かって行ってしまう所を。
「危ない!!」
少女が尾白の声に気付き個性らしき頭の角を向けるが、既に限界まで使用しているからか角を使用出来ない。焦り逃げようとする少女。
尾白が全力で走り、飛び蹴りでそのロボットの軌道を変えようとした瞬間、黄緑の閃光が尾白を追い抜きロボットを巻き込んで誰もいない方向へ叩きつける。
その黄色い閃光が来た方向を見るとそこにはラケットの男子が振り抜いた姿勢でいた。
少女がその男子に手を上げ感謝の言葉と共に振る。
「Thanks!」
ラケットの男子も英語で返す。
「
「
この空耳は個性による攻撃なのかも知れない。
尾白は思った。
残り数分と放送で知らされると同時にソレは出現した。
数階建てのコンクリートのビルがソレの一振りで崩壊する。
その余りの破壊音に受験生全てがソレを発見する。
0ポイントのお邪魔ロボット。
数十メートルはある巨体に破壊力抜群の両腕。
それが出現し破壊を振りまきだしたのだった。
一瞬の空白の後に起こる混乱。
圧倒的脅威に皆が混乱し逃げ出す。
いきなり出現した0ポイントロボット。反対方向へ出来る大多数の流れに一部の受験生が乗れずに弾かれ取り残される。
尾白は近くにいた生徒を救助して安全な場所まで支えるが、まだ数人取り残されている。どうしようかと考えているとどこからか声が聞こえた。
「動くこと雷霆の如し」
すると光が走った。
ピカッと何度も走るそれを見ると、何とラケットの男子が光の速さで動き救助者を救い出していたのだ。
何を言ってるかわからないがそうとしか言えなかったのだ。
彼の普通とはいえ偏差値79を超えるボキャブラリーは悪くない。確かにラケットの男子が光の速さで動いていたのだ。
光の速さで動いて身体は大丈夫なのかと思ったが実際彼は無事だし、救助された受験生達も人の形を保っていた。スゴいね人体。
そして周囲の要救助者を全て救うと彼は、どれだけボールが入っているのかズボンのポケットから新たにボールを取り出す。尾白の目算では既に数十のボールがあのポケットから出ている。
よく見ると彼の服はテニスの試合で着られるようなジャージだった。ポンと上に放られるボール。
彼がまるで日本刀の様にラケットを大上段に構える。そして落ちてくるボール目掛けて一刀両断するかの如くラケットを振り下ろすと雷鳴が突如鳴り響いた。
晴れ渡る空に響く雷鳴。するとなんと0ポイントロボットの首が破壊され頭部が落下していく。首にはボールが通ったらしき破壊跡。
頭を失い前方に倒れてくる巨体、彼は新たにボールを取り出すとフォアハンドで大きく振りかぶり
するとボールが光り出した。
打った球が光ながら0ポイントロボットの体中央部に当たり、その小さな打球からは信じられないほどの威力でビルをも超える巨体を押し返す。
ボールに押し負け後ろに倒れていく巨体。
彼は用事は済んだとラケットを首にトントンと叩きながらロボットに背を向けて歩き出していた。いや、一歩で数メートルは移動していた。まるでそれは尾白が武術界で聞いたことがある縮地の様で…気のせいだと見なかったことにした。
尾白と彼が救助していた生徒は唖然と彼を見送る。
「…
「……そうだね」
近くの耳鼻咽喉科の病院予約しようと決めた尾白。発音通りに聞こえたはずなのに違和感が生じている。
「終ー了ー!!」
大音量で響く試験終了の合図。
尾白は疲れた顔で空を見つめた。
受かっていて欲しい。
だがあのラケットの男子も受かっていたら同級生になるのかと思うとお腹が痛くなる気がした。
これが尾白猿夫と後のナンバーワンヒーロー、
中学生が使えるのは中学生レベルの技だけです。
なおプピナッチョはチートなので禁止カードとします。