ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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まさか二年連続で年末年始に投稿することになるとは……偶然ってすごい(語彙力)



年末年始特別編!シロナの手記~巨大なポケモンたち~

ポケットモンスター、縮めてポケモン。この世界の、不思議な不思議な生き物。彼らは海・陸・森・山・川・町……いたるところで暮らしている。その種類は、近年では1000種類を超えたと話しされるほどだ。私自身もいろんな地方へ顔を出したものだけれど、まだまだ知らないことは多いみたいね。1000種突破のきっかけとなったパルデア地方のポケモン達……是非見てみたいわね。全国あらゆるポケモンの情報が記録されるポケモン図鑑……伝説のポケモンや幻のポケモンさえ記録できてしまう万能ツールだが、果たして本当に完璧と言えるのだろうか。

 

我が家に代々伝えられる、特別な手記。ボロボロになるたびに別の用紙に模写をして情報を保管し続けてきた貴重なもの。私のお母さんもお祖母ちゃんも、曾お祖父ちゃんも曾曾お祖母ちゃんも、代々この手記を模写し、綴り続けてきた。かくいう私も、その一人。私は母からこの手記を「絶対に絶やすな」と言われたが、同時に「絶対に外部に漏らすな」とも言われている。幼い頃はその意味がよくわからなかったが……大人となり、シンオウ地方のリーグチャンピオンとなった今ならば、その意味がよくわかる。

そこに記されているのは、果たして本当にポケモンなのだろうか。ひょっとしたらまだ見ぬポケモンがこの世界にいて私が見つけていないだけか、もしかしたらそれは私たちの知らない世界からやってきたのかもしれない。挿絵に描かれたその五匹の生き物たちは、デフォルメされてなお力強さを感じさせる姿をしている。我が家にしか伝えられていない、特別なポケモン達だ。

彼らはそれぞれ『鎧竜』、『海竜』、『火竜』、『氷牙竜』、そして『雷狼竜』という呼び方をされている。『海竜』と聞けば同じ名前のポケモン「カイリュー」が思い浮かぶだろうが、この『海竜』は青いウロコに二本の角を持つので全く別のポケモンだということが分かる。久しぶりに開いたのだ、せっかくなので一匹一匹を観察したと思しき内容を読み返すことにした。

 

 

 

 

ヒスイ中を駆け巡り、彼の竜達について聞いて回った。全ての事を終えた後、彼の竜達の情報を破棄するという噂を耳にして以来、ワタクシはどうにかこうにか情報を残すべく奔走した。

彼らの存在を抹消する?冗談ではない!!我が野望を打ち砕いた■■■■■の存在を秘すなど言語道断!それだけではない、彼女とこのヒスイで絆を深めた他の者たちに関しても同じ事が言える。……だが、ワタクシは彼女に警戒されている身、村での情報収集は難しいだろう。だから、彼らの観察・報告を任されているそれぞれの団に声かけをして、こっそり調査情報を流してもらった。ワタクシが見聞きしたものを書いてもいいのですが……それだと主観が暴走しそうなので、あえてここは第三者から情報を募りました。

いや、これがなかなか難しい……彼らが気前のいい人で本当に良かった。あと、彼女……ショウさんがなんだかんだワタクシの所業を口外せずに胸に留めていたことも功を奏した。ありがたやありがたや。さて、前置きはこれくらいにして早速彼の竜らのことをまとめあげねば!

ほとんどが他人から聞いた話なので情報の差異が生じる旨を此処に記す。

 

~岩山背負いし鎧の竜~

初めて見たときは、山が動いているのかと錯覚した。たいりくポケモンのドダイトスよりも大きく見上げる体高は凄まじく、一歩歩けば地鳴りが起きる。ましてこの沼地では至る所にあの竜の足跡が刻まれており、その大きさとくれば大の大人ですらペシャンコ待ったなしだ。

まさに歩く自然災害だ……にも関わらず当の竜は大の世話好きらしく、力の弱いポケモンに頼られれば一も二もなくその身を守り、その堅牢な鎧の如き岩の体で攻撃を跳ね返し、可燃性のガスや口から熱線を吐き、ことごとく焼き払った。

かくいう我等人間も、彼の竜より恩恵を賜る立場にあるのだが。彼の竜の体の一部は本当に岩で出来ている。移動や戦闘などで剥がれ落ちた鉱石は我々の理解を越える未知の材質で出来ていて、未知の性質を秘めた物質であることがシンジュ団のキャプテンによって判明したそうだ。

敵に回せば恐ろしく、味方であればこの上なく頼もしい……とても人間が御しきれるようなポケモンとは思えぬそんな竜が一人の少女に懐き、ましてボールに収まるなど……ポケモンがポケモンなら、人間も人間なのかもしれない。

彼の竜……■ラ■■■。いつからそこにいたのか、シンオウ様ならお分かりになられるだろうか。

 

~夜海を照らす蒼光~

久々にこの海岸に来てみたが、実に代わり映えのないことだ。といっても、それは昼間の話……この海岸の見所は、まさに今の時間、夜にある。

しばらくじっとしてみる。海ではハリーセンやドククラゲ達が我が物顔で海を占有しており、付近を遊泳するマンタインやタマンタらが追い立てられていた。おまけにギャラドスとも争っているようで、夜の海に似つかわしくない戦闘音が響いている。そのような不届き者共に、罰を下すものが現れた。

海の一部が、ぼんやりと光り始めた。蒼い光はゆっくりと下手人共に近づいていく。そこでハリーセンもギャラドスもようやく光の存在に気がついたようだ、ひどく慌てた様子を見せ始めた……当然だ、この海岸のヌシの逆鱗に触れたことを、遅まきながらに理解したからだ。

姿を見せる海の王者。背中に背負う柱を帯電させる胴長の竜。"海の竜"と呼ぶべき『海竜』の異名を取る海の竜王だ。竜王は高らかに咆哮を上げると、周囲一帯へ放電し、下手人共を一掃した。這う這うの体で逃げていく愚者を悠然と見送ると、タマンタ達から賞賛の声を浴びせられる。それを受けてなお竜王は泰然自若、静かで暗い夜の海を照らしながら、再び海中へと身を沈めた。

シンジュとコンゴウの両キャプテンから信頼される海の竜王、その名はラ■■■ル■。改めて思うが、あれは本当にポケモンなのだろうか……俺にはまるで別の生き物に見えてならない……。

 

~天空を舞う豪火の竜~

よく"上を向いてご覧"と言われることがある。幼い頃は夜空を見上げたり、天高く昇る太陽を見て時間を確認したりと、よく見上げることが多かった。

最近は、もはや見上げることそれ自体が目的のようになっている。『火竜』と呼ばれていたソレは、まるで「空こそ我が世界」とばかりにこの山麓一帯を飛び回っている。とりポケモンだってあんな長時間飛んでられないというのに……これがドラゴンポケモンの能力なのか。

なによりもすごいのは、あの『火竜』はあれだけの巨体と能力を持ちながら、進化の可能性を残していることだった。以前はあんなに赤かったのに、気がついたら全身が結晶のような青い姿に変わってたんだから驚きだ。あんなにわかりやすく姿が変わってたのに、名前はほぼ変化してない点はすこし笑ってしまった。

……ここだからあえて言うが、正直なところ雄大に翼を広げて空を飛ぶ竜の姿はまるで芸術のようだった。そうだ、美しかったのだ。勇ましく、雄々しく、美しい……私は気が付けば、あの竜の姿に見蕩れていたのだ。憧れた、と言ってもいい。

■■レ■■……いや、今は『輝界竜■■■■ス』だったか……とにかく本当に美しい。私はあの竜から、ドラゴンという生き物の本当の姿を見知ったような気さえしたのだ。

 

~つよくてかっこいいぼくらのしろきしさん~

○月×日。今日の"しろきし"さん。

"しろきし"さんの朝は早い。ぼくらがかんさつのために会いに行った時には、もう目を覚ましてる。

ちょうどご飯を食べ終えたところみたいで、こはく色のキバに血がたくさんついてた。あと、口まわりに茶色い毛もついてたから、またイノムーを食べたのかな。

■■■■に怒られるよって言うと、シュン、って落ち込むところがかわいかった。

 

△月▽日。今日の"しろきし"さん。

今日は待ちに待った"しろきし"さんかんさつ当番の日!わたし、ずっと楽しみだったからすごくうれしい!

"しろきし"さんはすっごくやさしいの!かんさつ中にオヤブンポケモンがやってくると、"しろきし"さんが守ってくれる!氷のたつまきを起こす攻撃で、あっという間にオヤブンポケモンをやっつけっちゃった!

■■■■が村をおそってきた時も、他のポケモンさんと一緒にいっしょうけんめい戦って村を守ってくれた!わたしたちのかっこいいえいゆうさん!大好きだよ!

 

☆月□日。今日の"しろきし"さん。

今日は"しろきし"さんの体をみんなできれいにしてあげたよ。じゅん白のとう土は強いポケモンがいっぱいいるから、"しろきし"さんに戦いを挑むポケモンがいる。それだけじゃなくて、"しろきし"さんとポケモン勝負がしたいっていう人もいがいといる。

"しろきし"さんはすっごく強い。うでのトゲや大きなキバ、トゲいっぱいの長いしっぽを使っていどみに来る人に次々とかっちゃうんだから。

でも、たくさん動けばそのぶんよごれちゃうから、"しろきし"さん専用の大きなおんせんで体をあらってあげるんだ。あらってる間の"しろきし"さんはまるでせきぞうのようにうごかなくなるから、あらいやすいんだ。

 

凸月凹日。今日の"しろきし"さん。

シンジュ団のみんなで"しろきし"さんのおせわをしてるんだけど、"しろきし"さんといちばんなかよしなのはコンゴウ団のワサビちゃん。なんでも、ギンガ団からとくべつにゆるされて一日中いっしょにいられるんだって。いいなぁ……。

でも、じつはシンジュ団のみんなにないしょにしてることがわたしにはある。それは、"しろきし"さんのお名前!わたしたちシンジュ団は長とキャプテンを除いた人はずっと『"しろきし"さん』って呼んでるし、ワサビちゃんもわたしたちの前では"しろきし"さんを『"しろきし"さん』って呼んでる。

でも、わたし知ってるよ。本当は『"しろきし"さん』ってなまえじゃないこと。あの子の本当の名前は……

 

ひょうがりゅう■リオ■■

 

えへへ、書いちゃった。見られたらおこられちゃうかなぁ?

 

~コトブキムラの護り狼~

コトブキムラで最強のポケモン使い、と聞けばいの一番に彼女の名前が出てくるだろう。では、そんな彼女の最強の相棒は誰か。この答えは二分される。

一つはダイケンキ。ヒスイ地方に適応した個体だが、彼女のダイケンキは角が折れた変わった個体だ。なんでも、あるポケモンとの死闘で折れたとかなんとか……いや、この話はまた後で。

まるで"極まった"かのようなダイケンキの戦闘能力は凄まじく、アシガタナをひと振りすると鎧袖一触。相対する者を撫で斬りにし、一刀のもとねじ伏せる。自分も先月辺りに時空の歪みでミジュマルを捕らえ、同じように育てているはずなのだが……彼女のダイケンキのようにはなれないようだ。相当な覚悟と決意が必要なのだろう……。

もう一つ……これこそ、今日までコトブキムラを守り抜いてきた最強の守護者……否、守護狼だ。いや、気にするな。私が少々大げさにそう評しているだけだ。

この守護狼は彼女が初めて出会った巨大ポケモンであり、それゆえに彼女自身も大変思い入れのあるポケモンだ。全身を駆け巡る稲妻、力の象徴たる角、最大の武器と言える鋭利な爪……どれをとっても一線級、まさに最強の存在だ。

テンガン山に降臨し、ヒスイを劫火に沈めんとした暗黒の邪龍をも退けたと言われている……おっと、この件は箝口令が敷かれているんだ、告げ口は無しで頼む。

蒼光を纏う雷狼……そう、そうだ。■■■■■……あれこそまさに象徴たる者。きっと他の竜達共々、シンオウ様に遣わされたに違いない!そうでなければ、あのような異形の姿である筈がないのだ。

 

 

これだけ情報が集まれば十分でしょう……あとは、いかに彼女たちギンガ団にこのことを悟られず残し続けるかを考えましょう。【極み】や【二つ名】といった特殊なポケモン達の情報破棄も気になりますが、ワタクシとしてはこちらのほうが重要案件、やむを得ませんが捨て置きましょう。

さて、一旦ヒスイから離れるとしますか。流石にヒスイの外へ追っかけてまで情報破棄を目論むほど暇ではないでしょうし……おや、誰か来たようですね。いったい誰が――

 

 

 

 

文章はここで終わっている。息を吐き、手記を閉じた。流石に人の手で補修・保全を繰り返せば、どこかで綻びが生じるもの……この手記も、その煽りを受けている。それにしても、どうして名前の部分がピンポイントで抜けているのかしら!

ヒスイ最強のポケモン使い。その手持ちポケモンの情報もある程度は残されている。それが"華彩剣"、"炎神"、"舞兎"、"白雷の鼠"、"嵐の鮫竜"、そして"斬断の剣鬼"だ。けれど、肝心の部分……私が知りたがっている巨大なポケモン達の情報は驚く程に名前だけが虫食い状態だ。この手記の最初の記入者が言ったとおり、意図的に情報を隠そうとしたのだろうか。すべては隠しきれないから、せめて名前だけでも……と。

一番考えられるのは、脅威。もしまだこのポケモン達が生きているorポケモン達の血を引くポケモンがいるとすれば、それを求める者が後を絶たなくなるだろう……それこそ、ギンガ団のような悪の組織のような輩が。それを懸念したトレーナーが情報抹消を図ったのだろう……私の祖先と思しき者は、そのことに反発したようだが。

 

けれど、最近になって進展があった。私の知り合いで、最近ポケモンWCSで優勝した少年がこのポケモンと接触しているところに、運良く立ち会うことができたのだ!!少年……サトシくんの話と文献の内容から、あの少女がヒスイ最強のポケモントレーナー『ショウ』と、巨大ポケモンの一匹である『ジンオウガ』だということが判明した!どうして彼女達が未来であるシンオウ地方にいたのかは定かではないし、あのあとシンオウ中を駆け回って行方を追ったが終ぞその姿を再び拝むことはできなかった。わからないことだらけだが、その中でも分かることはあった。

ジンオウガ……あのポケモンと目があったとき、思わず膝をつきそうになった。その時の心境は、自ら敗北を認めようとした時のようだと表現しよう。直感と本能で悟ったのだ……私では、どうあっても勝てないと。だから、なけなしの理性とサトシくんの声掛けのおかげで私もガブリアスも膝をつかずに済んだ……本当に助かった。

圧倒的だった……生物としての格が違いすぎる。あんなポケモンを従えることができたなんて、ショウという子は相当な傑物だったということか……あの時、会話ができなかったことが悔やまれる。……それにしても、本当にヒカリさんにそっくりだったわね。彼女のご先祖様なのかしら?

 

 

それからもう一つ。ヨスガシティにある『異文化の建物』という施設に飾られている絵……実はこの絵が、別の絵を上から塗り替えたものだということが判明した!そしてその別の絵というのが……

 

黒く巨大な龍と、それに立ち向かう見たことのないポケモン達だった。

 

しっかりと許可取りをして、入念に入念を重ねた調査の末に判明したものだ。バトル並に本気出したかもしれない。

この新発見にポケモン学会は震憾し、絵から読み取れる情報からヒスイ時代に存在したと思われるポケモンの想像図すら出回るほどの衝撃だった。そして……未知のポケモン達の絵の中に、そのポケモンはいた。

そう、ジンオウガだ。

我が家に伝わる手記に描かれたデフォルメ絵と同じ姿……間違いない!ジンオウガは確かにヒスイ地方に存在した!!一番近い姿をしているのはライボルトだろうか……その辺りから調査をすれば、なにか掴めるかも知れない。それに、『輝界竜』が進化前の『火竜』の名前で存在を残されている理由も気になる……あ~、さっきから知りたいことばかりしかない!!

もう一度ミオシティで情報検分してこようかしら。館長さんにはご好意で口止めしてもらっているとはいえ、迂闊にこの手記を表沙汰にはできないけれど……過去を紐解くことが業ならば、私はその業も背負ってみせる。それが、隠そうとした者の意志に背き、知ってしまった者の責任だと思うから。

 

 

 

 




「特別編その2:初夢は時渡りと共に」
https://syosetu.org/novel/282037/62.html

の後日談的な話。ショウと邂逅した、シロナさんのその後。
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