チート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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35 研修生として

9月1日。

俺はホグワーツにやってきた、…帰ってきた、というべきかな。

 

 

初めに同僚となる先生達──まぁ俺は研修期間だから、正しくは同僚じゃなくて、先輩になるのか?──に校長室で紹介された時には、あらかじめ知っていたダンブルドア以外は皆ぽかんと口を開けて驚愕していた。

 

 

「お久しぶりです、先生方!よろしくお願いします!」

「ノア!久しぶりだね、いやはや、モデル活動を引退したと聞いた時はショックだったが…まさか君が教師になるとは!」

 

 

いち早く冷静さを取り戻したのはスラグホーンであり、嬉しそうに笑いながら俺の手を取り強く握手をした。

他の先生達も第一陣の衝撃をなんとか飲み込めば、すぐに笑顔で俺を歓迎してくれた。

俺は模範生でもなければ、完璧な優等生でもない、まぁでも学生時代に教師達から嫌われてなかった事だけは間違いない。

だって、あんまり悪いことしてないしな!…うん、あんまり…!

 

 

 

先生達に紹介した後は、勿論生徒たちへの紹介が待っている。

本来なら大広間の教師陣の席に座り、新入生の組み分けが終わった後で発表されるのだが。俺が初めから居ては組み分けがスムーズに進まないだろう、というダンブルドアの言葉に教師たちと校長は神妙な顔で同意したため、俺は組み分けが終わった後で大広間に登場する事となった。

 

 

いや、いいんだけどな?

めちゃくちゃ目立つやつじゃね?

 

 

ホグワーツ生全員が大広間に入り、新入生の組み分けが進められる中、俺は大広間の扉の前で漏れ聞こえる大きな拍手や歓声を聞いていた。

 

懐かしいなーもう10年か?…時が経つのは早すぎる。あの時、もしスリザリンじゃなかったらヴォルと今の関係が続いてなかっただろうなぁ。本当、どんな些細なことで運命が変わるのかわかったもんじゃない。

 

 

 

「──さて、今学期から、新たに研修生を1人迎える事となった。彼はダンブルドア先生の元で、変身術の教師になる為に学ぶ、紹介しよう──皆、くれぐれも、冷静さを失わないで欲しい」

 

 

どんな前フリだよ。生徒たち不安そうにざわついてるじゃん。

俺は苦笑しながら両手で扉を押し開けた。薄暗い廊下に、大広間の眩い光が差し込む。

 

 

「ノア・ゾグラフ先生だ」

 

 

俺は大広間中の視線を集めながら、ディペット校長のいる壇上まで進む。

──おや?てっきり叫ばれるかと思ったが、やけに静かだ。

 

カツカツと俺の靴音だけが響き、校長の隣に並んでくるりと振り返った。

生徒たちは皆、溢れそうなほど目を見開き、口は顎が落ちそうなほどぽっかりと空いている。

 

 

「ノア・ゾグラフです。よろしくな!」

 

 

途端。

俺は自分の鼓膜が爆発したのかと思った。

 

ぎゃあああ!という耳をつん裂く悲鳴が轟く、きゃー!とかいう可愛らしい悲鳴じゃない。まじで雄叫びだ。いや、うん野太い声のうおおおみたいな叫びも混じっていた。

 

生徒達の爆発的な歓声と手の骨が砕けてないか心配になるほどの強い拍手は大広間の窓と言わずホグワーツ中を震わせた、間違いない、だって地面揺れてるし。「ノア!?」「ノア様!!」「う、嘘!これは夢!?夢なの!?現実なの!?」「目の前に神が…」「ああ、お母さん、僕をこの歳に産んでくれてありがとう…」様々な叫びがそこかしこから上がる。

とりあえずへらりと笑って手を振ってみれば、俺に近い方から順番に、ばたりと机の上に伏せて倒れたり後ろにひっくり返る生徒の多い事多い事…。

 

教師陣の席では皆が頭を抱えていた。

うーん、俺って罪な男だぜ!

 

 

「静まりなさい!」

 

 

校長が必死に叫び、手に持っていたベルを鳴らす。まだ興奮した表情の生徒達だったが、何とか口を閉ざし──無理矢理手で抑えている者も居た──俺をじっと見つめる。

 

 

「…ふう。やれやれ…まぁこうなることはわかっていた。──ノアは研修生だが、あくまで、教師だ。皆くれぐれもそのように接するように。…ノア、君もだよ」

「はぁい校長先生」

 

 

先生らしく振る舞います。──多分!

俺は教師陣の卓に向かい、空いているダンブルドアの隣に座った。直後目の前の金の皿や杯に料理や飲み物が現れ、新年度最初の宴が始まった。

 

 

俺も皿に少しポテトサラダを取って食べながら、俺の方をチラチラと見る生徒達を眺める。あー上級生の何人かは見覚えがある顔もいるなぁ。俺がここを卒業したのは…ちょうど四年前だから、俺と一緒の時期に過ごした後輩はまだ残ってるのか。

マートルとミネルバはもう卒業してるから、今のホグワーツに俺の騎士は居ない。…残念だなぁ。

 

 

「ノア、後で私の部屋に来なさい」

 

 

食事が終わった後、ダンブルドアがそっと俺に耳打ちをした。

 

 

「先生?俺が生徒じゃなくなったからって手を出しちゃダメですよ?」

「そんな事しない。…明日からの打ち合わせだよ」

 

 

ダンブルドアは肩を下げてため息をつく。俺のこのからかいを何度も経験しているダンブルドアは、このくらいでは動揺しないか。まぁわかっていて言ってるんだけどな。

 

 

 

 

 

俺がホグワーツに研修生として現れた。

その話は瞬く間に生徒達によりフクロウ便でそれぞれの親に伝えられ──爆発的に魔法界中に広まった。

 

9月2日の朝には何百羽ものフクロウ便が俺のホグワーツへの帰還を喜ぶ手紙を運び、かなりの山になっていた。

その中には俺の騎士達の宛名が書かれた手紙もあり、試しにアブラクサスの手紙を読んでみれば「何とかして潜入します」と書かれていた、いやいや、無理だろ。え?ルシウスと同じでアブラクサスもホグワーツの理事だったりするのか?

ベインからは「どうにかして写真を送ってほしいんだ」という文書が何度も言葉を変え切実にしたためられていた。うん、後で撮って送ろう。メイソンからは「教師かぁ、生徒達を魅了しすぎちゃダメだよ!頑張ってね!」と割とまともな応援の言葉が綴られていた。

 

騎士達とも、ゆっくりと会えてないな。

モデル活動が忙しすぎて、なかなか皆と会えていない。…まぁ、サイン会には必ず皆来てたから、その時にちょっと喋ったりはしてるけど。

サイン会に来なくともいつでもサインくらいするけど。と言えば、俺の騎士達は皆真剣な顔で首を振り「何もわかってない!」と嘆いていた。

どれだけオフで親しくとも、こうしてサイン会に赴きファンとしてサインを受け取るのが重要なのです。って、アブラクサスは熱を込めて語ってたっけなぁ。

 

 

俺は騎士達には返事をしようと決め、数枚の手紙を内ポケットに入れ、後の数百枚はそっと鞄の中にいれた。──うん、呪いかかってないのだけ読んで、後でこっそり処分しよう。

 

 

 

 

ーーー

 

 

俺の研修は、そこそこ上手く順調にいっていると思う。

学期の後半にはダンブルドアの代わりに一人で授業を進めることも多くなった。生徒達は皆俺の言葉ひとつたりとも残してなるものかとばかりに食い気味で聞くし、質問を投げ掛ければ皆がハーマイオニーのように爪先立ちになり手を上げた。

うん、間違いなく生徒達の中で呪文学のレベルだけが鰻登りだな。

 

俺は校長から許可を貰い、特別に魔法飛行ネットワークを使い隔週日曜日は家に帰っている。モデル活動の契約の事でどうしても俺本人が行かなければならない事があると言えば、割とあっさりと許してくれた。

ただ、本採用し、教師になった時にこの特別待遇は出来ないとハッキリと釘を刺されてしまったのだが。

ま、教師達もホグワーツで生活しなきゃダメだもんなぁ。夜の見回りとか、校舎は広いのに教師は少ないなら、意外と大変だし。

 

 

「ただいまー」

「お帰り」

 

 

5月のとある日曜日。

俺は魔法飛行ネットワークを使い、一度事務所に飛び、その後いつものように姿現しをして家に戻った。

 

 

「もう、あっちは落ち着いた?」

「魔法界はね。──ただ、マグル界は未だに五月蝿いよ。どうしても復帰して欲しいみたい」

「あー…マグル界には全く姿を見せてないからなぁ…」

 

 

仕方がない事だけど、俺は魔法使いで、やっぱり魔法界にいる方が楽だ。

魔法を使わないなんて考えられないし、自然と服を着たりするだけでも魔法に頼っているのだから、マグル界で間違いなくうっかり魔法を使いかねない。マグルの前で魔法使ったら、魔法省が五月蝿いからなぁ。

 

 

「まだ何社か、契約破棄に同意してないんだ。…頑なすぎてちょっとインペリオしようか、って何度思ったことか…」

「えーっと、…思うだけでまだ済んでるのか」

 

 

それは、かなり奇跡だと思う。ヴォルがマグル相手に我慢するなんて、今まで考えた事もなかった。ぶっちゃけ、インペリオしてると思ってた。

 

 

「…次に向こうに行くのは7月だ。その時、ノアも連れて来いって言ってる。それで無理だったら…まぁ、魔法に頼るしかないね」

「ああ…悪い、夏休みだし、行けると思う。その時ちゃんとわかってもらえるように()()()()する」

「よろしく。僕はもうマグルと話したく無い」

「はは…」

 

 

どうやら、寧ろよりマグル嫌いになったようだ。うーん、まだ呪い殺して無いから、オッケー!だと、うん、思っておこう。

 

 

 

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