チート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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プラットホームにはホグワーツ特急が停車し、発車時刻まで静かに煙を出しながら出発の時を待っていた。

まだ何人もの子供たちが家族との別れを惜しみそこかしこで別れの挨拶の声がザワザワと聞こえる。

 

 

「坊ちゃん。本日の紅茶はフォートナム&メイソンのロイヤルブレンドです。お茶菓子はチョコレートに、プレスタ社の物をご用意しております」

「…良い香りだ」

「光栄です」

 

 

勿論ここはコンパートメントの一室だ。

執事たるもの坊ちゃんにはいつでも快適なティータイムを過ごしていただけるようにコンパートメント内を拡張し、美しく品のあるテーブルや椅子を出し、丁寧に紅茶を淹れる。…勿論魔法を使って、だが。

 

 

「……ここだけ別世界じゃない」

「ベラ、私もこんなカッコいい執事が欲しいわ…」

「ベラトリックスお嬢様、アンドロメダお嬢様。お口に合いますか?」

 

 

ルシウスの斜め後ろに立ったまま、机を挟んだ向かいに座るベラトリックスとアンドロメダににっこりと声をかければ2人は「美味しいわ」と答えてくれた。

 

ベラトリックスは真っ黒な髪にやや焦茶の瞳。

ブラック家は美形揃いという通説もしっかりと彼女は当てはまっていて、強気で鋭い目をしているがそれでもまだ四年生の女の子、フツーに可愛い。将来ヴォルデモートに狂わせられる片鱗はまだ見えてない。いやーでも映画でも美女だったからなぁ、実は俺のタイプの見た目をしてるんだよなぁ。あんな感じの強気の美女が好きだ!

 

ベラトリックスの隣にいるのは彼女の妹のアンドロメダ。

ベラトリックスとよく似ている黒髪だがその目はベラトリックスに比べると丸く優しそうに見える。アンドロメダはルシウスの1つ年上、つまりホグワーツの2年生になる。

もう1人、お馴染みのナルシッサはルシウスの1つ年下の為、来年ホグワーツに入学するだろう。

因みにだが、ナルシッサとルシウスは既に婚約関係にあるらしい。純血貴族としては幼い時から婚約者がいるなんて当たり前らしいが…なにそれ羨ましい。俺はもう一生童貞で独身なのか?ど、独身なのはもう仕方ないとかて、童貞だけは何としてでも卒業したい!

 

 

 

「いつの間にこんな執事を雇ったんだい?」

「ホグワーツ入学にあたって…父上からのプレゼントさ」

 

 

ルシウスは俺をチラリと振り返り、ふっと笑う。上下関係を表すこの微笑も、めちゃくちゃさまになってるよなぁ。

 

 

「私を選んでいただけて光栄です」

「…相変わらず、アブラクサスさんは過保護ねぇ」

 

 

アンドロメダは俺を見て呟く。優しげに微笑んで見せればアンドロメダはその青白い頬をぽっと染めてはにかんだ。

うーん、これが俺の元の姿だったらアンドロメダもベラトリックスも簡単に気絶させられるのに!いや、まぁこの姿も十分イケメンだけどさぁ。どっちかというと背景に黒薔薇でも背負ってそうな見た目だからな。前までは多分…後光が射してたかな?

 

 

汽車ががたんと揺れてカップに入っていた紅茶が僅かに波紋を広げる。窓の外を見ればゆっくりと景色が動き、その速度は徐々に速くなっていた。

 

ついに、ホグワーツに行く。

ここでルシウスは死喰い人の子どもから集会に誘われなければならない。目星はまぁ、ついてる。ベラトリックスは原作ではかなりヴォルデモート狂いだったし、彼女に近付いていたら自然と誘われる…と思いたい。

ブラック家はヴォルデモートの思想を肯定してるとはアブラクサスから聞いてるし。純血主義を掲げてないヴォルに、まだそこまで狂ってないかもしれないが…まぁその辺りはおいおい探っていこう。見た限り、ふつーの女の子なんだけどなぁ。

 

ヴォルと会う事は、1、2年で叶うとは思っていない、きっとそれなりに高学年にならないとダメだろうな。…ヴォルがそれまでに世界征服しなきゃいいけど。

 

新入生の時、ヴォルと一緒にホグワーツに向かった事や、ホグワーツで過ごした日々の事を俺はぼんやりと思い出していた。

 

 

 

ルシウス達の話を聞きつつ──何やら舞踏会や懇親会の話しをしていた。貴族は色々パーティが好きらしい。──三度目の紅茶を入れ始めた時、汽車中に間も無くホグワーツに到着するという無機質な声が響いた。

 

 

「坊ちゃん、制服に着替えないといけませんよ」

「ああ、そうだな」

 

 

俺は指を振りコンパートメント内から机や椅子を片付け、鞄の中からルシウスの新品の制服を取り出す。ルシウスは立ったまま無言で俺を見上げていた。

ああ、そうそう服の着替えもしなきゃならないんだったな。

 

しかしここには女性がいる。──確かこういう時は隠さないといけないって書いてあったな。

 

 

俺は指を鳴らしコンパートメント内を真っ暗にした。

 

 

「きゃっ!」

「な、何が…!?」

 

 

アンドロメダとベラトリックスの悲鳴と動揺の声が聞こえる。すぐにルシウスの服を魔法で着替えさせ──ああ、ついでに2人の服も着替えさせておこう。──また指を鳴らしコンパートメント内の光を戻した。

 

 

「え…あっ、服…!」

 

 

突如戻った明かりにアンドロメダは眩しそうに目を瞬かせていたが、自分の服が制服に変わっていることに気付くと驚いてスカートを摘みローブを広げた。

 

 

「…ノア、彼女達に一言かけるべきだ」

「申し訳ありません坊ちゃん」

 

 

驚いているアンドロメダとベラトリックスを見たルシウスは低い声で呟き俺を見上げる。

ぐいっとネクタイを引っ張られ、体をかがめる。不敵に微笑んだルシウスの顔と距離が近くなった。…ま、まつ毛長っ!

 

 

「──お仕置きが必要だな?」

 

 

ルシウスの背後に黒薔薇が見える。

「なんなりと」と答えればアンドロメダは俺とルシウスの耽美さに顔を真っ赤に染めて頬を抑えた。目はキラキラと輝いている。

 

 

「……ルシウス。…あんた…。……まぁいいわ。ほら、もう汽車が止まったみたいだよ」

 

 

ベラトリックスは何とも言えぬ顔で俺とルシウスを見ていたがその頬はアンドロメダと同じで赤い。彼女達はどんなお仕置きがされるのか間違いなく気になったに違いない。

 

……ってか、このお仕置きうんぬんってマートルに「絶対絶対必要です!!」って力説されたから習得したけど、ミネルバが買った教科書にこんなの載ってなかったよな。

間違いなく、マートルの趣味だなこれ。

 

 

 

「ルシウスは新入生だから別だね。…じゃあ、スリザリンで待ってるよ」

「またね、ルシウス!…ノア!」

「ああ」

「行ってらっしゃいませ、ベラトリックスお嬢様、アンドロメダお嬢様」

 

 

ルシウスがスリザリンに組分けされる事を微塵も疑ってない彼女達はそういうとコンパートメントから出て行く。

残された俺とルシウスはチラリと視線を交わした。

 

 

「──なんとかなりそうだな?」

 

 

扉に魔法をかけ外から見れない聞こえない開けないようにし、コンパートメント内の状態をもとに戻しながらルシウスに声をかける。

ルシウスはほっと胸を撫で下ろし「ええ、」と頷いた。

 

 

「さて、…ルシウス?俺にお仕置きするんだって?」

「そ、それはっ!あ、あの…その…!」

 

 

ルシウスの腰を引き寄せ囁いてみれば、ルシウスは可哀想な程真っ赤に顔を染めてあわあわと狼狽えた。

うーん、すましてるルシウスも可愛いけど、いつものルシウスがやっぱ良いな。

 

 

「冗談だって。…よし、ここから先はまた執事と主人だ。…頼むぜ?ご主人様?」

「は、はい…頑張ります!」

 

 

ルシウスはぺちぺちと自分の頬を叩き気を引き締めると、先程のような凛々しい表情に戻り、ちょっと顎を上げて俺を見上げた。

 

 

「…行くぞ。ノア」

「はい、ルシウス坊ちゃん」

 

 

俺は胸に手を当て扉を開く。

ルシウスは一度深呼吸をして、その開けられた扉を通った。

 

 

 

 

俺が駅に降り立った時、あからさまにあの大人は誰だという目で見られたが、ルシウスは何も反応を返さず──主人が反応しないという選択をしたんだ、執事である俺が何かを言う権利も理由も無く、そのままちょっと若いハグリッドに引率されて行ったルシウスを見送った。 

 

 

「えーと。確か他の生徒が着く前に教師に説明するんだっけ…」

 

 

集合場所も時間も聞いてないが、今ホグワーツ生はまだ馬車に乗らずここにいる。今のうちに城の中に入って挨拶を済ませるべきだろう。

 

人気の無いところまで移動し、さっさと姿現しをしてホグワーツ城の玄関にたどり着く。扉を押し開け、とりあえず1番近い大広間に向かう。多分先生達はここで生徒の訪れを待っているだろう。

 

 

大広間に続く扉を開ければ、無数の蝋燭が天井近くを漂い広間全体を煌々と照らしている。並べられた長机の上には特別な日のみ出される金の食器が並び、生徒達の到着を待っていた。──懐かしいな。

 

 

その先、教師陣が座る上座にある机には、俺の想像通り先生達が既に着席して待っていた。

あー…懐かしい、スラグホーン先生まだ現役だったんだ?ミネルバも居るし…うん、かなり映画で見た顔ぶれが並んでいる。少し若いけど。

 

突如俺が現れたにも関わらず、先生達はそこまで警戒をしていない。と、いうことは俺の事はダンブルドアから予め聞いているのだろう。

 

俺は上座へ向かい先生達が見渡せる場所で足を止め、胸に手を当て深々と頭を下げる。

 

 

「ノア・キャンベルと申します。坊ちゃん…ルシウス様の執事として、この学園に滞在する許可を頂きました。勉学の邪魔になる事は致しませんので、ご安心を」

 

 

よろしくお願いします。と微笑めば先生達は口々に自己紹介を始める。うんうん、良い反応だ!とりあえず警戒心は無いし、俺の事は誰も気付いてないっぽいな。

 

 

「…ノア。君が過ごす部屋を用意しておる。…ミネルバ、案内を頼めるかね?その後、手筈通り新入生を迎えに行ってくれんかのぅ」

「はい、ダンブルドア校長。…さて、こちらです、私についてきてください」

「ありがとうございます」

 

 

もう一度先生達に頭を下げた後ミネルバの後ろを静かについていく。

そっかー流石にルシウスと同室は無いか。ま、そうだよな。執事とはいえ大人が居たら、ルシウスのルームメイトになる子が可哀想だよなぁ。…しかし、スリザリンの談話室には入るぞ、うん。執事だしいけるだろ。

 

 

「…バレてませんか?」

 

 

学校の廊下を歩きながら、ミネルバが俺にだけ聞こえるほどの小さな声で聞いた。…一応、どこにゴーストがいるかわからねぇし、声が漏れないように遮断しておこう。

 

 

「ん、今のところ、ブラック家の子供たちにもバレてない。…そっちは?」

「ダンブルドアがマルフォイ家から執事が来ると、初めに説明がありました。今まで無かった事では無いので…特に疑いの目で見ている人は居ないと思います」

「そっか…よし。もし何かあったらすぐに知らせて」

「はい、わかりました。……ノアさんの部屋はここです」

「……んん?」

 

 

どう見ても校長室である。

ミネルバがガーゴイルに「コットンミントシュガー」と伝えれば、ガーゴイルは音を立てて脇に避け、その先に見慣れた校長室へ続く階段と扉が現れた。

 

つまり、俺は校長室で寝泊まりするのか。…えっダンブルドアと毎日同衾しなきゃなんねぇの?…いやいやどんだけ俺の事信用してないんだよ。

 

 

「校長室の奥、ここがノアさんの自室です」

 

 

校長室の奥には前までは無かった扉が一つある。

ミネルバが開けて俺を通せば、その先には四畳半くらいの狭い部屋。どことなく孤児院の自室に似た作りなのは気のせいなのか、ダンブルドアの嫌味なのか…微妙なところだなこれは。

部屋の中にはシンプルなベッドと、タンス、机に椅子。以上!それだけ!ベッドの上にはコンパートメントに置いてあった俺の服が入っている小さなトランクがポツンと置かれていた。

ま、いつでも姿表しで家に帰れるから良いけど。

 

 

「私はこれから新入生の元に行きます。ノアさんは、大広間に戻る方が良いでしょう」

「オーケー。ミネルバは引き続き生徒の監視を頼む、何か異変があったらすぐに知らせてくれ。腕輪に触って俺の名を呼べば良いから。…これからよろしくな、マクゴガナル先生?」

「…はい、よろしくお願いします。ミスター・キャンベル」

 

 

俺が手を差し出せば、ミネルバは薄く微笑んでしっかりとその手を握った。

 

 

 

 





アンドロメダとベラトリックスの口調が迷子です。
アンドロメダの生年月日がわからないので、
ベラトリックス四年生、アンドロメダ二年生、ルシウス一年生として書いてます。
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