チート能力を駆使して転生人生謳歌します!   作:八重歯

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05 俺はどこからどう見ても美しい

ホグワーツでの生活はそれはそれは楽しいものだった。

俺の想像以上にホグワーツは平和だったし、何よりあまりスリザリンとグリフィンドールが歪みあっていない。勿論両手を上げ「へい兄弟!」というわけではなく、スリザリンには純血主義者も多いが、それでも廊下でいきなり魔法を使っての戦闘は始まらなければスリザリン生がグリフィンドール生を表立っては、バカにする事も無い。──ま、裏ではちょっと純血以外を見下してはいるが。貴族と平民のような区別だろう。

 

スリザリン生の中でも普通にグリフィンドール生と仲がいい生徒が居て、他のスリザリン生はそれを見てもなんとも思っていないようだ。何故こんなに平和なのだろうか?親世代でも子世代でも蛇VS獅子はいつもバチバチやりあっていたのに。

 

 

 

「…あー。そっか、ヴォルがいたからだな」

「…何、いきなり…」

「うんにゃ、何でもねー」

 

 

談話室で暖かい暖炉に当たり図書館から借りてきた数多くの本を読んでいたヴォルは俺のいきなりの呟きに怪訝そうに顔を上げたが、すぐに視線を本に落とした。

 

俺はヴォル──トム・リドルをじっと見る。

 

きっと、この後ヴォルが魔法界を闇に染めて行く過程でスリザリン生とグリフィンドール生の中が決定的に離別したのだろう。過去の創設者たちのように。

ヴォルデモートがスリザリン出身だと言うのは周知の事実だった。こんなとこまでヴォルデモートの影響があるなんてなぁ。

 

 

ま、何となくそんな気がしていた。

ヴォルは、魔女とマグルのハーフだ。勿論今それを知っている者は少ないが、きっといずれバレてしまうだろう。隠すことは出来ない…夏休みにマグルの孤児院に行く事なんてすぐバレそうだし。

それにも関わらず、小説内でトム・リドルは生徒や教師からの信頼を得ていた──ダンブルドアを除き──きっと、まだスリザリン寮が真に排他的な寮ではないから、ヴォルはこうして生活できているんだ。

 

 

…ってか、もしヴォルが混血だと知ってスリザリン生から疎まれていたなら、ヴォルはマグルも魔法使いも滅ぼそうとしたのかなぁ。

 

 

ふと、そんな事を考え、まだマシなのだろうかと──そう思ってしまった自分に苦笑いした。

 

 

 

「…何、急に笑って…気でも狂った?…ああ、元からか」

「失礼だな!…あ、そうそう俺この後用事があるんだ」

 

 

壁にかけられている時計を見て立ち上がる。ヴォルは少し眉を寄せ「どこにいくの」と聞いた。

 

 

「寂しいか?ん?」

「別に。ノアに僕以外で話しかける人なんていたんだって思っただけ」

「またまた失礼だな!いるわ!ヴォルが図書室に入り浸っている間に俺は親交を深めてスクールデイズしてるわ!──今から撮影だ」

「…何の?」

「俺の」

 

 

あっさりと答えるとヴォルは眉を寄せたが何も言わず再び本に視線を落とした。自分から聞いておいて興味のない事にはこれだから!

 

──ちなみに、ヴォルは俺以外の人の前では人当たりの良い優しい笑顔を浮かべ対応している。思いっきり猫をかぶったその姿にこっそりと魔法で猫耳カチューシャを出し寝ている隙にそっと頭につけたら翌朝猫耳カチューシャはバキバキに粉砕していた。──合掌。

 

 

 

 

ーーー

 

 

「いいね!さいっこうだよ!」

「そうか?」

「さぁ振り向いて!手は腰!悩ましげに目を伏せて!」

「…こう?」

「あぁあ!イイ!イイよぉ!」

 

 

パシャパシャと何度もシャッターが押されその度に俺はポーズを決めた。

写真を撮るのは俺のファンクラブの隊長のハッフルパフ5年生だ。鼻息荒く写真を撮られまくり、すぐにネガを特殊な魔法薬で現像し俺に嬉々として出来を見せる。

 

 

「おおー!!すげえ!」

「だろう?僕らのノアはどの角度でも完璧だ!」

 

 

写真にはゴスロリの服を着た俺が写っている。この服は俺が魔法でひょいと変化したものだが、うん、やっぱ男の娘は何を着てもさまになる!

 

 

「売ったわけ前の8割は俺、2割はベインのだからな?」

「金なんていらないよ!この写真さえあればいいんだ!」

 

 

沢山複写しながら男はうっとりと恍惚の目で写真を眺める。

俺は金がない。しかし金が無いのはつらい。金が無いのなら作ればイイ。その単純明快な思考により、ちょっと写真を撮っていると言うわけだ。

 

 

「ベイン、次はどんな服にする?」

「そうだなぁ──って!ノア!僕に触れないでくれたまえ!」

 

 

ほんの少し肩が当たったというだけなのに、ベインは飛び上がるとずざざっと一気に壁まで後退し、ずれた眼鏡を必死に戻しながらぶんぶんと首を振る。戻したそばからまたメガネがずれた。

 

 

「君に触れるなど、もってのほかだ!」

「…変わってるやつだなぁ」

 

 

恐れ多い!と顔を赤らめ必死に叫ぶベインに苦笑する。ファンクラブの隊長であるベインはほんの僅かにでも俺に触れようとしない…勿論いやらしい意味ではない。俺を神聖化するあまりに触れたら穢れるとでも思っているのだろう。うーん、アイドルの握手会には来れないけどめちゃくちゃ金を積むタイプだな?

 

 

「あ、そうだベイン。俺って男子生徒からの人気はあるけど、女子生徒からは…そこそこだろ?どうしたらイイと思う?」

「え?うーん。そうだなぁ。…リドルと一緒に写真を撮るとか。一部の女の子たちは美少年のツーショットが好きなものだからね!」

「ああ…成程!天才だな!」

「光栄だね!」

 

 

成程、どの世界でも、どの年代でも一定数の女の子は見た目麗しい男子の絡みが好きなのか。

それなら早速ヴォルを連れてこよう!イイ感じの絡みを取らなければ!──濃厚なのは流石にのーせんきゅーだけどな。

 

 

俺は服をいつもの制服に戻すとすぐにスリザリン寮へ戻り「離せ、どこに連れて行く気だ」とうるさいヴォルを無理矢理空き教室へ連れて行った。

 

しかしかなりの抵抗もその空き教室にベインが居る──他の誰かが居ると分かると直ぐにやめ、ベインに対してにっこりと微笑みかけ、その笑顔のまま俺を見た。おーおー目がちっとも笑ってねぇ。

 

 

「ノア、いきなり連れて来て何だい?説明してよ。…この人は?」

「この人はベイン、撮影係だ。んで、今から俺とヴォルでツーショットを撮る。…な?写真くらいならいいだろ?」

 

 

おねがい!と言えばヴォルは少し眉を寄せながらもため息をつき「…いいよ」と答えた。

くるりとベインを振り返ったときにはいつもの爽やかな笑みを浮かべているのだから、相変わらずブレない。

 

 

「じゃあノアとリドル。壁のところまで下がってくれるかな?」

 

 

ベインはパン、と手を叩き直ぐに俺もヴォルに指示を出す。ヴォルは普通に撮るだけだろうと思い込んでいるため特に何も言わずに壁に寄るとその背を壁に預けた。

 

 

「違う違う!壁に背をつけるのはノアだ。リドル、君はノアの前に立って、壁に片手をつく。──おお、いいね!ノアはもっと目を潤ませて!恥ずかしそうにして!──いいよいいよー!」

「……なにこれ」

「ん?俺とヴォルのツーショット」

 

 

ヴォルの目は死んでいた。──かなりキレている。

それでもベインが近づけばすぐに表情を取り繕う徹底ぶりだ。その猫被りが自分を苦しめていると分かっていても、ヴォルはどうする事もできないのだ。

 

 

「よーし!次は──リドル!そのまま自分のネクタイに手をかけて!…ああ、違う!完璧に外しちゃだめだ!君はなにもわかっていない!」

「誰がわかってたまるものか……」

 

 

ヴォルが俺にだけ聞こえる程度の小声で重々しく呟いた。

 

 

 

 

撮影大会はその後も続き、壁ドンしてるヴォルと悩ましげな俺。ヴォルにより机に押し倒された俺。ヴォルによりその胸の中に抱きすくめられてる俺エトセトラエトセトラ…かなりの枚数とポーズで撮った後、ベインは満足げに顔を輝かせ「これは高く売れる!」とウキウキしながら現像しだした。

 

 

「こ、…これを売る気なのですか?…他の人に…?」

「独り占めしたいか?ごめんなぁヴォル」

 

 

ヴォルは表情を引き攣らせ、一応先輩に向かって敬語で怖々と聞いた。どうか聞き間違いであってほしい、あんな写真が大衆に見られるなんて、考えるだけで頭が痛い。──間違いなくヴォルはそう思っていただろうな。うん、顔が真っ青。

 

 

「あ!心配しないで!売り上げ報酬はノアとリドルで半分ずつでいいよ。僕はいらないからね!」

「やったなヴォル!これを売れば小金持ちになれるぜ!」

 

 

はっはっは!と高らかに笑う俺とベインにヴォルはその端正な微笑みを引き攣らせるとポケットから杖を出し「アクシオ!」と唱えた。

 

 

「ああっ!リドル、何をするんだい!?」

「ひでぇ!独り占めにする気か!?」

「捨てるつもりだよ」

「独り占めにしてナニするつもりか!?」

「そんなわけないだろう!」

 

 

ヴォルはその写真をすぐにポケットに入れると俺とベインを睨んだ、少々本性が漏れ出しているが、まあ11歳だから仕方がない。

 

 

「あーあ。まぁ僕は人の嫌がることはしない主義だ。その写真はリドルにあげるよ」

「ちぇっ一攫千金も夢じゃなかったのに…」

「…ノア、君は本当に…こんな見せ物みたいになって…僕なら耐えられないよ」

「俺の魅力を知らない人が居る方が耐えられないね!」

「そうとも、ノア、君は何よりも素晴らしい。僕には君の魅力を周知する義務がある」

「───はぁ…」

 

 

ヴォルは大きなため息をついた。

最近よく頭を押さえている。頭痛ばっかだな?医務室行った方がいいんじゃないか?

 

 

 

 

後日談として、無事だったネガで再び写真を現像しヴォルにバレないようこっそり写真を売り捌き、なかなかの値段になった事を記述しておこう。

 

女生徒たちが何やらこそこそと俺とヴォルを見て囁き合い「あの子が上の子よ!ほら、みて…」と言っていたのは聞こえないふりをしたし。ヴォルは何のことかわからなかったようで首を傾げていた。

 

 

「…最近視線を感じるんだけど」

「そりゃ、俺とヴォルは美しいからな、注目もされるだろ」

「ふーん…ま、そうだね」

 

 

自分の顔面に自信があるヴォルはすぐに納得すると、俺が通販で買ったやたら闇の魔法が多い本を機嫌よく読み出した。

 

 

「こんな本、買うお金あったの?」

「ああ、俺のゴスロリ写真はなかなかの売れ行きだしな。──嫌な思いをさせたお詫びさ」

「…ま、これに免じて許してあげるよ」

 

 

ご機嫌なヴォルの言葉に「ありがとうマイダーリン!」なんて言って飛びついたが、いつものヴォルなら人前では嫌そうにするのに余程本が嬉しかったのか振り払うことはなかった。

俺が抱きついた途端周りの女生徒たちがきゃっきゃと喜びひそひそと小声で話し合って居たため、そちらを振り向いてにやりと意味ありげに笑えば女生徒はさらに色めきたち興奮したように頬を赤く染めた。

 

 

 

 

 

 

 

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