有情のヒーローアカデミア(ただし本人はヒーローにあらず) 作:激流を制するは静水
不定期更新になるしエタる可能性も大ですが、読んで頂けると北斗の拳っぽく泣いて喜びます。
「哀しみを怒りに変えて生きよ!!拳王の統治は恐怖によってなる!されどその後の平安はおまえの手で!」
「哀しみを怒りに……」
「リュウガよ、いこう!乱世に生き殉じた男たちのもとへ。わたしたちもまた星となり熱い男たちとともにケンシロウを見守ろう!!」
さらばケンシロウ!!
北斗四兄弟の次兄、トキ。
彼は義弟であるケンシロウに後の世のことを託し、逝った。
しかし、彼は天に帰ったのではなかった!
救いを求める声は次元の壁を超え、北斗神拳史上最も華麗な技の使い手にして、「人の命を助ける人間」として生きた彼を天に輝く星々はその世界へと導いたのだ!
これは、誰よりも『有情』であった男が誰よりも命を救うための物語である。
そして同時に、これは『ヒーロー』の物語ではなく――
『無個性』でありながら強く、優しく、そして誰よりも
ある世界――
その世界の廃墟の一角にトキは一人、立っていた。
「ここは……?」
辺りを見回すが、誰一人いないどころか小動物の気配もない。
「ん……?」
トキはふとした違和感を感じて精神を集中すると、その表情は驚きのものに変わる。
「これは……!わたしの肉体が刹活孔を突く前どころか、死の灰によって病を患う前と同じ程の活力を得ている!?」
近場にあった割れた鏡を見てみると、そこにあるのは死の直前の姿と何ら変わりない自分の姿。
「外見は変化していないようだが、肉体がある程度若返っているのか?それとも感覚が麻痺しているのか……いずれにしても、病に侵されていた頃と違って体の中に違和感は感じない。何故かは分からないが、ともかく誰かいないかここを出て探してみよう。体が軽くなったのは幸いだな」
瓦礫を踏み分け、廃墟から出たトキが目にしたのは信じられない光景であった。
核戦争後の世界とは到底思えないそれは、高層ビルが所狭しと建てられ、そこかしこに木々による緑があり、道行く人々が色鮮やかで様々な服装をしている。
それだけでもトキからすれば驚愕すべきことだが、それ以上に目を疑ったのは人とも思えぬ異形が普通に人々の生活に溶け込んでいたからだ。
(どういうことだ!?まさか……ここはあの世界の未来だというのか!?いや、だとしてもあの異形の者たちを当然のように受け入れている理由も気にかかる。まずは何か情報を手に入れなければ……)
そう思って一歩踏み出したトキの耳に聴こえてきたのは、複数の銃声。
「この音……!」
「おい、あんた!何ボーっとしてんだ!」
「『銃指』の個性を持ってる強盗がいよいよこの町に来たんだよ!奴は金のためなら形振り構わなくて有名な凶悪『
「何だと……!?」
この世界ではしっかり金が価値あるもの……というのはこの際どうでもいい。彼にとっては強盗、そして凶悪『ヴィラン』ということしか耳に入らなかった。『ヴィラン』がどういうものかは分からないが、聞く限り犯罪者のようなものだろう。
「くそっ!『ヒーロー』は何してるんだよ!」
「被害者が多くてそれの救助に手一杯だって!」
「アイツを放っておいてもますます被害者は増えるだろ!」
彼方此方から上がる悲痛な声、それを無視出来るようなトキではない。彼の足は自然と銃声が鳴り止まぬ方へと向けられた。
「な……!?あんた、そっちは!!」
「誰かが行かねばなるまい……そしてわたしの北斗神拳は力なき命を助けるためにある」
「北斗神拳……?聞いたことない『個性』だな……」
『個性』……気になる言葉ではあったが、今は尚も聞こえてくる悲鳴と銃声を無くすのが先決。その考えを変えないトキは、音のする方へと駆け出す。この時、彼自身は意図していなかったのだが、明らかに常人では出せない速度で走って行ったためにそれを見ていた一般人は唖然としていたという。
トキがその場に到着すると、そこでは人差し指が銃口へと変化している男が笑いながら弾丸を撃ちまくっていた。逃げ遅れた人々の中には被弾したのか、足や腕から血を流して苦しんでいる者もいる。
「ヒャッハァァァ!!退かねえと怪我しちまうぞぉ〜?退かなくても撃つけどなぁ!!」
「貴様……!」
「ああん?何だオッサン、それともジジイか?まあどっちでもいいけどな!!」
その男――件の『ヴィラン』が銃口と化した人差し指から銃弾を撃つも、トキは緩やかな動きで回避した。
「ハァ!?」
「貴様の放つ弾道は見切りやすい。それは何故か?答えは簡単だ、跳弾でもなく貴様はその人差し指を向けている方向にしか弾丸を撃てていないからだ」
トキはそう言い放つと、ゆっくりと円を描くように構え、そのヴィランに通告する。
「大人しく捕まり、罪を償うと言うならばわたしからも口添えしよう。そうでなければ仕方ないが、少々手荒なことをしなければならない」
「まぐれで避けたくらいで調子に乗るんじゃねえ!!」
「……では、まぐれではないことをその身で持って証明させてもらおう」
次の瞬間、トキは目にも止まらぬ早さでそのヴィランの懐に飛び込み、瞬く間に秘孔を突いた。するとどういうわけか、ヴィランは両手を真横に伸ばしたまま、体を動かせなくなってしまう。当然、『個性』というものの使用も不可能。
「ぐ……おお……!?テメェ、何をしやがった……!?」
「秘孔の一つ『
完全にヴィランが動けなくなったのを確認したトキは、すぐさま怪我人の治療に入る。ヴィランにやったように、しかし今度は全く違う効果を発揮する秘孔を突く。
「……!?血や、痛みが止まった……!?」
「今突いたのは『
「助かったよ……あんた、すごい『個性』だな」
「ここに来る前に聞いたが、これは『個性』とやらではなく拳法で、そこで得た知識を使った治療にすぎない。おそらくその『個性』とやらがあればもっと良い治療かが出来るのかもしれないが……」
「なっ!?あんた、これだけのことが出来て『無個性』だってのか!?信じられねぇ……世の中が本気でひっくり返るレベルだぞ」
新たに出てきた『無個性』という単語……おそらくは度々言われていた『個性』を持たない者を指すのだろうが、トキにとって重要なのは今も苦しんでいる怪我人に治療を施すこと。その場を駆け回り手当をしていくトキを見た人々は、彼が『無個性』だと分かってもまるで救世主を見るような目であった。
程なくして警察が到着し、救急車が到着するとトキは若干驚きつつも怪我人の搬入を手伝う。しかし、どうやらこの世界では大っぴらに個性の使用は出来ないらしく、個性の使用許可が下りる免許無しで個性の使用を行ったとされたトキは連行される。
……はずだった。
しかし、人命救助に尽力したこと、そして何より複数人がトキは『無個性』であり己の知識と技術のみでヴィランの無力化と怪我人の治療を行ったのだと証言したため、その確認を行うべくまずは怪我人たちと共に病院へと連れて行かれた。
病院での検査結果は当然、結果は無個性と確定。
そもそもこの世界で生まれ育っていないトキは『個性因子』さえ有していない。加えて事情聴取に協力的であり、証言した一般人の言っていたことが嘘ではないと証明するべく秘孔の一つを突きながら説明することで信憑性は更に高まりトキは無事解放、凶悪ヴィランの逮捕と多くの負傷者の救助に協力したと後日表彰されることになる。
生まれた世界とは違う世界。
再び生を受けたトキの、命を助ける闘いが今再びここから始まったのである。
あんだけやって無個性って言われても信じられないよね、ってなわけで検査と事情聴取されました。
本人は病の進行=実力の低下と言われるのを嫌っていたとはいえ、病によって全力を出せなかったのは事実だから完全復活したらどんだけ強いのトキ兄さん。
ってなわけで書いてみましたが、これからどんどんご都合主義が出てくると思いますがご容赦下さい。
ついでに、秘孔を突いたら体の動きが止まる→体の一部を使った個性も発動出来ない、というのは私個人の独自解釈です。
もし、他にも北斗キャラを出すとしたら
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ケンシロウ
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ジャギ
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ラオウ
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レイ
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シュウ
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サウザー
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ハート様
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アミバ
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むしろトキ兄さんを強化しよう
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……霞拳志郎(蒼天の拳)