有情のヒーローアカデミア(ただし本人はヒーローにあらず)   作:激流を制するは静水

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やっと完成いたしました、USJ襲撃編。今回は前編相当です。
過去最長になったけど、展開的にA組とトキの合流タイミングに悩んだ結果、そこでかなり時間がかかりました。それ以降はある程度スラスラ書けてたけど、どのぐらいまでにしようかとまた悩み、本日ようやく完成に至りました。
少しばかりギャグに見えるシーンがありますが、そこはご愛嬌ということで。


第十話 ヴィラン強襲!悪意の果てに仁王は蘇る!!

 トキが死柄木弔と黒霧という二人組のヴィランに遭遇した数日後、トキの警戒していた『オールマイトが屋外で教導を行う日』がやってきた。

 

 それはA組のヒーロー基礎学の時間。

 

 

「今日のヒーロー基礎学は、訳あって俺ともう一人を含めた三人体制で教えることになった。内容は人命救助訓練、今回はその内容から場所よって色々と制限がかかるだろう。よってコスチュームは各自の判断で着ろ」

 

「オールマイトに相澤先生、それともう一人の三人体制……トキ先生は参加しないんですか?」

 

「あいつは今日リカバリーガールの代わりに孤児院へ医療ボランティアに行ってる。本人は遅れて合流するよう努めるとは言っていたが、用事が用事だけに疎かにはさせられん。いつものようにどこかぶっ壊して、すぐにトキに診てもらえると思うなよ、緑谷」

 

「は……はい!」

 

 

 

 

 

 都合悪くトキはリカバリーガールが定期的に行っている孤児院での医療ボランティアに代理で行っており、危惧していたその日に現場でスタンバイ出来ないことを申し訳なく言っていたのだが――

 

 

「安心してくれ、トキくん!如何なるヴィランが来ようと私が生徒たちを守ってみせる!HAHAHA!!」

 

 

 ……と、普段通り笑っていたオールマイトを信じ、早朝からボランティアに向った。しかし、これまた普段通り通勤ギリギリまで活躍したおかげで仮眠室で休憩することになったという、何とも言えないことになっているとはトキが知る由もない。

 

 事前に伝えられていたにも関わらず、トキの信頼をヒーロー故に仕方ないとはいえ裏切るようなことになってしまい、仮眠明けにオールマイトがリカバリーガールから怒鳴られるのは不可避であった。

 

 

「ちょっとは危機感を持ちな!あんたは実力も正義感も立派だけど昔っから頭が残念なんだよ!」

 

「返す言葉もございません……」

 

 

 オールマイトには一度トキに頭が良くなる秘孔でも突いてもらった方がいいのかもしれない。そんな都合の良い秘孔があるかは疑問だが。

 

 

 

 

 

 それはともかく、訓練場までバスで移動することになり、委員長として仕事しようとした飯田が張り切ったところ無駄に終わったり、出久の個性がオールマイトに似てると言われ焦ったりした後、何故かトキの話題となった。

 

 

「そういやさ、トキ先生ってどっから来たんだ?」

 

「ケロ、確かに気になるわね。普通に鍛えただけじゃあんなに強くはなれないわ」

 

「個性把握テストのとき、『兄さんやケンシロウ』って言ってたけど、ケンシロウって誰だろ?」

 

「あれだ、兄さんの後に続くんだし弟じゃねーか?」

 

「ていうかトキ先生以上にスゲーパワー持ちなんだろ?もしかしたら握力1t超えるんじゃ……」

 

「……まさかその方々も無個性なのでは……」

 

 

 八百万の疑問は当たりである。あの世界、分かりやすく個性持ちと分類されるなら肉体的な意味でサウザーなどほんの一握りしかいないだろう。

 

 ヒャッハーなモヒカンはアレあの世界のデフォルトなので除外。こっちの世界の人間が見たらあれを個性と解釈するかも。

 

 ついでに言っておくが黒王号も強靭で巨大な馬なだけで別に『筋肉』の個性があるわけではない。個性持ちの根津校長(最近ビルドアップしてきてる)と同じに考えないように。

 

 

 盛り上がってきたところを相澤に中断され、やや不完全燃焼気味だが気持ちを切り替えて授業に臨むA組の生徒たちの前に現れたのは、アトラクションのような施設が立ち並ぶ『ウソの災害や事故ルーム』略してUSJと、宇宙服のようなコスチュームに身を包んだスペースヒーロー・13号。ちなみ性別は女性。

 

 

「13号、オールマイトの姿が見えないんだが……」

 

「それが先輩、実はですね……」

 

 

 案の定人助けに飛んで走って回っていたことにより仮眠中、と聞かされた相澤は額を抑えるハメになった。トキが詳細な情報を齎し、注意喚起してくれたのに全くを持って骨折り損、トキの読みが良い意味で外れてくれることを祈るしかない。

 

 そんな相澤を慰めつつ、13号から救助訓練前のお小言を頂戴することになったA組。

 

 要約すると個性は人を生かすことも殺すことも出来る危険な力、それを理解しヒーローとして己を律するように、ということだ。トキがいればその姿勢に迷わず拍手を送ったことだろう。暗殺拳――人の命を奪う拳法である北斗神拳を人の命を助けるべく振るうトキはその考えに深く賛同している。

 

 その後、彼女は続けて個性を人命救助のためにどう使えるかを学ぼうと努めて明るく告げた。個性は人を傷つけるためではなく、助けるためにあるのだとも。

 

 

「以上、ご静聴ありがとうございました」

 

 

 お辞儀する彼女に惜しみない拍手が送られ、授業を行うべく相澤が説明しようと口を開いた瞬間、その場にいる者全員が突然悪寒に襲われる。それから相澤の判断と動きは早かった。

 

 

「全員一塊となって動くな!13 号は生徒を守れ!」

 

 

 切羽詰まったような声で叫ぶ相澤と、黙って頷き生徒たちを取りまとめそれを守るように自身が前に立つ13号。そのタイミングを見計らったかのように、USJの中央広場にある噴水付近に黒い霧が突然出現し、少しずつ大きくなり広がっていく。

 

 そして、その中から現れたのは――

 

 

(あの風貌……!トキの報告にあったヴィランか!)

 

(となるとあの霧はもう一人のヴィランの!)

 

 

 相澤と13号は数日前に会議したとき、トキが描いてくれていた似顔絵と一致するヴィランを確認し、警戒を更に強める。どちらの個性もかなり厄介なのは教師たちの間では周知の事実。その二人だけでなく、数十人のヴィランも続いて霧の中から続々と現れた。

 

 

「何だ何だ!?また入試と同じく始まってるパターンか!?」

 

「違う!あれは正真正銘のヴィランだ!!」

 

 

 相澤が叫び、死柄木と呼ばれているだろうヴィランを睨む。先に口を開いたのは黒霧と呼ばれていた方だった。

 

 

「13号にイレイザーヘッドですか。先日目にしたカリキュラムではオールマイトもいるはずですが……あの男が何か入れ知恵したのかもしれません」

 

「何だよそれ。あのチート野郎に俺たちの作戦がバレてたのか?でもそれでオールマイトを外したのは愚策だったな」

 

 

 死柄木はそう言うが、逆にオールマイトを万全の状態でスタンバイさせておくつもりだったのに、当の本人が台無しにしたのだと気付く日は来るのだろうか。

 

 

「平和の象徴は助けを求める声を見捨てない……じゃあ、見せしめに子供を殺せば来るのかな?」

 

 

 底なき悪意は、不気味に笑う。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 その頃――

 

 

「予想よりも早く終わったな。皆良い人ばかりでよかった。さて、今から向かって間に合うか?」

 

 

 ボランティアを終え、多数の人々からの感謝の言葉で見送られつつ、トキは救助訓練の場であるUSJに向かうことにする。せめて、間に合わなかったとしても労いの言葉の一つもかけてやりたいと思い、根津校長直筆の地図を取り出す。

 

 

「さすが個性"ハイスペック"の根津校長、分かりやすく的確だ」

 

 

 最近筋肉もハイスペックになりつつあるからか、隅に書いてある自画像が「サイドチェストォォォ!!」ポーズなのはスルーしておく。

 

 場所を確認し、急ぎ足でUSJまでの道を駆けていたところ、前方から猛スピードで爆走してくる見知った顔を見つけて声をかけた。

 

 

「む……?飯田?」

 

「ッッッ!?トキ先生!?」

 

「どうした?こんなところで。救助訓練は?」

 

 

 トキとしても飯田が授業をサボったりするような人物でないのは十分理解している。その彼が焦った顔で、しかし必至に走っている姿から何かを察したのだ。

 

 飯田はというと、トキという自分から見ても凄腕かつ人格者な教師に、偶然とはいえ雄英までの道で出会えた安心感を覚えて目に涙が溜まり始めてる。

 

 

「トキ先生……!USJに、大勢のヴィランが……!皆が、僕に助けを呼ぶようにと行かせてくれて、今、雄英に……!!」

 

「何だと……!?」

 

 

 やはりと思ったトキではあるが、驚くのは一瞬。元より想定していたことだ。唯一気になるのは――

 

 

「オールマイト先生もいたはずだ。彼は?」

 

「い、いえ……何かあったらしくて、僕たちが来たときにはまだ……」

 

(何をしてるんだ、あの人は……)

 

 

 いくら人助けに奔走したとはいえ、結果がこれでは素直に褒められない。事前に伝えてあったのに、とトキすら呆れ気味である。

 

 

「分かった。彼らが来るまでわたしが何とかしよう。飯田、君は皆に頼まれたように、雄英に助けを呼びに行くんだ。頼んだぞ」

 

「ッ……はいっ!トキ先生もお気をつけて!!」

 

「うむ、お互い全力を尽くすぞ」

 

 

 ビシッと敬礼し、飯田は再び全速力で走り出す。トキはその姿を穏やかに見つめ、すぐに気を引き締めてUSJへの道を疾駆する。

 

 

 

 

 

 

 

 トキがUSJに到着した時、目にしたものは――

 

 

「相澤先生……!?」

 

 

 脳が剥き出しの黒い巨体を持ったヴィランに叩きのめされている相澤、そして案の定訪れていた死柄木。

 

 

「ん?ああ、やっと来たかチート野郎。こないだの借りを返しに来たぜ」

 

「これはお前たちがやったのか……?」

 

「見ればわかるだろ?ガキ共は分からないけどイレイザーヘッドはこの通り"脳無"の手でズタボロさ」

 

 

 死柄木はそう続けて言い、せせら笑うも――

 

 

 

 

 

 ――ゴキリ

 

 

「ぎゃあああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 いつの間にか背後に回っていたトキに、両肩の関節を外された。その目は静かな怒りに染まっている。

 

 

「相澤先生を解放してもらおう……!でなければ次は他者の命を奪うその指を貰うぞ!!」

 

「あ……がぁ……ッ誰がッ……!脳無!!」

 

 

 死柄木が苦し紛れに脳無に指示を出し、トキを攻撃させるもそれは無意味と化す。

 

 

「激流を制すは静水」

 

 

 緩やかな動きで脳無の一撃を反らし、脳無のその動きから相手が拳法を使うわけではないと見抜いたトキは両手を静かに脳無の胴に添え――

 

 

 

 

 

「北斗剛掌波!!」

 

「ギッ……!?」

 

 

 

 

 

 凄まじい闘気の波動を零距離から脳無に叩き込み、大きく吹き飛ばした。あまりに突然かつ衝撃的なことで死柄木も驚愕していたが、そうしているうちにトキに頭を鷲掴みにされ、脳無が吹っ飛んだ方向と同じ方へ思い切りぶん投げられる。個性把握テストにて700mに迫る記録を出した腕力は伊達ではなく、死柄木は今までで一番空を飛んだという。

 

 

「うわあああああ!?」

 

「今はお前たちの相手をしている暇はない。救うべき命が目の前にいるのだ」

 

 

 トキは相澤を横抱きすると、近くに来ていた出久、蛙吹、そして峰田の傍まで瞬時に移動する。三人はトキに驚くも、それ以上に相澤の状態が心配でならない。

 

 

「トキ先生いつ来たんだよ!?」

 

「つい先程到着したばかりだ。こちらに向かう途中、飯田に会って大体の状況は聞いていたが、ここまでとは……」

 

「飯田くんは無事なんですね!」

 

「ああ、時間的に今頃は雄英に到着しているはず、彼が援軍を連れてくるまでの辛抱だ。蛙吹、わたしの鞄から包帯やガーゼの入った救急箱を出してくれ。わたしは相澤先生に応急処置を施す」

 

「ケロ、分かりました」

 

 

 そう言うとトキは相澤の秘孔を順番に、かつ的確に突いていき、蛙吹が出した救急箱を礼を言いつつ受け取り、可能な限りの治療を済ませる。

 

 

「よし、幸い見た目は大怪我だが命に別状はない。本格的な治療をする必要はあるが一先ずは安心だ」

 

 

 トキの言葉もあって、三人はようやく安堵した。とはいえまだヴィランが残っているため、安心するのはまだ早いが少しくらいはいいだろう。

 

 

「ト……トキか……?」

 

「……!はい、遅くなって申し訳ありません」

 

「気にするな……元々来れないと踏んでいたからな……だが、見ての通り俺はこのザマだ……生徒たちを、頼む」

 

(何という人だ……こんな状態になっても自分の体より生徒たちのことを)

 

 

 弱々しく手を上げる相澤の手をしっかり握り、トキは頷いた。

 

 

「もちろんです。貴方が決死の覚悟で守り抜いた生徒たち……今度はわたしが貴方も含めて守ります。今はゆっくり体を休めて下さい」

 

「トキ先生!」

 

 

 出久が焦ったように叫び、何だと思って顔を向けるとそこにはチンピラ風のヴィランがゾロゾロとやって来ていた。死柄木がいたということ、それはおそらく黒霧もいたのだろうと予想したトキは、黒霧が万が一に備えて用意した増援だと考える。

 

 

「……三人とも、相澤先生を頼んだぞ」

 

「トキ先生、まさか一人で……!?」

 

「相澤先生は負傷して動けない。彼を守る者が必要だ」

 

「け……けどよ!あいつら武器を持ってる奴もいるぜ!?」

 

「むしろ、好都合だと言っておこう」

 

「「「え?」」」

 

 

 聞き返してきた三人を置いて、トキはゆっくりとヴィランの群れの前に歩を進める。案の定というか、ヴィラン側は丸腰のカモがやってきたと思っただろう……が、実際はその逆。カモはヴィランの方なのだ。

 

 

「何だ何だ?自殺志願者かあ?」

 

「んだよ女なら良かったのによお〜オッサンかよ」

 

「つーか俺らを睨んでやがるな。身の程ってやつをわきまえな!」

 

「お前たちがな」

 

「あぁ!?ゴブッ!!」

 

 

 気がつけば、トキが一人のヴィランの腹に手を添えると、そのヴィランの中で何かが弾けたような感じになり、顔の穴という穴から血を噴き出して倒れる。痙攣しているが、死にはしないだろう。

 

 

「な……て、てめえ!何しやがった!?」

 

「最近覚えた"仙氣発勁"という技だ。少々危険なため威力をだいぶ低めに抑えたが……そうして正解だった。本気でやれば体が弾け飛んでいたかもしれぬ」

 

 

 トキは淡々と言ったが、ヴィラン、そして出久たちは真っ青になっている。手で触れたものを崩壊させる死柄木よりある意味タチが悪い技だ。そうなったら内臓が辺り一面にぶちまけられる光景になってしまう。実にエグい。

 

 

「て……てめえヒーローだろ!?そんなことしていいのかよ!?」

 

「わたしは単なる保健医だ。ヒーローではない」

 

「ウソつけぇ!!そんな殺意全開の技使う保健医がいてたまるか!!」

 

 

 殺意全開、というが本来は普通に倒す程度の技だ。トキが練り上げた気の質が異常に高かっただけである。

 

 

「ビビんな!相手は一人だ!フクロにしちまえ!!」

 

「「「うおらああああ!!!」」」

 

 

 一斉に飛びかかってくるヴィランに心配そうな声を上げる出久たちだったが、それはヴィランに向けるべきだったと即座に手のひらを返すような光景を目にしてしまう結果となった。

 

 先程峰田の「武器を持ってる奴もいる」という発言に対し、トキが言った「むしろ好都合」という言葉……それを体現するように相手の武器を奪い取ってそれで叩きのめしている。

 

 北斗連環組手(ほくとれんかんくみて)――北斗神拳の初歩の組み技なのだが、組む前にぶっ飛ばしてるとか言ってはいけない。己の拳や、奪った相手の武器を駆使し、襲いかかってくる多数の敵を倒すというもので、手っ取り早く言うなら『大乱闘』もしくは『無双』状態と覚えればいい。

 

 ヌンチャクを使ってきた相手は奪われたそれで顔面を粉砕され、放り投げたもので同じくぶっ飛ばされたり、棒術自慢のヴィランは受け止められて逆に掴んだまま棒を振り回され周りのヴィランに激突しまくり悲惨なことに。

 

 しかし、悲惨な末路の頂点はその上を行く。

 

 

「げえっ!?俺の"念操"の個性で動かしてるナイフが!?」

 

二指真空把(にししんくうは)。一応奥義ではあるが……お前は流派持ちではないな。ならば問題ない」

 

 

 空中を自在に飛び交うナイフをトキに中指と人差し指で掴まれ、飛び交っていた時より凄まじい速さでヴィランに投げ返されると――

 

 

「おっふぅ!?」

 

 

 ヴィランの股間にドスッという音を立ててブッ刺さった。これには他のヴィランや出久、峰田にも精神的ダメージが降りかかる事態に。特に峰田は血涙まで流して失神直前のダメージを受けたらしい。別に攻撃されてないのに。

 ……ついでにやられたヴィランは何か恍惚とした表情で失神していた。ヤバい。

 

 それからは瞬く間に蹴散らされ、死柄木が黒霧に手を貸されながら戻ってきた頃にはヴィランたちは全滅していた。

 

 

「お前っ……このチート野郎……どこまで俺たちの邪魔をすれば気が済むんだよ!!」

 

「どこまでもだ。少なくともお前たちが改心するまではな」

 

「ああそうかよ……ならやっぱり()()を使うしかないみたいだな。黒霧!」

 

「ええ、ただ……正直アレは私たちでも制御困難。出したら即座に退避しましょう。あの脳無もまだ先のダメージから回復出来ていないし、壁にもなりはしないでしょうから」

 

「わかってる。仮に脳無が使い物にならなくなっても、アレがオールマイトを殺すだろ。他の連中も巻き添えになるだろうが……まあ、どのみち適当なヴィランを寄せ集めただけだしな」

 

 

 死柄木が言い終わると、黒霧はその個性でUSJ襲来時同様に何か――おそらくはヴィランか脳無――を呼び出そうとする。だが、今回は規模が段違いだ。トキはそうはさせまいと妨害しようとしたが、一歩遅かった。

 

 辺り一面に黒い霧が広がり、その中から一体の脳無らしきモノが少しずつ姿を見せる。そこまではよかったのだ。問題は――

 

 

 

 

 

「何だよ、あのデカさ……!!」

 

 

 

 

 

 そう、峰田が零したように大きさがおかしい。一番最初に確認出来た手だけでも成人男性を握り潰せるような大きさで、吹っ飛ばした脳無はまだ巨体で済んでいたレベルなのだが、今現れ出したのはそれすら可愛く思えるほどだ。

 

 

「や……ヤバいヤバいヤバいヤバい!!」

 

「ケロォ……!?」

 

「待てよ待て待て待てって!おかしいだろそいつ!人間じゃねえだろ絶対!!」

 

「さあな、俺は詳しく知らないぜ?何せ"先生"が拾った死体をベースに作ったらしいからな」

 

「何……!?」

 

 

 トキからしてみれば、今死柄木の言ったことが事実なら許せぬ蛮行。死者を弄ぶような真似をするのは言語道断。医者としてだけでなく、人として許せぬことだ。

 

 

「おいおい、言葉足らずだったのは悪いと思うが、拾った時はそりゃもう悲惨な状態だったって話だぞ?何でもダイナマイトで吹き飛ばしたかのようにあちこち吹き飛んだ形跡があったみたいでさ……人の形に戻してくれた先生に感謝があってもいいと思わないか?」

 

 

 戯けて言う死柄木に、トキの怒りは爆発寸前であった。そして脳無らしきモノがその全身を現すと、出久たちは戦慄する。そしてそれはUSJの各所に散り散りにされた生徒たちから見えるほどの巨体を晒す。

 

 

「さあ好きなだけ暴れろ、"悪夢"!!」

 

「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!」

 

 

 10mを超えるその体から、聞く者全てを恐怖に陥れる咆哮を上げ、巨大脳無――悪夢は動き出した。

 

 トキは窮地に立たされる。

 

 かの悪夢が使う、古代インドにて完成された殺人拳――羅漢仁王拳によって。

 

 そして何より、相手が拳法を使うことで、ある『掟』にトキが縛られてしまったことで。

 

 


 

 

 かつてない脅威が現れた!

 

 掟に縛られ全力が出せないトキに、絶望的状況を打破する術は!?

 

 

 次回!有情のヒーローアカデミア!

 

 『全てを解き放て!真なる継承の時!!』

 

 

「お前がこの世界で、最初の伝承者だ!!」




デビル・リバース、肉体改造されパワーアップして蘇生(?)しました。
というかあの巨体で素早くて破壊力無限の殺人拳使うって、そんなん改造したらヤベーだろと書いてて実感しました。
Mt.レディが巨大化して約20m、ギガントマキアが通常で確か約3m……デビル・リバースは通常時で約10m。
こんなんあっさり倒したケンシロウが如何にデタラメか良くわかります。その当時のケンシロウさえ万に一つの勝ち目もないと言われた拳王様……やはり世紀末ですわあの世界。

もし、他にも北斗キャラを出すとしたら

  • ケンシロウ
  • ジャギ
  • ラオウ
  • レイ
  • シュウ
  • サウザー
  • ハート様
  • アミバ
  • むしろトキ兄さんを強化しよう
  • ……霞拳志郎(蒼天の拳)
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