有情のヒーローアカデミア(ただし本人はヒーローにあらず)   作:激流を制するは静水

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有名な個性把握テストの回ですが、どう詰め込もうか考えた結果前後編にすることにしました。
今回で全部終わらせることも考えたんですが、今回起きることの説明みたいなものもやりたいと思いまして。

……最近気になったのは、もしジャギがUSJ編に現れたら今のA組に対処出来るのかどうか。アレそんじょそこらのヴィランよりタチ悪いからなぁ……。


第五話 刮目せよ!個性把握テスト!の巻

「「「個性把握テストォォォオ!?」」」

 

 

 相澤から指示されたとおりグラウンドに行くと、待っていたのは入学式でもガイダンスでもレクリエーションですらない、全く予想外の出来事であった。

 

 寝袋から相澤が出てきたのはいいとして、どういうわけかトキも白衣を脱いで道着姿となっている。

 

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 

 そう問いかける女生徒に相澤は容赦無く言い放つ。

 

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事する時間ないよ。雄英は"自由"な校風が売り。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

「ヴィランは何時何処で何をしてくるかも分からない。つまりヴィランもまた"自由"ということだ」

 

「トキの言うように、ヒーローになってヴィランと関われば今回のようなケースはこれから幾度となく出てくるぞ。時間は有限、さっさと始めようか」

 

 

 個性把握テストで行われるのはソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈の八種類。まずはデモンストレーションとしてソフトボール投げを1名にやってもらうことにする。

 

 無論、指名されるのは――

 

 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げの最高記録は何mだった?」

 

「67m」

 

 

 これだけでも割と凄い方ではあるのだが、雄英では個性把握テストであるため更に突っ込んで測定する。

 

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なけりゃ何してもいい。はよ、思いっきりな」

 

「んじゃまあ……」

 

 

 爆豪は大きく振りかぶり――

 

 

 

「死ねえ!!!」

 

(((…………死ね?)))

 

 

 

 明らかにヒーローらしからぬ叫び方ではあったが、投げ飛ばす直前に己の個性を使って爆破による加速を上乗せしたソフトボールは、遥か彼方まで飛んでいく。

 

 

「まずは自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 

 その記録、705.2m。

 

 相澤の持つ端末に表示された数値を見て驚く者、ワクワクする者など反応は様々であったが、相澤だけでなくトキにとっても聞き逃せない言葉があった。

 

 「面白そう」――この言葉である。

 

 この言葉を聞いた二人……相澤はトキを見ると彼も表情を引き締めて頷いており、それを合意と判断して相澤はある決断を下す。

 

 

 

「……面白そう、か……。ヒーローになるための三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのか?」

 

「『楽しむ』という行為が悪いわけではない。気を引き締めて望まなければならない場と区別を付けねば、それはヒーロー科に来たということで既に満足していると同義……即ち『停滞』あれど『進化』なし!!」

 

「よし、ならトータル成績最下位の者はトキの言うとおり、良くて停滞だろうということで見込みなしと判断、除籍処分としよう」

 

「「「「「はああああ!?」」」」」

 

 

 二人の判断に驚きの声が上がり、さすがにやりすぎだと抗議の声も上がるも相澤とトキはバッサリ両断。

 

 

「先程"自由"な校風が売りと相澤先生からも伝えられただろう。そしてまた、君たち生徒の処遇如何に関してもわたしたち教師の裁量次第……つまり"自由"ということ」

 

「そういうわけでようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ。っと……その前にもう一つ」

 

 

 ようやく個性把握テストが始まる、と思った矢先に相澤は何かを付け足す。それは……。

 

 

「トキ、お前も今の自分がどれほどのものか知りたいと言っていただろう。一緒に個性把握テストに参加していいぞ。あの事は……そうだな、手本代わりのソフトボール投げをしたあとにこいつらに説明する」

 

「ありがとうございます、相澤先生」

 

「気にするな。個人的に興味があるし、こいつらにお前の実力を示すには一番分かりやすいだろ。今後を見据えた合理的判断だ」

 

「分かりました。では……」

 

 

 その瞬間、トキの雰囲気が変わった。

 

 何で先生なのに個性把握テストを、などと考えたのも束の間、周りの空気がトキに呑まれていくかのような感覚を覚え、誰もが目を離せなくなる。

 

 

「なあ……何かトキ先生、湯気が出てね?」

 

「いや湯気じゃねーだろ!?」

 

「あれがトキ先生の個性なのか!?」

 

 

 あれこれ推測している生徒たちを余所に、トキは呼吸を整えて遥か空を見据え、イメージをボールに乗せ――

 

 

 

「ぬんっ!!!」

 

 

 

 普通にぶん投げた。

 

 最後は若干肩透かしだったが、相当な距離を飛んでいたボールが出した飛距離は――

 

 

「……690.8mか。どういう鍛え方したらそんなになるんだお前」

 

「はは、修行環境だけでなく生活環境も関わっていたと言いますか……」

 

 

 好記録ではあるが、爆豪には一歩及ばずといった記録であった。にも関わらず、相澤はトキを称賛しているような、そんな雰囲気である。

 

 当然、生徒たちが疑問に思わぬ訳がない。

 

 

「あの……確かに凄い記録だとは思いますけど、爆豪の方が10m以上遠くまで投げれてましたよ?」

 

「次やったら分からない、とかは理解出来るけどそこまで驚くようなことじゃ……」

 

「まあな……これが()()()使()()()()()()俺だってこんなに驚かないよ」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

 耳を疑う言葉が、相澤の台詞にあったことを誰一人聞き逃さなかった。その上で出たであろう一言に対し、相澤はニヤリと小さく笑い、ここでトキに関わる重大な事実を暴露する。

 

 

「この際だから包み隠さず言ってやる。トキは『無個性』だ。今のも文字通り己の『力だけ』で出した結果だよ」

 

「「「「「むっ……無個性!?」」」」」

 

 

 当然、こんな反応にもなるだろう。いくら大人と子供で差があるとはいえ、身体能力の優れた爆豪が個性なしで出した中学での最高記録は67m……その十倍以上の記録を叩き出したことになる。

 

 

「ありえねーだろ!!さすがに無個性でここまで出るわけねーって!!」

 

「最近では無個性の方々もかなり伸びてきているとは聞きますが……」

 

「そりゃそうだろ。その無個性たちの火付け役になったのが他ならぬトキだぞ」

 

「……!!じゃあやっぱり!!」

 

 

 出久がここにきて確信した。やはり彼はあの『奇跡の医者』と呼ばれるトキであると。

 

 

「やっぱり先生があの指先だけでヴィランを無力化したり、目を見えるようにしたり解熱したりと様々な偉業を打ち立て続けている『奇跡の医者』であり『無個性の希望』と言われているトキなんですね!?」

 

「なっ……!?それは本当か、緑谷くん!!」

 

「うん……!あの入試の日、怪我をした僕を診てくれたのも先生だった……無個性であんなことが出来て、今みたいなこともやれるのは先生以外に考えられない!」

 

 

 無個性だった頃を思い出した出久は、興奮気味にトキについて説明し出すがトキ自身によって制される。

 

 

「確かにわたしが君の考えている『トキ』で間違いないだろう。しかし、今すべきことは個性把握テストに集中することだ。他の事に意識を向けていては相澤先生の言ったようなことになるぞ?」

 

 

 その言葉を聞いてA組全員がハッとなった後、何名かは顔色を青くする。逆に大丈夫だと確信している者もいるが、トキとしては彼らにも少し危機感を持ってもらいたいところだ。

 

 かくして、トキも交えた個性把握テストが実行された。しかし、本来各々の得意分野である競技においても無個性であるトキが交ざることで、彼らの中に焦りが生まれてしまう。

 

 例えば――

 

 

 

「んじゃ行くぞ。よーいスタート」

 

「ふっ!!」

 

 

 トキの50m走、記録4.08秒。

 

 

「ふむ。走り方や鍛え方次第でまだ伸ばせそうだな」

 

「いや普通に早いんスけど!?」

 

 

 続いて、握力。

 

 

「むん!!!」

 

 

 ビシィ!!と何かにヒビが入る音を出して叩き出した記録は衝撃の850kg。ソフトボール投げより北斗神拳向きだったからかブッ飛んだ記録を叩き出している。

 

 

「「「「「いやいやいやいや!?」」」」」

 

「ふむ、今はこれぐらいでも上々か。兄さんやケンシロウならばこれ以上出せるのだろうが……」

 

(((トキ先生以上って何その化け物!!)))

 

 

 失礼極まりないことを考えている生徒たち。とはいえラオウなら握力計を簡単に粉砕するぐらいはしそうなのもまた事実。伊達や酔狂で拳王を名乗っていたわけではないのだ。ケンシロウも同様である。

 

 そして、立ち幅跳び。

 

 

「はあっ!!」

 

「いや普通に飛んでるけど高さおかしいって!?」

 

「それにしてもまるで新体操の選手のような綺麗なフォームで飛んでますわね」

 

「あいつの真骨頂は空中戦だそうだ。今だって全方位に気を配りつつ、いつでも戦闘態勢に移行出来るようにしている。空中戦云々は俺も聞いたくらいだが、どうやらマジらしいな」

 

 

 北斗神拳史上最も華麗な技を持つ男と呼ばれているだけあって、ジャンプ一つでも優雅である。美しさで張り合えるとすればおそらく南斗水鳥拳のレイぐらいではないだろうか。

 

 

 

 しかし、記録そのもので見れば彼を上回る記録も出ている。個性の有無が原因の一つではあるが、実はトキを上回った側の方が焦りを見せていた。

 

 理由は簡単。トキは、彼らが出した自分を上回る記録に対し、嫉妬するどころか称賛するからだ。

 

 そのことが、無個性でありながら桁外れの記録を連続して出していく以上に、トキと自分の器の違いを見せつけられているように感じてしまっている。こういう場合、大抵無個性である者は嫉妬したり圧倒的敗北感に苛まれるのだが、トキはそういったことをせず強者を認め、あくまで己を高める目標にするのだ。かつて兄のラオウを目指したように。

 

 その結果、この場においてトキはプレッシャーなどのストレスを全くその身に溜め込むようなことがなく、逆に個性を持つ生徒たちが「もし自分が無個性だったら」「もしトキに個性があったら」と考えてしまいがちになり、最終的にモチベーションを低下させてしまう事態になってしまったわけだ。

 

 

(すみません、相澤先生)

 

(お前の気に病むことじゃない。この程度で相手を気にして潰れるならそれまでの奴らだったってことだ)

 

 

 さすがに責任を感じたトキであるが、相澤からしてみればプレッシャーを受けた(というかトキにその気はないので勝手にそうなってるだけ)という理由で及び腰になるヒーローなど以ての外、それこそ雄英の掲げる校訓『Plus Ultra』に反しているというのが彼の持論である。

 

 それでも何とかソフトボール投げまで進んだA組の生徒たち。爆豪とトキは既に終えているので他の生徒たちの測定だが、ここで出久が相澤によって個性を抹消され、平々凡々な記録しか出なかった。もう一度チャンスを貰った出久ではあるが、いつもの癖が出て思考の渦に飲み込まれてしまう。

 

 

「相澤先生」

 

「何だ?」

 

「少しだけお節介を焼いても?」

 

「……直接的な手助けでないのならな」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 ここで、未来のヒーローのために『有情』が動いた。




トキ兄さんが握力は別として他の競技で一歩及ばずなのは、さすがに北斗神拳を使えるといっても無個性で何でもかんでもトップでは面白味がない、と思ってこんな感じに。

ただし冷静に考えると、転龍呼吸法によって普通の人間が30%しか使えないはずの力を100%使えるわけで、例を挙げるなら個性なしで67mの記録持ちの爆豪が100%出せたら単純計算その三倍以上、多少色付けて250m。
だとしてもトキ兄さんはその2.5倍以上の記録を出してるわけだからそりゃおかしいわな。
おそらく北斗剛掌波とか天将奔烈を使えば簡単に数km行きそう……でもあんなん受けたらボール持つかな?

もし、他にも北斗キャラを出すとしたら

  • ケンシロウ
  • ジャギ
  • ラオウ
  • レイ
  • シュウ
  • サウザー
  • ハート様
  • アミバ
  • むしろトキ兄さんを強化しよう
  • ……霞拳志郎(蒼天の拳)
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