有情のヒーローアカデミア(ただし本人はヒーローにあらず)   作:激流を制するは静水

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個性把握テスト、終了です。
原作と違って出久の心情にも変化が現れます。
最近あと一人か二人程度、誰か北斗キャラ出そうかトキ兄さん一人に絞ろうか悩んでます。
まあ、出すことにしたとしてもかなり先でしょうけど。


第六話 本当のスタート!!の巻

 トータル成績最下位は除籍処分――

 

 そう告げられた個性把握テストにおいて未だ目立った記録を出せていない出久は崖っぷちに立たされていた。

オールマイトから受け継いだ個性『ワン・フォー・オール』……その制御が完全でない今、下手に個性を使えばその反動で他の競技に参加出来なくなる程のダメージを負ってしまう。

 

 しかし、結果を出せねば苦労して入学した雄英の初日に除籍処分という、今までの努力が水泡となる。

 

 加えて、以前まで無個性であった自分に比べ、現在も無個性であるトキはクラスメイトが驚く程の記録を連続して叩き出しているという衝撃もあり、出久は精神的にも追い詰められていた。

 

 

(どうする……!やっぱり自壊覚悟でワン・フォー・オールを使うしか……でも、この後の種目に参加さえ出来なくなれば確実に除籍処分されるだろうし……)

 

 

 ブツブツと悩む出久にトキが近づいていく。

 他の生徒たちは「どうしたんだ」とか「除籍勧告だろ」などと言っているが、少なくとも『まだ』除籍を言い渡す気はトキにはさらさら無い。

 

 

「緑谷出久、でよかったかな?」

 

「え!?あ、はい……」

 

「何を思い悩んでいるのかは大体想像がつく。その上で言わせてもらおう。前にも後ろにも地獄しか見えぬというならば、思い切って眼前の地獄に飛び込むことで光が見えることもある」

 

「……!」

 

 

 トキは死の灰を浴びて病を患った時、自身の命がどれだけ持つかという不安に日々襲われていた。しかし、自身の死に抗えぬならば、せめて他者の死には抗ってやろう。そう思い己の命続く限り、人の命を救おうと決めた。

 

 その結果の一つとして、ラオウによって同じく死を待つのみとなっていたレイは僅かに生き長らえ、己の命と引き換えに愛したマミヤから死兆星を見えなくすることが出来た。彼が死ぬ直前にトキへと伝えた感謝は魂に刻まれ今も尚忘れてはいない。

 

 

「そして……何処かで聞いた言葉だが、『ピンチはチャンス』だそうだ。緑谷……いや、出久よ。今がまさにその時だろう。焦りを孕む極限状態の今だからこそ冷静になるのだ。そうすることで見えなかったものが鮮明に見えてくる」

 

「見えなかったもの……」

 

「それが道か、それとも別の何かなのかはお前自身にしか分からない。しかしこれだけは言える。他者がどう言おうと、後悔しない選択ほど最高の結果などないということを」

 

「!!」

 

 

 後悔しない選択――それは何よりも重要なことだ。後悔先に立たず、という言葉があるように何かしてしまった後で悔やんだところでどうにもならないのだ。

 

 

「行くも地獄、戻るも地獄……なら……!」

 

「……その目が見たかった。もう大丈夫だな」

 

 

 トキはそう言うと、再び相澤の元へ戻る。その背に出久の礼を受けながら。

 

 

 

 

 

「……どうだった?」

 

「それは、これから彼自身が見せてくれるでしょう」

 

 

 トキは笑みを消さぬまま、意味深に相澤に返答する。若干その様子を訝しんだ相澤だったが、出久へと視線を戻し測定準備に入った。

 

 そして――

 

 

(全力でやろう、今の――)

 

(見せてくれ、出久。お前の中に感じた、ケンシロウと同じ救世の輝きを!!)

 

(僕に出来ることを!!!)

 

 

 

 

 

「SMASH!!!」

 

 

 可能性の光は、今現実のものとなった。

 

 緑谷出久、記録――705.3m。

 

 

「あの痛み……程じゃない!!先生ッ!まだ……動けます!!」

 

「こいつ……!」

 

(わたしの言葉があったとはいえ、これ程までにすぐ活路を見出すとは……!)

 

 

 二人の教師は驚きと喜びを隠せない。

 今はまだ小さな光、しかしいずれそれは太陽の如き輝きとなることを二人は予感していた。

 

 

 

 

 

 全ての個性把握テストを終え、相澤によって結果が一括開示された。先刻まで渦中にあった出久の結果は……最下位。しかし、出久の表情は不思議と穏やかだった。トキの言うように全力を出し切ったからなのだろう。

 

 そこに追い打ちをかけるかのような相澤の一言。

 

 

「あ、ちなみに除籍処分は嘘な。最大限に力を引き出して結果を知るための、合理的虚偽」

 

「「「はあああああ!?」」」

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない。少し考えれば分かりますわ」

 

 

 推薦入学であった八百万百がそう言うも、それを否定したのはトキだ。

 

 

「それは違うぞ」

 

「え?」

 

「相澤先生は分からないが、わたしは冗談抜きで見込みなしと判断すれば『全員』除籍処分する気でいたからな」

 

「「「全員!?」」」

 

 

 トキは普段通り、小さな笑顔を浮かべてはいるが言ってることはとてつもなくえげつない。だが、これに納得する理由もまた述べられる。

 

 

「仮に良い記録を残したとして、あまりにふざけた態度やヒーローとして相応しくない行いを繰り返していたのであれば、わたしは間違いなくそうしていた。ヒーローとは皆の憧れであると同時に模範となるべき存在。皆にはそれを肝に銘じてほしい」

 

「ヒーローは皆の模範……確かにそうだ!」

 

 

 最も納得したのはやはりというか、トキと同じく真面目(すぎ)な飯田天哉。実際彼は問題ないが、正直トキの言葉がモロにぶっ刺さっている生徒が既に二名ほどいる気がする。

 

 そして、ソフトボール投げで記録∞というブッ飛んだ記録を出した麗日お茶子が気になることを相澤に聞く。

 

 

「あの……トキ先生が結果欄に入っていないんですけど……」

 

「これは本来お前たちヒーロー科生徒の個性把握テストだぞ。無個性、しかも保健医で一般人のトキを入れるわけないだろ」

 

「……何かすんごい聞いちゃいけない単語聞いた気がするんだけど」

 

「「「保健医で一般人!?」」」

 

 

 副担任じゃないの!?とか一般人に失礼だよ!とか、後者などそれこそトキに失礼だろと言いたい台詞が飛び出すが、当のトキは苦笑するばかり。

 

 

「副担任で間違いないが、同時にトキは保健医でもある。苦労が単純計算で倍なんだからあまり面倒かけるなよ?それから、そもそも無個性のトキが無理してヒーロー免許取る必要もないし、当の本人は医師免許取得してる上に元々そちら志望だ。ということはだ、『一般人』のトキに万が一危害を加えるとそれだけで『ヒーロー』として不適格になるから注意するように」

 

(((危害加えようとしても返り討ちにされる未来しか見えません!!)))

 

 

 事実である。というかまず一般人に失礼発言を咎めるべきだと思うのだが、相澤自身トキを一般人というか常軌を逸脱した能力を持つ一般人、略して『逸般人』と思っているのでスルーしていた。そりゃ個性を一時的に消す『抹消』の個性持ちの相澤では、無個性で素のスペックが別次元のトキと相性が悪過ぎるし。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 それから教室に戻り各種資料が配られ、その他諸連絡を伝えられて一日目は終了。生徒たちは帰路につき、トキは保健室に、相澤は職員室にそれぞれ向かう。

 

 

「よーうイレイザー!初日からブッ飛んだことやったな!」

 

「今年は去年と違って一人も除籍処分にしなかったのね。珍しいじゃない」

 

「あいつらに見込みがあった、それだけですよ。それにトキも本気で除籍処分を検討してたようですし」

 

「おいおいマジかよ……あの菩薩みたいなトキがイレイザーと同種の人間だったなんて」

 

「……そういえば、彼も生徒たちに交じって参加したそうだけど。結果はどうだったの?」

 

 

 ミッドナイトが聞いた質問に対する相澤の答えを、職員室にいたほぼ全教師が耳を傾けて待っている。

 

 

「……目を疑いたくなるものでしたよ。ハッキリ言います。無個性が出せる記録じゃない。今の科学でドーピングしたって無個性じゃあんな記録は出やしない」

 

「……そりゃガチか、イレイザー」

 

「ああ。クラスの連中の上位陣と張り合える記録を、無個性で叩き出した。それからもう一つ」

 

「マダ何カアルノカ?」

 

「これはトキ自身から聞いた話だが、トキは人間が通常30%しか使えないはずの力を100%使えると言っていた。あいつが使う流派独自の呼吸法の産物らしいが……それでも入試トップの爆豪が個性なしで投げた最高記録は67m、対してトキは690m超え。明らかにおかしい」

 

 

 もはや絶句するしかない教師陣だが、そこに相澤はさらなる爆弾を投下した。

 

 

「確かに独自の呼吸法で100%の力を出せるとは言っていたが、あいつが全力だったとしても今回の個性把握テストでその呼吸法――『転龍呼吸法』とやらを使ったとは()()()()()()()()()

 

「「「!?」」」

 

 

 使っていたかもしれないが、使っていないかもしれない。これに関してはトキに聞いていなかったので相澤も分からないが、もし使っていなければトキにはまだ上があるということになる。

 

 

「ホントにオールマイトぐらいしか対等にやり合えないんじゃねーのか、それ」

 

「かもな。そのオールマイトでさえ厳しいかもしれん。それに握力測定の際にあいつが呟いたんだが、あいつの兄やケンシロウ……おそらく親類か何かだろう、そいつらはトキ以上らしい。握力だけかもしれんがな」

 

「握力の結果はこれ?……何これ、これより上って彼のご家族にオールマイトみたいなトンデモパワー持ちがいるわけ?」

 

「知りませんよ。そこは本人に聞いてみたらどうですか?教えてくれるかは分かりませんけど」

 

 

 ますますトキに興味が出てきた教師陣ではあるが、相澤が生徒たちに言ったように彼は一般人扱い。あまり問い詰めるような真似をしたくないし、してはいけないのも事実。

 

 

「まあ、何にせよ生徒共々興味が尽きない男だというのは確かですよ。ところで校長は?」

 

「トレーニングだって」

 

「は?」

 

 

 

 

 

「HAHAHA!いやー、トキ先生に秘孔突いてもらって以来トレーニングが楽しくて仕方ないのさ!健全なる精神は健全なる身体に宿る、至言だね!その逆もまた然り!」

 

 

 とあるトレーニング施設、そこには嬉々として150kgのベンチプレスを軽々と何度も上げ下げする根津校長がいたとかなんとか。




出久、この作品ではトキのおかげか最下位でも悟り開いてたのか満足モードでした。結局悟り開いても除籍なかったわけですが。
トキ兄さん、転龍呼吸法まだ未使用の可能性浮上。一応あれも奥義扱いなので、掟により他流派との闘いでは使用不可……ってヒロアカに明確な流派の拳法使いっていたっけ?というか、そもそもただのテストかあれは。

あと、根津校長が妙に書きやすいです。なんでだろ?

もし、他にも北斗キャラを出すとしたら

  • ケンシロウ
  • ジャギ
  • ラオウ
  • レイ
  • シュウ
  • サウザー
  • ハート様
  • アミバ
  • むしろトキ兄さんを強化しよう
  • ……霞拳志郎(蒼天の拳)
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