有情のヒーローアカデミア(ただし本人はヒーローにあらず) 作:激流を制するは静水
当然のようにトキ兄さんは現場医療班です。
だって本人が参加したら死屍累々になるのが目に見えてるんだもん……。
そしてとある要望があったので、試しにぶっ込んでみました。最後は脳内であのBGMを流しつつ、千葉繁さんの声をイメージしてお楽しみ下さい。
追記:投稿時にサブタイトルが無かったので付けました。加えて、度々の誤字脱字報告ありがとうございます。
雄英では入学式兼個性把握テスト(後者はA組だけだが)の翌日から早速授業が始まる。相澤いわく「悠長なことをする時間はない」ということだが、実のところ初日のインパクトが強すぎて、プレゼント・マイクの授業などは拍子抜けするほどだった。
(((すごく……普通です)))
「オイオイオイ!もうちょっと盛り上がっていこーぜ!!」
とりあえず、プレゼント・マイクのテンションが平常運転だったことだけが注目する点だろう。
A組の副担任ではあるが、A組が座学の間は基本的にトキは保健室勤務。そこでもトキは負傷者ないし患者がいない限り、医学の勉強に励む。
「……やはりそうか。"個性"の発現によって秘孔の位置に誤差がある場合がかなりの割合で出ているな。こうなっていたと分かったからには秘孔が視える目になっていたのは僥倖と言える」
トキは"個性"の始まりが中国であったことに北斗神拳との繋がりを運命だと感じ始めていた。そして調べていくうちに、過去僅かながら秘孔について研究されていることを突き止めたのである。しかし、彼が言ったように個性発現によって秘孔の位置に個々の差異が出ることが頻発してきたため、結局その研究は頓挫してしまったようだ。
「それは仕方ないことかもしれない。例の一つとして異形型の個性では身体の作り自体、わたしの世界の人間とは大きく違うのだし、ましてや"個性因子"というものの存在はこの世界特有なのだろう。さて……ここから先に進むにはどうすべきか……」
困難な問題ではあるが何故だろう、楽しく感じるのは。明日も見えないかつての世界と違い、やはり心に余裕があるのがその一因なのか。
そう思ったのも束の間、そういえば午後はA組がヒーロー基礎学……しかも戦闘訓練だったと思い出したトキ。自身やラオウ、ジャギにケンシロウが北斗神拳の修行を行っている時は、それこそ何かにつけて命がけだったのは忘れえぬ記憶。
まあ、さすがにそこまではやらないだろう……と考えて時は思い直した。一人、やりそうな生徒がいることを。
(爆豪か……やけに出久を敵視しているようだが、出久の性格からして余程でない限り自分から突っかかっていくようなことはしないはず……とすれば逆か。個性把握テストの時もそうだったが、根深い問題のようだな)
そう、爆豪勝己。
強個性かつ身体能力も高いが故に、プライドもそれに比例して高く周りを見下す傾向が強い。特にどういうわけか出久に対してそれは顕著であり、個性把握テストの際もあの記録を出してからかなり強めに問い詰めてきたが、相澤が個性を使って制止したぐらいである。
「荒療治とはいえ最も効果がありそうなのはその自尊心を一度木っ端微塵にしてやることだが……今はまだ様子見にしておこう。何かの切っ掛けで変化が訪れるやもしれん」
そう納得すると、トキは交代するように入ってきたリカバリーガールに頭を下げ、戦闘訓練の場であるグラウンドβに向かうのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
誰よりも早くグラウンドβに到着したトキは、カサンドラでケンシロウを待っていた時のように坐禅を組み、生徒や今日の担当であるオールマイトを待っている間、瞑想を行うことにする。
静かに目を閉じ、雑念雑音を廃し、ただただ精神を統一。実は今トキが行っているのは煉丹術――即ち気功法の一つであり、その中でも高度なものである『
気によって大宇宙との交流を行うというとんでもないものだが、これの修得によってトキは視覚・聴覚に頼らずとも万物が発する気を感知することで、まるで見え、聞こえているように身体を動かせるレベルに至っていた。
修得してからも、トキは常に万全を期すべくこの鍛錬を欠かしていない。
そこへ教師として一足早くやってきたオールマイトは、トキのその様子を見て圧倒的な存在感を即座に感じ取る。
(これは……!彼が発するエネルギーなのか!?静かだが、それでいて周りを覆いつくすような途方もないエネルギー……体格は私の方が勝っているというのに、まるで彼の掌の上にいるような感覚だ……!!)
強者は強者を知る。まさにそれだ。
そうやってオールマイトが立ち尽くしているうちに、A組の生徒がやってくる。そんなオールマイトを怪訝に思った生徒らが彼の視線の先を見ると、やはり爆豪や轟ら実力者はトキの放つ静かで強大なプレッシャーを感じ取った。
(んだよこれ……!ふざけんな!!どんだけ強くても所詮無個性のモブだろ!!俺が一瞬でもビビるなんてありえねぇんだよ!!)
(無個性云々で出せるモンじゃねぇ……いや、待てよ……これを俺も修得出来れば『左』を使わなくてもあいつを否定出来るんじゃないか……?)
(……轟が何を考えているかは分からないが、やはり爆豪は個性と無個性の差を重く考えているのが気の『ブレ』で分かる。これはなるべく早く矯正せねば後々取り返しのつかないことになりかねんな)
二人がトキのプレッシャーを感じたようにトキもまた二人の気から、爆豪からは明確な焦りと敵意を、対する轟からはトキにこそ敵意はないが、別の何かに並々ならぬ怒りを抱いていることを感じ取れた。
しかし、まずやらなければならないことは別にある。
「失礼しました、オールマイト先生。時間に余裕があったので瞑想をしていたのですが、そちらに集中し過ぎてしまったようです。申し訳ありません」
「え!?あ、いやいやノープロブレム!たとえ教師でも向上心があるのは良い事さ!HAHAHA!!」
いきなりトキが目を開いて謝罪してきたことに、オールマイトは驚いて一瞬吃りつついつもの調子で笑う。ついでに飯田も「さすが雄英……!教師も日々学んでいるということか!」と感心しているし、峰田など「あれ以上バグってどうすんだよ」と言い出す始末。
「さて!ちょっと予想外の出来事はあったが始めようか有精卵ども!戦闘訓練の時間だ!」
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」
飯田の質問にオールマイトはそれより二歩先に踏み込むという。真に賢いヴィランは闇に潜むというオールマイトの説明に、トキは一人頷き納得する。卑劣な外道は大抵、部下にそれらを実行させ自分は安全な所で高みの見物を決め込んでいる、というケースは珍しくない。
ケンシロウはそういう連中を平然と発見し、制裁して回っていたが、それは北斗神拳の真髄が暗殺拳であったが故の、相手にとって不幸という他ない理由だったりする。自業自得だが。
それはそうとして、蛙吹梅雨という女生徒の不安げな質問を切っ掛けに、オールマイトは質問攻めにあってしまう。
「んんん〜〜〜聖徳太子ィィィ!!!」
「では、分かる範囲の質問にはわたしが答えよう」
「「「え?」」」
ここで雄英の聖徳太子ならぬ雄英の聖人、トキの出番だ。予め打ち合わせしてあったことを、それ以外の質問へ対する答えと共に的確に説明する。
「まず安心してほしいのは、わたしが先日の個性把握テストの時にも言ったように、明らかにヒーローとして逸脱行為をしなければ除籍処分するようなことはない」
ここで大半の生徒が安堵する。余程先日の『合理的虚偽』は効いたらしい。
「そして今回の戦闘訓練の状況設定だが、ヴィランがアジトに隠した核兵器をヒーローがそれを処理・確保すべく、ヴィランのアジトに突入するというものだ。二対二で行われるため、勝敗条件はヒーローないしヴィラン二名の確保、もしくはヒーローならば核兵器回収、ヴィランならば制限時間まで核兵器を守り抜ければ該当陣営の勝利となる」
「トキ先生!チーム分けはどうなるのですか!」
「ヒーローは常に最良のメンバーで事件解決に望めるわけではない。何らかの要因によって分断されたり、参加出来る者が限られる場合もある。それを考慮し、今回のチーム分けは公平かつ不正無しの方法で決定する」
「つまりくじ引きだ!!」
飯田の質問にも丁寧に理由を述べて説明したトキだったが、その直後のオールマイトのくじ引き発言のおかげでシリアスな空気がブッ飛んだ。
そしてその結果、一番最初にトキの注目する生徒が戦闘訓練の場に立つことになる。
ヒーローチーム 緑谷出久&麗日お茶子
V S
ヴィランチーム 爆豪勝己&飯田天哉
(狙ったわけではないが、こうなるとはな)
とはいえこれはチーム戦、多少なりとも協調性が生まれるのではないか。そう思ったトキだったが、彼のそんな予想は一人に限って外れることとなった。
出久とお茶子は互いにフォローすることで見事勝利したのだが、問題はヴィランチーム……というか案の定爆豪。出久目掛けて速攻で突撃していったのである。
しかも核という、それこそ火気厳禁の見本のような物がある場所で遠慮なく大爆破を行うなど、もはやガチのヴィランでも取らないんじゃないかと思うような戦いぶりであった。
逆に飯田は自身の個性や室内であることを活かし、相手を倒すより逃げる事を選択。爆豪の個性による爆破も、飯田としっかり打ち合わせ……例えば単純にお互いの距離を離すなどすれば問題がない、それどころか爆豪の個性が持つ破壊力を最大限に使用出来ただろう。
しかし、コンビである飯田から見ても執着するように出久に突っかかっていく爆豪はスタンドプレーに走り、その結果敗北した。
(……やはりな。仕方ない、すぐには変わらないだろうが一石を投じるとしよう。願わくば、彼が少しでも仲間と共に歩むよう意識を変えることを信じて)
トキがそんなことを考えている合間に、戦闘訓練は進んでいく。轟がビルごと凍結させたりしたことがあったものの、大きな負傷はトキが治療している出久ぐらいでほぼ問題なく戦闘訓練は終了。
……するはずだったのだが。
「まだだ。最後にわたしと、選抜した生徒二名による戦闘訓練が残っている」
「「「えええええ!?」」」
トキの一言に、A組全員とオールマイトが驚愕の声を上げるのだった。
突如告げられたトキとの訓練!!
英傑に選ばれし二人の才児が目にするのは巨大な壁か、それとも地獄か!?
次回!有情のヒーローアカデミア!
『トキの洗礼!強個性超えるは鍛えし拳!』
「覚えておくがいい。覚悟を決めたヴィランほど恐ろしいものはないということを……!!」
あんなハイテンション予告をやり遂げた千葉繁さんに心から拍手と尊敬の念を送らせて頂きます。
そしてそのナレーションの文を考えていたシナリオライターさんもマジですげぇや……。
好評なら次回以降も続くかも。
ちなみにトキ兄さん強化案は既にある程度実行されてます。多分今回の大周天が出てきたことで神仙術と合わさって分かる人は分かってしまうんじゃないかな?
もし、他にも北斗キャラを出すとしたら
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ケンシロウ
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ジャギ
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ラオウ
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レイ
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シュウ
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サウザー
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ハート様
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アミバ
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むしろトキ兄さんを強化しよう
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……霞拳志郎(蒼天の拳)