桐生院先生の日常〜生徒たちが良い子すぎて困る 作:二足歩行型信号機
メッッッッチャッ!ミホノブルボンが難しかったです。
文も終わってますね(白目)随時修正します。
私ではこれが限界ですごめんなさいなんでもしますから許してください!
お気に入り増えてました。ありがとうございます。
「……お兄さまと呼びたい?」
ライスに相談を受けました。
ステータス『困惑』を確認。
……これは仕方ないでしょう。
朝早くに言われれば私でも困惑します。
「う、うん」
「誰を、でしょうか?」
「……そ、それは………ぃ」
ライスの表情からステータス『羞恥心』を感知。
同時に体温の上昇を確認。
ふむ、ライスがお兄さまと呼びたい人物を検索……しなくても分かります。
トレーナーと教官はない。ライスの性格上先生の中でも限られていく。その上で男性に絞るなら…桐生院先生しか有り得ない。
別に桐生院先生の後をついてく、ついてくと呟きながら尾行しているところや偶然を装い待ち伏せしている所を目撃したわけではありません。
決してそのような事はありません。
……はい。
Q.E.D.証明終了、です。
「桐生院先生ですね」
「ぁ…うっ。う、うん…でも……」
「……先生には妹がいます」
「あうっ」
図星みたいのようです。
実の妹がいるのにお兄さまと呼ぶのは倫理的にも難易度が高いでしょう。
……私はライスの友達。
このままだとライスの状態も悪化を辿る一方。授業やトレーニングに、最悪の場合は日常に支障が出てしまう。
ここは私が一肌脱ぐことになりそうですね。……しかしどうすれば━━
「……先生に妹がいなければいいんだよね」
「ラ、ライス……?」
ライスの瞳から光沢が消える。手を前に出しギュッと握りしめたナイフを焦点が合わない目でじっと見つめていた。
何処から取り出したんですか!?
制服ですよね……? 勝負服じゃないですよね?
「ブルボンさんもそう思う、よね?」
んんん! 虚ろな瞳が…ががガ…ピー…。
ERROR! ERROR! メインシステム機能停止。予備電源に切り替え自動修復を開始します。
……はっ!? 予期せぬエラーが起こりましたが私はまだ大丈夫のようです。
メインシステムが破損しましたが自動修復により10%復旧を確認。
メインシステムに切り替えます。…まだ……まだ戦えます。
が……ス、ススステータスに異常を確認。こ、これは……ヤンデ……ご、ごほんっ!
「ライス!」
「うひゃ!」
「私に任せてください!」
「ブルボンさん……?」
よし! 光沢が戻りました。
……一肌脱ぐ、言うよりもキャストオフしなければいけません。
「安心してください」
「ほ、本当……?」
ライスの潤んだ瞳が上目遣い、で……。
ううっ……ライスの笑顔……コンディションのため。私が頑張らないといけない。
じゃないと最上級災害が発生しかねない。……事件、とか……はい。
と、取り敢えず!!
オペレーション『お兄さま』を開始!
……放課後先生に会いに行きましょう。
「と、言うわけです」
「あ、あはは……ミホノブルボンが苦労しているのは分かったよ」
「そう、ですか……」
この子はミホノブルボン。人呼んで
無表情で近寄り難い、とか何を考えているか分からない等教師達は言っていたけどこの子ほどわかり易い子はそういない気がする。
本当に分からないのは仮面を着けている……子。例えば……誰だろうね。俺が知る限り心当たりはないかな。
窓から空を眺める。ああ、空はこんなにも赤いのになぁ……。
しかし、ねぇ。
お兄さまと呼びたい……か。
なんというか放課後に職員室までやってきたミホノブルボンには驚いた。まあ腕を掴まれここまで連れてこられただけですが。
これだけでも不味いのにお兄さま呼びときた。
流石に不味いんだよね。サイレンススズカの件はもう諦めてるよ。自業自得だし。……ファインモーションについては黙っていてくれているみたいだし今のところは大丈夫、だと思う。
……最近になってSPの皆さんが学園内で警備をしていることも気にしなくなったよ。
俺みたいなヤバい教師から生徒……主にファインモーションを守るためだろうし、ね。……本っ当にごめんなさい。
ライスシャワーがお兄さまと呼びたい件なんだけど断る他ない。
別に嫌いなわけじゃないんだ。
出会いは危うかった。警察のお世話になりかけたしね。
それでもライスシャワーは生徒。一緒にいると不幸になるから、と初めこそ距離があった。今は顔を合わすと先生と呼び、笑顔で駆け寄ってくれる。
優しい心を持った女の子。健気で一生懸命。
好きになる理由はあれど嫌いになる理由は微塵もない。
だけど、ね。
俺には妹が居るんだ。妹以外に兄と呼ばれるのは些か抵抗がある。
倫理観的にも、さ。
妹は葵ただ一人。
ひとりっ子なら、まぁ……ね?
葵だっていい気はしないだろう。
……後が怖いのもある。
ただでさえ危ない橋を渡っているのに生徒にお兄さまと呼ばれた日には崖っぷちだ。
追い込まれた犯人みたいに、さ。
「申し訳ないんだけどお兄さまと呼ばれるのは━━」
「はい、先生ならそう言うと思っていました」
それならなんでわざわざ俺のところに?
「ですがこのままだと事件に発展します」
「……え?」
じ、事件?
……はっ!? も、もしかして━━
それ、をそ、の……ライスシャワーが知っている……の、か?
なんでバレた……?
どうしてバレた……?
まさかファインモーションが?
それはない。隊長さんに限ってもだ。
と、いうことは見られていた?
何時、何処で……ラーメン屋にいた?
その前……?
ミリタリーショップでの一部始終?
もしかしたら最後のコンビニで?
必死に記憶を掘り起こすが何も分からない。……困った、な。
困ったのレベルじゃない。本当に人生が終わりそうだよ。
つまり、だよ? 俺の生殺与奪はウマ娘にも握られている、と。何時でも俺を握り潰すことができるよ、てことだよね?
警告として受け取ってもいいの、これ?
それとも脅迫?
セリフからミホノブルボンも知っている、よね。
えっと? ラ、ライスシャワーさん……そ、そんなにお兄さまと呼びたいんですか?
……良い男じゃないよ?
ライスシャワーさん可愛いし探せば星の数ほどの男が見つかる、よ?
だ、だから、さ?
お、落ち着いてくれない、かな?
この場に居ないライスシャワーに向けて必死に懇願することしかできない。
「最悪の場合」
ミホノブルボンが口を小さく開いた。
「さ、最悪の場合……?」
額に流れる汗を拭い息を飲む。
「……死者が出ると思われます」
目を伏せそう言った。
あっあっあっ。
……あは、あはは……。
死者、か。そっかぁ……。
それ……ってさ?
それってさ……ああ、うん……ダメだね。
「……分かった」
「せ、先生?」
苦渋に満ちた真っ青な顔。
事件、と言った辺りから先生のバイタルに異常を感知。
呼吸、体温共に等しく低下が見られました。ステータスの異常も確認……これは『憔悴』でしょうか。
「……お兄さま、と呼ぶのは構わないよ」
「先生……!」
「ライスシャワー、に……そう言っといてくれないかな」
ぎこちない笑顔。
あっ……先生、貴方は……!
ライスのことをしっかり考えて……。
先生にも立場がある。生徒にお兄さまと呼ばれては示しがつかない。
先生の人気も関係します。
私も少なからず好意は、ある。
こんなにも
嫌う理由はありません。
ですが先生と生徒、です。
トレーナーじゃ、ない。
……ライスの風当たりも悪くなってしまう。
……私には夢がある。
私に限った話ではありません。
皆が皆、夢を抱えている。
……まだトレーナーもいない身、です。
一つの過ちで取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。
バ鹿でした……。
ライスの為にと何も考えてなかった。
友達であるのならライスを止めるべきだったのに。
……私は………。
「そんな顔しちゃだめだよ」
「……先生」
ぽふんっと頭が重くなる。
左右に行き来する先生の手は懐かしく……心地よい。
安心する。まるで……お父さんみた、い……。
「僕のせいだし」
「ぁ……ち、ちが」
先生のせいではありません!
これは私の━━
「ううん、これは僕の責任なんだ。愚かな行為をしてしまったからさ。失望させてしまったね……」
自虐的にそう……呟いた。……笑った。
そんな先生の顔を見て……我慢できなくなった。
「そんなことありません!」
愚かな行為……? 失望……?
私達を理解してくれるのにそれが愚かな行為……? そんなことない……!
「……ミホノブルボン…?」
今にも消えてしまいそうな先生に抱きついた。感情も何も分からない。
ただ……離したらいけないと思った。
だって……何処かに行ってしまいそうだったから。
「先生は立派です。……私が保証します」
「……ありがとう」
先生の笑顔。
……な、なんでしょうか。
この感情、は。ステータス━━
ERROR。データベースに該当するものがありません。……分からない、です。
ですが……とても安心する。
全身がポカポカする。先生の匂いを嗅ぐと冷却しないといけないぐらいに熱を帯びていく……。
……あ、そうだ。
……笑顔…そう、先生の笑顔。
……お父さんと同じなんだ。
同、じ。
違う。これは━━━━
「………………先生」
「?」
「……お願いがあります」
「お願い……? あ、あー……叶えられる範囲なら……」
先生……貴方は。
「━━━━━━━━━」
どうして……。
「え? ━━━━━━━?」
「先生おはようー!」
「おはようございます」
朝の廊下を歩き生徒たちと挨拶を交わしていく。いつも通りの朝だ。
いや、少しだけ変わったかも。
「あっ…」
「……おはよう。ライスシャワー」
「っ! ……おはよう!
抱きついてくるライスシャワーを受け止める。なんだろう、ね。
セクハラや変態と言われる覚悟をしていたのに、さ。
……暖かい視線を感じるんだよね。
因みに俺に対しての苦情は一件もなかった。たづなさんに確認したら、何言ってるんだ? みたいな顔をされたよ。
はぁ……泳がされているのか、弄ばれているのか。結局は手の平の上で踊らされているってことなんだろう。
今は踊り続けよう。
そして……絶対に異動をする。
「もう少しで授業だよ?」
「え、えへへ……お兄さま…」
……話を聞いてくれない。
「ライスもう少しで授業が始まりますよ」
「ブルボンさん…! う、うん! えっと……お兄さま…またね!」
ミホノブルボンの言うことは聞いてくれるのね。
……取り敢えず助かった。
「あ、うん」
ご機嫌な様子で去っていくライスシャワーを見送り……あれ? ミホノブルボンは?
「…………おはようございますマスター」
「!?」
背中にピトリと引っ付いて耳元で囁くミホノブルボン。俺以外に聞こえてはいないみたいだ。
ウマ娘の聴力なら聞こえていてもおかしくない。
……ミホノブルボンの行動に驚いて気づいてない。
そう思っておこう。じゃないと精神的にキツい。
あーうん。
何故かミホノブルボンはマスター、と呼ぶようになった。
隠れて、だけどね。
……はは、いやー……マジで、さ。
どうすんのこれ?
バレたら終わる。ミホノブルボンにマスターと呼ばせている性癖歪んだ変態教師だよ。いっそ殺してくれ……はぁ。
モデルガンの件みたいに気が気でない。
……俺には何もできないんだけどね!
「すぅ……はぁ……充電完了しました」
でも充電と称して匂いの嗅がれるのはちょっと……ね。
「あ、うん。お疲れ様?」
「はい。私はこれで……」
背中から離れて去っていくミホノブルボン。
同時にチャイムが鳴り響いた。
気が付けば廊下には誰もいない。
当たり前だ。今から授業だし。
「……葵にどう説明しよう」
まだ言ってないし……この時間は準備ぐらいで次の授業まで暇だし少し考える、か。
次はアンケート通りマックイーンになるかと思います、はい。
今回はアンケートおやすみです。