兎は最後の英雄を目指し歩む   作:むー

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18話

「急ごう」

「ああ」「はい!」

目的地に向かい始めると先ほど和やかな雰囲気は鳴りを潜め

重苦しい沈黙が皆を包み込む

そこかしこで上がる叫び声と剣戟の音

空を濁すのは黒い煙

街を堂々と歩くのは()()()()()()()()()()

ベル達は極力消耗を抑えるために戦闘を避け隠れ進む

それでも避けられない時は

「「…」」

ベルと千草が弓で眼球と喉を射抜き

「「フッ!!」」

その隙に桜花と命、ヴェルフが魔石を狙い穿つ

即席のパーティにしては驚くべき連携をとっていたがその喜びに浸る間も与えられず彼等は地獄を行く

「ヴェルフ、後どれくらい?」

「もうそろそろだな、あの角を曲がれば見えてくる」

ヴェルフが指を刺す方へ歩みを進めると

「ッ皆さん下がって下さい!!」

鋭い声で命が先頭を行くヴェルフ達を止める

その声に反応し、咄嗟に壁に張り付き気配を殺す

「どうしました命さん?」

「…モンスターの反応が」

命が青い顔で言う

「それぐらいならそこら中にあるだろ?」

「ああ、先程迄のように不意打ちを狙えばさほど手間もかからんだろう」

ヴェルフと桜花がその反応に訝しむ

「…数え切れない程の数のモンスターが工房を囲み攻撃をされています」

「ッ!!」

その言葉に弾かれたように自分の大事な主神(おや)のいる工房へ走り出すヴェルフ

「くっヴェルフ!…皆さんはここで待機していて下さい!」

「あ、おい!!」

「危険です!ベル殿!?」

桜花や命の制止の声に

「すぐに戻ります!皆さんには僕たちが戻るための退路を作る手伝いをしてください!」

素早く的確な指示を送ると、ベルは振り向かず真っ直ぐにヴェルフの元へと向かう

 

「邪魔だぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ヴェルフの感情に呼応するかのように火影(ひえい)が業火を撒き散らし工房を囲むモンスターを灰へと変えていく

そんな脅威をモンスター達は見逃さずヴェルフへ四方から襲いかかる

「オラァ!!」

「グギャ!」

魔剣をしまい背に持つ大剣を振り抜き円を描く様に襲いかかるモンスターを薙ぎ払う

「シャァァ!!」

しかし、その圧倒的な数から討ち漏らし隙だらけのヴェルフへ襲い掛かる。 

――寸前で銀線が煌めき間一髪でモンスター灰に変えることに成功するベル

「わりぃベル!」

「そんな事より、後魔剣はどのくらい撃てる!?」

背を合わせお互いの死角を潰す構えをとるとベルが問う

「後2、3発ってとこだなっと!」

その間も襲い来るモンスター達を斬り倒しつつヴェルフが答える

(どうする?このままだとジリ貧だ...)

ベルは剣を振りモンスターをけん制しつつ思考を巡らせる

 「ベル殿!」

「ヴェルフ!まったく無茶しやがる!」

 そんな声と供にモンスターに対処しながら命と桜花たちが集まる

「命さん!桜花さん!助かります!」

「すまんお前ら」

 ベルとヴェルフは応援に来てくれたタケミカヅチファミリアの面々に感謝と謝罪を告げる

「一度引きましょう!このままでは物量に押しつぶされてしまいます!!」

 命の提案に

「クッ...わかっ」

 少し冷静さを取り戻したヴェルフが悔しさを滲ませつつ頷こうとした瞬間

「いや、突っ込みます!」

 ベルがそれを遮り力強く指示を出す

「「「は!?」」」

「おいベル!」

 全員の驚愕した反応に冷静に状況を説明する

「今僕たちはヴェルフの魔剣の威力が高すぎて敵陣の中途半端な位置にいます。

 今から撤退しようとする方がモンスターたちに背を見せることになって危険です」

 その赤い瞳は戦況見極めようと常に周囲を観察している

「それにヴェルフの魔剣の耐久がもうそろそろ危ない。撤退に使うと次回の突入には使えなくなってしまいます」

「だが進むリスクは高いはず!」

 桜花のもっともな指摘に

「リスクはどちらも同じくらいだ。なら進んだ方が味方との合流も期待できます」

「あとこんな話をしている間に状況はどんどん悪くなっていっちゃいます」

 ベルはなお冷静に説得をする

「...あ~!!もうわかった!そこまで言うなら作戦はあるんだろうな!?」

 モンスターを薙ぎ払い、頭をかきむしりつつ桜花がやけくそ気味に言う

「ヴェルフは魔剣の一撃を10秒後工房に向けて全力で!!殿は僕が」

「わかった!!」

「桜花さん!命さん!ヴェルフを中心に円陣を組みます!皆は両側面を!!」

「「了解!」」

 そんな話を理解しているわけでは無いが、モンスター達はより一層の勢いでもって獲物(ベル達)に襲いかかる

 その圧倒的な物量を懸命に抑え続け

「……3、2、1。今!!!!」

 ベルの合図に

「火影!!!!!」

 阿吽の呼吸でヴェルフが魔剣を振りぬく

 そして圧倒的な炎がモンスターを灰に変える

 一瞬の空白が戦場を包む

「行きます!!」

 その隙見逃さないベルの合図を工房までの細い道を全力駆け抜ける面々

「「「ッシャーーー!!」」」 

 隙を曝していたモンスターたちだったが目の前を通り過ぎようとする人間の命を奪うため爪や牙を剥く

「みんな!反撃は最低限に!一秒でも早く前に!!千草さん牽制をお願いします!」

 襲い来るモンスターの攻撃をいなしつつベルは前を行くヴェルフ達に声をかける

 「う、うん!」

 返事とともに弓を番える千草とベル

 先頭を進むヴェルフ達に襲い掛かろうとするモンスターの足や眼をを射抜く

「急いで!!」

「わかってる!!」

息も絶え絶えの状態になるタケミカヅチ・ファミリアの面々に対し額に汗を浮かべる程度ですんでいるベルとヴェルフ

「おい!こっちだ!!早く来い!!」

「今のうちだ!!」

そんな面々に対して聞きたかった声が届く

ヘファイストス・ファミリアの鍛治師達がベル達に気づき工房前の即席防壁唯一の入り口から様々な武器でもって道を切り開きベル達を迎えようとしてくれていた

「お前ら…!」

ヴェルフが口の端を吊り上げ

「皆!前だけ見て一直線で駆け抜けて!!」

ベルは冷静に即席パーティーの指揮をとる

「「「おう!!!」」」

目の前に広がる希望は

「おや?見ない顔ですが…少しは楽しめそうなのが来ましたね」

その声で夢へと変わる

 







遅くなりました
ジェスターで脳を焼かれたので頑張って書きます
読んでくれる方は気長にお待ちいただけると...
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