オーバーロード ~百害女王~   作:ジェイ・デスサイズ

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 色んな方々の小説を読んだり、アニメを見て書きたい欲が溢れ。遂にやってしまいました。
 他の小説もあるので、のんびり楽しんで頂けると幸いです。


第1話 女王の終わり

 DMMO-RPG、YGGDRASIL(ユグドラシル)

 

 北欧神話をベースに作られた仮想空間で各々が一人の主人公として楽しめるこのゲームは他のゲームの追随を許さないくらい爆発的な人気を誇っていた。数百種類に渡る種族、2000を超える職業、更に各プレイヤーの技量があれば外装等が自由にカスタマイズが出来る故に、プレイヤーの数だけのキャラクターが存在しそれぞれが唯一無二の存在と成り得た、その特色は多くのユーザーを魅了しこの世界への住人の数を年々増やしていっていた。

 “ギルド”と呼ばれる多人数推奨のグループチームも存在する。ゲーム故、イベント参加条件に【ギルド所属】があるのも珍しくない。無論、1人だけでもギルドを作ることは可能だ。

 

 ここにも多人数推奨にも関わらず、1人でギルドを立ち上げ、色々な意味で名を拡げたプレイヤーがいた。そのプレイヤーは発売日からプレイしており、そこそこ(私生活に支障が出ない程度)課金し、ログインしない日もあったが数日程度という程、ユグドラシルにのめり込んでいた。

 

 灰緑色のコートを身に纏い、紫色のマフラーを巻き、帽子の鍔が尖っている四角形の帽子を長い紅色の髪の上から被った女性がとある場所を目指し森の中を歩いて行く。傍から見たら美人な人間種のプレイヤーであるが――彼女は人間ではない。

 

 蟲女帝(ヴァ―ミンロードエンプレス)、異形種と呼ばれる部類に入る蜘蛛人(アラクノイド)の最終種族であり、更に特定の条件をクリアしなければ進化可能にならない特殊な種族。

 プレイヤー名を【フィアー】、彼女は目的の場所を目指しながら思い出に浸っていた。

 

「発売日から12年……長いようで、短かった。そして、とても楽しかった」

 

 DMMO-RPG、YGGDRASIL(ユグドラシル)は今日この日、12年という長い歴史に終止符を打つことになる。最古参と言っても過言ではない彼女としては心から悲しい。第2の青春でもあったそれが終わる……幕を閉じる。

 

「モモンガは……いや、見なくても分かる。ログインしてるわよね」

 

 モモンガ……彼女がギルドに所属せず、フリーでPKをしていた際に声をかけてきたプレイヤーだ。彼女と同じ異形種ではあるが、彼は骸骨・アンデッド種だった。異形種のみで構成されたギルド【アインズ・ウール・ゴウン】のギルド長であり、廃課金勢である。

 

「まぁ、あの時はモモンガの勘違いの出会いだったがね」

 

 そう、モモンガが声をかけたのは彼女が敵プレイヤーを倒した後。つまり何も危険が無い時であったが、モモンガが見たときは丁度複数人が攻撃を仕掛けていた場面だった為慌てた感じだったのだ。

 

『大丈夫ですか!?今援護を……って、あれ?』

 

『い、いえ……特に危険な場面は無かったと思いますが……?』

 

『『……』』

 

 そこから話をしていき、次回の【ギルド所属者のみ】が参加条件になっているイベントに出れなくて困っている話をし、モモンガがギルドに誘ったのが【アインズ・ウール・ゴウン】に加入したきっかけだった。初めは報酬目当ての加入だったが、ノリがいいギルドメンバーなどによって離れ難い場所になっていた。彼女がこのギルドに加入して暫く経った日、ギルド全員に脱退宣言とその理由を話した。

 

『このギルドに入って、色々手伝っていくうちに……私も、自分のギルドを持ちたいって思った!だから、脱退を許してほしいのと、森の奥に見つけたギルドホーム系ダンジョンの攻略を、手伝ってほしい!』

 

 初めは止めてくれていたが、彼女が本気なのが伝わり、モモンガ達は彼女の願いを受け入れ彼女の見つけたギルドホーム系ダンジョンの攻略を開始した。

 そして、【アインズ・ウール・ゴウン】の協力によって手に入れたギルドホーム系ダンジョンこそ――

 

「私の、私だけの宝物……【メガコロニー】」

 

 深い森の中、周囲に様々な状態異常を起こす植物が生息する場所に生える大樹。その大樹の中こそ、彼女のギルドホームである。確保したての頃は【アインズ・ウール・ゴウン】の面々が手伝いを名乗り出てくれた(主に制作意欲が勝るが)のだが、彼女は断り、1から10まで自分色に染めに染めまくった。結果、自分にとっての理想郷が出来上がった。

 

「凝り過ぎ……と言われても仕方ないわね」

 

 彼女は新作・準新作ゲームばかりではなく、過去のゲーム、主にカードゲームが好みだった。カード一覧を眺めていた際にとあるカードを見た瞬間彼女に電流が走った。そのカードこそ、彼女の本来の姿でもある【ダークフェイス・グレドーラ】、正確には【百害女王(イビルガバナー)ダークフェイス・グレドーラ】である。他にも蟲惑魔と呼ばれるカードだったり、FGOと呼ばれるアプリゲームだったり・・・それらから彼女ストライクのキャラクターをNPCとして作り上げた。【アインズ・ウール・ゴウン】のメンバーを招待した際、良い意味で笑われたり色々聞かれたりした。(余談だが、【アインズ・ウール・ゴウン】のメンバーが蟲族のNPC作りに悪戦苦闘していた際、彼女の森へ行きデザイン案の相談をしている)

 彼女は大樹前に立つと、首から掛けていたネックレスを出し最上階へ転移するように念じる。

 

 でも、ここも……作り上げたこの子達も、全て……消える……

 

 最上階へ転移し終え、玉座の間にいる彼女が凝りに凝って作り上げたキャラクター達を見やる。そこには怪人やバイオロイド、妖精などが控えている。玉座へ向かい歩きながらスクロールを操作し、フレンドリストを確認する。

 

「ふふ、やっぱり居た。モモンガ」

 

 玉座に座りクス、と笑みを零す。そしてちらっと右を見る。そこには彼女が最初に作り上げたNPCがそこにいた。クワガタをモチーフに作られた怪人、【威圧怪人ダークフェイス】だ。一番最初に作った子だからか凄い時間がかかったが、そのおかげで他の怪人の際に悪戦苦闘せずに作ることができたのは良い思い出だ。なんて思い出に浸っていると、フレンドメッセージが飛んでくる。相手は予想していたが一応確認すると、やはり予想通りの人物だった。モモンガだ。

 

「こんばんは、モモンガ。良い夜ですね」

 

『こんばんは、フィアーさん。友人の声が聞けて凄く安心してますよ、俺』

 

 彼女の声が聞けて本当に嬉しそうなのが伝わってくる様な、色々な想いが纏った声だった。

 

「何故私にメッセージを?もう私は己が欲の為に脱退した部外者ですよ?」

 

『そういう言い方、俺怒りますよ?って言うか、欲なんて言ったらうちのギルドメンバー殆ど欲まみれじゃないですか』

 

「……ノーコメント」

 

『それに、フィアーさんは今でもギルドメンバーですよ。フィアーさんの旗だって玉座の間にちゃんと飾られていますよ』

 

「え、なんで?」

 

『みんな、フィアーさんが抜けてもギルドメンバーだって思ってるってことですよ』

 

「……最終日にそういうのズルい、照れる」

 

『うわぁ、フィアーさんの照れ顔とか超貴重じゃないですか。見たかったなぁ』

 

「メッセージで良かった……」

 

 気付けばそのまま会話をし続けてしまい、気が付くとサーバーダウンまで1分を切っていた。

 

『フィアーさん。今後ユグドラシル2とか出たら……また、一緒のギルドから始めませんか?』

 

「ふふ、それは喜んで。勘違いから始まる勧誘よりは良いですかね」

 

『それは言わないで下さいよ!?』

 

 そして互いに笑い合う。まるで悲しさを隠すかの様に……そして互いにゆっくり眼を閉じる。

 

『(あ~あ、明日は4時起きか。サーバーが落ちたら早く寝ないと、仕事に差しつかえる)』

 

「(リストや書類仕上げとかないと……はぁ)」

 

 そして、メインサーバーが落ちる――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “筈”だった。




【フィアー】:異形種(アラクネ)
《種族レベル》
・蜘蛛人 Level10
・蟲王  Level10
・蟲女帝 Level10
・その他 Level10
《職業レベル》魔力系魔法詠唱者
・エレメンタリスト【アース・エア】 Level10・10
・幻術師              Level10
・ハイ・ドルイド          Level6
・超越者              Level10
・その他              Level14
こういう設定は難しいです・・・wikiとにらめっこしながらしました。
超越者はヴァンガードからいただきました。
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