オーバーロード ~百害女王~   作:ジェイ・デスサイズ

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こんにちは、ジェイで御座います。
最近は三月に似合わず気温の変化が激しく体調が混乱する日々でございます。先日は雪やらみぞれやらで大変でした。皆様も体調にはお気をつけください。

それでは本編をお楽しみ下さい。


第15話 百害女王と鮮血帝1

 ―翌日―

 

「ほぉ?もう来たのか。3日後に来ると思うておったが、皇帝殿は判断力に優れておるようじゃの」

 

私は書斎で龍馬が集めた書物に目を通しているとセシリアから報告が上がってきた。偵察用に放っていたブレイドクワガーモンから、通信があり『帝国ヨリ、馬車及ビ騎馬ガ出立。方角ハメガコロニー』と。

 

「その様ね、陛下。出迎えは誰にお願いするの?」

 

「そうじゃのぉ・・・」

 

 ―今日の天気は曇り、か。なら―

 

「門前にアクティオンとギラファを配置。出迎えは銃士隊及びブルムロードモンに任命する」

 

「畏まりました、陛下」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「陛下、陛下・・・そろそろ起きて下さいますか?」

 

「ん・・・ふわぁ。昼寝なんて本当に久しぶりだ、子供の頃以来か。グレドーラへの最初の感謝は昼寝だな」

 

バハルス帝国皇帝、メガコロニーへ移動中。急いで支度をしていた為移動中が唯一落ち着ける時だった。

 

「あぁ〜。確かに陛下って、いつもせかせか何かしてますよね?何でなんですか?」

 

「ふっ、全て『鮮血帝』と言う奴が悪い」

 

その問いを聞いたバジウッドは少し口角を上げ

 

「と言う事はつまり、自分のせいだと?」

 

と敢えて煽る様に尋ねる。ジルクニフも不敬と言わずいつもの会話の様に返答する。

 

「まぁな?改革を早足でやったせいで、色々なものが追い付いていないのだ。なぁ?ヴァミリネン」

 

「えぇ。貴族達を大量に粛清しましたからね、何処も人手不足で大変です」

 

「ふふ、本当に頭の悪い男だ・・・しかし、何時までも私がせかせかと仕事をしていては次代の皇帝に恨まれてしまうからな」

 

「『次代皇帝』ですか」

 

「陛下は正妃をどちらから迎えようと考えられているのですかな?」

 

フールーダの自然な質問だが、ジルクニフは苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

「・・・内か外で言うなら、外になるが。王国のラナーも、竜王国のドラウディロンも私の嫌いな女1位と2位だ・・・勘弁してくれ」

 

 一般より重めの世間話が終わると、外からノックがした。外で警護していたレイナースだ。彼女からの報告だと『メガコロニー』と思われる幻想的な大樹の周囲に大型の昆虫型の魔物2体に妖精と人間を足した様な女性達が出迎えていると。

 

「人間大の妖精、だと?」

 

「陛下、これより赴く場所は未知の世界と思われます。もし何かありましたら私の元まで直ぐに駆けて下さい」

 

「それは、いざとなったら空間転移で逃げる。と言う意味か?」

 

ジルクニフの鋭い眼差しに怯みもせず肯定するフールーダ。

 

 ―さて、グレドーラの胎。見せてもらおうじゃないか―

 

 ジルクニフ一行は何事も無く『メガコロニー』の元へ到達する事が出来た。そして入り口付近で待っていたのは報告に上がった通り、大型の昆虫の魔物2体・妖精を連想させる女性達だった。そしてその女性達のリーダーと思われる赤い花を纏った女性が腕を広げながら歓迎の言葉を紡ぐ。

 

「やぁ、バハルス帝国皇帝。ジルクニフ・ルーン・フォーロード・エル=ニクス殿。貴方達を歓迎する様に陛下より任せられた『牡丹の銃士マルティナ』と」

 

「その妹『牡丹の銃士トゥーレ』と申しますわ」

 

「貴女達の様な美しい女性を付けてくれたダークフェイス・グレドーラ殿に心よりの感謝を」

 

 ジルクニフは感謝の言葉を述べ、笑顔で対応する。だが、その笑顔もこれから起きる事で消える事になる。

 

「ですが、折角皇帝陛下がいらして下さいましたのに天気がよろしくない・・・ので、まずはそちらから」

 

「頼むよ、ブルム兄!」

 

「ブルム兄・・・?」

 

マルティナと名乗った女性が門へ向かって手を向ける。それに釣られジルクニフ達も門の方へ視線を向ける。そちらからはカチャ、カチャ、と甲冑を着た者の足音が聞こえた。遠目では分からなかったが音が近付くにつれ姿が見え、ジルクニフは驚愕する。

 

 ―しょ、植物のモンスターが甲冑を着ている!?―

 

 その甲冑を着た『ブルム兄』と呼ばれた存在はマルティナとトゥーレの間で歩みを止め、お辞儀をする。

 

「お初にお目にかかる。ジルクニフ・ルーン・フォーロード・エル=ニクス皇帝。私は第5階層守護者、名を『ブルムロードモン』と申す。以後お見知り置きを。さて、では早速本題に入らせて頂く」

 

 ブルムロードモンは右手に持つ槍先を空へ向け、小さな光の光線を放つ。その光線は空へと消え―――一瞬にして曇り空が快晴に変わった。

 

「な、何これ・・・暖かくなったような」

 

「なっ!?一体何が起こったのだ、爺!」

 

天候操作(コントロールウェザー)は第6位階の魔法ですが、これはより上位の魔法と思われます!これは凄い!」

 

「ハハハ、喜んで頂けるのは嬉しく思うが。残念ながらこれは魔法では無く、私の常時発動型特殊技術(パッシブスキル)でね。私は太陽があるの所でないと力を発揮出来ない、故に女王陛下が私に授けて下さったものだ」

 

 ブルムロードモンの説明に驚きを隠せないバハルス帝国側。今、彼はこう言ったのだ。

 

 ―私達の女王は、天候を操る能力すら授ける事が出来る、と―

 

 驚きで硬直していると銃士隊が椅子やテーブルを出し、もてなしの気持ちを見せる。

 

「ただいま女王陛下及び、お嬢様は準備に時間が掛かっております。申し訳ございませんがこちらでお寛ぎながらお待ち下さいませ。飲み物やお茶菓子を御用意させて頂きました」

 

 1人の銃士がジルクニフへ頭を下げながら声をかける。ジルクニフはその厚意を受け、椅子に腰を下ろす。

 

「見た事が無い菓子だな。これは?」

 

「今回御用意させて頂いた物は、女王陛下のお気に入りの1つ。『もみじ饅頭』を御用意させて頂きました。お飲み物は『緑茶』を」

 

 ジルクニフは説明を聞き、ほぉ。と興味を持ち『もみじ饅頭』なる菓子を口に運び、食べる。

 

 ―なんだ、この菓子は!?外の生地はしっかり焼かれているのに中はふんわりとした食感。中には今まで食べた事が無い甘さが口の中に広がる!そして、この茶も一緒に出てきたと言う事は必ず意味がある・・・!このお茶のほろ苦さと、もみじ饅頭なる物の甘みが相互に引き立ち味わいがより一層の深くなる!そしてお茶のお陰で口の中を元に戻す事によりもみじ饅頭なる物の甘さをしつこくない物にしている!―

 

 共に来た方々も「なんと美味な菓子なのでしょう!」「こいつはうめぇ!」「美味しい・・・お茶も落ち着きます」等、高評価の感想を述べる。そしてバハルス帝国の方々が食べ終えたと同時にトゥーレは告げる。

 

「皆様、お待たせ致しました。女王陛下の準備が整いましたので、此方へどうぞ」

 

 トゥーレの先導によりメガコロニーの根元、門の前へ案内されるが、ジルクニフ達は歩みが少し遅かった。理由は門の左右に居る超大型の虫型の魔物だ。それに気付いたマルティナは笑顔で対応する。

 

「あぁ。皆さん大丈夫だよ、この子達は無闇に他種族を襲ったりしない。危害を加えたり攻撃の意思、つまり殺意等を向けなければ触る事が出来るよ」

 

 マルティナは慣れた手つきでアクティオンの目元の外殻を撫でると、心地良いのか心做しか撫でられて嬉しそうに見える。反対のギラファにはトゥーレが撫でている。

 

「では、皆様。中へどうぞ」

 

 牡丹銃士の後を歩く形で歩みを進めるジルクニフ達。玉座の間の中心に行く少しの距離で既にバハルス帝国の貴族、自分すら持ってない物を目視し、思考を巡らせるジルクニフ。

 

 ―金銭、地位、権力、軍事力に魔法技術、そして美女。フッ、私が持っているどんな財でもダークフェイス・グレドーラの心を動かす事は出来ないだろう。玉座に座っているのは・・・人間?彼女がこのメガコロニーの女王だと言うのか!?仮にそうだとしたら、既に人間を辞めている可能性が高いな。その証拠に彼女の周りの者は、人間に形が近い者は多いが純粋な人間は居ない様に見える・・・此方の勝利条件は『帝国が外されず生きて帰る』と言った所か―

 

「女王陛下。バハルス帝国皇帝、ジルクニフ・ルーン・フォーロード・エル=ニクス。お目通りがしたいとの事です」

 

 玉座に座る女性のすぐ隣、白い花を纏った女性が女王陛下へ告げる。

 

「よく来たのぉ。バハルス帝国皇帝、ジルクニフ・ルーン・フォーロード・エル=ニクスよ。妾がこのメガコロニーの主、百害女王ダークフェイス・グレドーラじゃ」

 

「歓迎を心より感謝する、ダークフェイス・グレドーラ殿」

 

「うむ。話をする前にー」

 

「貴様!人間如きが陛下と対等に話をするなど不敬の極み!陛下の御前であるぞ、『ひれ伏せ』!」

 

 グレドーラが何か言い終えるより先にダークフェイスが先に動き、スキルを使用してしまった。

威圧怪人ダークフェイス:メガコロニーの中でも上位の実力者であり、その中でも唯一『ダークフェイス』の名を冠した子・・・なのだが、グレドーラを崇拝し過ぎる傾向にありグレドーラが指示する前に行動し、咎められている。

 

「ダークフェイス、やめよ」

 

「は、ハッ!光栄に思え人間、『自由にしろ』」

 

 グレドーラから怒りの波動を感じたダークフェイスは指示通りジルクニフ達への圧を解く。

 

「妾の子供が失礼した。子の罪は妾の罪、許して貰えぬだろうか?お主が望むのであれば妾は頭を下げても構わぬ」

 

 グレドーラのセリフに周囲の子供と思われる者達が驚きの表情をしている。

 

「いや、謝罪の必要は無いグレドーラ殿。そもそも大罪を犯したのは我々なのだ、この程度何ともない。それと、私の事はジルクニフで結構だ」

 

「そう言ってくれると妾も助かる。そも今回の件はお主等の誠意を見せて欲しかっただけ。そしてお主等は誠意を見せた・・・『個人的』にはこれで良いのだが、『女王』としては、そうはいかぬ」

 

 言い終えると雰囲気ががらりと変わり、眼の鋭さが増したかのようにジルクニフは感じた。

 

「そうじゃ、話を進める前に1つ確認せねばならぬ事があった。ジルクニフよ、妾の『この姿』での謁見を望むか?それとも『本来の姿』の妾と望むか?」

 

 グレドーラはいたずらっ子の様な笑みを浮かべながらジルクニフへ問う。その笑みを見て悪寒が走った。

 

「そ、それはどういう意味なのかな?」

 

「そのままの意味じゃ。お主も気付いてはおるとは思うが、このメガコロニーの主が、この子らの母が、人間な訳あるまい?それと、一応言うておくが『本来の姿』を選んでも選ばなくてもこれからの話には何にも関係しない。妾だけ姿を隠すのはフェアではないからの」

 

「なるほど、グレドーラ殿なりの優しさ。と言う事でしたか・・・では、『本来の姿』をお願い出来ますかな?」

 

「良かろう・・・その眼に刻むが良い。メガコロニーの女王の姿を」

 

 言い終えると同時に淡い緑の光がグレドーラを包み込む。あまりの光の強さにジルクニフ達は目を瞑る・手で隠す等で光が収まるのを待った。少しして、光が収まったのを確認しグレドーラの方を向くとそこには・・・正に『昆虫種の女王』が、そこに居た。




個人的には、ジルクニフ・番外席次も幸せゾーンへ入れたいと模索しておりますれば、お楽しみにしていただけると幸いです。
では、感想やご意見お待ちしております。
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