オーバーロード ~百害女王~   作:ジェイ・デスサイズ

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今回の話、色々考えながら書いてはいたのですが伝わりづらい所があるかもしれません・・・その際は報告などお願いいたします・・・
それでは本編どうぞ


第5話 フィアーの想い

 ワスプモンに捕まったフォーサイトの4人は、指示を出した張本人ザミエールモンと共に最上階ヘ向かって飛んでいた。

 

「全く、近くの山脈にいるドラゴン付近の鉱石など採るなら頷けるがよりによってこのメガコロニーに来るとはなぁ。呆れを通り越して笑える、あっはっはっは」

 

 ワスプモンの頭部に乗った状態で大笑いするザミエールモン。その笑い声が嫌だったのかヘッケランがザミエールモンに問い掛ける。

 

「俺達を何処へ連れて行くつもりなんだ。殺すだけなら、あの時こいつらにそう命令すれば良かったんじゃないか」

 

 その問いに笑うのを止め、不敵な笑みを浮かべ

 

「さっきも言っただろう。【このメガコロニーで最大の恐怖と絶望を抱いて死ぬがいい】、とな。だからそれが出来る場所へ連れて行く、それだけだ」

 

 と、これから起こるであろう事を想像しながら告げる。そして上の階層の階段になる度に装飾がどんどん綺麗な物になっていった。そして最後の階段を上り終え、最上階ヘ到達する。木の中ということもあり、殆どが木製で作られた品が多かったがどれもバハルス帝国の大貴族・・・いや、もしかしたら皇帝も所持していないと思わせる程の品だった。そしてその部屋の左側にはクワガタを連想させる化け物、右側には花を連想させる妖精?と思わせる者達が立ってこちらを見ていた。

 そして、部屋の奥。玉座に座っている女性、灰緑色のコートを身に纏い、紫色のマフラーを巻き、帽子の鍔が尖っている四角形の帽子を長い紅色の髪の上から被っていた。

 

 ―に、人間?人間の女がこの魔窟・・・いや、魔樹のボスだっていうのか―

 

 部屋の中心まで来ると、ワスプモンが捕らえた4人に使用していた糸をいきなり切り4人はどん、と音を立てて落とされた。そして何も無かったかの様に持ち場へ戻って行くワスプモン。そしてザミエールモンは4人より少し前に行き、膝を付き首を垂れる。

 

「陛下、第1階層にて侵入者を捕獲致しました。私は力を振るうのを禁じられていた為、陛下にこの者達の処分をお任せしたいと愚考し、連れて参りました」

 

「そうか。ザミエールモンが第1階層に居たのが運の尽きだったの、侵入者よ」

 

 そう言うと、立ち上がりザミエールモン・侵入者4人のもとへゆっくりと歩み寄る・・・離れている筈なのにその女性が言っているであろう言葉が耳元で聞こえる様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―我が手繰るは無盡の糸、この手に堕ちぬ贄は無し―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言い終えると女性の身体が一瞬光、4人は思わず眼を瞑ってしまった。そして再び眼を開けた・・・そこには先程の女性が消え、代わりに蜘蛛人(アラクノイド)の化け物が立っていた。

 

「妾がこの大樹【メガコロニー】の主、百害女王(イビルガバナー)ダークフェイス・グレドーラ」

 

「あ、あぁ・・・あああぁ!?」

 

 魔力系魔法詠唱者(マジックキャスター)の娘が、悲鳴を上げた。恐らく、言い終えたと同時にとある指輪を外した事により、娘に蜘蛛人の魔力量が見えてしまったのだろう。

 

「あ、アルシェ!どうした、しっかりしろ!」

 

 リーダー格と思われる男は前に居る仲間の肩を揺らす・・・しかし、振り返らず涙を流し、自分の運命が分かってしまった表情をしそのまま言葉を綴る。

 

「に、人間が相手にしていい相手じゃない・・・!」

 

 ―予想はしていたけど、こんな可愛い娘に悲鳴上げられて泣かれると、心にちょっと来るわね―

 

 内心、ショックを受けている私はそのまま少女の前まで行くと8本の脚を曲げ目線を低くし、腕を伸ばし頬に触れる。そして私は魔法を唱える。

 

記憶操作(コントロール・アムネジア)

 

 私は対象の記憶の閲覧・操作・消去を行なうことができる魔法を使い少女の記憶を覗き込む。私は気になったんだ、他の3人なら冒険や探索をしていても不思議ではない・・・だけど、恐らく20に満たない少女が何故こんな危ない事をしているのか。興味本位だった・・・そう、ただの興味本位だった。

 彼女は貴族の娘だった。実家は100年以上バハルス帝国を支えていた貴族だったが、鮮血帝によって取り潰されてしまい、更には両親が

 ―鮮血帝さえ死ねば、フルト家が貴族として再興される!この金の消費は必要な消費だ!力を誇示することで鮮血帝にこの家がまだ屈していない事を見せつけるため―

 と称して働きもせずに貴族生活を辞めなかったために借金が嵩み、その結果学院を辞めてワーカーとして働く様になった。

 

 ―まさか、異世界に来ても自分と同じような境遇の人物に逢う事になるなんて―

 

 そう、私もある会社の社長令嬢【だった】。母親は兎も角、父親がこの少女の父親と殆ど同じ言動をしていた。しかも、当時の私よりも若いこの少女が同じ思いをしており、更には親の借金の為に働いている。

 

 ―私より、立派ではないか―

 

「へ、陛下・・・っ!?陛下が涙を!?」

 

 ザミエールモンに指摘され、気が付いた。

 

 ―あれ、私。泣いてたんだ―

 

「小娘!陛下に一体何をs」

 

「ダークフェイス!」

 

「っ!?」

 

 苛立ちを見せ、攻撃を仕掛けようとしたダークフェイスにいつもより強く指摘してしまった私。ダークフェイスも思いもよらなかったのか、かなり驚いた表情を見せる。私もこんな大声出したのは久しぶりだ。

私は視線をダークフェイスから再び少女へ向ける。こちらも一瞬驚いた表情をしていたが、視線を戻すと再び涙を流す。

 

 ―私は、母親からは【愛】を受ける事ができた。しかし、この娘はこの歳で親から受けた多少の【愛】を【借金返済】という形で返している・・・そんなの可笑しい、子供が親の後始末をするなんて。親はこの娘の想いをどう思っているのだろう、いやそもそも気付いているのかさえ疑う所だ―

 

 私が母から貰った【愛】、今度は私があげたいと思った・・・だから、私は素直に1つの提案をする。

 

「本物の愛を知らずに育った少女よ、妾の娘となれ」

 

「「「「へっ?」」」」

 

「「へ、陛下っ!?」」

 

 4人は間の抜けた声を出し、ダークフェイスとザミエールモンは驚きの声を出す。

 

「聞こえなかったか?妾の娘となれ、と言うたのだ。アルシェ・イーブ・リイル・フルト」

 

「わ、私の名前・・・どうして?」

 

 私は頬に触れていた手を離し立ち上がる。

 

「先に謝罪しよう。妾がお前の記憶の中を見たのだ。故に名前も、家の事も、全て把握した・・・その上での提案じゃ」

 

「き、記憶を見た、のですか・・・?全て?」

 

「その通りだ、ロバーデイク。イミーナ。ヘッケラン」

 

「あ、あたし達の名前まで」

 

「ほ、本当っぽいな」

 

「うむ。妾の魔法、記憶操作(コントロール・アムネジア)は対象の記憶の閲覧・操作・消去を行なうことが可能でな。この娘が双子の妹達をとても大切にしていることも、な」

 

 私はアルシェを見ながら優しく微笑み【女帝のオーラ】を発動させ頭を撫でてやる。最初はビクっ、と身体を震わせたが、すぐ落ち着いたのか素直に撫でられる。

 

「あ、えと・・・あの、その・・・」

 

 いきなりの問いに、頭がパニックになるアルシェ。

 

 ―まぁ、そうなるわよね―

 

「整理が追い付かぬようだな。まぁ、それも仕方なかろう。先程まで自分らを殺そうとしていた相手にこの様な問いを出されたのだ、少し整理する時間をくれてやろう。トゥーレ」

 

「はい。何でしょうか、陛下」

 

「この者達を客人に変更する。メガコロニー内全ての子らに知らせよ、彼奴らに危害を加える事は妾の顔に泥を塗る行為、とな」

 

「畏まりました、陛下」

 

「うむ。それと、ザミエールモン」

 

「は、はっ」

 

「お前は良き働きをした。その功績を称え褒美をやろう、考えておけ」

 

「有り難き幸せ、では後日お伝えに参ります」

 

「よろしい。では、愛しい子供達よ。己が責務を全うせよ」

 

 私はそう言い残すと人型に戻り、ネックレスに念じ自室へ転移する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・助かった、の?」

 

「そ、そうみたいですね」

 

「初めてアルシェの親に感謝したぜ・・・」

 

 へなへなと、力なく床に座り込む3人と未だポカンとしている私。そこにザミエールモンが声をかける。

 

「命拾いしたな、人間。先に言っておくが陛下は慈悲深い御方ではあるが侵入者を生かし、更には客人へするなど過去になかった事だ。光栄に思え」

 

 そう言い残し、ザミエールモンは玉座の間を後にする。そして残ったダークフェイスと呼ばれたクワガタ怪人と、トゥーレと呼ばれた白い花の妖精と、その妖精に似た赤い妖精・他の花の白い妖精の合計4人。

 

「あ・・・あ・・・ありえん!メガコロニーの母が!女王が!人間ごとkー」

 

「うるっさい!」

 

 喚き散らすダークフェイスに対し、赤い花の妖精の方が何処から取り出したのかは分からないけど白い紙を何重にも重ねた物で思いっ切り引っぱたいていた。スパァン、と初めて聞いたけど心地良い音が響いた。

 

「ぐはっ!?な、何をするマルティナぁ!」

 

「毎度の事ながら一々オーバーリアクションなんだよ、キミは。それに陛下の決定だ。そこにキミの我儘を加えるつもりかい?」

 

「何だとマルティナ!」

 

「事実だろうがっ!」

 

 今私の目の前でクワガタの怪人と赤い花の妖精さんが一触即発な状態になってる・・・助けて。

 

「ていっ」

 

 なんて考えていたら可愛らしい声と共に2人の頭がほぼ同時に叩かれた。

 

「「痛っ!?」」

 

「いい加減にしなさい、2人共。客人の前ではしたない」

 

 2人の妖精の後ろに立っていた別の白い花の妖精さんが一触即発の2人を鞘で叩いたんだ。

 

「しかし、セシ姉ぇ!」

 

「貴様っ、セs」

 

「そんなに喧嘩がしたいなら・・・私が相手になるぞ?」

 

 言った途端、セシ姉と呼ばれた女性の黒い光輪が現れ先程迄の優しそうな妖精からガラッと雰囲気が変わった。

 

「「っ!?」」

 

 この姿に流石の2人も怖いのか、それ以上何も言わなくなった。それを確認すると黒い光輪を消して私達と向き合う。

 

「見苦しい所を見せてしまい、ごめんなさいね。私は【白百合の銃士セシリア】、呼び方は貴方達に任せるわ。それでさっきのは、まぁ此処の日常と思ってくれればいいわ。トゥーレ、メガコロニー内の全員に伝え終えた?」

 

「えぇ。そこ2人が喧嘩してる間に4人の顔を映して伝えておいたわ」

 

 トゥーレさんの腕には見たことの無い細長い虫がいた。あの虫で伝えたのかな。

 

「流石トゥーレね。それじゃこのまま4人を客間へ案内してくれるかしら?」

 

「分かったわ、セシ姉。それじゃあ、4人共私に付いてきてくれるかしら?」

 

 私達4人は素直に頷き、トゥーレさんの後を付いていく。

 

「・・・行ったわね。さぁ、2人も持ち場へ行く!」

 

 セシリアの号令により慌てて自分の階層へ向かうダークフェイスとマルティナであった。




次回、メガコロニー内を紹介出来たらなーと、考えております。
楽しみにして頂けると嬉しいです。
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