気が付けば今年も終わりですね~。今年の3月に投稿したこの小説が思いのほか好評でとても嬉しく思います。これからも皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います。
それでは今年最後の本編、お楽しみ下さい。
「・・・なるほど。情報収集と現地の人間の強さの調査をしていたんですね、御二人は」
「うん、そういうこと。あの時は騙してごめんね?ボク達も生きる為にこの世界の情報が必要だったんだ」
「龍馬が謝る必要ないぞ。生きる為にやったことだ、自然なことだ」
「だとしても、こうして顔を合わせてるんだから、言わなきゃいけないことは言わないと」
街を出ようとした私達姉妹は、街の出入口で顔見知りの2人に出会った。私達フォーサイトにあの大樹の情報を教えてくれたアイテムショップ”海援隊”だ。この2人は母様の命令で近くにあったあの街で情報収集と現地の人間の強さの調査をしていたのだ、そしてフォーサイトはその計画にまんまと嵌った。
今は坂本龍馬さん、お竜さんと一緒に母様の居る大樹を目指していた。
「ねぇ、新しいお母さんってどんな人なの?」
妹の1人、クーデリカが私に問いかけてくる。そういえば詳しくは話してなかった。
「母様はね、とても優しくて子供の事を第一に考えてくれる御方よ」
私はクーデリカの頭を撫でながら答える。するともう1人の妹のウレイリカが羨ましそうにしていたから、ウレイリカも撫でてあげる。
「まぁ、フィアーは人間じゃないけどな」
ふよふよと浮かびながら私達の前にひょこっと現れしれっと凄いことを言うお竜さん。
「「お母さん、人じゃないの?」」
妹達2人揃って首を傾げながら訊ねてくる。うぅ、何て説明すれば・・・と私が悩んでいると
「うん、僕達の主は人じゃない。
2人に近寄り目線を合わせて坂本さんが説明を始めていた。
「でもね、アルシェちゃんが言った通りとても優しい御方だよ。種族差別も無いし、ちゃんと愛を持って接してくれるよ・・・見た目は驚くとは思うけれどね」
最後の方は苦笑いしてしまっている坂本さん。うん、姉である私も驚くだけじゃすまなかったもん。
「そうなんだぁ。でもお姉様や2人が大丈夫って言うなら、信じる!」
「私も信じるっ」
2人仲良く手を繋ぎながら私達に向けて元気に返事をする妹達。坂本さんを見ると少し驚いた様な表情をしていた。
「いやはや、
あはは、と苦笑いしながら頬を掻く坂本さんにそれを見てクスクスと笑うお竜さん。ふふ、この様子ならお母様を見ても気絶とかはしなさそう。私はそう思いながら森を目指し歩いて行く。
森の入り口付近でヘッケラン達と合流して大樹を目指す。3人はお母様から此処で私達姉妹とお母様の部下が来るのを待つように命じられたらしい、そして坂本さんとお竜さんを見た時は「あぁ!あの時の!?」と驚いていた。その時の顔は3人には悪いが笑ってしまった。世間話をしながら進んで行くと神秘的な大樹が見えてきて、その根元付近に何人かが立っているのが分かる。その中に女王の・・・
大樹の根元に辿り着くと、最初に坂本さんが口を開いた。
「陛下。御命令に従い、調査及びアルシェ姉妹の護衛完了致しました」
「うむ、任務ご苦労じゃ。部屋に褒美を用意してある故、暫し休むが良い」
坂本さんの報告に対し、お母様は労いの言葉をかける。そして・・・お母様の目線が坂本さんからクーデリカとウレイリカ、私の双子の妹達へ向けられる。お母様は2人が乗っている荷台に近づき、少ししゃがみ視線の高さをなるべく低くされる。
「お主達が、アルシェの妹の双子じゃな?妾はこの大樹【メガコロニー】の主であり、お主達の新たな母・・・ダークフェイス・グレドーラじゃ」
―良し、今の所変な事は言ってないし言動も悪くないはず。遠くから私の姿が見えてたとはいえ2人からは恐怖の感情は無い・・・よね!?自己紹介の後に大泣きされたら、いくら女王だからってかなり凹むよ!?あぁ、お願い泣かないでっ―
なんて、自己紹介後に高速詠唱の如く頭の中で悪い癖が発動する。私が頭の中で勝手にパニックになっていると、私の意識を現実に戻したのは双子の鳴き声ではなく
「は、初めましてお母さんっ。私はクーデリカですっ」
「私はウレイリカですっ」
「「これからよろしくお願いしますっ」」
2人の元気の良い挨拶だった・・・え?
「お、お主達・・・妾が怖くないのか?人間でないのだぞ?」
「おじさんから聞きました!」
「優しくて愛してくれるって言ってたよ!」
「「だから、大丈夫って信じることにしたのっ!」」
「お、おじさん・・・」
荷台で元気に答える双子にちょっとショックを受けている坂本。いやいや待ちなさい待ちなさい
「わ、妾の事を・・・話していたのか?」
「え、えぇ。言い出しはお竜さんでしたけど、軽く説明くらいは必要と思いまして」
―私、これでも色々覚悟してたんだけどなぁ。まぁ龍馬の性格を考えたら、そりゃ多少は情報を伝えて当然かな・・・笑いを堪えてるセシリアには糸玉を飛ばしておこう―
ビシッ
「痛っ!?」
完全に油断していたセシリアのこめかみに糸玉を命中させ、セシリアは額を抑えぷるぷると震える。セシリアの部下の子達はオロオロしながらも心配し、他の子達はそのセシリアを見て笑っている。
「コホン・・・そうか。見ての通り姿形は人間とは異なっておるが、楽しければ笑い、悲しければ泣く。そこは変わらぬ・・・そして、妾はお主達が望む限り愛し続けようぞ」
私は優しく微笑みながら双子の頭を優しく撫でる。すると気持ちいいのか目を細め笑みを浮かべる双子・・・可愛い!
「さて、お前達も疲れたであろう。中へ入り疲れを癒すが良い」
私は子供達にアルシェ姉妹の荷物の運搬と設置を命じた。
「さぁ、クーデリカ。頭の泡を流すから目を閉じ耳を手で塞ぐんだ」
「ウレイリカ、少し我慢してね?」
「「はーい!」」
「ふふ、元気な声じゃ」
「わぁ・・・母様、肌すべすべ。何か秘訣とかあるの?」
「特にこだわっていることは何もないぞ?」
現在私達は地下第3階層の大浴場に来ており、双子達は牡丹姉妹に洗われ私はアルシェに洗ってもらっている。無論今の私は人の姿だ。
「嘘っ・・・っていうか、マルティナ姉さんやトゥーレ姉さん、セシリア姉さん達も肌綺麗」
私の背中や腕を洗いながら他の子達も見比べ感想を述べる。ちなみに、あの子達
「ふふ、心掛けていることなら教えてあげますよ。アルシェ」
湯船に浸かりながら私達の様子を見ていたセシリアが笑みを浮かべながら声をかける。それを聞き「やった」と喜ぶアルシェ。
「良かったな、アルシェ。しかし、これで漸く一息つけるのぉ」
洗ってもらっているのに私は腕を前や上に伸びをする。その拍子に胸が揺れ、横にいたアルシェは顔を赤くした。
「くく、愛い子じゃ」
その反応が可愛く思い、泡の手を桶で落としてアルシェの頭を撫でる。まだ恥ずかしいのか目を逸らしたまま背中や脇を洗い続けるアルシェ。洗い終えた私達はセシリアが入っていた湯船に浸かった。双子は変わらず牡丹姉妹と一緒にいる、懐くの早いわねあの子達。
「さて・・・先程も申したが、これで一息つけるのだが。アルシェ、そしてイミーナ、強いてはフォーサイトに聞きたい事がある」
私が個人ではなくチームとして聞きたいと言ったせいか、2人の表情が険しいものになってしまった。しまった、大した・・・いや、かなり重要なことだけどね?命まではいかないからさ。
「そう強ばるな、聞きたい事と言うのは2つ。1つ目は【メガコロニー】、具体的に言うと妾の子達をどう思う?全てが人外、言うなれば魔物だ。恐怖など無いか?」
2人共思っていたのと違う質問がきたせいか、一瞬キョトンとした。最初に答えたのはイミーナだ。
「確かに此処に住んでるのは人外ばかりだけど、恐怖は初めの侵入した時位で今は何とも思わないですよ。陛下が私達を敵じゃない、と伝えてくれているおかげです」
この大浴場がある地下第3階層まで、転移を使わず第1階層から地下第3階層をツアーの様に軽く説明しながら向かっていた際に色んな子達が挨拶しに私の元へ来ていた。その時の事を思い出しているのだろう。ちなみに、第1階層でフォーサイトを襲った子とも出会った。名はハイディング・キラーリーフ。
「私も、初めは怖かったけど・・・今は何とも思わない」
と、私の眼を見ながら微笑むアルシェ。
「ふふ、そうか。それを聞けて安心したぞ。2つ目は答え次第では聞かぬつもりでいたからの。で、その2つ目じゃが・・・人を辞め、こちら側へ来る気は無いか?」
私はアルシェの前で両手を左右に開き、問い掛ける・・・そのままでいるか、魔物になるかの選択を。
読んでいただきありがとうございます。
さぁ、考えていた展開に近づいて参りました。
頭の中ではこういうのにしたいなーっていうのはあるのですが、文章化するのに苦戦しており・・・温かい目で見守って下さればと。
では、次回お会いしましょう